2019年4月21日
  • 新自由主義と共産主義を超克しよう!

アベノミクス(アベクロノミクス)の破綻(その06)―危険な量的金融緩和2(QE2)

日経平均が先週は1万5000円台をキープして引けたが、これは市場が黒田東彦総裁・岩田規久男副総裁の黒岩日銀による第2次量的金融緩和(QE2)を期待しているからだ。しかし、黒岩日銀による第1次量的金融緩和がそもそも異常なものだったから、その追加をするなどのことは常軌を逸している。もともと、「アベノミクスは世界経済のリスク要因」(ブランシャールIMF調査局長、朝日新聞2013年7月10日)だったから、世界的な金融緩和競争を加速し、バブルの巨大化とその崩壊を導くだけだ。

ここにきて、黒岩日銀による追加QE2が取り沙汰されているのは、来年の平成27年10月の消費税率引き上げを正当化するためだ。すなわち、安倍晋三政権は、QE2によって株高を演出➤景気改善の加速➤消費税率再引き上げの正当化、という図式を目論んでいるのである。

しかし、一昨年秋からの日経平均の上昇は、基本的に米国のQE1/2/3の縮小による日米金利差の拡大➤円安・ドル高➤輸出依存の景気回復という図式によるものである。円安と株高に大きな相関関係があった(ただし、成熟純債権大国になった日本が、円安によって景気が回復するなどのことはあり得ない。内需拡大こそが景気回復、経済成長を実現する唯一の道であり、円安はその足を引っ張る)。そこで、重要なのは日米金利差の拡大であるが、米国では景気の足腰が強くならず、QE1/2/3の出口は見えない。下図のように長期金利(米国10年物国債金利)は景気回復、改善に伴って上昇しているというよりも、景気のもたつきでむしろ低下している。

longrate02

一方、日本の長期金利(10年物国債金利)はQE2観測の台頭にもかかわらず、下図のように上昇気味だ。

longrate01

円安の加速などということはあり得ない。従って、日経平均が昨年の大納会の掉尾の一振後、調整局面に陥っているという状況に変化はない。日経平均はむしろ3月31日に、13週移動平均値が26週移動平均値を下回るデッドクロスを形成した。デッドクロスは一般的に、日経平均の下落が本格化するシグナルである。要注意だ。

アベノミクス(アベクロノミクス)は、①マネタリーベース(市場に出回っている現金+金融機関の日銀への当座預金の残高)を2年で2倍にする異次元の金融緩和を行う②異次元の金融緩和で消費者物価を2年で2%上昇させる―というものだが、これは不可能である。日本財政金融研究所長の菊池英博氏の「そして、日本の富は略奪される」(ダイヤモンド社刊)によれば、2012年末でマネタリーベースの国際比較(対GDP比)を行うと、日本は27.9%、米国18.3%、ユーロ圏17.7%、英国21.8%であって、日本の金融緩和の度合いが最も高い。それなのに、異次元金融緩和をさらに進めれば、マネタリーベースの対GDP比率は2013年末に39%、2014年末に51.4%と異常な「金融緩和」状態になる。

また、マネタリーベースを増やしても、実体経済に回る(設備投資や消費に使われる)マネーサプライが増えるわけではない。リーマンショックからQE1/2/3によって350%もマネタリーベースを増やした米国が、マネーサプライ(2008年9月=100)では99と減少している。なお、英国85,ユーロ圏101、日本104となっており、量的金融緩和では景気は良くならないことは既に証明されている。

菊池氏は、ベン・バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長の辞任は、超金融緩和政策を取っても「実体経済に循環しているマネーサプライはむしろ減少して経済が回復しておらず、さらに超金融緩和政策では出口政策が難しく、かえってマイナスのほうが大きいことを認識したことが、辞任の実質的な原因であろう」(213頁)としている。ただし、サイト管理者はにっちもさっちも行かなくなって、逃げ出したのではないかと推察する。

黒岩日銀+浜田宏一氏らはもっと悪質である。外資(国際金融資本)に株を高値で売り抜けさせるように画策しているものと思われる。いずれにしても、バブルを大きくし、破裂させるだけである。

stagflation

さらに、円安による産業必需品、生活必需品の価格上昇で、庶民の賃金(給与)は上がらないのに消費者物価は上がるという悪い物価上昇が始まっている。バブルの崩壊、アベノミクス(アベクロノミクス)によるスタグフレーションの加速は必至だ。逆に言えば、危険なQE2を市場に連想させるしか手がなくなったのが、アベノミクス(アベクロノミクス)の実情である。

【補遺】厚生労働省による賃金のデータ(全国平均)
①2014年2月の所定内給与は、前年同月比0.3%減の240,097円となった。所定外給与は3.4%増加し、きまって支給する給与は前年と同水準の259,413円となった。現金給与総額は、前年同月と同水準の262,308円となった。実質賃金は、1.9%減となった。
②2013年の平均月間現金給与総額は、前年と同水準の314,054円となった。現金給与総額のうち、きまって支給する給与は0.5%減の260,353円、所定内給与は0.6%減の241,250円、所定外給与は1.8%増の19,103円、特別に支払われた給与は2.1%増の53,701円となった。実質賃金は、前年比0.5%減となった。
※最も重要なのは、「所定内給与」である。残業代とボーナスは景気動向により調整が早い。実質賃金の減少と消費税増税による消費と投資の減少の相乗効果で、スタグフレーションが本格化する。これに、マネーゲームによるバブルの崩壊が加わることに警戒が必要である。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください