第二回目の米露首脳会談、ウクライナ戦争終決への道筋協議へー「紛争の根本原因」を確認、その「除去」が最終目的(追記:トランプ氏、トマホーク供与拒否)

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8月15日に米国アラスカ州のアンカレッジで持たれた第一回米露首脳会談に続き、第二回目の米露首脳会談がトランプ大統領の提案で、ハンガリーの首都・ブダペストで開催されることになった。本サイトはトランプ政権とプーチン政権が水面下でウクライナ戦争を終結させる条件について協議しているとの見方を取っているが、プーチン大統領は、その条件として「紛争の根本原因を除去すること」という主張を変えていない。「紛争の根本原因」とは、①ソ連(当時)に嘘をついて行った欧米諸国の北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大②ウクライナ政権のNATOへの加盟の動き③米国のバイデン副大統領とウクライナのネオナチ勢力が結託して、2014年2月にマイダン暴力クーデターで政権を掌握、ロシア系ウクライナ人を大弾圧したことーを指す。また、戦争終結つまり終戦は、太平洋戦争終戦後の日本の処理を見ても分かるように、軍事的な戦況に左右されるというのが国際常識である。ロシアは住民投票でルガンスク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソン州4州を併合することにしたが、その国際的承認も譲れないところだろう。ロシア軍は東部ドンバス地方の最大の要衝であるポクロフスクを包囲しており、ウクライナの工業地帯であり、ロシア系ウクライナ国民が圧倒的に多い東部ドンバス地方をほぼ手中に収めている。キエフ政権へのトマホーク供与は、戦争の「ゲーム・チェンジャー」にはならないが、戦争終結の仲介役の米国がウクライナを軍事的に支援するということになるから、これは第三次世界大戦につながり、危険が大きすぎて不可能だ。今、大きく進展しつつある文明の多極化の中で、ロシアはユーラシア大陸の雄としての地位を確保するつもりだ。トランプ大統領も南北米州を拠点に、文明の多極化を推進しており、プーチン大統領の要求を認める方向での第二回目の米露首脳会談になるだろう。

ハンガリーの首都・ブダペストでの第二回米露首脳会談の意義

トルコのアンカレッジで第二回目の米露首脳会談が行われるというニュースは、10月17日未明にロイター通信社などの通信社が報道、その内容を各国のオールドメディアが相次いで報道した。第二回目の米露首脳会談の前に来週、ルビオ国務相やラブロフ外相を中心とする外相級の事前協議が行われる(https://jp.reuters.com/world/ukraine/5II5XL7TZJOBJCGOLEF4NU5NBM-2025-10-16/)。

ルビオ米国務長官とロシアのラブロフ外相は、開催が予定される米ロ首脳会談の準備に向け、近日中(注:来週)に協議を行うことが分かった。ロシアのウシャコフ大統領補佐官が16日、明らかにした。ウシャコフ氏は、会談の時期は準備作業の進捗状況次第だと言及。ハンガリーの首都ブダペストでの首脳会談開催については、トランプ氏が提案し、プーチン大統領が即座に同意したと述べた。また、ウクライナ戦争が終結すれば、米ロ間の経済協力に大きな可能性があるとトランプ氏が述べたことも明らかにした。

なお、米露間の経済協力とは、現在はベルギー領となっているグリーランド島を含むロシア東部からなる北極圏での、豊富に埋蔵されている石油・天然ガスはもちろん、ITやAI産業に不可欠なレアアースを含むレアメタルなどの天然資源を米露両国の政府・企業が共同で開発することであり、その実現は米露両国の経済発展に死活的な役割を果たす。外相級の事前協議でウクライナ戦争終決に必要な内容がまとまれば、ハンガリーのブダペストで米露首脳会談が行われる。ハンガリーのオルバン首相は、このところウクライナ支援積極派(注:現在は口先だけになってしまっている)と消極派に分裂してきているNATO加盟諸国では、親米(トランプ大統領)親露(プーチン大統領)派のリーダー国(https://jp.reuters.com/world/ukraine/XG3CBSP4NRP6FOGXG53U7ZHEBI-2025-10-17/)の首相である。

ハンガリーのオルバン首相は17日、ロシアのプーチン大統領と同日中に会談すると発表した。トランプ米大統領は16日、ハンガリーの首都ブダペストでプーチン氏と会談する意向を示し、ウクライナでの戦争終結について協議すると明らかにした。オルバン首相は国営ラジオの番組で、今回の会談は「平和に関するもの」だと説明し、和平合意が成立すればハンガリーと欧州の経済発展は新たな段階に入るとの見通しを示した。

来週予定されている米ロ外相会談で懸案が解決されれば、2週間以内に首脳会談が開催される可能性があると語った。また、欧州はロシアに対して独自の外交チャンネルを開くべきだと主張し、欧州連合(EU)はウクライナ問題で「戦争支持」の姿勢を取っていると改めて批判した。

ブダペストでの第二回米露首脳会談について、ロイター通信は次のように報道している。

トランプ米大統領は16日、ロシアのプーチン大統領とハンガリーの首都ブダペストで会談し、ウクライナの紛争終結について協議すると述べた。自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。トランプ氏はその後記者団に対し、「プーチン大統領と2週間以内にも会談することになるだろう」と語った。さらに「私は生涯を通じて取引を行ってきた」とし、「今回も、できればすぐに成立するだろう」と述べた。

トランプ氏はこの日、ウクライナのゼレンスキー大統領との会談を17日に控える中、プーチン大統領と電話会談を行った。会談後、トゥルース・ソーシャルに「今日の電話会談で大きな進展があった」と確信していると投稿した。会談は2時間以上に及んだという。17日にホワイトハウスで行われるゼレンスキー氏との会談では、ロシアとの戦闘に絡み、ウクライナが必要としている巡航ミサイル「トマホーク」の供与について協議が行われる可能性があるとされていた。米ロ首脳電話会談後の前向きな雰囲気は、近い将来にそのような支援が実現する可能性に疑問を投げかけた。

この報道によれば、トランプ大統領とプーチン大統領の電話会談で、トランプ大統領は「今日の電話会談で大きな進展があった」と革新しているという。プーチン大統領は戦争終結の条件として、「紛争の根本原因の除去」という考えを変えていない。また、オレーシュニクやキンジャールなどの超音速中距離ミサイルや電子戦の性能を強化した軍事ドローンの開発と大量生産に成功し、ウクライナの制空権を抜本的に破壊し、軍事施設や冬を控えての電力供給施設の徹底的な破壊、ポクロウスクなどウクライナの工業地帯である東部ドンバス地方の軍事要衝を包囲し、ウクライナ軍の孤立化を進めるなど、戦況でも圧倒的に優位に立っている。

ウクライナ各州の地図

これについては、Youtubeチャンネル「外交の真実」の「ロシア軍、ドンバス包囲網を完成へ、ウクライナ軍撤退と欧米の限界が鮮明に=https://www.youtube.com/watch?v=Up8m3GCLUYQ&t=55s=」が詳しい。これらのことから、多極化を進めたいトランプ大統領としてもプーチン大統領の真意を改めて確認せざるを得ないだろう。また、GoogleのAI検索でも次のように紹介している。既に述べたように、Youtube・チャンネル「外交の真実」は、上図の5要衝について、ウクライナ軍は総司令官のオレクサンドル・シルスキー総司令官から、兵士の生命よりも要衝の死守を守るように指示を受けているが、その結果としてポクロウシクを始め5要衝はロシア軍から包囲され、孤立するか投稿を余儀なくされているとしている。

ポクロウシクの戦況は、ロシア軍がこの地域を制圧するために激しい攻撃を続けている状況です。ウクライナ軍は激しい抵抗を続けていますが、ロシア軍は砲撃や攻勢を強めており、戦況は非常に厳しいものとなっています。この戦いにおける正確な状況を把握するには、継続的な情報収集が必要です。
①ロシア軍の攻勢:ロシア軍は、ポクロウシクを制圧するために砲撃を強化し、攻勢を強めています。
②ウクライナ軍の抵抗:ウクライナ軍は激しい抵抗を続けています。
③戦況の厳しさ:双方の交戦が激しく、戦況は非常に厳しい状況が続いています。

軍事ブログの航空万能論は10月13日で「一進一退」としている(https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/the-battle-for-pokrovsk-has-gone-back-and-forth-with-russians-also-noting-the-high-sacrifices-required-to-advance/)が、10日付けでは「ロシア軍がエネルギーインフラを大規模攻撃、ウクライナは広範囲な電力制限を導入」として、ロシア軍が冬の到来を踏まえ、エネルギーインフラをミサイルと軍事ドローンで猛攻撃していると伝えている(https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/russia-launches-massive-attack-on-energy-infrastructure-ukraine-imposes-widespread-power-restrictions/)。

ロシア軍は(現地時間の)9日夜からウクライナのエネルギーインフラを大規模に攻撃、ロシア人ミルブロガーは「キーウ第6熱電併給発電所、カニウ水力発電所、クレメンチュグ水力発電所、クリヴォリシュカ火力発電所、プリドニプロフスカ火力発電所など計10ヶ所のエネルギーインフラを攻撃した」と報告した。

また、反トランプ系のForbes誌は、ロシアが軍事ドローンの改良と大量生産に成功し、ウクライナの防空網に試練を与えていると報道している(https://forbesjapan.com/articles/detail/83322https://forbesjapan.com/articles/detail/78970)。

=Forbes誌より

10月2日から3日の夜に行われた大規模な攻撃は、ウクライナの防空網を突破するドローンとミサイルを増やすため、ロシアが戦術と技術を改良したことを示している。ロシア軍はこの夜、過去数カ月で最大級の調整攻撃をウクライナに対して実施した。ウクライナ空軍の発表によると、ロシアのクルスク、ブリャンスク、オリョール、ロストフ、スモレンスク各州やクラスノダール地方といった方面から、ドローン381機、イスカンデル-M/KN-23弾道ミサイル7発、イスカンデル-K巡航ミサイル21発、Kh-59/69空中発射巡航ミサイル7発が飛来した。

ウクライナ空軍はこのうち、ドローンを303機、イスカンデル-Kを12発、Kh-59/69を5発、撃墜・制圧したと報告している。しかし、残りのドローン78機とイスカンデル-M全7発を含むミサイル18発はウクライナ各地の15目標に命中した(注:大本営発表だから、真実は不明)。(ウクライナ北東部の)ハルキウ、ポルタバ両州の施設が狙われたほか、スーミ、ドニプロペトロウシク、オデーサ、キーウ各州も影響を受けた。この攻撃は、冬を前にウクライナのエネルギー供給網を麻痺させる広範な計画の一環で、重要なエネルギーインフラを狙ったとみられる。ロシアはかねてドローンとミサイルを組み合わせた一斉攻撃を行ってきたが、最近の攻撃は、ほとんどがドローンでミサイルは数発という構成のものが大半を占める。

この勢いだと、ロシア軍はロシアを水源とし、ロシアの友好国ベラルーシを経てウクライナを東西に分けてウクライナ最大の港湾都市・オデッサから黒海に流れ込むドニエプル川の東部を制圧する公算が大きい。なお、「外交の真実」によるとロシアはオデッサの制圧にも乗り出すことを公言している。実現すれば、黒海はロシアが制海権を握ることになり、ウクライナは内陸国家にしかならず、外貨獲得のための本来は豊富な農産物は海路では輸出できなくなる。こうした戦況の極端な悪化から、ウクライナではゼレンスキー氏率いるキエフ政権と前ウクライナ軍総司令官のヴァレリー・フェードロヴィチ・ザルジニー氏ら軍人勢力の内紛が進行している。トランプ大統領とその政権がウクライナのこうした軍事・政治・社会情勢を知らないはずがない。

ウクライナを東西に分断するドニエプル川=Wikipedia

さて、トランプ大統領とゼレンスキー氏との会談は日本時間の17日深夜から未明にかけて行われる(https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10014952091000)。

アメリカのトランプ大統領は17日、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談し、長距離攻撃が可能な巡航ミサイル「トマホーク」を供与するかどうか協議するとみられます。これに先立ち、ロシアのプーチン大統領はトランプ大統領との電話会談で、トマホークの供与は、両国の関係に重大な損害を及ぼすとけん制していて、トランプ大統領がどのような判断を示すのかが焦点となります。

アメリカのトランプ大統領はロシアが反対する中、ウクライナに対して、ロシア領内への長距離攻撃が可能な巡航ミサイル「トマホーク」を供与するかどうかについて検討を進めています。こうした中、トランプ大統領は16日、ロシアのプーチン大統領と電話で会談しました。ロシア大統領府によりますと、会談でプーチン大統領は、トマホークの供与について「戦況を変えるものではないが、両国の関係には重大な損害を及ぼす」と述べてけん制しました。一方、トランプ大統領は会談後、記者団に対し「トマホークはアメリカにとっても必要だ。われわれは多く持っているが、アメリカのためには枯渇させるわけにはいかない」などと述べました。

なお、ウクライナのゼレンスキー氏は、第二回米露首脳会談が実現される予定に驚いたようだ(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR17A0J0X11C25A0000000/)。

ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、トランプ米大統領とホワイトハウスで会談する。米国の巡航ミサイル「トマホーク」の供与や防空強化の支援などを求める方針だ。16日にトランプ氏とロシアのプーチン大統領が首脳会談の開催で合意し、ゼレンスキー氏は戦略の練り直しを迫られかねない。

トマホークをウクライナに供与するとしても、①トマホークは戦艦や原子力潜水艦に搭載して発射するものであり、地上型の最新鋭トマホークを(欧州を通じて)供与するにはトマホーク発射基地を新たに構築せねばならず、少なくとも年内は無理で、来年になるため、窮地に陥っているキエフ政権にとって「ゲームチェンジャー」にはならない②トランプ政権が財政赤字肥大化を防ぐための歳出削減に応じないリベラル左派の民主党を徹底的に潰すために政府機関を閉鎖しているため、米国の経済情勢が不明だが、国際情勢解説者の田中宇氏によるとサブプライムローン危機が再燃している模様であり、トランプ政権のAIを基盤とした第三次産業革命が勃興する前の現在は、経済的にはスタグフレーションに陥っていると考えられ、金融面ではバブルが崩壊する状況にある③英仏独を中心とした欧州リベラル全体主義官僚独裁政権もウクライナに対する軍事的・経済的支援で財政的に厳しくなっており、右派民衆勢力が国民の支持を得て急速に勢力を拡大、政権を獲得する展開になりつつあり、ウクライナのキエフ政権に対する支援を継続するわけには行かない状況に陥っている④ロシアの強い要請に従わなければ、第三次世界大戦の端緒になりかねないーなどの深刻な問題がある。

Youtubeチャンネル「ニキータ伝〜ロシアの手ほどき」を公開しているロシア在住28年の日本人実業家で、ロシアからウクライナについての情報を発信しているニキータ氏によると、「トマホーク」供与話は、トランプ大統領が置かれている内外の政治情勢からの「リープサービス(口約束のみ)」だとしているが、そんなところだろう(https://www.youtube.com/live/66c0BJkoruk)。

【追記:10月18日午前7時】現地時間で17日行われた米宇首脳会談で、トランプ大統領はゼレンスキー氏が求めていたトマホークの供与(https://www.jiji.com/jc/article?k=2025101600772&g=int#goog_rewarded)について、「慎重な姿勢」を示し、事実上拒否した(https://www.afpbb.com/articles/-/3604048)。

トマホーク=Wikipediaより

ドナルド・トランプ米大統領は17日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談し、米国の巡航ミサイル「トマホーク」をウクライナに供与することに慎重な姿勢を示した。トランプ氏は「トマホークのことを考えずに戦争を終わらせることができることを願っている」と語り、供与はロシアのウクライナ侵攻を「エスカレーション」させる危険性があると述べた。会談後、ゼレンスキー氏は記者団に対し、長距離兵器について話し合ったことを明らかにしたが、「米国がエスカレーションを望んでいない」として、詳細について発表しないと述べた。

また、NHKも18日午前6時55分、「トランプ大統領 ウクライナへのトマホーク供与に慎重姿勢」と題した続報を公開し、トランプ大統領がトマホークのウクライナへの供与について事実上、拒否したことを報道した(https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10014952561000)。

17日、トランプ大統領との会談を終えて会見したゼレンスキー大統領は、「私たちは、長距離兵器についての協議はしたが、それについての話はしない。アメリカは事態のエスカレーションを望んでいない」と述べ、トマホークの供与をめぐる協議の詳しい内容について言及を避けました。

なお、トランプ大統領は「インドのモディ首相がロシア産原油の輸入を禁止した」とする内容の発言を行った(https://www.bbc.com/japanese/articles/ckgkd9l0z9ko)が、これもウクライナを軍事経済面で支援してきた英仏独など欧州リベラル全体主義官僚独裁政権とキエフ政権に対するリップサービスで、実際はインドはロシアと経済・軍事面での協力関係を強化する方針だ(https://www.bbc.com/japanese/articles/cp85x57xgkyo)。モディ首相(下図)は農民層を中心とした国民から支持を得ており、エネルギー価格の上昇は支持層に大きな経済的・社会的打撃を与えるため、トランプ大統領の提案には応じない姿勢を堅持し、BRICSの指導国として発展することを国益としている。

=https://www.thestatesman.com/india/from-an-ordinary-man-to-vikas-purush-narendra-modis-inspirational-journey-1503111918.html

インドの外務省は16日、ナレンドラ・モディ首相がロシア産原油の購入を停止することに同意したと、アメリカのドナルド・トランプ大統領が主張した電話会談について、「把握していない」と述べた。トランプ氏は15日、モディ氏がロシア産原油の輸入を終了すると「きょう私に保証した」と語った。アメリカは、ウクライナでの戦争を終結させるため、ロシアに対する経済的圧力を強めようとしている。

しかし、16日にこの電話について質問されたインド政府の報道官は、トランプ氏の説明に疑問を呈し、「両首脳の間で15日に会話があったとは把握していない」と述べた。インド政府はこれに先立ち、ロシア産原油の購入に関してアメリカとの協議が「継続中」だと説明していた。

サイト管理者(筆者)としては、これから厳冬の中で苦しむウクライナ国民のためにも、ブダペストで開催される第二回米露首脳会談の実現とその成功を望んでいる。

米国の金融バブルの可能性と世界の多極化

国際情勢解説者の田中宇氏が17日に投稿・公開した「突然金融危機になるかも(https://tanakanews.com/251017loan.php、有料記事=https://tanakanews.com/intro.htm=)」のリード文は、「金融は絶好調に見える。だが水面下でサブプライムローンの破綻が広っている。株価は無視して高騰してきたが、いずれ破綻が無視できない規模になり、危機が表面化して暴落しうる。金融マスコミは危機の拡大を予測していない。だが、JPモルガンのダイモンは『ゴキブリを1匹見つけたら、他にもっといる』と、危機の拡大を示唆している」となっている。

国際政治学者の藤井厳喜氏が予測するように、トランプ政権が連邦政府が保有する国有地に埋蔵されている石油・天然ガス・レアアースを含む天然資源の開発で設立されるソブリン・ウェルス・ファンドを使った、①老朽化した社会インフラの抜本的な再構築②陸・空・宇宙(軍事衛星)からの米国防空システム「ゴールデン・ドーム」の構築を皮切りにしたAIを駆使した第三次産業革命による米国の産業活性化と経済発展に成功の兆しーが本格化してこない限り、トランプ政権が負の遺産であるバブル崩壊の懸念やスタグフレーションに見舞われるのは避けがたいことだろう。やはり、貴金属とりわけ金を使った新たな国際通貨システムの構築が必要に成る(https://www.youtube.com/watch?v=oA0DwfJ_dCg&t=173s)。

トランプ大統領が提示した次世代防空システム=世界日報

非米側のBRICSや上海協力機構では、金を使った新たな決済システムを構築中だ。これに関して、田中氏は次のように述べている。

インサイドマネーが危ないので、金融システムの外にあるアウトサイドマネー(現物の資源類)の頂点にある金地金を買うしかない(現物との紐付けが1対1でない可能性が大きい詐欺商品のETFでなく、現物)。インサイドマネー(紙切れ)の金融バブルが崩壊し、アウトサイドマネー(金銀や石油ガス穀物など)だけが価値の源泉になっていく。ここにつながる金融と資源類の画期的な分断は、2022年春のウクライナ開戦とともに、欧米日による強烈なロシア経済制裁、米国側と非米側の決定的な分割として始まった。ウクライナ戦争の本質

ウクライナ戦争(米国側と非米側の分断)がなかったら、これから(間もなくでないとしても、いずれ)起きる米国側の金融バブルによって、露中など非米側も崩壊していた。しかし、米諜報界がウクライナ戦争を起こしてくれたおかげで、これから米国側が金融崩壊しても、非米側は崩れない。米国側にいながら非米側の資産を買える唯一の方法が、金銀の現物を買うことだ。だから金相場が高騰している。露中は金地金のかたまりだ。プーチンが含み笑いしている。米欧との経済対決に負けない中露

このタイミングで、トランプとプーチンが間もなく再度会うという。しかも場所が欧州ハンガリーのブダペストだ。ハンガリーのオルバン首相は、欧州の数少ない親露指導者の筆頭で、自滅的なロシア敵視やリベラル全体主義を突っ走る間抜けなエリート支配の英仏独EUを堂々と批判し続けている。米露首脳会談の再開は、これから金融バブル崩壊とともに米覇権が崩壊し、隠れ多極派のトランプがロシア(や習近平)と協力しつつ多極型世界を作っていく流れを示しているTrump says he and Putin will hold second summit on Ukraine in Budapestリベラル世界体制の終わり

金地金の相場は1トロイオンス=4000ドルを突破して、さらに上昇の勢いだ(https://gold.mmc.co.jp/market/gold-price/)。田中氏によると「(注:藤井厳喜氏が予測するように、米国がAIを基盤とした第三次産業革命に成功しなければ)資源類(非米側)と金融バブル(米国側)の戦いは、いずれバブルが崩壊して資源類が勝つ。米覇権の崩壊は最終的に、ドルや米国債の価値下落と金地金の高騰として表出する。ドルや米国債の力は1985年以降、債券金融システムのバブル膨張によって水増しされており、膨張の手段が尽きるまでドルも債券も株式も高値が維持される。現在はまだこの状態だ」(https://tanakanews.com/251013gold.php、有料記事=https://tanakanews.com/intro.htm=)。

ウクライナ戦争は早く終結させ、米国の産業を再活性化させるとともに、世界各国の通貨に金を組み込んだ新たなブロックチェーン型の新たな国際決済システムを構築することが急務だ(https://www.ntt.com/bizon/glossary/j-h/block-chain.html)。

日本では、石破茂首相の次の総理大臣を決めるため、高市早苗新総裁の自民党(https://www.jimin.jp/)と吉村洋文代表の日本維新の会(https://o-ishin.jp/)との連立が進められているけれども(https://news.yahoo.co.jp/articles/5250b43155d15ec4719c1d534c8f27f84e9f01ce、スポーツ報知からの転載)、自民も維新も旧態依然の「反共右翼」主義ではなく、「隠れ多極派勢力」(田中氏)の米露中が展開している世界の多極化、文明の多極化に協力する新たな右派勢力に大転換することが必要だ。なお、連立を一方的に離脱した公明党は今後、総選挙で刺客を送られ、崩壊の危機に瀕するとの見方もある(https://www.youtube.com/watch?v=OUCCrw7V884)。

【追記:10月18日午前01時15分】自民党の高市早苗新総裁の首班指名が確実になった模様(https://www.asahi.com/articles/ASTBK3QQQTBKUTFK00PM.html)だ。

自民党の高市早苗総裁と日本維新の会の藤田文武共同代表は17日、国会内で連立政権を見据えた政策協議を行い、基本合意した。併せて維新は、主要野党との連携に向けた協議からの離脱を決定。21日召集の臨時国会における首相指名選挙で、高市氏の第104代首相への選出が確実な情勢となった。就任すれば憲政史上で初の女性首相となる。

 

 

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