2019年2月21日
  • 新自由主義と共産主義を超克しよう!

日本国の真の独立への方策を示す力作―加藤典洋著「戦後入門」

謹んで新春のお慶びを申し上げます。本サイトを閲覧してくださる皆様方の新年のますますのご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。サイト管理者も日本国の再生のために微力を尽くしてまいりたいと存じます。さて、本年は7月の参院選もしくは衆参同日選を中心に、「対米従属の完成(実質、米国の植民地化)」か「日本国の真の独立と世界平和への貢献」かをめぐり、内外ともに保守反動勢力と真の革新、共生共栄勢力の激しい戦いになろう。そんな矢先に、文芸評論家で早稲田大学名誉教授の加藤典洋氏から力作「戦後入門」が公刊された。

サイト管理者は本著を東京新聞日曜版に掲載されたインタビュー形式の書評で知った。ちくま新書から発刊されたが、あとがきも含め総頁数635頁の大作である。原稿用紙にして千二百枚のものを三分の二に縮小したものだとのことだが、日本の真の独立の方策を現行憲法の国民主権・基本的人権の尊重・平和主義をさらに発展させかつ、安全保障問題にも「解」を示したリベラル派(護憲派)の「憲法9条改正論」として具体的に提示しているところが本書のヘソであり、賛同したい。その具体的な内容は最後に引用するが、サイト管理者の観点から結論への道をすこしばかり述べてみる。

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日本の敗戦はポツダム宣言受諾で決定した。このポツダム宣言受諾は1945年7月26日に「(戦勝)連合国(United Nations)」によって示されたものだが、素直に読めば、日本は同宣言受諾(8月14日)によって無条件降伏したのではない。下記に引用する。

【1945年9月2日・日本側全権大使・重光葵、戦艦ミズーリ号でのポツダム宣言受諾】

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  1. 我々(合衆国大統領、中華民国政府主席、及び英国総理大臣)は、我々の数億の国民を代表し協議の上、日本国に対し戦争を終結する機会を与えることで一致した。
  2. 3ヶ国の軍隊は増強を受け、日本に最後の打撃を加える用意を既に整えた。この軍事力は、日本国の抵抗が止まるまで、同国に対する戦争を遂行する一切の連合国の決意により支持され且つ鼓舞される。
  3. 世界の自由な人民に支持されたこの軍事力行使は、ナチス・ドイツに対して適用された場合にドイツドイツ軍に完全に破壊をもたらしたことが示すように、日本と日本軍が完全に壊滅することを意味する。

  4. 日本が、無分別な打算により自国を滅亡の淵に追い詰めた軍国主義者の指導を引き続き受けるか、それとも理性の道を歩むかを選ぶべき時が到来したのだ。
  5. 我々の条件は以下の条文で示すとおりであり、これについては譲歩せず、我々がここから外れることも又ない。執行の遅れは認めない。
  6. 日本国民を欺いて世界征服に乗り出す過ちを犯させた勢力を永久に除去する。無責任な軍国主義が世界から駆逐されるまでは、平和安全正義の新秩序も現れ得ないからである。
  7. 第6条の新秩序が確立され、戦争能力が失われたことが確認される時までは、我々の指示する基本的目的の達成を確保するため、日本国領域内の諸地点は占領されるべきものとする。

  8. .カイロ宣言の条項は履行されるべきであり、又日本国の主権は本州北海道九州及び四国ならびに我々の決定する諸小島に限られなければならない。

  9. 日本軍は武装解除された後、各自の家庭に帰り平和・生産的に生活出来る機会を与えられる。
  10. 我々の意志は日本人を民族として奴隷化しまた日本国民を滅亡させようとするものではないが、日本における捕虜虐待を含む一切の戦争犯罪人は処罰されるべきである。日本政府は日本国国民における民主主義的傾向の復活を強化し、これを妨げるあらゆる障碍は排除するべきであり、言論宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は確立されるべきである。
  11. .日本は経済復興し、課された賠償の義務を履行するための生産手段、戦争再軍備に関わらないものが保有出来る。また将来的には国際貿易に復帰が許可される。

  12. 日本国国民が自由に表明した意志による平和的傾向の責任ある政府の樹立を求める。この項目並びにすでに記載した条件が達成された場合に占領軍は撤退するべきである。
  13. 我々は日本政府が全日本軍の即時無条件降伏を宣言し、またその行動について日本政府が十分に保障することを求める。これ以外の選択肢は迅速且つ完全なる壊滅があるのみである。

ここに明らかなように、連合国は日本に対して「降伏の条件」を定めていること、また、無条件降伏は「全日本軍」つまり旧日本軍の陸海空軍に求められていることからすると、このポツダム宣言は日本国政府および国民に対して「無条件降伏」を求めたものではない。かつ、第12条に明記されているように、国民主権のもとで選ばれた民主主義的な政府が樹立されれば、「占領軍は撤退するべきである」と記している。著者によれば、日本の無条件降伏を否定したのは戦後きっての文芸評論家・江藤淳である。

【生前の江藤淳】

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しかし、「占領軍」は「米軍」に形を変え、冷戦が集結した1990年初頭以降、30年近く居座っており、さらに米国は日本の自衛隊を米軍の傘下に置いて、「集団的自衛権」を発動させることにした。これは、連合国を統率した米国のポツダム宣言違反である。どうして、こうした事態に陥ったのか。

これについては、その理由については、東西冷戦の勃発(ウィンストン・チャーチルの「鉄のカーテン演説」=1946年3月=を経て47年3月、フランクリン・ルーズベルトの急逝後、合衆国大統領に就任したハリー・トルーマンのトルーマン・ドクトリンとして結実)という事情があったが、時期的にはなお、まだ早い。それにもまして著者が重視するのが、「原子爆弾投下」への批判を許さないためであったことだ。

本著216頁によると、トルーマンが原爆投下の正当性について、①ドイツに核兵器を製造させないため②戦争を早く集結させるため③日本の本土決戦に至った場合、失われるであろう何千何万もの米国人青年を救うため―などを挙げている。しかし、これについて著者は、

「一九四四年の後半の時点で、ドイツが原爆開発に失敗したことが米国に知られていました。(中略)また四五年四月十二日には、連合国が、使用可能なウランをすべてドイツから押収していました。この時点でドイツの原爆製造の可能性が『完全に取り除かれた』ことを計画の責任者グローヴス准将は熟知していました」

「また、第二の釈明について、背景を言えば、原爆を用いなくとも日本は遠からず降伏するという見通しが原爆投下時には明らかでした。日本はポツダム会議の直前、四五年六月から、ソ連を仲介に連合国との講話を模索していました。そのことを米国は海軍諜報部の暗号解読によって、またスターリンの口から伝えられ、知っていました。さらに、原爆実験成功の前日、スターリンはトルーマンに対日宣戦布告を約束しており、ソ連の参戦は、時間の問題でした」

「ほかにも、たとえば『原爆と第二次世界大戦の集結』の著者ハーバート ・ファイスが、この問題に対する最も信頼にたる答えの一つとして、米国戦略爆撃調査団が一九四五年に到達した結論をあげています。それは、『絶対確実なところ一九四五年一二月三一日以前に、そしてまず間違いなく一九四五年一一月以前に』、『原爆が投下されなくても』、『ロシアが参戦しなくとも』、『上陸侵攻の計画・企画がなされなくとも』、日本は『降伏するだろう』と評価するものでした」

ということで、米国による広島、長崎の軍事施設ではなく都市部への原爆投下及び日本の中核都市への無差別爆撃は、要するに「戦争犯罪」なのである。これを糊塗し、とくに原爆投下に対する一切の批判を許さないため、「連合国」が開示した「ポツダム宣言」を改ざんしたのが米国である、サイト管理者は本著からそう読み取る。その理由としては、核兵器の独占で戦後の米国の支配体制を強化することが挙げられる。連合国憲章(日本訳では国際連合憲章)からの決定的な逸脱である。

この下りについては、本著の239頁以下の「いつ『無条件降伏』に変わったのか―トルーマン大統領令」以下に詳しい。具体的には、ダグラス・マッカーサーが厚木に到着した一九四五年八月三〇日の七日後に当たる九月六日、トルーマン大統領はマッカーサー宛に無条件降伏への転換を支持する大統領令を届けるのである。その内容は、下記の通り。

  1. 天皇および日本政府の権限はマックアーサー元帥の支配下におかれる。連合国と日本との関係は契約的基礎の上にあるのではなく日本は連合国に対して無条件降伏を行ったのである。マックアーサー元帥の権威は日本に対して至上のものであるからマックアーサー元帥の権威に対する日本人の質問をゆるしてはならない。
  2. 日本の管理はマックアーサー元帥が速やかにその意図を実行し必要とあらば武力を行使する権利を傷つけずに良好なる結果を生ずる場合にのみ日本政府によって行われるであろう。
  3. 対日戦後処理問題に関するポツダム宣言は契約上の要求にもとづいてなされたものではなく

    本件に関して、外交評論家の天木直人氏のブログを紹介する。

    米国に切り捨てられて終わる安倍支持の極右・保守たち
    http://new-party-9.net/archives/3181
    2016年1月3日 天木直人のブログ 新党憲法9条

    「日本および極東の平和ならびに安全に対して誠意ある政策を実施せんとする」意図の下に発せられたのである。

このトルーマン大統領の性格について著者は、「米国は、この移行期に乗じて連合国の同盟諸国に隠して、日本を自分だけの保護国にしようとしていたことになります」と見抜いている。なお、余談だが、著者の指摘によると、朝日新聞が1945年9月18日に発行停止処分(発禁処分)を命じられた理由について著者は、朝日が9月15日付で原爆投下と無差別中核市空襲を指弾した鳩山一郎(鳩山友紀夫元首相の祖父)の談話を掲載したことを指摘している。

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「”正義は力なり”を標榜する米国である以上、原子爆弾の使用や無辜の国民殺傷(注意:B29による東京大空襲を始めとした全国主要都市の民間人大虐殺のこと)が病院船攻撃や毒ガス使用以上の国際法違反、戦争犯罪であることを否むことは出来ぬであらう。極力米人をして罹災地の惨状を視察せしめ、彼ら自身彼らの行為に対

本件に関して、外交評論家の天木直人氏のブログを紹介する。

米国に切り捨てられて終わる安倍支持の極右・保守たち
http://new-party-9.net/archives/3181
2016年1月3日 天木直人のブログ 新党憲法9条

する報償の念と復興の責任とを自覚せしむること(中略)に努力の基礎を置き、あくまでも彼をして日本の復興に積極的協力を行はしむるごとくを致さねばならぬ」これらの発言が米国、GHQの気に入らなかったので、鳩山は首相になる直前、巣鴨の刑務所送りになった。

それは、さておきトルーマン大統領令の結果として、サイト管理者の見立てでは、米国➤GHQは日本国の憲法制定権を持つようになる。これが、現行日本国憲法が「押し付け憲法」として日本会議など「右翼反動勢力」によって批判される要になっていることは否定しがたい。ただし、現行憲法(特に、第9条)の制定過程・理念には特異な事情がある。

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