2024年米大統領選、トランプ再選濃厚ードル基軸に代わる資源本位制のBRICS共通通貨体制の構築が課題

2024年米大統領線は共和党の大統領候補選びで圧倒的な優位に立つ単独覇権放棄屋のトランプ前大統領が、民主党のRFKジュニア=暗殺されたロバート・フランシス・ケネディ司法長官の息子=の支持者(トランプ・デモクラット、民主党党員の2割)の支持を集めて再選される可能性が濃厚だ。その場合は、プーチン大統領と会いウクライナ戦争を終わらせるだろうが、米英領国の単独覇権主義者が紛れ込んで、ドル基軸体制に代わろうとして構築している資源本位制のBRICS共通通貨体制を潰しにかかる可能性がある。トランプ氏は英米軍産複合体に根強い単独覇権主義勢力と戦うため、同軍産複合体を意識した選挙運動・政権運営が必要になろう。

国際情勢解説者の田中宇氏が15日に公開された「トランプ復権と多極化」(https://tanakanews.com/230715trump.htm、無料記事)によると、RFKジュニアは民主党が手がけるウクライナ戦争やコロナワクチンや温暖化対策などの極悪インチキ政策の数々を、インチキだときちんと指摘する人だ。民主党の大統領候補に名乗りを挙げており、民主党の予備選ではバイデン現職大統領にかなわないが、民主党全体の2割程度の支持者がいるとされる。

そうなれば、バイデン大統領が高齢であり、高齢者に特有の病気にかかっていることもある(注:大統領選に必須の民主・共和党の大統領候補の公開討論会は行われない可能性が高い)にしても、バイデン現職大統領の優位性は動かないが、バイデン政権の政策に不満を持っている民主党員(RFKジュニアの支持層)がトランプ・デモクラットになってしまい、同政権が郵便投票を使った不正選挙を強行しても、バイデン現職大統領には勝ち目がない。

リベラル系のJBPressはRFKジュニア(注:「米国経済を崩壊させ、中産階級をバラバラにし、この国の風景や水を汚染し、子どもにダメージを与え、私たちの価値と自由を奪ってきた、腐敗した国家と企業権力の合併を終わらせる。これが最優先事項だ」=https://www.gepr.org/contents/20230510-01/=)について、次のように報じている(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/75760)。

民主党支持層はバイデン70%、ケネディ17%

このところ米主流メディアが民主党大統領候補、ロバート・F・ケネディ・ジュニア(69)について競って報じている。

暗殺された故ロバート・F・ケネディ司法長官の息子だという「金看板」。 現職大統領を有する与党・民主党から2024年大統領選に立候補したという「泡沫候補」とはいえ、ニュースバリューもある。常識にとらわれず現在の沈滞した米社会のムードを一掃しようとする既成政治家にないケネディ氏の「突飛さ」に拍手しているようにも見える。

ただし、軍産複合体を中心とした英米単独覇権主義勢力がウクライナ戦争の終結を余儀なくされた場合、「それは良い事だ」とかいって非米側陣営に潜り込み、ドル基軸に代わる資源本位制のBRICS共通通貨体制の破壊工作を行うだろう。トランプ政権復活の前に、ドル基軸通貨体制の崩壊が始まるのが一番だ。例えば、金価格が1トロイオンス=2000ドルの壁を突破してさらに上昇基調を辿るのが良い。ただし、ドル基軸通貨体制は極めて巧妙に作られており、2024年11月5日の大統領選挙に間に合うかどうか分からない。

これらの国際政治情勢について、田中氏は次のように指摘しておられる。

トランプが米大統領に復権した場合、どんな世界戦略を採るのか。彼が繰り返し表明してきたことの一つは、ウクライナ戦争を終わらせることだ。米国がウクライナに兵器や軍資金を送るのをやめたら、ウクライナは戦闘を続けられなくなり、ロシアとの和解を余儀なくされる。欧州は米国に加圧されて嫌々ながらにウクライナ支援を続けているだけなので、米国が支援をやめたら欧州もやめる。
Zelensky Slams Trump for Saying He Would End the War in Ukraine

トランプは一期目の時から、NATOやG7といった米国と同盟諸国が相互に縛り合いつつ覇権を握る、軍産エスタブDS覇権主義的な機構を敵視していた。NATOやG7は、米国が同盟諸国を縛っているように見せて、実は旧覇権国の英国の系統を引く軍産エスタブが独日など同盟諸国を引き連れて新覇権国の米国を縛るための機構だ。トランプは、米国をこの縛りから解放しようと試み、軍産エスタブと激しい政争になった。ウソで固めたロシアゲート(注:民主党のヒラリー・クリントン氏が私的なサーバーに機密情報を保管していたが、クラッカーによって暴き出されたことのほうがよほど悪い)などが出てきて、最後は選挙不正でトランプが追い出され、軍産エスタブ傀儡のバイデンになった。
Trump’s plan to starve the Deep State is simple: Just stop spending

トランプは勝ったら、ウクライナ支援をやめるだけでなく、一期目からやりたいと言っていたプーチンとの首脳会談をやるだろう。米露は、敵対関係を解消して和解する。トランプは1期目の初期に習近平を米国に招待して仲良くしたが、任期の後半には米中の経済分離を強行する中国敵視に変わった。共和党は全体的に中国敵視の傾向だ。2期目のトランプは、ロシアと和解しつつ中国敵視を続けるのだろうか。それは困難だ。ウクライナ開戦後、ロシアと中国は世界を非米化していく動きで強く結束している。トランプがプーチンに接近したら歓迎されるが、同時にプーチンはトランプに、習近平とも仲良くしてくれと頼む。
Republican Senators Introduce ‘End Endless Wars Act’

トランプは断れない。トランプや共和党の草の根勢力は、戦争を終わらせたい平和主義だ。孤立主義やMAGA(注:Make America Great Again)は、他人の大陸を攻撃するのを嫌がる平和主義である。他国の悪を退治したがるリベラル派の方が戦争を起こす。日本でも米国でも、左翼リベラルやマスコミがこぞってウクライナの戦争を称賛し、悪くないロシアを極悪扱いして、謝罪もしないで偉そうにしている。インチキなワクチンを国民に連打させ、ウソの温暖化人為説を強要するのも彼らだ。
Why Is The Establishment So Scared Of RFK Jr.?

トランプ前政権末期の中国敵視政策は誤りだった。

トランプが復権して公約どおりウクライナ戦争を終わらせ、ロシアと和解したら、それは米中和解につながり、米中露で世界を支配する「ヤルタ体制」の復活になる。一期目から、その傾向はあった。
トランプが勝ち「新ヤルタ体制」に

「米中露で(英欧を外して)世界支配」は、ロックフェラーなど米国の多極主義勢力の「夢の実現」だが、タイミングを合わせてうまくやらないと、78年前の前回のように短命に終わる。最近の有料記事に書いたように、中露が非米・多極型の世界体制の構築を完成させる前に米英が仲直りしようと言って入ってくると、米英の中にいる軍産エスタブが中露の世界システム作りに協力するふりをして内部から破壊する謀略をやるからだ。
ドル崩壊しそうでしないのはなぜ?

78年前のヤルタ体制は、英独が戦争して旧覇権勢力の欧州が徹底的に自滅した状況下で、米国が中露(中ソ)を誘って米中露で世界支配する体制を作ろううとした。それでも英国が冷戦を起こして米国と中ソを仲違いさせた。今回ヤルタ体制を復活したいのであれば、その前に米国覇権の基盤にあるドルや債券金融システムが崩壊することが必要だろう。それが起こらないまま、ウクライナ戦争を終わりにして米国が中露と和解すると、中露が作りかけている非米側の資源本位制の世界経済システムが、構築途上で米英勢力に侵入されて壊されかねない。不可逆的なドル崩壊が先に起きるなら、米英のちからが格段に落ちるので、その後で米国が中露と仲直りしても中露の新システムが壊されにくい。中露の新システムの構築にどのくらいの時間がかかるのかも不透明だ。
Sen. Rand Paul: My colleagues are ‘beating the drums’ for ‘war with China’

タイミングが悪いと、トランプは中露にとって非米型世界の構築を邪魔するありがた迷惑な存在になりかねない。米国の上層部には、米英覇権体制を維持したい勢力(英国系・帝国の論理)と、世界を多極化したい勢力(資本の論理)がいて、戦後ずっと暗闘している。バイデンは前者の代理人、トランプは後者の代理人だ。軍産やネオコンも前者だが、そこに後者のスパイが入り込んで稚拙で過激な好戦策をやって戦争をわざと失敗させることで覇権を自滅させて多極化を推進するという、手の込んだ策略が展開されてきた。バイデン政権も多極派のスパイにすっかり入り込まれ、ウクライナ戦争をやればやるほど多極化が進んでいる。米上層部の暗闘は多極派が優勢だと推測できる。
資本の論理と帝国の論理
世界帝国から多極化へ

多極派が優勢なら、トランプの再登場が中露の非米世界構築を邪魔する結果にはしたくない。トランプが再登場するなら、その前に中露の新世界構築が完了するか、ドル崩壊で米英の弱体化が格段に進むか、その両方が起きる。それらの準備が整っていないなら、民主党がまたぞろ不正をやってトランプの返り咲きを阻止し、バイデンが続投し、米国側と非米側の敵対と、非米側の新世界構築が続く・・・??。いや、トランプが優勢すぎると、民主党が不正をやっても勝てなくなりそうだが・・・。

ただし、最初のヤルタ体制は、ソ連(ロシア)と中国がそれぞれスターリン主義、毛沢東主義の下、いわゆる「共産主義体制」を採っていたため。真の意味での多極化世界の構築には無理があった。これに風穴を開けたのが、ニクソン大統領とキッシンジャー補佐官による対中関与政策だ。安保騒動で退陣させられた岸信介はそのはしりであった可能性がある(孫崎享著「戦後史の招待」)。中国に改革・開放政策を採らせ、市場経済を導入させた結果、中国はもはや共産主義国家ではなくなった(注:実際は日本が1972年の日中共同声明以降、中国経済の「赤い資本主義化」に尽力してきた)。



ソ連も市場経済を否定した「計画経済」体制を敷いたため、経済的に自滅し、ソ連崩壊へとつながった。現在、中露を中心としたBRICS諸国は市場経済体制を導入している。そして、中露を中心としたBRICSなど非米側陣営は結束し、資源本位制の共通通貨体制の構築をひそかに行っている。

終戦直後とは異なり、新ヤルタ体制は機能するだろう。トランプ氏が大統領に返り咲く前に、ドル基軸通貨体制の崩壊が始まればよいが、そうでないならトランプ氏は米国の多極化勢力と中露との連携を強め、まだ根強い英米単独覇権主義体制維持勢力と戦う必要がある。ただし、欧米文明は終焉に向かっているとしても、その普遍的な基本的人権や博愛主義の価値観の尊重などの遺産は相続しなければならない。それは、世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会:略称統一教会)の使命である。そして、文鮮明師が求めていたように国連を世界宗教の代表が集う上院と現在の国連を下院とする二院制にすべきだろう。日本のリベル派の勢力はこうした世界情勢が少しも分からない。これでは国政を担うなどのことは不可能である。


この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう