安倍暗殺の狙撃版は山上被告ではない、ウクライナ戦争を仕掛けた米国ディープ・ステート(DS)が黒幕

昨年7月8日、安倍晋三元首相を狙撃・暗殺した人物は山上徹也被告はではない。黒幕はウクライナ戦争の勃発を誘導してきた米国ディープ・ステート(DS)と思われる。

安倍元首相狙撃暗殺事件とウクライナ戦争(米側陣営の衰退と非米側陣営の台頭)

外務省で国際情報局長、イラン大使を歴任し、同省退官後は防衛大学教授を務め現在、東アジア共同体研究所長として活躍しておられる国際情勢に詳しい孫崎享氏は、鳩山友紀夫同研究所理事長との対談の中で、「(現在起訴されている)山上徹也被告は安倍元首相を狙撃暗殺した人物ではないこと(だけは)100%確実だ」と断言されたhttps://www.youtube.com/watch?v=z-ck4rruhoE&t=3707s)。根拠は、山上被告が安倍元首相に致命傷を追わせる狙撃はできない位置にいたことだ。

安倍元首相は当時、山上被告(注:すぐに自衛隊に所属していたことが報じられた)が撃った一発目の銃声で左を振り向いたが90度以内である。山上被告が安倍元首相の後方を移動しており、右上半身を撃つことはできない位置にしかいなかったということだ。奈良県立大学附属病院の福島英賢教授は20人規模の安倍元首相救命医療チームを代表して、元首相死亡直後の100人規模の記者が参席した記者会見で上図のように語っている。頸部前の付け根付近で真ん中より少し右に銃創(注:銃弾で受けた傷)があり、一つの銃弾は(注:体内で複雑な動きをして)左の肩から貫通して出たが、致命傷になったと見られるもうひとつの銃弾は行方不明になっている。

当時の安倍元首相のあまり回転角度の大きくない振り向き方からすると、山上被告は元首相の後方にいたことから、元首相の頸部前の付け根付近で真ん中より少し右を狙撃する位置にはいなかった。しかも、同被告は移動していたとの女子高生の証言があり、安倍元首相を正確(精確)には狙撃できなかったはずだ。孫崎氏は「精度が極めて高い銃砲で能力の高い射撃者(注:スナイパー)」が、前方から狙撃した可能性があることを示唆している。

1963年11月22日金曜日、現地時間12時30分にテキサス州を遊説中のケネディ大統領が軍隊経験者のオズワルドに狙撃された際にも、致命傷になったのは前方からの狙撃によるものとの見方が強いが、孫崎氏は安倍元首相狙撃事件はケネディ大統領暗殺事件に極めて似ていると証言している。

週刊文春は2023年2月16日号の「安倍元首相暗殺『疑惑』の銃弾」と題する記事で①奈良県警の安枝亮本部長の安倍元首相の首の右側を狙撃されたとする見解に銀門を呈している➁奈良県立大学附属病院の救命医療チームを代表した福島英賢教授記者会見と(注:執筆責任者が明確でない)警察の司法解剖の矛盾しているーことなどは指摘しているものの、基本的に警察庁の司法解剖なるものを前提とする立場に立っている。その立場に立った根拠は示していない。

警察庁の司法解剖の結果よりも、20人規模の救命医療チームが100人規模の記者を前にして語った記者会見の内容の方が信頼性が高いのは明らかだ。何よりも問題なのは、安倍元首相に致命傷を追わせた銃弾がどのようにして元首相の体内に入ったかで双方の見解が異なっていることと、その銃弾が行方不明になっていることだ。銃弾が明確になれば、山上徹也被告を犯人とする決定的な証拠になるが、現実にはそれがかなわない事態に陥っている。

孫崎氏は「陰謀論」と見られてしまうとして、これ以上の言及は避けているが、国際情勢解説者の田中宇氏は昨年8月8日公開の「安倍元首相殺害の深層 その2」と題する論考(https://tanakanews.com/220808abe.htm、無料記事)で次のように述べておられた。

安倍殺害事件に関するもう一つの異常さは、安倍が撃たれた状況について、不可解な矛盾や不確定な曖昧さが解消されず、追加説明がないまま放置されていることだ。どのような銃弾が、どこから撃たれ、どの方向から安倍の体内に入り、どう致命傷になり、銃弾はどうなったか。たとえば警察庁は、撃ち込まれた銃弾が安倍の体内を貫通せず、銃撃時に体外に出ていないことを確認している。銃弾は安倍の体内にあり、延命措置や検死の際に取り出されたはずだが、取り出されたはずの銃弾は残っておらず、紛失した形になっている。日本の当局は、事件に関する最重要の証拠品である銃弾を紛失してしまった。これは過失というより、当局内の誰かかが故意に隠匿した可能性が高いと私には思える。 (【ぼくらの国会・第371回】ニュースの尻尾「消えた銃弾 安倍元総理暗殺」(中略)

安倍の体内から取り出された銃弾は、そのとき病院にいた警察によって隠匿されている。それは、警察の組織的な行為ではない。警察の組織としては「銃弾は貫通しておらず、安倍の体内から取り出されたはずだが(行方がわからない。事実確認中)」という、不可解さを認める姿勢になっている。警察の中に、他の組織とつながった筋・勢力があり、その勢力が警察の指揮系統を無視して動き、安倍の体内にあった銃弾を医師が取り出した際に受け取って隠匿したと考えられる。銃弾の隠匿が必要だということは、その銃弾が実行犯山上の手製の銃から発射されたものでなく、別の狙撃犯が撃ったものであると感じられる。山上を動かしていた黒幕がおらず、山上だけが安倍を撃った完全単独犯行だったのなら、警察の誰かが他の組織からの依頼で安倍の体内から取り出された銃弾を隠す必要などない。

この「他の組織」が、安倍殺害の黒幕であり、その黒幕が安倍の行動予定を把握した上で、山上ともう一人の狙撃犯を用意し、山上の発砲と同時に他の場所からも本格的な銃で安倍を撃って確実に安倍が死ぬように仕組み、その黒幕から頼まれた警察幹部が事件後の病院で安倍の体内から取り出された銃弾を医師から受け取って隠匿し、証拠隠滅を行ったと考えられる。警察の上層部は、誰が銃弾を隠匿したかわかっているはずだが、隠匿者を動かした他の勢力に配慮して真相究明せず、事態を不可解なまま放置している。警察に真相究明を遠慮させるほど大きな力を持った「他の組織」が、安倍殺害の黒幕としていたことはほぼ確実だ。(中略)

となると、日本国外の外国勢力だ。中国やロシアや北朝鮮は、日本の当局を動かせない。安倍を殺した黒幕は、日本の敵の側でなく、味方の側、それも警察など日本の当局を内側から操れるほどの力を持った外国勢力だ。そんな外国勢力は一つしかない。米国だ。米諜報界(注:軍産複合体やネオコンなどを含む米国のディープ・ステート(DS))は国防総省や国務省などを傘下に持ち、日本の官僚機構に横入りして日本国内の指揮系統に従わない筋を作って動かすことができる。日本の外交官たちは、自分たちの独力で安倍を殺そうとは思わないが、米諜報界が安倍を殺すなら、その後の日本で権力を取り戻せるかもしれないので喜んで機密情報の提供などの協力をする。 (米国の中国敵視に追随せず対中和解した安倍の日本

田中氏の見解を裏付けるような安倍元首相(当時)の発言がある。安倍元首相は昨年2月27日のフジ日曜報道「THE PRIME」で次のように述べている(注:ボスニア・ヘルツェゴヴィナは1992年、ユーゴスラヴィア連邦から分離独立宣言。コソボはユーゴスラビア解体の過程でコソボ紛争を経て2008年2月独立宣言したが、コソボを自国領土の一部とみなす新ロシア国家のセルビアおよびその友好国からは独立を承認されていない。いずれも、G7諸国=米側陣営=は独立・建国を承認しているがその際、米国の支援があったとされる)。また、同じく昨年5月、英誌エコノミストとの対談で次のように発言した(https://sputniknews.jp/20220529/11385401.html)。

日本の安倍晋三元首相はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領のNATO加盟に関する姿勢とドンバスでの紛争解決の拒否が、ロシア軍による特殊作戦が始まった原因であると表明した。安倍氏は英誌エコノミストとのインタビューで「ゼレンスキー大統領に対して自国がNATOに加盟せず、ウクライナ東部の2つの地方に自治権を与えると約束させることができた場合、軍事行動は回避できただろう」と述べた。
安倍氏は、ゼレンスキー氏の立場を変えることは非常に難しいだろうが、バイデン米大統領であれば影響を与えることができただろうと述べた。しかし、ゼレンスキー氏はもちろん拒否したに違いないと安倍氏は見ている。

安倍元首相のもり・かけ・さくらなど内政面での不祥事は重大な汚点だが、当時の二階進幹事長と組んで対米従属官僚官庁である外務省を退け、経済産業省の力を借りながら日中関係改善に動いたこと(大きくは地球儀俯瞰外交を展開したこと)は確かだ。安倍元首相は森喜郎元首相と同じようにウクライナ戦争の本質を見抜いていたものと思われる。そうした安倍元首相の見解が、「特別軍事作戦」から始まるウクライナ戦争を誘導した米国のディープ・ステート(DS)(軍産複合体とネオコンなど)にとって邪魔な存在であったことは確かだろう。

ただし、安倍元首相のこれらの発言は封殺された。これらのことからして、田中氏の見解は理解できる。今回の安倍元首相狙撃暗殺事件も、山上被告の単独犯行として捉えるのではなく、こうしたウクライナ戦争などを含む国際情勢的な観点から捉えるべきだろう。

なお、日本の自公政権は表向き、令和五年度予算で「国防費」と称する軍事費を大幅に増やす(注:2023年度予算の防衛費は過去最大の6兆8219億円で2022年度の当初予算と比べて1兆4000億円余り多く、およそ1.3倍と大幅な増額となった)など、中国敵視政策を進めている。しかし、当時の安倍首相と一体となって「日中両属外交」を展開した二階進氏が今月19日、超党派の日中友好議員連盟会長に就任した(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230419/k10014043121000.html)。

超党派の国会議員でつくる日中友好議員連盟の新たな会長に、中国との議員外交をけん引してきた自民党の二階元幹事長が就任しました。(中略)

二階氏は「日中国交正常化から50年の歳月が過ぎたが、正常化を成し遂げた当時の田中角栄総理大臣と周恩来首相が思い描いた関係になっているだろうか。今の日中関係が理想的な状況でないことは異論がないと思うが、先人の功績を振り返るだけでなく、未来につなげていきたい」とあいさつしました。二階氏は幹事長当時、習近平国家主席と会談するなど、長年、中国との議員外交をけん引してきたことで知られています。このあと、二階氏は記者団に「中国訪問は極めて大事な政治的日程の1つであり重要視している。そう遠くない将来に訪問したい」と述べました。

ウクライナ戦争の帰趨

岸田文雄政権、少なくとも親中派の国会議員としても、日本がディープ・ステート(DS)に左右されるバイデン民主党政権への隷属を続け、1972年の日中共同声明や78年の日中友好平和条約に反して中国敵視政策を取り続けることはもちろん、ウクライナ戦争でもウクライナ支援一辺倒を続けることは、国益にそぐわないことを次第に認識しているのではないか。そのウクライナ戦争に関して孫崎氏は、①ウクライナでは弾薬や軍事兵器、戦闘要因が非常に不足してきた(注:NATO諸国から供与される兵器は、ロシアがウクライナの制空権を掌握しているためウクライナに入ると破壊される)➁米国の制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長はウクライナ戦争は膠着状態に陥っており、ロシアも勝てないがウクライナも勝てないと発言している③ウクライナ軍部でゼレンスキー大統領を追放する動きが表面化してきているーことなどから、「もはや、ウクライナが勝つことは有り得ないし、世界の各国政府もこのことを(暗黙に)認めている」と断言している。




例えば、ドネツク州の要衝であるバフムトはロシア側に陥落寸前のようだ。例えば、AFP=時事、産経新聞社のWebサイト、ANNのYoutubeでは次のように伝えている(https://www.jiji.com/jc/article?k=2023041600380&g=inthttps://www.sankei.com/article/20230419-WP4E7WD5K5L2BBCTW6KEKOC3BA/https://www.youtube.com/watch?v=4wrYvuErzbA)。

ロシア国防省は15日、ウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムトについて、民間軍事会社「ワグネル」の部隊が南北2地区を新たに制圧したと発表した。バフムトを巡っては、全域掌握を目指すロシア側が猛攻を続け、ウクライナ侵攻における「最も長く、最も血なまぐさい」(AFP通信)激戦地の一つとなっている。

 

ウクライナのシルスキー陸軍司令官は18日、ロシア軍がウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムトで空爆と砲撃を一層強化し、街を「廃虚にしている」とする声明を発表した。英国防省は、ロシア軍が州都ドネツク周辺での攻撃を縮小させ、兵力をバフムトの戦闘に集中させる可能性を指摘した。

バフムトの事例に見られるように、ウクライナ戦争の戦況はどんどんウクライナ側に不利になっている。ウクライナ側に不利になっているということは、ウクライナに軍事支援・経済支援を行ってきたG7諸国、特に欧州NATO諸国も苦境に立たされているということだ。そして、米国のバイデン民主党政権に対する反発も強まっている。このことは、フランスのマクロン大統領の「米国の同盟国は、米国の従属国ではない」旨の発言に象徴されている(https://www.bbc.com/japanese/65259417)。

マクロン氏は12日、訪問先のオランダでの記者会見で、自らの発言の妥当性を主張。「(アメリカの)同盟国であることは下僕になることではない。(中略)自分たち自身で考える権利がないということにはならない」と語った。

これについて、田中氏は「欧州を多極型世界のひとつにする」の論考(https://tanakanews.com/230416macron.htm、無料記事)で次のように述べている。

フランスのマクロン大統領らが4月4-7日に中国を訪問した。昨秋に独裁を確立した習近平が、世界を多極化するために、イランとサウジの和解仲裁や、訪露してウクライナ戦争の和平仲裁を提案するなど、外交攻勢に打って出た。これに呼応してマクロンが訪中した。 (Macron Goes to China: Whose Side Is He On?

米国側は、台湾問題や中露結束を理由に中国への非難を強めており、マクロンも中国を批判・加圧するような感じをばらまきつつ訪中した。だが蓋を開けてみると、マクロンは中国を批判せず、逆に、中国と戦略パートナー関係を締結して協力し合うことを決めた。またマクロンは、欧州を米中と並ぶ世界の極の一つにしたいとか、欧州は米国の傀儡から自立せねばならないとか、台湾問題は欧州が関与すべき問題でないとか、ドルへの依存を下げるべきだなど、反米非米的な発言を連発した。 (Macron Stands By China Comments After Drawing Criticism

ただし、孫崎氏によると、米国バイデン政権のマクロン大統領つぶしの圧力は極めて強いようだ。来月の5月19日から21日まで広島で開かれるG7サミットが注目される。なお、現在、世界の行く末について実質的な枠組みを提供するG20は、9月9日から10日にかけて、インドのニューデリーで開催される。付け加えると、田中氏は米側陣営は金融危機を取り敢えず克服し、米国の中央銀行システムはQT(Quantitative Tightening=量的金融引締め政策=)を再開したとしている(https://tanakanews.com/230416macron.htm)が、金価格は徐々に上昇している。下図は、世界経済のネタ帳による。

金価格はこれまで、1トロイオンス(約31グラム)=2000ドルを上回ったことはない。基軸通貨とされるドルにもやはり、警戒が必要だ。


この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう