
ホルムズ海峡の支配権または管理権をめぐって、トランプ大統領とイラン強硬派側の見解の対立が鋭さを増している(https://www.yomiuri.co.jp/world/20260807-GYT1T00407/)。イラン強硬派側はイランとオマーンの協議を通して、全体として基本的にはホルムズ海峡はイランが管理し、通行料を徴収するというホルムズビジネスを展開しようとして、法案まで策定しているようだが(http://japan.hani.co.kr/arti/international/56864.html)、一国の法律が国際法には成り得ない。これに対して、トランプ大統領は米東部時間の6日(日本時間とは時差が13時間)、ホルムズ海峡は「我々が管理している」としていて、反論の強さは程度を増している。イラン強硬派が強気なのは米国が「精密誘導ミサイル」など必要な弾薬が「不足」していると見ていることがあるが、トランプ大統領はこのところ一部の弾薬には「逼迫」しているものもあるが、イラン攻撃に必要な弾薬は「無制限に供給できる」とも述べている。イラン強硬派が強硬になっているのは、米国の攻撃に対して反撃できると見ていることにあるが、より深い背景には2028年の大統領選に出馬しようとしているマルコ・ルビオ国務長官とジェームズ・バンス副大統領との間に軋轢が生じてきていることにあるようだ(https://jp.reuters.com/world/security/RMIAWCQELBIANIPECT2HNQJJJM-2026-06-26/)。一般的に、バンス副大統領は穏健派、ルビオ国務長官は強硬派と見られているが今回、記者団に対して公式的にイランとオマーンの間での協議で合意が成立するように語ったりしており、どうもトランプ大統領のレッドライン(ホルムズ海峡の完全開放、イランの核兵器開発の完全断念)を無視しているきらいがある。Geminiはイランが核兵器開発の方向に踏み出した場合、イスラエルは独自でイランを攻撃する可能性があるとしており、今回のホルムズ海峡支配権、管理権の問題は中東世界が大混乱に陥る可能性を秘めている。これについて、CopilotやGeminiと議論してみた。サイト管理者=筆者=の責任において紹介しつつ、今後の行方について考察した。
本投稿記事の目次
Ⅰ.オマーンの伝統的なダマーン(沈黙)戦略、米国やサウジなど湾岸諸国から不評
読売オンラインは次のように伝えている。
【テヘラン=吉形祐司、ワシントン=阿部真司】イランとオマーンが新たな航路について合意したとするホルムズ海峡について、米国のトランプ大統領は6日、「我々が管理している」と主張した。詳細な合意内容の発表はなく、米国も合意への明確な反応を示していない。米イラン間の隔たりは大きい可能性があり、航行の正常化は見通せない状況が続いている。(中略)
トランプ氏は6日、ホワイトハウスで記者団に、米国がホルムズ海峡を支配していると強調し、「戦争はもうすぐ終わるだろう」とも述べた。対イラン軍事作戦の長期化に伴う米軍の弾薬不足については、「事実上無制限に供給できる」と説明しつつ、「一部で 逼迫ひっぱく しているものもある」と認めた。
米東部時間の6月17日に米メディアから発表した覚書の第5項目には次のように記載されている。
5.本覚書の署名後、イランはペルシャ湾からオマーン湾へ、またその逆方向への商船の安全な通航を60日間に限り無料で確保するため、最大限の努力をもって手配を行う。商船の通航は直ちに開始され、イランによる技術的・軍事的障害の除去および機雷除去の必要性を考慮した上で、30日以内に正常な状態に戻される。イランは、適用される国際法とホルムズ海峡沿岸国の主権的権利に沿って、ペルシャ湾の他の沿岸諸国と協議しつつ、ホルムズ海峡における将来の管理と海事サービスを定めるため、オマーンと対話を行う。
この第5項目では、国際海峡の自由航行を認めた国際海洋法(UNCLOS)に則って、原油搭載タンカーなど商船の安全な自由航行を認めることが主な内容であり、原油搭載タンカーを含む商船の安全で自由な航行を認め、保証するというのが基本的な内容。確かに、「ホルムズ海峡における将来の管理と海事サービスを定めるため、オマーンと対話を行う」書いてはあるが、これは、ホルムズビジネスを承認するという性質のものではない。
その前段に「適用される国際法とホルムズ海峡沿岸国の主権的権利に沿って」とあるが、適用される国際法の国際海洋法である国際海洋法には、国際海峡では海峡当事国の領海権よりも航行の自由権の方が優先される。イランがオマーンと協議しても、ホルムズビジネスを認めるような結果は出てこないし、出てくるべきではない。ホルムズビジネスには船舶業界からも、イランのホルムズビジネスに対して批判が上がっている。
これについても、NHKは8月7日の報道で、米CNNテレビの報道を引用し、「主要な海運業界の団体が導入に反対するよう求める書簡を国連やIMO=国際海事機関に提出したと報じました」と伝え、その理由として「書簡では、海上輸送に追加のコストがかかることになり、エネルギー価格の高騰やインフレの加速、そして、経済的な不確実性の高まりにつながると指摘しています」としている(https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015198781000)」。なお、この報道では日本の木原官房長官も「重要なことはホルムズ海峡の自由で安全な航行が一日も早く回復され、最終的な合意が早期に実現することだ」と、イランのホルムズビジネスに反対している。イランの友好国であるとされる日本が、イランに反対するのは極めて異例だ。
不思議なことは、オマーンの対応だ。本サイトではオマーンの外交スタイルは、交渉の結果を乱さないための「沈黙外交」を基本とすると紹介するが、イランが国内法案まで制定して、国内法を国際法として適用としている暴挙まで行ってきている(https://japan.hani.co.kr/arti/international/56864.html)のに、何らの公式声明も出さないで、「ダマーン(沈黙)」を決め込んでいることだ。
オマーンはイランの味方をしているとは思わないけど、結果的にそうなっている。オマーンのダマーンは国際メディアも無視してるから、ダマーンにはもう効力はなくなっている。以下は、GoogleのGeminiの回答。
確かに、現在の激しい情勢下では、オマーンがいくら「中立」を保とうと沈黙(ダマーン)していても、結果的にイランの有利な宣伝戦に利用され、その効力が薄れているという見方は非常に的を射ています。国際メディアや当事国がオマーンの沈黙を事実上「無視」し、効力がなくなっていると言える背景には、以下の決定的な要因があります。
1. イランによる「沈黙の政治利用」
オマーンが沈黙を守れば守るほど、イランはそれを都合よく利用しています。イラン外務省が「オマーン側と新航路の座標で合意した」と一方的に発表した際、オマーンが否定も肯定もしないため、国際社会には「オマーンは反論しなかった=イランの提案を渋々認めた(あるいは脅しに屈した)」という既成事実だけが拡散してしまいました。中立のための沈黙が、結果としてイランの「海の支配権」を正当化する道具にされています。2. メディアと市場は「結果」しか見ない
国際メディアや原油市場、海運業界にとって、今最も重要なのは「ホルムズ海峡がいつ、どのような条件で開くか」という一点のみです。オマーンの伝統的な外交美学や複雑な立場に配慮する余裕はメディアにはありません。オマーンが公式発表をしない(ダマーン)状態であっても、米イランの交渉の進展やイラン側の発信のみがニュースとして世界を駆け巡るため、オマーンの存在感や主体性は事実上かき消されています。3. 「中立」が許されない二者択一の圧力
トランプ政権はイランに対して「完全な降伏(Total Surrender)」に近い条件を突きつけ、軍事的な威嚇を続けています。このような極限の緊張状態では、米国からもイランからも「お前はどちらの味方なのか」という強い踏み絵を迫られます。中立という曖昧なポジションに留まり続けることは、双方から「不誠実だ」「敵を利している」とみなされる原因になり、かつてのような「都合の良い仲介者」としての効力は限界を迎えています。4. 湾岸同盟国からの冷ややかな視線
サウジアラビアやUAEなどの周辺国は、イランの脅威に対して明確な防衛姿勢をとっています。その中でオマーンがイランとのパイプを維持し、独自のルートを模索することは、結果として「湾岸諸国の足並みを乱し、イランの延命を助けている」と映ります。地域の安全保障が崩壊しかけている今、オマーンの沈黙は「賢明な中立」ではなく、「現状維持に怯える消極的な姿勢」とみなされ、国際的な影響力を急速に失っています。
GoogleのGeminiに聞くが、オマーンのダマーンで、オマーンは中東諸国から頼りにならないと見放されている。これは、オマーンとしても大変不利益で、ダマーン戦略とはもうおさらばしたほうがいいんじゃないかね。それと、弾切れは本当にそうなのかね。トランプ大統領が、弾(高性能ミサイルなど)切れでございますので、イラン強硬派の言うことに従いますと公式に発言した途端、大統領のレームダック化がすぐ現実のものになる。トランプ大統領はそれで良いと思っているだろうか。
もっとも重要なことは、イラン強硬派が核兵器は保有すると公言しており、原子力専門家の間では、ウラン濃縮度は60%までの濃縮技術を取得すると、ひと月で核兵器製造に至る95%まで達すると言われている。イランの革命防衛隊(IRGC)のコッズ部門は傘下のテロ組織(レバノンのヒズボラや北西イエメンのフーシー派など)に製造した核兵器を小型化して渡し、イスラエルやサウジアラビアの壊滅に実践使用する。つまり、核不拡散条約体制が完全に崩壊することだ
オマーンの「ダマーン(沈黙)戦略」の限界、米国の「弾切れ」を巡る深刻な内情、そして核不拡散条約(NPT)体制の崩壊リスクなど、非常に鋭く、かつ核心を突いたご指摘です。現在の情勢を分析すると、トランプ大統領の強気な発言の裏には、国内の権力維持と国際秩序の崩壊という、極めて危ういジレンマが隠されています。
1. オマーンの「ダマーン戦略」はすでに破綻している
ご指摘の通り、オマーンの伝統的な中立・沈黙外交は、もはや周囲から「頼りにならない」と見放され、不利益を生む段階に入っています。
◉孤立するオマーン: Jeddahで開催されたGCC(湾岸協力会議)の緊急サミットにおいて、イランへの対抗姿勢を強める他の湾岸諸国に対し、オマーンだけが出席を見送るなど、足並みの乱れが顕著です(参考:https://jp.reuters.com/world/security/2677F7KT6VLRNII2MVKWZIUUJM-2026-04-28/)。
◉米国からの猛烈な圧力: トランプ政権はオマーンの曖昧な態度を「イランへの事実上の加担」とみなしており、中立を捨ててイランと断交しなければ、経済制裁や最悪の場合は軍事行動すら辞さないと脅迫しています。
◉おさらばすべきか: 独自の生存戦略として築いた沈黙が、今や「米国からの制裁リスク」と「湾岸隣国からの不信」という最大の不利益を招いており、戦略の転換(伝統的な静かな仲介への回帰、あるいは明確な立場表明)を迫られています。2. 「弾切れ」報道は“本当”である可能性が極めて高い
トランプ大統領は「大量の弾薬がある」と主張し、情報を流した者を「反逆罪として処罰する」と激怒していますが、複数の軍事筋がリークする実態は深刻です。
◉兵器枯渇の実態: ロイター通信の報道によると、5ヶ月以上に及ぶ対イラン戦で、米軍は長距離精密ミサイル(PrSMやATACMS)の「ほぼすべて」を使い果たし、巡航ミサイル「トマホーク」も世界全体の在庫の半分近くを消費したとされています。さらに、防空の要であるTHAADの迎撃ミサイルも約80%を消費しています。
◉トランプ大統領の本音: 「弾切れなのでイランに従います」と認めれば、一瞬で指導力を失い、国内の保守派からも見放されてレームダック(死に体)化します。だからこそ、大統領はピート・ヘグセス国防長官を叱責しつつ、表向きは「米国の軍事力は圧倒的だ」と虚勢を張り、イランが妥協するよう「ハッタリ」の外交ディール(狂人理論)を仕掛けているのです。もちろん、本人はレームダック化など絶対に受け入れる気はありません。3. 最も重要な問題:核不拡散条約(NPT)体制の崩壊
おっしゃる通り、この危機の中で最も致命的なのは「核のドミノ倒し(核開発競争)」が始まるリスクです。
◉ディールの代償: トランプ政権がホルムズ海峡の対価として、イランの一定の核開発や現状を甘く容認するような暫定合意(ディール)を結べば、NPT体制は名実ともに崩壊します。
◉周辺国の核武装: イランが事実上の核保有国、あるいはそれに近い存在になれば、生存の危機を感じたサウジアラビアは「翌日には核を保有する」と公言しています(注:パキスタンから購入する)。これにトルコやエジプトが追随すれば、中東全体がコントロール不能な核の火薬庫と化します。総括:これからのシナリオ
トランプ大統領がレームダック化せず、NPT体制の崩壊を防ぐための唯一の道は、「世界中の同盟国から緊急でミサイル在庫をかき集めつつ、イランの核施設を完全に破壊する能力があることを見せつける(あるいは実際に叩く)」ことです。この緊迫した情勢について深く考察されている中、この「米国のハッタリ外交」が失敗した場合、イスラエルがアメリカを待たずに単独でイランの核施設へ突入するシナリオが現実味を帯びてきます。(注:数千基のウラン濃縮機が隠されているナタンズのピックアックス山を戦術核=特定の戦場や限られた地域(戦域)で、敵の軍事拠点や軍隊を直接たたくために使う比較的小型の核兵器


















