新型コロナ対策、政府=菅義偉政権の無為無策のまま感染は拡大、経済もデフレ不況深刻化

政府=菅政権が「コロナ感染拡大防止と経済活動の両立」を繰り返している間にコロナ第三波の襲来が現実のものになり、全国の新規感染者は19日に2日連続の過去最多数を更新して2388人になった。感染者の年代も当初は20代〜30代の若者が多かったが、このところ持病を持つ高齢者層の割合が多くなっている。このため、首都圏と阪神、中京の大都市圏を中心に、医療体制の逼迫が懸念される状況になってきた。その一方で、経済情勢はさらに悪化してきている。第三波襲来の原因について、感染症の科学的見地から究明するとともに、これまでのクラスター対策を止めて、改正新型インフル特措法の見直しを含むコロナ禍対策の抜本的転換が必要だ。

11月20日金曜日コロナ感染状況

本日11月20日金曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では午後15時の速報値で新規感染確認者は1週間前の13日金曜日の374人より148人多い過去最多の522人だった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。ただし、米軍横田基地で16人の新規感染確認者が確認されている。これを加えると538人になる。重症者は前日比1人減って37人になった。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は376.3人、PCR検査人数は5597.9.人だから、陽性率は6.72%。東京都独自の計算方式でも5.9%。感染者のうち感染経路不明率は58.28%だった。PCR検査人数は増えているが陽性率も高まっており、感染経路不明率も60%に迫っており、かなり厳しい状況が続いている。
全国では、午後23時59分時点で2425人の新規感染者と過去最多を連日更新し、14人の死亡者が確認されている。このうち、北海道で過去最多の304人。札幌市は191人。政府は3兆円の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金と第二次補正予算で計上した10兆円の予備費の残高分を財源に、早急に全国都道府県の基礎自治体(区市町村)に支給し、医療機関の支援と原則的に全員PCR検査を行い、感染者の重症化を防ぐとともに無症状・警鐘感染者の保護・隔離・適切な医療措置を行うべきだ。
東洋ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、11月19日時点の実効再生産数は全国が前日比0.01人減少して1.27人、東京都では前日比0.01人減少の1.22人となっている。実効再生産数はこのところ減少傾向にあるが、やはり新規感染者の大幅増加と整合性が取れないように見える。

東京都のコロナ感染者の推移
東京都のコロナ感染者の推移

第三波の襲来はいち早く冬が訪れている北海道で観光名所でもある札幌市を中心に過去最多の新規感染者がいる。札幌市では医療供給体制の逼迫が懸念されている。大阪府でも、人口当たりの新規感染者数は東京都と遜色ないうえに、高齢者・持病のある方を中心に用意した病床をコロナ感染者以外の患者さんに流用しているため、実際の中症、重症、重篤コロナ患者のための病床は60%程度手錠になり、医療の逼迫が迫っているというのが実態だ(https://lite-ra.com/2020/11/post-5700.htmlhttps://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/by-age-tokyo/

政府=菅政権は「コロナ感染危機」を口先では念仏のように唱えるだけで、すべてを自分で対処せよと言わんばかりの、政府としての役割を放棄、 無為無策を続けている。小池百合子都知事率いる東京都も、➀少人数会食②小一時間会食③小皿➃小まめのマスク会食⑤小まめの換気・消毒ーなど、菅首相の「マスク会食」と似たようなものだ。政府=安倍、菅政権が東京オリンピックの強行開催を最優先に目論んでいるため、PCR検査を一貫して抑制したことのツケが回り、感染拡大の「震源地」になっている無症状新型コロナウイルス感染者を補足できなかったため、これらの感染者が保持しているコロナウイルスが冬場に来て「活動」を再開し、今回の第三波到来の主な原因になったと思われる。

菅義偉首相(中央)と加藤勝信内閣官房長官(左)、コロナ禍対策の実務責任者の西村康稔経済再生担当相
菅義偉首相(中央)と加藤勝信内閣官房長官(左)、コロナ禍対策の実務責任者の西村康稔経済再生担当相(首相官邸サイト)
東京都庁
東京都庁

これに、政府=菅政権が東京オリンピック強行開催と経済活動の最優先を目指し、本来はコロナ収束が実施の前提だった豪華ホテル、大旅館や高所得者層に有利なGo To トラベル、イート(予算1.7兆円)を前提を覆して前倒しし、日本全国での人の往来を演出していることが重なって、第三波の襲来を加速させているものと思われる。第三波は第二派と異なり、感染者の世代別の感染者が第二波の若者から高齢者に移ってきている点に注意が必要だ(https://www3.nhk.or.jp/n/special/coronavirus/by-age-tokyo/)。高齢者や 持病をお持ちの方が感染すれば、入院は必須であり、病床の不足など医療体制の確保に重大な懸念が生じる。また、感染経路も第二波の「夜の街」から、「職場感染」や「過程内感染」が広がっている

実際、首都圏や阪神圏、中京圏などを中心に重症者、重篤者が増加している。東京新聞11月20日2面(https://www.tokyo-np.co.jp/article/69437?rct=main)によると、「全国の新型コロナウイルスの重症者数が16日、272人となり、「第2波」最多の259人(8月23日)を上回った。その後も増え続け、18日は280人。東京都や大阪府などでは、重症者用病床の使用率が25%を超えている。まだ余力はあるが、感染者の急増が続けば、重症者も増える。感染拡大を防がなくては医療崩壊を招きかねない」という。

全国の重症者数の推移
全国の重症者数の推移
Go To トラベルと感染拡大の強い相関性を表明する日本医師会の中川俊男会長
Go To トラベルと感染拡大の強い相関性を表明する日本医師会の中川俊男会長

にもかかわらず、政府=菅政権はこれまでのコロナ禍対策を総括し、抜本的転換を見直そうとはしないようだ。自民党の支持基盤である日本医師会の中川俊男会長が、Go To トラベル実施とコロナ感染者増加の強い相関性に言及し、Go To トラベルの見直しを暗に要請した(https://mainichi.jp/articles/20201119/k00/00m/010/231000c)ものの、加藤勝信官房長官は要するに「見直さない」と断言してはばからなかった。菅首相は、「マスク着用の静かな会食」という誰が考えても摩訶不思議な珍語を生み出した。要するに、政府サイドの専門家の言うことさえ、効く耳は持たないということなのである。

こうした「唯我独尊」体質から、地方自治体の首超選挙や住民投票でも異変が生じつつある。11月1日の「大阪都構想」の住民投票は、関西の小選挙区で一定の議席数を確保している公明党に対して対立候補を擁立(刺客)を送り込むことで維新が公明党を脅したことがきっかけで始まった。しかし、公明党がその支持母体である創価学会員を掴み切れていない現状に危機感を抱き、維新側が菅首相経由で創価学会幹部に公明党代表の山口那津男代表に創価学会員の締め付けを依頼した(政教分離を定めた日本国憲法違反の疑いが濃厚)か、それでも締め付けは効を奏さなかった。加えて、山本太郎率いるれいわ新選組がソーシャル・ディスタンス街宣活動を行ったことで、投票率は前回よりも低かったのに反対票が賛成票を前回より上回ったために、維新側は住民投票に破れた。

もっとも、松井一郎市長は本来ならその場で辞任、政界引退をすべきだったが、市長職にはとどまり、大阪市の財源を大阪府がカツアゲし、カジノや万博に回すための条例の制定に踏み切ろうとしている。また、水道の民営化を行うとともに、大阪市役所・出張所に、あの竹中平蔵氏が会長のパソナに派遣労働者を送り込むなど、「最後」の悪あがきを行っている。そうした住民無視の策略のために、大阪府は新型コロナ感染者が過去最大規模になり、上記のリテラの記事にもあるように、重症のコロナ患者のための病床使用率も60%程度になっていることから、大阪府が危機的状況に陥るのは明らかな情勢になってきている。

また、愛知県豊橋市の市長選挙では、コロナ対策を最優先する新人の前県議の浅井由崇氏(58)が6万89774票を獲得、4選を目指した無所属現職の佐原光一氏(66)=自民、公明推薦=は4万8085票しか獲得できなかったため、2万892票の大差で現職市長を破り、初当選した。今後、コロナ禍が深刻化してくると、全国の都道府県、区市町村首長選挙でこうした傾向が次第に顕著になってくる可能性が強くなる。菅首相・総裁率いる自民党も、公明党の協力を得てもコロナ禍対策を転換し泣けば、1月に解散・総選挙に踏み切っても、真正野党側が分かり易くて納得できる政策体系と野党連合政権構想を打ち出せば、菅首相=二階俊博自民幹事長の狙いが狂ってくるだろう。

政府=菅政権が無為無策を続ける一方で、経済情勢はますます悪化している。その象徴が来年度2021年度3月大学卒業社の就職内定率だ。厚生労働省と文部科学省が発表した10月1日時点の就職内定率は、前年比7.0ポイント減の69.8%だった。下げ幅はリーマン・ショック時の7.4ポイント減以来の落ち込みである。2021年度の大卒予定者の就職活動が始まったのは゜コロナ禍に見舞われていなかった2019年12月頃だったから、そろそろ始まる2022年度3月卒予定の大卒者の就職内定率も大いに気がかりになる。企業の雇用調整は、大卒予定者内定減→非正規労働者解雇→正規労働者の希望退職・会社都合解雇の順でなされる。「コロナ対策と経済活動」の両立お教の用に唱えても、結局は「二兎追う者は一兎も得ず」ということになる。雇用まさらなる悪化が懸念される。

政府は本日20日、夕方以降コロナ感染症対策本部会合を開いて「コロナ禍」対策を打ち出す予定だ。しかし、専門家のいる分科会も含めて菅首相の意向を忖度する会合だから、期待は持てない。➀従来型のワクチンでも安全性と有効性のを確認する第3相の治験には3年程度はかかると言われているが、今回開発中のコロナ用のワクチンは遺伝子型(RNA)ワクチンであり、入念な第3相の治験が必要であるはずだが、「ワクチン信仰」から事実上の強制接種を打ち出す②コロナ禍を利用した中小企業の整理・淘汰③政府・日銀の量的金融緩和政策によって生じた超低金利(為替相場の円安もインバウンド用に画策した)から、経営が悪化している地銀の再編・淘汰ーなどが打ち出されてもおかしくはない。しかし、これらの対策ではコロナ禍対策にはならない。

経済情勢悪化の第二の象徴は、10月の消費者物価指数(生鮮食料品を除く)が前年同月比マイナス0.7%と大幅に下落し、デフレ不況が一段と深刻化していることである。総合でも同0.4%とマイナスに転じた。

2020年10月の消費者物価の減少幅
2020年10月の消費者物価の減少幅

「コロナ感染拡大防止と経済活動の両立」ではコロナ禍対策にならないことは実証済みだ。「コロナ拡大防止と国民生活の保護」が必要だ。できれば、「新型コロナウイルス特別措置法」の策定が望ましいが、時間の制約があるため現在の「改正インふル特措法」に政府の財政措置による「休業補償制度の充実」を盛り込んだうえで、第Ⅱ塁相当の指定感染症にした新型コロナウイルス感染症の位置づけ(政令指定)を見直すか、大規模検査が最先端の医療用設備でできるようにするなど、柔軟な運用をきめ細かに実施できるように改めることが必要だ。

なお、コロナ第三波襲来に備えるためには、第三波の新型コロナウイルスの遺伝子工学を使った遺伝子解析が欠かせない。この点については、後ほど投稿したい。



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