中露主導の非米側陣営の結束で米国一極覇権体制崩壊が本格化−サウジ、トルコのBRICSへのステルス加盟、露朝同盟形成の意味(米側陣営は大混乱へ)

本サイトではウクライナ戦争以降、米側陣営(事実上の米国一極覇権体制)の弱体化と欧米文明の終焉を予測しているが、それぞれ弱体化と終焉が本格化してきたようだ。米側陣営の対立陣営は、少子・高齢化とは無縁の人口大国がそろっており、資源・エネルギーも豊富な非米側陣営である。本格化の始まりは、米国のバイデン大統領がビクトリア・ヌーランド国務次官(当時、現在は辞任)を総責任者として誘導したウクライナ戦争だ。非米側陣営では新BRICS(従来のBRICSに昨年8月の首脳会議で新たにサウジアラビア、イラン、エチオピア、エジプト、アラブ首長国連邦=UAE=、アルゼンチンが加盟)が陣営の中核だ。中露を中心とする新BRICS、非米側陣営では、ドルによらないデジタル通貨を利用した国際決済制度の実用化に向けて本格的に取り組んでおり、非米側陣営の国際システムがだんだん頭角を現しつつある。こうした中で、北大西洋条約機構(NATO)の特異な国で重要国でもあるトルコもBRICSへの参加を表明しており、BRICS側(特に、トルコのエルドアン首相と親しいプーチン大統領)も歓迎している。さらに、プーチン大統領の北朝鮮訪問で軍事同盟(ロシアによる北朝鮮への高度軍事技術の提供と北朝鮮によるロシアへの軍事物資等の供与)と経済協力の深化を中核とする露朝同盟が公式に発足した。北朝鮮がBRICSに加盟することは当座は考えられないが、キム・ジョンウン(金正恩)政権がテクノクラートを改めて重要視し、軍事独裁体制を克服できるようになれば、BRICS加盟も考えられない話ではない。国際情勢は大激動期に入りつつある。

非米側陣営の興隆と米側陣営の凋落、「もしトラ」は実現するか

まず、トルコのBRICS加盟に関してだが、通信社のロイター通信が6月4日、世界各国に配信した「ロシア、トルコ外相のBRICS加盟望むとの発言を歓迎」と題する記事は次のように述べている。

[モスクワ/アンカラ 4日 ロイター] – ロシア大統領府(クレムリン)のペスコフ報道官は4日、トルコは中ロなど新興国で構成する「BRICS」への加盟を望んでいるとのトルコのフィダン外相の発言を歓迎すると述べた。その上でトルコ加盟については次回のBRICS首脳会議の議題になると語った。また、さまざまな国からのBRICSへの関心が高まっているが、全ての国を完全に満足させることは難しいとした。

6月11日、ロシアのプーチン大統領は、7月に予定されている上海協力機構会議の際にトルコのエルドアン大統領との会談を希望していると述べた。複数のロシア通信社が報じた。措置で2023年9月撮影(2024年 ロイター/Sputnik/Alexei Nikolskyi/Kremlin)

BRICSにはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、エチオピア、イラン、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)が参加している。3日から北京を訪問しているフィダン外相は講演中にトルコはBRICS加盟を望むかと問われ、「もちろん(加盟を)望む」と答えた。ただ、それ以上の詳細は明らかにしなかった。

中東産油諸国、アラブ諸国の盟主であるサウジは既に正式加盟しているが、米国・バイデン政権の要請(事実上の命令)でBRICSでの活動には制約がかけられている。NATO加盟国のトルコも、同様に米国バイデン政権の圧力で、BRICS加盟に圧力が加えられている。これらについて、国際情勢解説者の田中宇氏は、「中露の仲間入りするトルコ」(https://tanakanews.com/240610turkey.htm、無料記事)で次のように解説している。

BRICSは、中露主導でドルに替わる国際決済システムを構築している。ドルが唯一の国際基軸通貨であることが米覇権の強さの源泉だっただけに、米国はBRICSを脅威と見なす傾向を強めている。BRICSは米国を敵視していないが、米国側はBRICSを敵視している。米国に敵視制裁されてドル使用を制限されるので、BRICSはドルに頼らない決済システムを作っているが、それが米国のBRICS敵視を強めている。

米国の同盟国であるサウジアラビアは今年初からBRICSに加盟し、すべての会議に参加しているが、米国から文句を言われ、まだ加盟していないという話を意図的に流布した。米国側のマスコミは、このウソ話を喜んで報じ、米国側ではサウジが未加盟ということになっている。Saudi Arabia has not yet joined BRICS – Saudi official sourceBRICS – The Project Of The Century

トルコはNATO加盟国であり、サウジ以上の米同盟国だ。NATOやG7の中でBRICS加盟を希望した国は初めてだ。トルコもサウジ同様、表向き未加盟なままの隠然加盟になるかもしれない。トルコでは、エルドアン大統領がシリア内戦で劣勢になって反ロシアから親ロシアに転向後、2018年に初のBRICS加盟希望を表明したが、米国に加圧されてその後沈黙していた。
今回エルドアンは、自分でなく格下の外相に、訪問先の中国での質疑に答える形をとらせてBRICS加盟希望を表明させた。米国からの非難を避けた観がある。
In China, Turkey’s Fidan says he plans to attend BRICS meeting in Russia

要するに、従来は米国の「同盟国」であったサウジやトルコは、「ステルス加盟」ということだ。米国に対しては参加しても積極的な活動はしませんよ、ほどほどにしますよ、と釈明しながら、米国をあざむいてBRICSの一員として活動するのが、「ステルス加盟」だ。実際、6月10日にロシアのニジニノブゴロドで開かれたBRICSの外相会談には、翌日の11日にフィダン外相が参加した(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240611/k10014477671000.html)。米国の同盟国(正しくは、米国一極覇権体制の中では単なる対米従属・隷属国に過ぎない。仏マクロン大統領は不満をもらしてはいるが。日本は在日米軍基地に治外法権を乗っ取られた、従属国を超える隷属国というのが本当の姿)。

こうしたBRICSへのステルス加盟があちこちで発生していく中で今回、プーチン大統領が中国の次に公式訪問したのが、「世界中から嫌われている」北朝鮮。NHKの報道によると、今回の同大統領の公式訪問で、次のことが公に公表された(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240619/k10014485041000.html)。

第一。キム総書記が「ロシアのすべての政策を無条件で支持する」と述べたのに対してプーチン大統領は「新たな基本文書を準備している」と述べ、経済や安全保障分野を盛り込んだ条約の署名など、軍事面を含めた一層の関係強化について話し合ったとみられる。具体的には、次の各項目をご覧ください。
第二。プーチン大統領は、「ロシアは本日署名された文書に従い、北朝鮮との軍事技術協力を排除しない」と述べ、包括的戦略パートナーシップ条約に署名したことで、北朝鮮との間で軍事面での関係強化を進める考えを示した。
第三。プーチン大統領はまた、「われわれは、西側諸国が政治や経済、その他の分野で覇権を維持するために使ってきた制裁の締めつけに対し、抵抗し続ける」と述べ、北朝鮮とともに欧米側の制裁に対抗していく考えを示した。
第四。プーチン大統領はさらに、「アメリカやその同盟国によってもたらされた北朝鮮に対する国連の安全保障理事会の無制限の制裁は見直すべきであると指摘する」と述べ、国連の安保理決議による北朝鮮に対する制裁に反対する考えを強調した。

これに対して、北朝鮮の金総書記は次のように述べたという。

北朝鮮のキム・ジョンウン総書記は、今回署名した条約について「こんにちだけでなく未来に備えて、戦略的な意義を持つ政治的な事変を成し遂げたと自負しており、とても光栄なことだ」と強調しました。そのうえで「両国関係は政治や経済、文化、軍事などさまざまな範囲で相互の協力拡大によってより展望的な発展の軌道に乗ることになった」として、軍事分野も含めた関係強化を誇示しました。

また「両国関係は同盟関係という新たなレベルに達し、両国の共同の利益に一致し、地域と世界の平和と安全保障環境を固く守るとともに強力な国家建設において両国の指導部の遠大な構想と人民の願いを実現できる法的基盤を用意した」と強調しました。そして「われわれはロシアとの包括的な戦略的パートナー関係を絶えず発展させるため、今後、すべての過程において、条約に常に忠実である」と述べました。そのうえで「締結されたこの条約は、徹底して平和的かつ防衛的な条約であり、支配と従属、覇権と強権のない多極化した新しい世界をつくるうえで推進力になることを信じて疑わない」と述べました。

ここで注目してほしいのは、「多極化」という言葉を使っていることだ。これは、露朝同盟が米国一極覇権体制から世界各国の主権(注:各国の歴史的伝統を含む。民主主義が絶対というわけではない。なお、米国は正確に言えば、バイデン政権がトランプ攻撃に司法制度を利用しており、三権分立が徹底した民主主義国家ではない)が尊重される多極化時代を目指しているということで、非米側陣営の目的・目標である。人道に反する非動を続けてきたと見なされているキム・ジョンウン総書記がそんなことを公式発表しても、信じることは不可能という意見の方が圧倒的だろう。サイト管理者にも、日本人の拉致や韓流ドラマを視聴した国民に対して厳罰を下すことなどを始めとした北朝鮮の極悪非道な行為を思えば、そうした意見は考慮せざるを得ない。ただし、北朝鮮が「主体思想」に則り、自主孤立路線外交を行い、給与の策として核兵器開発・製造に取り組まざるを得なかったという事実はそれなりに理解できる。

サイト管理者は、北朝鮮が中国に習い(恐らく、中国の要請)、一時的に改革・開放路線を採り、北朝鮮とソ連(当時)・中国が国境を接する戸満江(とまんこう)の流れる羅津(ラジン)・先鋒(ソンボン、旧称・雄基、現在羅先=ラソン=)の海外諸国企業に向けた見本市を取材したことがある。ただし、北朝鮮国内の辺境地帯にある。やる気があったのか、疑われる。北朝鮮が改革・開放路線を取り続けることを期待していたが、恐らく、軍部の圧力で同路線は終わった。ただし、朝鮮半島の発祥の地は韓流ドラマ「朱蒙(チュモン)」で名高い高句麗、つまり、現在の北朝鮮である(注:朱蒙の記念館は北朝鮮にある)。サイト管理者が小学生のころの歴史の教科書には、北朝鮮は工業国、韓国は農業国と書かれてあった。天然資源が韓国よりも豊富だったからだ。北朝鮮には、小野田セメントも直接投資していたが、同社の名誉会長にインタビューしたこともある。

 

しかし、韓国もセ・マウル運動と貿易(特に、対中貿易)により、工業国として発展し、一人あたりの国民所得では日本を追い抜いて既に先進国の仲間入りをしている。北朝鮮がロシアから市場経済を導入、北朝鮮なりに安定させれば、北朝鮮にも経済発展の余地がある。そのためには、軍部独裁体制を終焉させ、テクノクラートによる市場経済体制を本格的に導入・定着させなければならない。そういう大転換ができるか否かが、露朝同盟の成否を決定する。なお、トランプ大統領時代に米国と北朝鮮は国交回復しようとしたが、当時の軍産複合体が妨害して頓挫した。

今回の露朝同盟に対して、「中国・習近平主席体制の失敗」を意気揚々と指摘する自称する「識者」もいるが、プーチン大統領の大統領就任後の最初の訪問先は中国である。同大統領が中国を訪問した際に、習近平国家主席に対して露朝同盟についても詳しく説明したはずだ(注:当時、プーチン政権はウクライナ戦争に北朝鮮の軍事物資や労働力を利用していた)。BRICSを主導する中露両国は、いまや揺るぎない「同盟関係」を築いているからだ。これについて田中氏は、「米覇権潰しを宣言した中露」と題する論考(https://tanakanews.com/240602cnru.php)、有料記事=https://tanakanews.com/intro.htm=で、次のように解説しておられる。

長期的かつ世界的な視点で熟考してみると、今回の中露サミットは画期的だ。米国(米英)の単独覇権体制に対して、勝ち目がありうる形で対抗した勢力は、少なくとも50年ぶりぐらいだからだ。80年前の日独伊は米英に対抗したが、敗北して傀儡化された。50年前には、米英に敵視されたソ連が東側陣営を固めたが、あの冷戦体制は実のところ米英(米国を牛耳った英国)が仕掛けた策であり、ソ連は間もなく劣勢になった。Russian MFA describes Putin’s China trip as defining for world’s future

今回も、仕掛けたのは米国(米上層で英国系と暗闘して勝っている隠れ多極派)であるが、50年前の冷戦と異なり、米国側が劣勢、中露非米側が優勢になるように仕掛けてある。資源類は世界の過半を非米側が握っているし、その決済体制もBRICSで作られている。対立が長引くほど、米国側が買う資源類が高騰してインフレから金利高騰、債券バブルとドルの崩壊になり、米覇権が終わる。Russian Firms Adopt Stablecoins In Cross-Border Transactions With Chinese

非米側の新体制は、2年前のウクライナ開戦で立ち上がり、中露はこの新体制の構築に積極的だったが、これまでは新体制の構築だけが語られ、新体制を活用して米覇権に対抗していくところまで宣言されていなかった。ロシアは単独でその意思を見せていたが、中国は慎重だった。米国への対抗を宣言したら、米国から敵視制裁を強められ(米覇権が潰れるまで)米国との潰し合い・果たし合いに発展するからだ。今回初めて、米国が理不尽に覇権を振り回すので正当防衛としてやむを得ず、と言いつつ、中露が結束して米覇権に対抗して(潰して)いく方向性を、中露が共同宣言した。Russia, China should jointly counter unilateral sanctions – Wang Yi

米国側(G7とNATOと豪NZ)以外のほとんどの国は、中露が主導する非米側に入っている。米国側だったASEAN諸国も、タイがBRICS加盟を検討開始するなど、親米を維持しつつ非米側に入る傾向を強めている(注:プーチン大統領の次の訪問先はASEANの重要国ベトナム。ASEAN諸国もステルス外交を行っている)。Thailand announces intention to join BRICS, accelerating dollar’s demise

今後、BRICSを指導国群とする非米側陣営(注:米側陣営の主要メディアはグローバル・サウスなどという言葉を使って、米国一極覇権体制の終焉する時代が来ることを国民に知らせないが、サウジアラビアはグローバル・サウスに入れている。サウジは北半球に位置しているのではないか)の国際政治・経済(独自の決済システムを含む)・軍事体制の姿が次第に明確になってくるだろう。

さて、これまでG7を開いて世界を指導してきた米側陣営であるが、欧州を中心に大きな変化が起こりつつある。欧州連合(EU)の政策を決定する欧州議会選挙(720議席)では、右派が躍進し、マクロン仏大統領は下院の国民議会の解散・総選挙で勝負に出た。NHKは次のように伝えている(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240610/k10014475861000.html)。

EU=ヨーロッパ連合の重要な政策を左右するヨーロッパ議会選挙は、EUに懐疑的な右派や極右の政党が議席を増やす見通しです。極右政党が大勝する見通しとなったフランスでは、マクロン大統領が議会下院を解散すると明らかにし近く、選挙が行われることになりました。ヨーロッパ議会選挙は今月6日から9日にかけて加盟27か国で投票が行われました。日本時間の10日午前8時すぎにヨーロッパ議会が発表した議席予測によりますとフランスではEUが統合を進めて強い権限をもつことに反対する極右政党の「国民連合」が、マクロン大統領率いる与党連合に対し獲得議席で倍以上の差をつけて大勝する見通しです。

マクロン大統領は急きょテレビ演説を行い、「ナショナリストや扇動的な政治家の台頭はフランス、そしてヨーロッパにとって危険だ」と述べ、極右政党の躍進に危機感を示しました。その上でフランスの将来について国民に信を問うことが必要だとしてフランスの議会下院にあたる国民議会を解散すると明らかにし近く選挙が行われることになりました。

EU加盟国全体でも、720議席のうちEUに懐疑的な右派や極右の政党が所属する2つの会派があわせて130前後と改選前に比べて議席を増やすほか、この会派に入っていないドイツの右派政党「ドイツのための選択肢=AfD=」も14前後と議席を増やす見通しです。

米側陣営のメディアはいつも排外的な「極右」と読者に対して暗黙のうちに、価値判断を強要しているが、欧州議会選挙で右派が躍進したのは、ウクライナ戦争による対露経済制裁の返り値を浴びて資源・エネルギー価格がコストプッシュ・インフレによって高騰し、このため生活必需品の物価も上昇し、生活難に追いやられているからだ。

欧州中央銀行は6日、「インフレ率の低下」を理由に、政策金利を、①主要な政策金利は現在の4.5%から4.25%に、➁金融機関から資金を預かる際の金利は4.0%から3.75%−へと0.25%引き下げた。しかし、ラガルド総裁は「ヨーロッパ中央銀行が金融引き締めを緩和する段階に入ったかどうか問われたのに対し『その可能性は高いがデータに左右されるものでありスピードや時間は非常に不確かだ』と述べ、今後の利下げについては確約できるものではないという考えを示しました」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240606/k10014473261000.html)と述べており、真のインフレ沈静化には自身を示していない。要するに、景気が悪いから利下げしたのだと考えられる。

マリーヌ・ルペン氏が率いる「国民連合」の躍進は、フランス国民議会の下院解散後も続き、マクロン仏大統領は自爆解散を行ったという結果になるのではないか。米国の対米従属国で有り続けてきた欧州各国の既成のエスタブリッシュメントは今後、一層苦境に立たされるだろう。英国でも総選挙が行われるが、政権党の保守党が歴史的大敗を喫するとの見方は依然として変わっていない(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240614/k10014480521000.html)。

イギリスで7月に行われる総選挙で政権を争う2大政党の公約が出そろい、与党・保守党は大型減税、最大野党・労働党は経済成長の実現などをそれぞれ柱に掲げました。支持率は依然として労働党が大きくリードし、政権交代が現実味を帯びています。

つまり、不景気の克服が総選挙の最大の焦点になっているわけだが、英国も含めた欧州の不景気は、ウクライナ戦争でロシアを大規模経済制裁した返り値をコストプッシュ・インフレを主因としたインフレが収まらず、インフレで国民の生活が苦しくなっているからだ。EUもEUから離脱した英国も、バイデン政権に従属させられ、戦後に例を見ない不況に陥り、しかも、その不況が続いている。さて、米国だが田中氏は「トランプの有罪(https://tanakanews.com/240616trump.htm、無料記事)」で次のように解説しておられる。

トランプは、民主党エスタブ側から潰されるほど強くなり、人気が増している。バイデンや民主党は、謀略をやるほど不人気になっている。予想される2人の得票差はすでに、選挙不正によって勝敗を改竄できる上限と思われる10%をはるかに超えている。11月の大統領選はトランプの勝ちになる可能性が高い(注:イラン大使を務めた外務省出身で現在、東アジア共同体研究所長の孫崎享氏によると、バイデン大統領はG7首脳の共同写真撮影の際に、その場を離れて徘徊した=https://www.youtube.com/watch?v=iBinQI-4nE0=。また、タイムスのインタビューに対して意味不明の言葉を羅列したという。同大統領の認知能力は今後、著しく低下する公算が大きい。なお、まともな発言としては、NATOにはウクライナを加盟させないと言ったことだ。つまり、NATOは第5条に従って、ウクライナを共同防衛することを諦めたということだ)。権力や覇権を是が非でも維持したい民主党エスタブ側が、驚くべき策略をやって選挙結果をねじ曲げる可能性はあるが。もしくはわざと戦争や内戦を起こして選挙自体を実施不可能にして、ゼレンスキーみたいに政権に居座るか。“Nothing Will Make Sense To You Unless You Accept That The 2020 Election Was Stolen…”Trump Complains About the Israel Lobby Losing Influence on Congress

トランプが当選・就任できたら、ニッキー・ヘイリーを国務長官あたりに就けるかもしれない(注:副大統領候補に抜擢するとの指摘もあるが、ケネディ暗殺のようによほどのことがない限り、ほとんど名誉職)。ヘイリーは、共和党内で最後まで立候補を取り下げずにトランプと戦い続けた候補だ。ヘイリーは5月23日に立候補を取り下げ、トランプ支持を宣言した。するとトランプは5月25日に、ヘイリーを自陣営に入れて何らかの要職につける考えを表明して「われわれの考え方は似ている」と評価した。Trump Suggests Nikki Haley Will Be ‘On Our Team In Some Form’Nikki Haley Endorses Trump, Says He’s Not Perfect But Biden ‘Catastrophe’

その後、ヘイリー氏は5月30日にイスラエルを訪問し「(トランプの)米国は、イスラエルを徹頭徹尾、全力で支援支持する」と宣言した。イスラエルは、トランプが最も重視している同盟相手だ。イスラエル(ユダヤ人)は米政界を牛耳っている。バイデン政権や民主党は、党内左派に引きずられ、イスラエル批判を強めている。伝統的に民主党支持だったユダヤ人がトランプ支持に鞍替えしたら、トランプの勝算がぐんと強まる。Nikki Haley Visits Israel, Writes ‘Finish Them’ on Israeli Artillery ShellHouse Signals Tough Line For UN If Trump Wins In November

トランプ候補も不正選挙の温床である郵便投票に力を注ぎ始めたとの情報もあるが、サイト管理者としては、疑わしいと思う。バイデン政権による司法を武器としたトランプ候補の選挙妨害をはねのけて「もしトラ」が実現するとともに、そのトランプ大統領が国際情勢の現実(米側陣営と非米側陣営に分裂しており、米側陣営が苦境に立たされているという現実)を正しく認識すれば、福音派キリスト教会にも支持基盤を持つため、米側陣営と非米側陣営の対立は止揚される可能性がある。大規模不正選挙でそうならなければ、米国はかつての南北戦争前夜に陥るだろう。なお、トランプ候補が大統領時代に進めた米朝関係正常化が失敗したのは、軍産複合体に妨害・阻止されたためと見方が強い(植草一秀氏による)。

日韓は協力して対北朝鮮対策を見直さなければならない。日本の(注:岸田文雄首相の後継者とされる)林芳正官房長官は、午前の記者会見で「会談の結果を重大な関心を持って注視している。プーチン大統領が関連の国連安保理決議への直接的な違反となりうる北朝鮮との軍事技術協力を排除しなかった点は、わが国を取り巻く地域の安全保障環境に与える影響の観点からも深刻に憂慮している」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240620/k10014486581000.html)、韓国も「ロシアと北朝鮮が軍事的な支援を明記した新たな条約に署名したことについて、韓国大統領府は声明を発表し「厳重な憂慮を示し糾弾する」として、非難しました。大統領府の高官は、今回の署名をうけて、殺傷能力の高い兵器をウクライナに供与しない、これまでの方針を見直す可能性にも言及しました」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240620/k10014487371000.html)などと述べている。

しかし、両国ともいずれ「ステルス外交」を展開しなければならなくなるだろう。既にその兆候は現れている。5月末に開かれた日中韓サミットだ。日本は1972の日中共同声明で、①中華人民共和国を中国の正当な後継政権と認める➁台湾が中国(中華人民共和国)の不可分の領土であると認識する−とうたっているし、韓国も中国と国交正常化し、寒中貿易で経済成長を行っている。事実上の中露同盟を築いている中国との関係を本格的に改善させていかなければならなくなるだろう。

なお、今回、イタリア南部のブーリアで開かれたG7(先進七カ国首脳会議)では、「制裁によって凍結したロシアの国有資産から得られる収益を活用し、約500億ドル(約7・8兆円)以上を新たなウクライナ支援に充てると明記」(https://www.zakzak.co.jp/article/20240620-GQUBOHDMWFNYDOCMR4LUHR5FUY/#:~:text=%E8%AD%B0%E8%AB%96%E3%81%AE%E6%88%90%E6%9E%9C%E3%82%92%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81,%E3%81%AA%E6%89%8B%E7%B6%9A%E3%81%8D%E3%81%8C%E8%A1%8C%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%82)している。

米側陣営が高度軍事兵器を供与してもウクライの敗北は避けられない

既に紹介した外務省出身(国際情勢分析局長、イラン大使などを歴任)の孫崎享氏によると(https://www.youtube.com/watch?v=iBinQI-4nE0&t=3088s、動画の3分の2以降)、米側陣営が高度軍事兵器を供与してもウクライの敗北は避けられない。孫崎氏はロシアが2022年2月「特別軍事作戦」を開始することを予想して(注:ロシアをウクライナ誘導することにつとめていたから当然のこと)、ウクライナにあらかじめ対戦車ミサイル、攻撃用ヘリコプターなどを供与していた。最近では、ドローンを戦闘機用に改造した無人攻撃機を供与している。だから、米側陣営はウクライナがロシアを追い返すと「革新的な」予想を行い、ゼレンスキー大統領もクリミア半島を奪回すると豪語していた。

しかし、ロシアは米側陣営から徹底的な経済制裁を受けながらも、大量の資源・エネルギーの非米側陣営への輸出をもとに経済を強化し、その一環として国防産業も相当に強化してきた。これに加えて述べると、米側陣営の武器や砲弾供与は要するに国防産業(軍産複合体)の金儲けのために行っている。原資は、国民からの税金だが、どの国も財政赤字なので、政府と中央銀行が持つ紙幣発行権による紙幣の増発によって行っている。これは、「ヘリコプーマネー」であり、激しいデマンドプル・インフレの温床になる。また、需給の原理に基づかなければならないから、武器や砲弾の価格も上昇する。ロシアでは、そういう事態を最小限に抑えられるから、現在では、それがあって初めて使える高度な武器に必要な種々の砲弾生産の数において、ロシアは非米側陣営の供与分を含めて約3倍の生産数を確保している。

最近では、ウクライナでは極端に戦闘要員が少なくなっており、犯罪を犯して刑務所に送り込まれている囚人を戦闘の最前線に送り込んでいる有様だ(前線では100万人ほどの戦闘要員がいるが、ここ数か月で10万人が戦死し、大打撃になっているため。韓流時代劇ドラマ風に言えば、囚人が戦闘の先鋒役を担っている)。砲弾など弾薬や戦闘要員の数の圧倒的な差によって、米側陣営が500億ドル相当の武器を供与しても、米側陣営ではデマンドプル・インフレとコストプッシュ・インフレの相乗効果による激しいインフレに襲われる一方で、ウクライナはロシアに対する戦闘で敗北せざるを得ない。米側陣営の通信社を含むメディアではたいていのところ、「ウクライナが反転攻勢を行っている」旨の楽観的な「報道(実際は国民に対する洗脳戦術)」しかしない。ただし、ウクライナが最終的には勝利すると断定しているメディアは、寡聞にして聞かない。

サイト管理者のみるところ、世界的な通信社ブルームバーグはだいたい、ウクライナに有利、ロシアに不利な戦闘状況しか配信していないが、そのブルームバーグも6月21日、「ロシアが進めるハイブリッド戦争、NATO東部国境は第2戦線の様相」(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-06-21/SFDV66DWX2PS00)と題して、ロシアとその同盟国ベラルーシが、NATOに属するエストニア攻撃に備えていることを報道している。

5月23日午前0時を少し過ぎた頃、エストニアとロシアを隔てるナルバ川で、エストニアが設置した国境線を示すオレンジ色のブイを覆面をかぶった数人の男が撤去し始めた。この川はエストニアとロシアの国境だけでなく、北大西洋条約機構(NATO)とロシアの境界でもある。5月下旬の北ヨーロッパは、この時間でも薄日が差す。このためロシア側による撤去の動きはエストニア側に丸見えで、必ずしも夜陰に紛れて行うことが意図されてはいなかった。エストニアはバルト諸国、さらには西側全般に対するロシアの明らかな意思表示だと受け取った。

これ以外にも、ロシアおよびその同盟国であるベラルーシと3550キロに及ぶ国境を接する国々に対して、挑発や不安をあおる行為が続いている。NATOの集団的対応を発動させるような従来型の攻撃には概して至らないものの、ロシアがウクライナに全面侵攻を開始した2022年2月以降、こうした類いの行動が頻度を増している。実際、バルト諸国は西側とロシアとの第2戦線の様相をますます濃くしている。フィンランドのストゥブ大統領は今月14日にヘルシンキで開かれた外交政策フォーラムで、「ロシアは現在、2つの戦争を進めている」と指摘。「1つは動的な、従来型のウクライナでの戦争だ。もう1つは欧州と西側でのハイブリッド戦争で、世論に影響を及ぼしたり、われわれの安全意識をある程度動揺させたりすることが狙いだ」と語った。

ウクライナに加えて、欧州のNATO諸国も狙いに定められている。孫崎氏は、「武器(や弾薬=砲弾=)の生産で、西側諸国(欧米諸国を中心とした米側陣営)がロシアに追いつくことはない」と断言している。こうしたウクライナの戦線悪化とNATO諸国のために、既に述べたようにバイデン大統領は「NATOはウクライナを加盟させることは有り得ない。武器は供与するから自国は自国で守れ」と前言を翻さざるを得なくなってきた。ウクライナの敗北は既に既定路線になっている。ロシアの参加しない「平和サミット」も茶番劇に終わった。

なお、孫崎氏によれば、米側陣営はウクライナ支援のための巨額な資金を得たように見えるが、中長期的に見ると米国に逆らえばドル建て資産(ドルとドル建て有価証券=米国債と株式、中でも世界一の米国債保有国は日本だ。円安を食い止めるためにも少しずつ、早期に売却すべきだが、市場原理国と自称する米国が許さない=)を没収されることになり、非米側陣営諸国を始めとして世界の各国はドル建て資産を保有したがらなくなる。つまり、中長期的に見れば、世界各国のドル離れが進むことになり、その代わりに金地金の相場がかなりの勢いで進行することになる。ドルを中心とした金融・資本・為替市場(ドル基軸通貨体制)の崩壊(米側陣営の金融大崩壊)を加速することになる。G7も落ちるところまで落ちてきた。

既に述べたように、NATOを中心とした米側陣営諸国がウクライナに対して武器を供与するのは、ウクライナが自力で自国を防衛させるためであり、バイデン首相など米側諸国はウクライナをNATOに加盟させて第5条(集団防衛の義務を定めた条項)を発動するという選択肢は捨てている。米側陣営諸国がどんなに高度な軍事兵器を供与しても、砲弾や軍人の数から言って、最早、ウクライナが勝つということは絶対に有り得ない。

加えて、ゼレンスキー大統領の任期は5月20日に終了しており、戒厳令下・戦時体制下にあると言っても法的措置を打つべきであり、ゼレンスキー政権に正当性はない。ロシアでは、大統領選挙を行い、米側陣営のメディアは不正選挙だとして非難したが、大多数の国民が圧倒的に支持したのは確かだ。人口4千万人のうち1千万人ほどが海外に脱出しているウクライナ国民のための最適な道は、中国が指摘するように現在の戦況を踏まえて、ウクライナとロシアが領土問題を含めた和平交渉を行うことである。プーチン大統領はロシアが掌握している東南部の地域からウクライナ軍が撤退することを基本的な和平案としているノボロシア構想の実現)。

マックス・ウェーバー=大塚史学による辺境革命論からみた現代

本サイトでは、ウェーバー=大塚理論による先進−周辺−辺境革命論(https://www.it-ishin.com/2020/08/16/historical-sociology-2/)による文明の興亡を歴史の根本の見方に据えている。サイト管理者が、この理論に基づいて現代情勢を探ると、欧米文明が文明の先進地帯、文明の辺境地帯であるが次の文明の中心地帯になるのはアジア地帯(注:基本的には世界化の時代なので、世界福地化革命にならざるを得ない)、高度な宗教や科学が創造される文明の周辺地帯は朝鮮半島・日本(古代朝鮮の時代は、朝鮮と日本は融合していた)であると思われる。

ただし、韓国は4月10日に行われた総選挙で最大野党が地滑り的勝利を収め、3年の任期が残る尹錫烈(ユン・ソンニョル)大統領は苦境に立たされている。日本も「政治とカネ」という次元の低い問題の処理に失敗した岸田文雄政権に対して、自民党の麻生派から退陣要求が出ており、政治的に極めて混迷している。両国とも日韓米による朝鮮半島統一という考えの根本が、露朝同盟によって崩壊した。

こういう時こそ、サイト管理者としては、宗教者(預言者・祭司・科学を熟知した知識人)が宗教的アプローチと経済的アプローチを両輪の輪に、国際情勢の現状を正しく把握して、米側陣営と非米側陣営の対立を止揚する理論と政策論、運動論を展開しなければならないと考えている。

現在の金地金の相場

三菱マテリアルによる現在の金地金の相場は下図の通り。1トロイオンス=2000ドルを大きく超えているが、金地金相場の変動の材料が分からなくなっているため、大きくは動いていない。

 

 

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう