米露のウクライナ和平協調は変わらず、ウクライナも裏で入ったきた可能性-多極化時代到来の本格的起点
与党・国民のしもべ会派長のアラハミヤ氏とゼレンスキー氏=ニキータ氏による

今年夏の米露首脳会談によるアラスカ会談に基づいて、世界の多極化の流れが既定路線になっている。そのアラスカ合意に基づいて米露が協調して共同でウクライナ戦争終結のための和平案を共同で策定しているが、これに裏でウクライナも入ってきたようだ。トランプ大統領の娘婿で、有能な外交特使を務めるジャレッド・クシュナー氏が米露、米宇協議の米側の交渉主導者になる見込みであり、クシュナー氏は、軍事情勢の悪化と国内分裂の拡大悪循環の様相を呈しているウクライナの現実を踏まえて、ウクライナの主権国家としての存続を最重要視する立場で、米露との協調を模索する、ゼレンスキー氏の政敵である与党・国民の僕の会派長のダヴィッド・アラハミヤ氏のバックに存在すると伝えられているからである。

軍事情勢の悪化と国内分裂の悪循環の加速が限界を超えればウクライナに政変勃発

ウクライナの国情は軍事情勢の悪化と国内分裂の悪循環が加速しているが、この中でウクライナ憲法上、大統領の任期が切れた際に臨時大統領に就くことが定められているルスラン・ステファンチュク最高会議議長の役割が見直されており、さらに、ゼレンスキー氏の政敵である与党・国民のしもべの会派長のダヴィッド・アラハミヤ氏の政治力が注目されている。アラハミヤ氏は、トランプ大統領の娘婿でああるジャレッド・クシュナー(https://x.gd/Ti5ts)氏と関係が深く、軍事情勢の悪化と国内分裂の悪循環という現実を踏まえて米露との協調を志向している。

クシュナー氏は、トランプ第一期政権時に大統領上級顧問を務め、第二期政権でもトランプ大統領の信認の厚いウィトコフ特使とともに、トランプ外交の重要な役割を担っていおり、11月下旬のマイアミ会議でもウィトコフ大使とともに、ウメロフ安全保障会議・国防会議書記が率いるウクライナ交渉団と米宇間の和平協議を行った。その内容は、プーチン大統領にに正確に伝えられ、ウィトコフ特使を迎え、プーチン・ウィトコフ会談を行う運びになった。

そのマイアミ会談の米宇協議は正式には伝えられていない。反トランプの筆頭であるウォール・ストリート・ジャーナルがフランスのAFP通信(注:Copilotによると、国際的な通信社でありながら、実際には欧州政府=特に仏政府=との距離が近く、欧米協調の物語を補強する役割を果たすことが多い)とともに、トランプ大統領がゼレンスキー大統領に提示した28項目の和平案は19項目の和平案に修正されたなどとしているが、その「19項目の和平案」なるものは、正式な内容ではない。

マイアミ会談の合意内容については、ウシャコフ補佐官の発言内容がもっとも信頼できる。これについては、前回の投稿で関連内容を示したが、有力AIシステムのCopilotの整理を通して、もう一度示しておく。

答え: タス通信やウシャコフ補佐官の発言は、欧米メディアの「米宇協調でロシアに対抗」という物語とは異なり、米露間の直接交渉が進んでいる現実を淡々と伝えるものです。ウシャコフ補佐官は「協議は有益で建設的だが、領土問題では妥協に至っていない」「まだ多くの作業が残っている」と述べ、米露協議の継続を強調しました。

📰 タス通信・ウシャコフ補佐官の発言の要点
• 協議の性格
「非常に有益で建設的だったが、領土問題では妥協に至っていない」。
→ 米露間で交渉は進んでいるが、核心の領土問題は未解決。
• 交渉の影響要因
「最近の戦場での成果が交渉にプラスの影響を与えた」。
→ ロシア軍の攻勢(ポクロウシク制圧など)が交渉の力学を左右している。
• NATO加盟問題
「ウクライナのNATO加盟は米露協議の主要な争点」。
→ ロシアは加盟阻止を最重要課題と位置づけ。
• 今後の見通し
「まだ多くの作業が残っている」「ワシントンとモスクワ双方で調整が必要」。
→ 米露協議は継続されるが、即時妥結は困難。

⚖️ 欧米報道との違い
• 欧米メディア:米宇が協調してロシアに条件を突きつけているように描写。
• タス通信・ウシャコフ発言:米露が直接交渉を進め、領土問題やNATO加盟が最大の障害であることを淡々と伝える。
• 乖離点:欧米=「米宇主導」/ロシア=「米露主導」。

これについては、日本のオールドメディアの代表格のNHKも次のように伝えている(https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10014995031000)。

今週アメリカはウクライナ・ロシアそれぞれと和平案をめぐる交渉を行いました。11月30日にはアメリカのフロリダでルビオ国務長官、ウィトコフ特使、トランプ大統領の娘婿クシェナー氏とウクライナのウメロフ安全保障会議書記らが会談、その会談の結果を受けて、2日にはウィトコフ特使とクシェナー(注:Jared Corey Kushner)氏がモスクワを訪問、プーチン大統領と五時間にわたって会談しました。

ウシャコフ補佐官(外交担当)
妥協案はまだ見つかっていない。(注:けれども)アメリカ側の提案の中には受け入れ可能と見えるものもある。それについては議論する必要がある

写真画像は上からウィトコフ特使、クシュナー氏、ウシャコフ補佐官(いずれも、Wikipediaから)。

その後、ウィトコフ特使とクシュナー氏はウメロフ安全保障会議・国防会議書記らと協議を継続している。この中で、タス通信の報道として、ウシャコフ補佐官は次のように伝えている(https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10014996161000)。

ロシア国営タス通信によりますと、この協議についてロシア大統領府のウシャコフ補佐官は5日「成果をわれわれにも共有するよう願っている。今後の展開を見守りたい」と述べて、アメリカ側に対し協議結果を説明するよう求め、ロシア側の関心の高さを示しました。そのうえでウシャコフ補佐官は「和平につながる計画の策定作業が今後も続けられるならば、そのほとんどの作業はクシュナー氏にゆだねられることになるだろう」と述べ、今後、アメリカ側で和平案の策定を主導するのはクシュナー氏になるという見方を示しました。

この米宇高官協議は2週間で6回も行われている。しかも、ロシア在住28年間の日本人実業家で、ロシア・ウクライナ情勢を中心に反グローバリズムの立場からYoutrbeチャンネル「ニキータ伝~ロシアの手ほどき」で情報を発信しているニキータ氏は最新の動画「米露会談後の西側メディアの心地良い沈黙〜EU内にも新たな流れ‼️〜12/6土曜版です🙂‍↕️‼️(https://www.youtube.com/watch?v=NCq22f_p79w&t=450s)」で、アラハミヤ氏が欧州リベラル全体主義独裁政権国家からの軍事・経済支援を受けるため最高会議の2026年度予算案の可決(12月3日)で尽力したものの、「ゼレンスキー氏とアラハミヤ氏が同じ方向を向いているわけではない。アラハミヤ氏のバックには今回(注:2日)、ウィトコフ特使とともにともに会談を行ったクシュナー氏がいるとの情報が出ている」と伝えている。

アラハミヤ氏は、ウクライナの政治分裂・軍事劣勢を踏まえて現実的な国内政策・対外外交を行う親米露派との見方が強い。このアラハミヤ氏のバックにトランプ大統領の娘婿であるクシュナー氏が存在し、ウメロフ国家安全保障・国防会議書記のウメロフ氏らウクライナ側がウィトコフ特使とともにクシュナー氏の二人を中心とする米国側と何度も協議し、さらに、ウシャコフ補佐官が「ほとんどの作業はクシュナー氏にゆだねられることになろう」と発言している。

このため、ゼレンスキー氏との発言とは異なり、ウクライナ側が米露共同でまとめているに和平案に、裏ではウクライナ側も乗ってきたのではないかということを彷彿させる。ただし、ウクライナ和平案でプーチン大統領も何度も会い、同大統領からの信任も厚いと見られるウィトコフ特使がこの米露宇協議から完全に外れることはないと思われる。必要な時点で、クシュナー氏に米露宇協議成功のための助言を行う役目をすると思われる。総合すると、ロシア側が米宇協議に高い関心を示しているのは、現実路線を展開するアラハミヤ氏もかかわる米露宇協議が軌道に乗ってきたことを示すものだろう。

その内容は厳重に管理されるが、ウクライナ側の軍事情勢と政治対立・分裂の悪循環の拡大を踏まえた現実的な交渉が行われると見られる。その結果として、ウクライナで政変が起こり、ロシア側の主張に沿った和平案がまとまる可能性が出てきた。英独仏などの欧州リベラル全体主義独裁政権国はこれに対抗できる力を持たない。トランプ政権も欧州文明は危機にあると警告している。ブルームバーグは「トランプ政権、欧州は「文明喪失の危機」と警告-国家安全保障戦略文書」と題して次のように伝えている(https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2025-12-05/T6T1IXKK3NYA00)。

ホワイトハウスは新たな国家安全保障戦略文書で、欧州が何十年にも及ぶ経済衰退や政治的検閲、移民の影響で「文明喪失」の危機にさらされていると警告。トランプ大統領が署名した29ページの同文書は、「経済衰退よりも、文化的・政治的失敗の方が欧州の生活様式を強く脅かしている」と述べた。「現在の傾向が続けば、欧州大陸は20年以内にその輪郭を失いかねない」とも指摘した。

トランプ氏の大統領職復帰からほぼ1年が経過する中、伝統的同盟関係にある米欧間でイデオロギー的な亀裂が鮮明になっている。ホワイトハウスは欧州連合(EU)による米テクノロジー企業の規制を非難しながら、欧州各地の極右政党を公然と支持、ロシアのプーチン大統領にウクライナが大きく譲歩しない限り支援を打ち切ると脅してきた(注:脅したのではなく現実を踏まえて事実を率直に述べたものと思われる)。

また、ロイター通信も「欧州「文明消滅の危機」、 EUは反民主的 トランプ政権が安保戦略で非難」と題して次のように報道している(https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2025-12-05/T6T1IXKK3NYA00)。

[ベルリン 5日 ロイター] - トランプ米政権は外交・安全保障分野の基本方針となる「国家安全保障戦略(NSS)」で、欧州は「文明の消滅」に直面しており、将来的には米国の信頼できる同盟国としての地位を失う可能性があるとの見解を示した。欧州を反民主主義的と非難する内容に、欧州では「ロシアのレトリックに似ている」と困惑が広がっている。
トランプ政権は5日までに新たな国家安全保障戦略をホワイトハウスのウェブサイトに掲載した。その中で、欧州連合(EU)は反民主主義的と非難し、米国の目標は「欧州が現在進んでいる軌道を修正すること」と明記。欧州各国政府は「民主的なプロセスの破壊」に関与しているとしたほか、ロシア・ウクライナ戦争の終結を求める欧州市民の声を妨げていると非難した。

なお、ロイターは「さらに『長期的には、遅くとも数十年以内に、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の一部で非欧州系(の住民)が多数派になる可能性が十分にある』と指摘」している。これは東独出身でソ連とロシアを同一してロシアを嫌ったと思われるドイツのメルケル首相(当時)が、ドイツを始め欧州諸国で進む少子高齢化の安易な「解決策」として始めた移民受け入れ政策の問題点をを指摘したものだろう。

しかし、トランプ大統領率いるホワイトハウスは、ブルームバーグも指摘しているように、その前に、欧州右派勢力が欧州リベラル全体主義独裁政権から政権を奪取することによって欧州文明の崩壊を防ぐことを期待しているのではないか。その意味で、ウクライナ戦争の米欧宇による終結によって、欧州諸国に根本的な欧州情勢の変化が起きると見ているのだろう。ウクライナ戦争の終結については、領土問題やウクライナの中立化(NATO非加盟)、安全保障の保証といった根本的に重要な問題を解決しなければならない。しかし、それよりもより重要なことは、ロシアが「特別軍事作戦」を展開した真の理由を理解することだ。それは、ロシアの領土的野心によるものではない。これに関して、国際情勢解説者の田中宇氏は「ロシアに行った(https://tanakanews.com/251205crimea.htm)」で次のように語っている。

(注:ウクライナ戦争の終結には)善悪観の是正(必要だ)。ウクライナ戦争は、ロシアにとって、(特別軍事作戦は)旧ソ連の一部だったウクライナ(ドンバス)のロシア系住民を助けるための「邦人保護」「正義の戦い」だ。この戦争を誘発した悪役(ロシアに正義の戦いをやらせた勢力)は、米英欧の覇権運営を(トランプ以前に)担当していた英国系(米民主党と英独仏EU=欧州委員会=)だ。(もう一歩深く見ると、リクード系が英国系にやらせた自滅策)。英国系は、かつて欧露のバランスをとっていたウクライナ(マイダンクーデターの前のウクライナは憲法で中立化政策を宣言していた)の政府を、カラー革命(注:親ロシア派のヤヌコビッチ候補の勝利が発表された後、野党指導者のユーシェンコ候補(シンボルカラーはオレンジ)を支持する市民がデモを展開し、最高裁が不正を認定、やり直し選挙でユーシェンコ氏が勝利た疑惑の大統領選挙)の政権転覆によって露敵視・米英傀儡にして、ウクライナ政府に国内の露系住民への弾圧を強めさせ、ロシアの邦人保護の特殊軍事作戦(侵攻)を誘発した。

もともとソ連だったロシアとウクライナは、完全な外国どうしでなく、ソ連崩壊という独自な歴史の上に立つ特殊な関係だ。だから、今のウクライナでの戦闘は、外国どうしが行う「戦争」でなく、特殊作戦になる。ロシアによる2014年のクリミア併合(再編入)も、クリミアが1954年までソ連内のロシア共和国に属していたこと、ロシアはソ連崩壊後、ウクライナが親露である前提でクリミアをウクライナ領のままにしてあげていたことを考えると、ウクライナが英傀儡な露敵視になったことを受けて住民投票を経て併合したのは正当性がある。ウクライナやクリミアをめぐる話において、ロシアは悪くない。ロシアを経済制裁するのは正しくない。(対露制裁やウクライナ戦争は、ロシアの強化と非米側の結束、(バイデン政権までの)米国側の衰退を誘発するので、ロシアと非米側にとって「良いこと」だが)

この内容は、ホワイトハウスの「欧州文明存亡の危機説」にも合致する。ウクライナで軍事的劣勢と国内分裂が拡大悪循環の様相を呈する中で、現実直視派が次第に力を持ち、ウクライナ戦争を終結に至らせる政治力学が展開していくだろう。

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