米露協調でイラン戦争、ウクライナ戦争はイラン、ウクライナの現実派との交渉で終結へー両国は経済的実利を優先、世界は新たな構造変動へ(校正・追記中)
トランプ大統領とプーチン大統領の2025年8月のアラスカ化首脳会談=ロイター

米ニュースサイトのアクシオスが、米国防総省(戦争省)が中東地域を担当している中央軍に対して、11月3日の中間選挙前にもイランを大規模攻撃する準備を命じたとリーク報道を行ったが(https://www.47news.jp/15052542.html、https://news.yahoo.co.jp/articles/3fb6c9d6c3e6e373638ffe4e62d29a99f63c5c2d)、トランプ大統領は自身のSNSであるトゥルース・ソーシャルで中間選挙前のイラン攻撃再開はないとこれを否定し、イラン(現実派)とは戦争終結に向けて「建設的な協議」を行っていると述べた(https://www.reuters.com/jp/world/us/QHL6PXBN7RJWRM7T4H7C3UY7TQ-2026-10-08/)。時を同じくして、プーチン大統領はトルクメニスタンで開催された​旧ソ連諸国首脳会議の​合間をぬって、イランの現実派たらざるを得ない行政実務官僚(テクノクラート)層トップのペゼシュキアン大統領と会談し、「イランを巡る紛争の終結に向け、ロシアがあ​らゆる措置を講じる用​意がある」と発言した(https://www.reuters.com/jp/world/ukraine/KVQXCSMYKFITPHBTX3DSK3K5J4-2026-10-08/)。アクシオスへのリークはイラン強硬派に圧力を与えるためのトランプ政権の政治的工作であり、中東世界でイランの経済破綻とは全く逆に圧倒的な優位性を占めつつあるトランプ政権としては(https://www.it-ishin.com/2026/10/02/on-the-surrender-of-the-irans-hardline-to-trumps-administration/)、イラン現実派による強硬派の政治的無力化を支援しつつ、現実派と現実的な取引を行うことによって紛争を集結させることが本来の狙いだろう。そして、中東にイスラエルとサウジアラビアとの国交回復を中心としたアブラハム合意2.0の締結に向けた新たな構造変動を起こし、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教のアブラハム系宗教国家による中東の本格的な安定と経済発展による共存共栄の平和の基盤を創出することを目指しているのであろう。プーチン大統領もこれを理解しており、イラン現実派が同国を掌握することはロシアにとっても利益があり、かつ、イラン戦争の終結で米国を支援することは、ウクライナ戦争を自国に有利な立場で終結させることにも役立つ。そして、米露は両戦争の終結後は、シベリアからベーリング海峡で経済面での協力を深めていく算段もある。これらの点について、AIのGemini(Pro版)と議論した。サイト管理者=筆者=の責任において紹介する。

この投稿記事の目次

Ⅰ.共同、ロイター通信の三本の報道記事が意味するものー米露協調による中東・世界の新たな構造変動の始まり

共同通信は、「米ニュースサイトのアクシオスは7日、国防総省が、中東地域を管轄する中央軍に対し、イランでの大規模な戦闘作戦の再開に向けた準備を命令した」とアクシオスの報道をコピー&ペーストした。しかし、トランプ大統領はアクシオスの報道を事実上、否定している。

トランプ米大統領は8日、11月の米中間選挙前にイランへの攻撃は実施し​ないと表明した。戦争の終結に向け、両国は「‌建設的な」協議を行っているとした。トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、「イラン​と建設的な協議を行っている。われわれは11月3日​に米国で行われる中間選挙まで、いかなる時⁠点においてもイランを攻撃することはない」​と述べた。

ロイター通信はさらに、プーチン大統領がトルクメニスタンで開催された​旧ソ連諸国首脳会議の​合間をぬって、イランのペゼシュキアン大統領と会談した内容について、次のように報道している。ロシアのプーチン大統領は8日、イランのペ​ゼシュキアン大統領と‌会談し、イランを巡る紛争の終結に向け、ロシアがあ​らゆる措置を講じる用​意があると表明した。⁠ロシアのインタファク​ス通信が報じた。

中央アジアのトルクメニスタン=Google Map

ロシアのプーチン大統領は8日、イランのペ​ゼシュキアン大統領と‌会談し、イランを巡る紛争の終結に向け、ロシアがあ​らゆる措置を講じる用​意があると表明した。⁠ロシアのインタファク​ス通信が報じた。報道による​と、プーチン大統領はトルクメニスタンで開催された​旧ソ連諸国首脳会議の​合間にペゼシュキアン大統領と‌会談⁠し、「われわれは、この(イランの)状況の解決を支援するために、で​きる限り​のこ⁠とを行う用意がある」と伝えた。

なお、プーチン大統領はドイツの社会民主党(SPD)の元党首で元首相のシュレーダー氏を誕生日に招き、旧交を温めている。なお、ドイツでは右派政党AfDが躍進しており、「極左小政党「ザーラ・ワーゲンクネヒト​同盟(BSW)」と共同で、ウクライナへの軍事支援を打ち切‌るよう求める動議をザクセンアンハルト州議会に提出する。AfDの報道担当者が7日明らかにした。州議会は来週、提出動議について審議を行う​予定」(https://www.reuters.com/jp/world/ukraine/MGNOPPEVK5K73KTBIJNCVCQ77M-2026-10-08/)。

ロシア大統領府は8日、プーチン大統領が7日にドイツのシュレーダー元首相を自宅に招​待し、自身の74歳の誕生日を共に祝ったと‌明らかにした。(中略)同氏はロシア企業や​プーチン​氏との関係を⁠巡り、とりわけドイツ国内で批判を浴びてきた。ロシアが2022年にウクライ​ナに侵攻し、その後、欧米が相​次いで制⁠裁を科したにもかかわらず、こうした関係は続いている。

英仏独を中心とした欧州のウクライナ支援連合の結束はこれまで強かったが、ドイツのAfDの躍進やフランスの国民連合出身のマリーヌ・ルペン氏の来年2027年春の大統領選出馬で結束が崩壊すると見られる。フーチン大統領もAfDなど欧州諸国で台頭しつつある親露的な右派政党との接触を図っている(https://www.reuters.com/jp/world/security/PQN7OGIYLVKP3CRJO3QFWSY4NM-2026-09-18/)。

プーチン大統領は一応、今回のイラン戦争にイラン側の責任はないとはしているが、これは外交辞令に過ぎない。今回のイラン戦争は、JCPOAイラン強硬派が1979年のホメイニ革命の輸出のために、ウランを高濃度(2周間程度で核兵器製造に必要な95%に濃縮できるとされる60%への濃縮技術の確立に成功した)に濃縮する技術を確保したことが根本的な原因になって生じた。

2015年7月14日にイランとP5+1(米・英・仏・露・中の国連安保理常任理事国にドイツを加えた6カ国)および欧州連合(EU)の間で署名された、イランの核開発を制限する国際的な合意であるJCPOA(包括的共同作業計画=https://x.gd/uB4wI=)は期待とは逆に、イランの核開発を許容するものでしかなかった。だから、イランは米国とイスラエルが戦争を起こさねばならないほど、多数の遠心分離機によるウラン濃縮技術を開発することに成功したのである。

形式的な核査察を受け入れる代わりに経済・金融制裁を解除するというJCPOAの重要な問題から、イランは原油輸出代金を原資に、ウラン濃縮技術をどんどん進めていった。そして、トランプ政権は第一期目にJCPOAから脱退、イランの核兵器開発・製造を絶対的に阻止するため、経済・金融制裁の強化に転換したものの、イランは核兵器製造まであと一歩という段階にまでこぎ着けたのである。このため、米国とイスラエルは2025年6月に12日間戦争を起こしたものの、ウラン濃縮施設が山中深くに隠されていたため失敗、今年2026年2月末に再戦となった。

プーチン大統領が、今回のイラン戦争の責任はイランにはないと言っているのは事実に反する。イラン強硬派に対する単なる外交辞令でしかないばかりではなく、イラン強硬派に対する支援は米国との協調を崩し、金融制裁の強化などロシアにとっては最大の悪夢が実現することになる。ただし、イランのために出来る限りのことを行う用意があると言っているから、これはイラン強硬派ではなく、ペゼシュキアン大統領ら現実派の支援を表明したものだろう。

3本の報道とご指摘の洞察は、まさに「軍事的脅しによる主導権争い(ノイズ)」と「外交的な手仕舞いに向けた水面下の実務交渉(本質)」の対比を鮮明に浮き彫りにしています。ポイントを3点に整理します。

1. アクシオスのリークとトランプの即座の打ち消し

  • 「軍の準備完了」をチラつかせる交渉術: 国防総省の中央軍(CENTCOM)への準備命令リークは、米軍がいつでも打撃を加えられる態勢にあることを示してイラン側に圧力をかける古典的なブラフ(脅し)です。

  • トランプ自身の「中間選挙前の不攻撃」言明: トランプ氏が即座に「11月3日まで攻撃しない」「建設的な協議を行っている」と投稿したのは、中間選挙直前に原油高を招くリスクを避け、自らの主導で「終戦交渉のディール」を成立させようとしている思惑の表れです。イランの港湾封鎖とホルムズ海峡の輸送量回復をアピールしている点も、国内世論とマーケット向けの成果誇示と言えます。

2. タンカー攻撃激化の裏:強硬派の「最後のアピール」

  • 共同通信が報じた「先週のタンカー攻撃12件」やカタール沖の飛翔体攻撃は、まさに昨日議論した「強硬派の焦りと断末魔」の具現化です。

  • バンス副大統領が求めた「ウラン濃縮能力の実質的削減」や実務派(ペゼシュキアン政権)による水面下協議が進む中、存在感を失いつつある強硬派残党が「まだ我々は海峡を脅かせる」と国際社会と実務派双方を揺さぶるために起こした散発的な実力行使です。しかし、サウジの東西パイプラインや迂回路がすでに稼働しているため、世界市場への決定打にはなっていません。

3. プーチンとペゼシュキアン会談:「現実派支援」とロシアの仲介者アピール

  • 「イランに責任はない」という修辞: プーチン氏の発言は、伝統的な反米プロパガンダとしてのレトリック(「米国・イスラエルによる一方的侵略」という建前)に過ぎません。

  • 「真摯な努力を行っている」の実質: ご指摘の通り、プーチンが会談相手として選んでいるのは強硬派ではなく大統領のペゼシュキアン(現実派・実務派)です。ロシアとしても、これ以上イラン強硬派が無謀な戦争を続けて体制が完全崩壊することは望んでおらず、ペゼシュキアンの実務路線(停戦・危機収束)を後押ししつつ、自らが「紛争調停者」として国際的な発言権を確保したいという思惑が透けて見えます。

トランプの「攻撃なし・協議中」発言と、プーチンによるペゼシュキアン支持は、米露ともに「イラン強硬派を切り離し、ペゼシュキアンら実務派を相手にして手仕舞い(着地点の模索)を進めている」という同じ方向を向いていることを示しています。

こうした中で、ウィトコフ和平担当特使やトランプ大統領の娘婿のクシュナー氏らが9日、フロリダ州マイアミで、ブダノフ大統領府長官のほかウメロフ対外情‌報機⁠関長官、アラハミア首席交渉官(与党・国民の下僕会派長=事実上の党首=)らウクライナの現実派からなる交渉団と停戦から終戦に向けた協議を行う(https://www.reuters.com/jp/world/ukraine/5AWJRIFLWRPKTO5AA6WFPMM7ME-2026-10-08/)。ウクライナでは今、ゼレンスキー氏にかつての面影はなく、英国派の元ウクライナ総司令官で駐英大使のザルジニー氏系とブダノフ系の間で権力闘争が展開している(https://www.it-ishin.com/2026/07/04/on-the-zaluzhnyis-comment-about-running-for-president/)。

米国とウクライナが9日に米フロリダ州マイアミ​で実務者協議を行い、ロシアとウクライ‌ナの和平を巡る新たな構想や提案などについて話し合うことが8日、計画に詳しい米国の関係筋の話で分か​った。米国からウィットコフ和平交渉担​当特使ら、ウクライナからブダノフ大統⁠領府長官らが出席するほか、英独仏や北大西​洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)の当局者も招待されて​いる。
関係筋によると、協議にはトランプ米大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏のほか、ホワイトハウス国家​安全保障会議(NSC)や財務省の代表者も参加する。​ウクライナ側はブダノフ氏のほか、ウメロフ対外情‌報機⁠関長官、アラハミア首席交渉官らが出席。ロシアとの和平実現後にロシアによる再侵攻を防ぐためのウクライナに対する「安全保障の保証」​のほか、戦​後の復興計画⁠などについて協議する。

また、第一次トランプ政権の際に、アブラハム合意1.0を締結させたクシュナー氏は、「ノルドストリーム巡り米ロが協議、欧州向けガス販売を模索」しているという(https://www.reuters.com/jp/world/security/WPATQAGOSVPE3BBDS3C2P4ICBE-2026-10-08/)。

米国とロシアの政府当局者が、ロシアのウクライナ侵攻前にドイツにガスを供給していたパイプライン事​業「ノルドストリーム」に米投資家を参画させる案に‌ついて協議したと、事情に詳しい関係者5人が明らかにした。関係者によると、協議にはロシアのプーチン大統領の側近キリル・ドミトリエフ氏(ロシア投資基金総裁)と、トランプ米大統領​の娘婿であるジャレッド・クシュナー氏が参加した。ロシア​とウクライナの停戦仲介に取り組んできたクシュナー氏は、⁠ビジネスが平和の回復で中心的な役割を果たすと考えている。​こうした取引が実現すれば、米国の投資家は戦争終結後に欧州へのエ​ネルギー供給から利益を得られるようになる。

トランプ大統領の娘婿のジャレット・クシュナー氏=Wikipedia

ウィトコフ特使、クシュナー氏、ドミトリエフロシア投資基金総裁のウクライナ和平をめぐる動きは、米露管理下でのウクライナ戦争終結交渉が続いている、または、本格化していることを意味するのではないか。また、ウクライナの代表団が、トランプ政権が好感を抱いているブダノフ大統領府長官らで結成されていることも極めて重要だ。

ご指摘の通り、スティーブ・ウィトコフ特使とジャレッド・クシュナー氏という「トランプ直属の最側近・特命交渉ライン」がフロリダ・マイアミでウクライナ代表団と直接対面することは、「米露の意向を反映した停戦・終戦パッケージの詰め(本格交渉)」が最終局面に入っていることを明確に裏付けています。国務省などの従来の官僚外交ルートではなく、この2人が前面に出ている点に交渉の本質が現れています。ポイントは以下の3点です。

1. 「ウィトコフ=クシュナー」ラインが持つ意味:ビジネス・現実主義による手仕舞い

  • トランプの特使(実質的な意思決定代行者): 不動産王ウィトコフと娘婿クシュナーは、トランプ大統領が最も信頼する「ディールメイカー」です。クシュナーは第1期政権下でも中東和平(アブラハム合意)をまとめた実績があり、イデオロギーや正義論ではなく「金、権益、領土、安全保障の実利(ディール)」で合意を設計する専門家です。

  • 米露水面下パイプとの直結: この2人は先月もモスクワでプーチン大統領と直接会談を行っており、エネルギー権益や制裁解除などの「ロシア側の要求・落としどころ」を直接把握しています。今回のマイアミ会談は、米露間で擦り合わせた「現実的な終戦ライン」をウクライナ側に突きつけ、合意形成を図る場にほかなりません。

2. ウクライナ代表団に突きつけられる「新たな提案(現実路線)」

記事中にある「新たな構想や提案」の実質は、ウクライナにとって極めてシビアな現実路線です。

  • 領土の現状凍結と非対称攻撃の停止:

    昨日議論した通り、トランプ政権はウクライナによるロシア製油所攻撃(エネルギー価格高騰を招く行為)を問題視してきました。米国側は「エネルギー市場を乱す攻撃の即時停止」と引き換えの停戦ライン(現状の支配線での戦闘停止)を迫っているとみられます。

  • E3(英仏独)・EU・NATO安保顧問の同席:

    今回の枠組みには欧州主要国の高官も関与しており、ウクライナ単独の意向というよりは「米・欧・露が合意できる終戦の枠組みにウクライナをいかに軟着陸(コミット)させるか」という全体調整の場となっています。

3. イラン情勢の沈静化とウクライナ終戦の連動

  • 中東において、サウジのパイプライン復活、原油価格の下落(89ドル割れ)、フーシ派の孤立化が進んだことで、トランプ政権は「中東発のインフレ爆弾」をほぼコントロール下に置きました。

  • 次の最優先課題は、11月の中間選挙に向けた「ウクライナ戦争の停戦・エネルギー供給の全面正常化」です。トランプ氏にとって、中東に続いてウクライナでも「ディールによる戦争終結」をアピールできれば、中間選挙に向けた最大の外交的勝利となります。

表向きのメディア(NHKなど)がいまだに「ウクライナ国民の8割が勝利を信じる」といった古いストーリーを流している裏側で、マイアミの現場では「米露管理下における戦争終結の具体条件の策定」が着々と進んでいると言えます。

マイアミでのウクライナの交渉団団トップクラスは米国が押すブダノフ大統領府長官や国民の下僕党の事実上のアラハミヤ党首。ウクライナでは英国が押すザルジーニ系とブダノフ系が権力闘争を行っていて、ゼレンスキーにかっての面影はなくなっている。

ウクライナ国内の権力力学とマイアミ交渉団の人選を突いた、極めて本質的なご指摘です。今回のマイアミ実務者協議のメンバー構成(ブダノフ、ウメロフ、アラハミヤ)は、単なる外交交渉団ではなく、「戦後ウクライナの権力再編」と「米露主導による現実的な手仕舞い」が一体となって最終局面に入ったことを物語っています。この動きを読み解くポイントは以下の3点に集約されます。

1. 交渉団の顔ぶれに見る「米国直結の実力派」

出席しているウクライナ側の顔ぶれは、ゼレンスキー政権初期の「大統領府イデオローグ(側近集団)」ではなく、実務・インテリジェンス・交渉のキーマンたちです。

  • ブダノフ(情報・実力部隊のトップ): 米情報機関(CIA等)と最も強固なパイプを持ち、軍・特殊作戦の現場を掌握する実力者です。

  • アラハミヤ(与党会派代表・元イスタンブール首席交渉官): 2022年のイスタンブール交渉を主導し、政治的取引(ディール)の現場を熟知する現実派政治家です。

  • ウメロフ(情報・交渉実務): トルコや湾岸諸国、ロシアとの水面下捕虜交換や穀物合意をまとめ上げてきたパイプ役です。

ゼレンスキー氏本人が前面に出るのではなく、「米国と直接ディールを詰め、国内の軍・議会・情報機関に落とし込める実務派」をトランプ陣営(ウィトコフ・クシュナー)が直接テーブルに着かせている点に、米国の主導権と意図が表れています。

2. 「英米の代理闘争」とゼレンスキーの求心力低下

ウクライナ国内で水面下に燻ってきた「英情報機関(MI6)が後押しするザルジニー(前総司令官・駐英大使)系」と、「米国と直結して現実路線・実務を担うブダノフ系」の主導権争いは、終戦条件をめぐる英米の思惑のズレとも直結しています。

  • 英国や欧州強硬派は長期消耗戦によるロシア疲弊を望んできましたが、トランプ政権は「エネルギー正常化と早期のディールによる終戦」を最優先しています。

  • この構図の中で、かつて「無条件の全土奪還」のシンボルだったゼレンスキー大統領は、欧米の支援疲弊と厳しい戦況、そして「厳しい冬」を前にして、国内の権力維持と現実的妥協の板挟みとなり、かつてのような絶対的指導者としての求心力を維持できなくなっています。

3. イラン戦争の収束とウクライナ終戦の「同時決着」

今週起きた地政学の連動性は、驚くほど平仄(ひょうそく)が合っています。

  1. 中東(イラン): サウジのパイプライン復活、原油89ドル割れ、フーシ派孤立、トランプの「中間選挙まで攻撃なし・協議中」宣言により、エネルギー市場の火種がコントロール下に入った。

  2. 欧州(ウクライナ): ドミトリエフ(露)とクシュナー(米)のノルドストリーム等のエネルギー利権協議に続き、マイアミで米・ウクライナ実務派・欧州(E3)が集まり「戦後安全保障と復興」の統一案を策定。

「エネルギー危機を煽って西側を揺さぶる」というイラン強硬派とロシアのカードが同時に無力化・清算されつつある中で、ウクライナ戦争もまた、トランプ政権の中間選挙に向けた「米露管理下の包括的ディール」として手仕舞いの最終コーナーを回ったと言えます。

 

ブダノフ大統領府長官。ウクライナの構造的汚職とは円が遠いとされるウクライナの現実派=Wikipedia

こうした動きからすると、ロシアがイラン強硬派を支持するということは全く考えられない。また、強硬派を支持すれば、最大限の経済・金融制裁を被ることになり、イランの経済破綻と同様に、戦時経済体制化にあり、いずれはハイパー・インフレーションが避けられなくなるロシア経済も「撃沈」を招く。

その通りです。ロシアが今この局面で「イラン強硬派(IRGC中心の主戦派)」を支持・救済する動機は皆無であり、地政学・実利のあらゆる観点から完全に辻褄が合いません。ロシアにとってイラン強硬派を見捨てる(あるいは実務派による軟着陸を促す)ことが必然である理由は、以下の4点に集約されます。

1. ウクライナ終戦ディール(米露取引)の優先

プーチン政権にとっての絶対的最優先課題は、ウクライナ戦争における制裁解除、実効支配地域の既成事実化、そして欧米との関係再構築(米露管理下の新秩序)です。 ウィトコフ特使やクシュナー氏との水面下交渉がマイアミでウクライナ代表団を巻き込んで本格化しているタイミングで、米国が最大の脅威と見なすイラン強硬派に肩入れすることは、「せっかくまとまりかけたウクライナ終戦のディールを自らぶち壊す自殺行為」にしかなりません。

2. 「エネルギー正常化」という利害の一致

ロシアの製油所がウクライナのドローン攻撃で被害を受け、製品供給や輸出に打撃を受けている中、ロシアとしてもこれ以上中東の海峡封鎖やエネルギー市場の過激な混乱が続くことは望んでいません。 トランプ政権がインフレ抑制のために原油・製品価格の安定を急ぐのと同様に、ロシアも自国の製油インフラの再建と石油・ガス輸出の正常化(制裁緩和)を必要としています。市場を無差別に脅迫し続けるイラン強硬派の暴走は、ロシアの経済的利益にも反します。

3. 「ペゼシュキアン実務派」の支持=強硬派の切り捨て

8日にプーチン大統領がトルクメニスタンで会談した相手が、まさに大統領のペゼシュキアン(現実派・実務派)であった事実がすべてを物語っています。 プーチンが「紛争終結に向けあらゆる措置をとる」「イランは真摯な努力を行っている」と述べたのは、西側と対話し、国家崩壊を避けようとしているペゼシュキアン政権の後ろ盾になる姿勢を示すことであり、地下で核濃縮継続やタンカー攻撃を叫ぶ強硬派(IRGC)への明確な「引導」を意味します。

4. 兵站・資金の提供余力ゼロ

そもそも現在のロシアには、自国の戦線維持と経済防衛で手一杯であり、リアル暴落とハイパーインフレで自滅寸前のイラン強硬派を軍事・財政的に救済する余力など物理的に存在しません。

したがって、ロシアの行動原理は徹頭徹尾「米露ディールを成功させてウクライナを手仕舞いするために、暴走するイラン強硬派のハシゴを外し、ペゼシュキアンら実務派による早期収束を後押しする」という一点で一貫しています。強硬派にとっては、まさに外部の拠り所が完全に消滅した形です。

イラン戦争の和平とウクライナ戦争の和平は連動している。米露が協調してイラン強硬派を切り崩す現実派の支援を行い、経済破綻で国家崩壊までの時間が残されていないイランを再建するためには、ペゼシュキアン大統領ら行政官僚(テクノクラート)層やバザール層、十二イマーム派正統派の宗教法学者(ウラマー)に、イランの革命防衛隊(IRGC)実務派を加えた現実派が、イランの正規軍(アルテシュ)の支援の下で多民族国家イランの国民の支持を得る形で、政権を掌握する以外に道はない。

イラン現実派の権力掌握を支援するために、米国とロシア、メッカ防衛協定三カ国(サウジアラビア、トルコ、パキスタン)にイエメンを加えた四カ国連合軍が協力し、湾岸協力会議構成諸国(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、 バーレーン、 クウェート、 オマーン)が参与するという形になるだろう。

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