ドイツ連邦議会(定数630議席)で5月6日に行われた首相選出選挙の第一回投票で、過半数を獲得して当選することが確実されていたドイツのキリスト教民主同盟(CDU)と地域政党のキリスト教社会同盟(CSU)のメルツ党首が、予想に反して過半数を獲得することができなかった。第二回投票では過半数を獲得できたメルツ新政権は、既にレームダック化していると思われる。これは、欧州を支配していたリベラル左派全体主義官僚独裁政権、欧州連合(EU)、勢力の衰退の顕在化を示すものだろう。これに対してロシアは、9日に行われた「対独ソ戦戦勝80周年記念式典」に中国の習近平国家主席を始め、ウクライナに対して2020年2月24日に「特別軍事作戦」を開始して以降、BRICS諸国を中心とした最多の数十カ国以上の首脳を招待し、BRICS強化をさらに推進することを改めて示した。
CDU・CSUは内部分裂を抱えながらSPDと連立政権をやっと発足、最初からレームダック化を露呈
第一回投票の投票結果について、オールド・メディアのBBCは次のように伝えている(https://www.bbc.com/japanese/articles/ckgxgd6yrppo)。
ドイツでは今年2月(23日)の総選挙でCDU(注:キリスト教民主同盟)・CSU(注:キリスト教社会同盟。バイエルン州に基盤を持つ地域政党)が勝利し、中道左派「社会民主党(SPD)」と4月に連立合意に達した。これにより、CDU党首のメルツ氏が次期首相となる見通しとなっていた。しかし、この日午前に連邦議会(定数630)であった1回目の投票では、メルツ氏は選出に必要な過半数に6票届かなかった。戦後のドイツで、1回目の投票で首相が選ばれなかったのは初めてで、同氏の威信は大きく傷つけられた。
連立を組む中道左派「社会民主党(SPD)」の票も合わせると328票となるため、メルツ氏は当初から、首相選出に十分な票を確保していたはずだった。しかし1回目の投票では、18人が造反したとみられる。投票は無記名で行われ、誰がメルツ氏を支持しなかったのかは明らかになっていない。議長によると、1回目の投票では議員630人のうち9人が投票せず、3人が棄権、1人の票が投票用紙ではない紙で投じられたため無効とされた。投票後、議会は数時間にわたって混乱したが、各党と議長が再投票の実施で合意した。
2回目の投票では、メルツ氏が半数より9票多い325票を得て、首相に選ばれた。
造反は取り敢えず18人出たが、まず、2月23日に投開票が行われたドイツ連邦議会選挙について述べておくと、選挙で大勝した(投票率ベース)のは、ドイツ連邦議会第二党に躍進した「ドイツ国民のための選択肢」(AfD)だ(https://www.youtube.com/watch?v=x_Lopz1EVT0)。
しかし、この「ドイツ国民のための選択肢」(AfD)を弾圧しているのが、保守等でありながら、リベラル左派に転じてしまったCDU・CSUとSPD(社会民主党だ)。まず、「極右」とされる政党「ドイツ国民のための選択肢」(AfD)は、ドイツの諜報機関「BfV」によって、過激極右政党」に指定された。このことは、同党のアリス・ワイデル党首を中心に、党員や同党に協力している国家・地方公務員に対して、裁判所の逮捕令状なしに逮捕されることになった。そして、メルツ首相は連邦議会選挙中には伝えていないロシアとの大戦争を始めることも明らかにし、選挙前は隠していた戦時国債発行のための国債発行上限額をさらに引き上げることを明言した。なお、これは必ずかつての第一次世界大戦後のドイツのように高インフレをもたらす。
これらについて、連立を組むドイツキリスト教社会同盟(CSU)の有力者、マルクス・ソーダー氏(バイエルン州首相を勤めた)もメルツ首相を批判している。また、米国のトランプ大統領やルビオ国務長官は「反民主主義的措置で、ドイツは独裁国家になった」と非難している(https://www.youtube.com/watch?v=bRg86XKCaa0&t=1065s)。右派民衆政権のトランプ政権と英独仏のリベラル左派全体主義官僚独裁政権(欧州連合=EU)との距離は、深まるばかりだ。
メルツ新首相は、連邦議会選挙前は戦時国債発行のための債務上限の引き上げには慎重な姿勢を取っていたが、やっとのことで首相になると、「軍事拡張でロシアと戦う」と公言し始めたという(https://www.youtube.com/watch?v=bRg86XKCaa0&t=822s)。「ドイツ国民のための選択肢」のワイデル党首は、「メルツ首相は選挙公約を守らない」独裁的な政治を行うと厳しく批判している。
こうしたことから、反トランプのオールド・メディアのウォール・ストリート・ジャーナルも、ドイツの深刻な分断を指摘し、メルツ新首相が早くもレームダック化することを示唆している(https://jp.wsj.com/articles/germanys-new-chancellor-limps-in-e3c3bb72)。
世界中で政治的混乱の度合いは増しており、長年安定していたドイツでさえも予想外の事態が相次いで起きている。6日の出来事は特に大きかった。ドイツ連邦議会でフリードリヒ・メルツ氏が首相に選出されるために2回目の投票が必要になったのだ。このことは、欧州最大の国であるドイツが依然、深刻な分断状態にあることを示している。
もっとも、トランプ政権はロシアとの戦争を行うための国債発行上限のさらなる切り上げは、「やるなら、早くやれ」とも達観しているようだ。これについては、国際情勢解説者の田中宇氏が、「続くウクライナの茶番劇(https://tanakanews.com/250502ukrain.htm、無料記事)」で、次のように指摘している。
トランプも「無意味なウクライナ戦争を早く終わらせたい」と言い続けている。しかし、終わらせられない。なぜなら、ゼレンスキーを支援してロシアを打ち負かすまで戦争を続けたい英仏独EUとカナダ(好戦派でトランプ敵視なカーニー新政権)がいるからだ(という演技)。トランプは「米国はウクライナを停戦して平和にしたいのに、英仏独EUカナダ(英国系の諸国)が好戦的で、ロシアを打ち負かすまで戦争すると言っている。だから停戦できない」と言い訳したい。そしてトランプは裏で、英仏独EUに対し「ウクライナをテコ入れするなら早くやってくれ。英仏がウクライナに派兵するなら、早くやれ。さもないと米露で停戦を進めてしまうぞ」とせっついている(せっつくために、トランプはNATOをやめていない)。(Signs Final Trump-Brokered Minerals Deal, Giving US Preferential Access To Resources)
ただし、「福祉国家」が売り物だった欧州の主要国・英独仏が、戦時体制に移行することは国民の猛反発を招き、不可能だろう。その意味では、ウクライナ戦争の終結が、協調してウクライナ戦争を終わらせようとしている米露の最近の両国の首脳らで明らかになってきている。まず、米国のバンス副大統領は、ブルームバーグの「ウクライナとロシアの和平合意、領土の譲歩が必要-バンス氏」と題する報道(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-23/SV5VDQDWX2PS00?srnd=cojp-v2-overseas)で、次のように述べているという。
米国はロシアとウクライナに対し、和平合意に向けた道筋に関する「極めて明確な提案」をしたとバンス米副大統領が述べた。「双方はいまや、米国の提案に同意するか、米国がこのプロセスから離脱するか決断すべき時だ」と続けた。バンス氏は23日、訪問先のインドでタージマハルを見学した後に記者団に対し、「現在の戦線か、それに近いどこかでこの戦争に新たな線が最終的に引かれることになると思う」と発言。それはウクライナとロシアの両国が、現在支配する一部地域を放棄する必要があることを意味すると語った。
また、ロイター通信の「ロシア、30日間停戦を支持 『ニュアンス』が考慮されれば=ペスコフ氏」と題する配信記事(https://jp.reuters.com/world/ukraine/CJPFA4DR4NI6DD5JOWXDTMIGQ4-2025-05-09/)で、次のように伝えている。
ロシア大統領府(クレムリン)のペスコフ報道官は9日、トランプ米大統領が8日に求めたロシアとウクライナに要求した30日間の無条件停戦について、停戦に関する「ニュアンス」が十分に考慮された場合のみ、支持すると述べた。 国営タス通信によると、ペスコフ報道官は「ウクライナ側から長らく提起されていた」が、トランプ政権の呼びかけを受け、「プーチン大統領はすぐに支持した」と述べた。ただ、「停戦という概念を巡る多くのニュアンスに対する回答が見つからなければ、詳細に議論するのは非常に難しいという留保付きだ」とした。 ロシアはこれまで、長期的な停戦には、停戦を監視・維持するためのメカニズムの構築にかかっているという認識を示している。
ペスコフ報道官の発言は、「停戦」は「終戦」につながらなければならないということであり、米国のバンス副大統領の「現在の戦線か、それに近いどこかでこの戦争に新たな線が最終的に引かれることになると思う」という発言も考慮すると、クリミア半島はもちろん、ドネツク、ルガンスク、ハリコフ、ザポリージャの4州の、ロシア系ウクライナ人を守るためのロシアへの併合が、米露で暗黙のうちに合意されているということだろう。ペスコフ報道官の「長期的な停戦には、停戦を監視・維持するためのメカニズムの構築」というのは、併合4州に米国(または、米露ウクライナ)の監視団を駐留させる意味とも受け取れる。
これらの発言は、田中氏の指摘する「トランプは裏で、英仏独EUに対し『ウクライナをテコ入れするなら早くやってくれ。英仏がウクライナに派兵するなら、早くやれ。さもないと米露で停戦を進めてしまうぞ』とせっついている」が成就することを示唆している。要するに、トランプ大統領のウクライナへの軍事支援を行わないという決定を含む多極化戦略が、功を奏してきたということだろう。英独仏やリベラル左派全体主義官僚独裁政権は、ドイツ(「ドイツ国民のための選択肢」)、フランス(「国民連合」)、ルーマニア(カリン・ジョルジェスク氏の大統領再選挙への再出馬禁止)など、国内外の「極右勢力」の弾圧を行っているが、終焉はそんなに遠くない。
実際、ルーマニアで行われた大統領選の再選挙では、「極右政党」がまたもや首位になり、与党・社会民主党のイオン=マルチェル・チョラク首相は5日、辞任を表明せざるを得なくなってしまった(https://www.bbc.com/japanese/articles/c78723935ydo)。
ルーマニアで4日、やり直しの大統領選挙の第1回投票が実施され、極右政党「ルーマニア人統一同盟(AUR)」を率いるジョルジェ・シミオン氏が40%超の得票率で首位となった。これを受け、与党・社会民主党のイオン=マルチェル・チョラク首相は5日、辞任を表明した。また、同党が親欧州の連立政権から離脱するとした。
辞任を表明せざるを得なくなったルーマニア首相=ロイター ルーマニア第一主義を公約に掲げる、欧州懐疑派のシミオン氏は4日、やり直しの大統領選挙の第1回投票で40.9%の票を獲得。18日の決選投票でも勝利が予想されている。決選投票では、第1回投票で社会民主党の候補を僅差で破った、リベラル派のブカレスト市長ニクショル・ダン氏と対決する。
英独仏やリベラル左派全体主義官僚独裁政権は、崩壊末期に来ている。
ロシア対独戦の戦勝80周年を機に、BRICS諸国の団結強化を一段と推進
これに対して、トランプ大統領・政権とともにリベラル左派勢力の一層に取り組むロシアは、ドイツが独ソ不可侵条約を破棄してソ連に侵攻、対ソ戦を開始したことに対抗して、当時のソ連はナチズムと戦う対独戦争を開始し、戦時体制を築き上げて勝利した。ソ連の後継だが、市場経済を導入したロシアは、その80周年記念に、ウクライナへの「特別軍事作戦」を開始して以降、中国の習近平国家主席など最大になる数十カ国の首脳を招き、BRICS諸国の団結強化を一段と推進している。
ロイター通信は、「ロシアで対独戦勝記念式典、プーチン氏は連合国の貢献に謝意示す」と題する配信記事で、次のように述べている(https://jp.reuters.com/world/ukraine/6FOLRZLBEVMPNLBYFVS76MBI4Y-2025-05-09/)。
ロシアは9日、第2次世界大戦における旧ソ連のナチスドイツに対する勝利から80周年を迎えた。ウクライナの攻撃を防ぐために厳重な警備が敷かれる中、モスクワでの式典には中国の習近平国家主席やブラジルのルラ大統領をはじめとする各国の指導者数十人が出席した。また、プーチン氏は習氏と並んで軍事パレードを観覧。パレードには中国軍も参加したほか、北朝鮮軍人の姿も観覧席で確認された。対独戦80周年記念=ロイター 赤の広場にはウクライナ戦を経験した1500人を含む1万1500人以上の兵士が整列。ウクライナ戦で使用されたドローンが初めて公開されたほか、核弾頭を搭載可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ヤルス」や戦車がパレードで披露された。 もっと見る プーチン氏は、第2次大戦勝利への連合国の貢献について、ロシアは常に記憶し感謝すると表明。レジスタンスや連合国軍、「中国の勇気ある人々」による勝利への貢献を高く評価すると述べた。ロシアはナチスドイツを打ち負かしたソ連の決定的な役割を過小評価しようとする試みを決して受け入れないとも語った。
NHKは次のように報道している(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250509/k10014800741000.html)。
ロシアでは9日、第2次世界大戦の「戦勝記念日」を迎え、首都モスクワでは中国の習近平国家主席など20か国以上の首脳が出席して記念の式典が行われました。演説したプーチン大統領は「国民全体が『特別軍事作戦』の参加者を支持している」と述べ、ウクライナへの侵攻を正当化しました。
ロシアでは5月9日は第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝利したことを祝う記念日で、80年の節目のことし、モスクワの赤の広場で開かれた記念の式典には中国の習近平国家主席をはじめ、南米ブラジルのルーラ大統領などあわせて20か国以上の首脳が出席しました。式典ではプーチン大統領が演説し「真実と正義はわれわれの側にある。国、社会、国民全体が『特別軍事作戦』の参加者を支持している。彼らの勇気と決意、それに常にわれわれに勝利をもたらしてきた彼らの強さを誇りに思う」と述べ、ウクライナ侵攻に参加する兵士たちをたたえるとともに侵攻を正当化しました。(中略)
【プーチン大統領発言】
「ロシア全体が『特別軍事作戦』の参加者を支持」
プーチン大統領は演説で「ロシア全体が『特別軍事作戦』の参加者を支持している。彼らの勇敢さを誇りに思う」と述べ、国を挙げてウクライナ侵攻を続ける姿勢を強調しました。「真実と正義はわれわれの側にある」
ロシアのプーチン大統領は演説で「ロシアはナチズムやロシア嫌い、反ユダヤ主義の支持者にとって不滅の障壁であり続ける」と述べるとともに「真実と正義はわれわれの側にある」と述べ、ウクライナへの侵攻を続けるロシアの正当性を訴えました。
NHKの報道記事を引用したように、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナへの「特別軍事作戦」(ウクライナ戦争)の狙いを、ウクライナ民族主義者組織(OUN)出身で反ソだが、一時、ナチス・ドイツに支援され、ナチスの影響を受けたことのあるステパン・パンドラ(参考:https://x.gd/pCE6t)を開祖とするウクライナ型のネオ・ナチ勢力(アゾフ大隊が代表的な組織。ゼレンスキー政権下でウクライナ軍に正式に編入され、特別扱いを受けている)との戦い(解体)と位置づけている。
なお、法務省の外局である公安調査庁は2021年まではアゾフ大隊をネオ・ナチ組織としていたが、ロシアが「特別軍事作戦」に踏み切った2022年以降、当時の岸田文雄政権がウクライナを経済的・軍事的に支援し続けたことから、アゾフ大隊をネオ・ナチ組織とした従来の見解を否定した(https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000251401.html)。岸田政権が従来の自民党政権と同様、自ら進んでバイデン政権の傘下に入ったことが原因だろう。日本のオールド・メディアやロシアとウクライナに詳しいと紹介されるほとんどの自称「国際情勢アナリスト」がウクライナを養護し、ウクライナ戦争の真実を伝えないのはこのためだと思われる。
山上徹也容疑者が狙撃テロで暗殺したとされている安倍晋三元首相は、プーチン大統領と20回以上、直接会っていたから、ウクライナ戦争の真実を掴んでいた。ロシア政府系の日本語サイトであるスプートニクは、次のように報じている(https://sputniknews.jp/20220529/11385401.html)。話はそれるが、山上容疑者の公判が安倍元首相の暗殺から3年近く経っても始まらないのは、狙撃テロ事件に岸田政権(特に、奈良県立大学附属病院の救命チームの福島英賢教授らの見解を否定した警察庁)が深く関わっていたからだとも推察できる。
日本の安倍晋三元首相はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領のNATO加盟に関する姿勢とドンバスでの紛争解決の拒否が、ロシア軍による特殊作戦が始まった原因であると表明した。安倍氏は英誌エコノミストとのインタビューで(注:https://www.economist.com/AbeInterview)「ゼレンスキー大統領に対して自国がNATOに加盟せず、ウクライナ東部の2つの地方に自治権を与えると約束させることができた場合、軍事行動は回避できただろう」と述べた。
安倍元首相が英誌エコノミストから受けたインタビューの内容は、ミンスク合意Ⅱのことを言っているが、同合意締結に関与したドイツのメルケル首相(当時)は、ミンスク合意Ⅱはウクライナがロシアに対抗できる戦時体制を構築するための時間稼ぎに過ぎなかったと述べている(https://jp.reuters.com/article/markets/japan/-idUSL6N32Z0A5/)。要するに、欧州はロシアを騙したわけだ。話を元に戻すと、ウクライナ戦の停戦・終戦について、田中氏は既に述べた「続くウクライナ停戦の茶番劇」で次のように分析している。
プーチンのロシアは、4月20日の復活祭と、5月9日の戦勝記念日に際し、2-3日間ずつウクライナの戦闘を停戦した。これは、トランプ就任時に米露で決めたウクライナ停戦の日程が、復活祭までに停戦交渉の本格化、戦勝記念日までに停戦の実現、となっていたからだ。実際は、西欧にウクライナ戦争の主導役を押し付けて自滅させる策のため、停戦は進まなかった。プーチンは、ウクライナ軍が建て直せないほどの短期間である2-3日ずつの象徴的な停戦を設けた。1週間以上停戦するとウクライナ軍が反撃を強めて露軍に被害が出るので2-3日にしたのだろう。(ウクライナ停戦に乗り出すトランプ)
トランプとプーチンは、ウクライナで英EUを自滅させる策をとりつつ、自分たちは非米側を安定強化する策を進めている。それは、たとえば北朝鮮だ。トランプは最近、金正恩とまた会いたいと言い出している。プーチンは、クルスクでの北朝鮮軍の活躍を発表して称賛し、ロシアが北朝鮮に最新鋭の軍事技術を伝授していることを明らかにした。いずれトランプが金正恩と会い、ロシアや中国とも協力し、韓国と北朝鮮の対話を再開させようとする。欧州は自滅し、他の世界は安定していく。(White House preparing for possible Trump-Kim talks)(First Video Showing Russian Instructors Training North Korean Troops)
プーチン大統領は北朝鮮を同盟国として重要視しており、「ロシア国民は、北朝鮮の特殊部隊兵士たちの功績を決して忘れない」と謝意を表し、招待した北朝鮮軍の首脳も赤の広場で行われた軍事パレードに参加した。北朝鮮も同じだ。「キム・ジョンウン(金正恩)総書記はこの日、首都ピョンヤンにあるロシア大使館を訪れ、両国の同盟関係を絶えず発展させていく立場を表明しました」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250510/k10014801681000.html)。
なお、トランプ大統領は記念式典には出席しなかったが、「ロシア大統領府のウシャコフ補佐官は、9日、プーチン大統領とアメリカのトランプ大統領が、それぞれの側近を通じて、第2次世界大戦の戦勝記念日を祝うメッセージを交換したと明らかにしました」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250510/k10014801681000.html)とのことだ。また、トランプ大統領とプーチン大統領、習近平国家主席は、オールド・メディアを中心に悪側の世界「三大皇帝」と揶揄されているが、これについて、Youtubeのイエアンドライフ・チャンネルでは、私服を肥やして国民を不幸にする悪徳官僚を粛清していることでは一致していると、「三大皇帝」を評価している。
なお、西欧のプロテスタンティズムは、教条主義的な「絶対予定説」で近代の「官僚制度」を生み出すことになったが、現代は民主主義と官僚主義の戦いが熾烈でもある。
サイト管理者(筆者)なりの見方では、これまで、第二時世界大戦後の世界を支配してきた諜報界(ディープ・ステート=DS=)は、資本主義の原則(市場経済による資本の論理の重視)と中東の安定(広義には世界の高等宗教の調和と統一)を最優先する多極化勢力が、英米英米一極単独覇権派を打倒し、世界は多極化文明の実現とそれらの調和・統一の時代に入りつつある。今こそ、マックス・ウェーバーが「世界宗教の経済倫理」の「序論」で述べた、文明の転轍手としての高度な「理念」の出現が、時代の要請になっている。