第三次世界大戦を引き起こそうとしたゼレンスキー大統領ー今は世界大戦よりも文明大転換の秋(追記:中間選挙に勝利したトランプ共和党)

現地時間でさる11月15日午後、ポーランドのウクライナ国境近くのプシェボドフ村に「ロシア製の地対空迎撃ミサイルS300」が1発着弾し、村民2人が死亡する事件があった。ウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシアがNATO加盟国のポーランドを攻撃した」と大騒ぎして、正式に北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国をウクライナ戦争に巻き込み、第三次世界大戦を引き起こそうとした。しかし実際は、ロシアのウクライナの軍民共用インフラ施設に対する大規模ミサイル攻撃を迎撃するためにウクライナが発射した旧ソ連製の地対空迎撃ミサイルS300が誤ってポーランドに向けて誤射されたというのが真実のようだ。今やウクライナ戦争は実質的には米国を盟主とするNATOとロシアとの戦争になっているが、双方とも公式には交戦状態に入ったことを認めておらず、第三次世界大戦への暗転はかろうじて食い止められている。これに不満を隠そうとしないゼレンスキー大統領は、分別のつかない「悪の権化」と化している。

第三次世界大戦に暗転させたがるウクライナのゼレンスキー大統領

国際情勢解説者の田中宇氏が11月19日に投稿した「ウクライナ戦争を世界大戦に発展させる」(https://tanakanews.com/221119ukraine.htm、無料記事)によると、ウクライナ側がロシア側のインフラをミサイル攻撃してきたので、ロシア側は報復措置としてウクライナの軍民共用のインフラ攻撃を行っているという。

【追記11月25日午後07時52分】NHKはロシア側の対ウクライナミサイル攻撃について、ロシア側の主張を次のように報じている(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221125/k10013902741000.html)。「一方的」とか「正当化」という言葉はNHKの主観の入った常套語であることを理解しておく必要がある。

一連の攻撃についてロシア国防省は24日「ウクライナ軍の指揮系統と、関連するエネルギー施設に対して大規模な攻撃を行った」と発表し、攻撃を正当化しました。その一方、「キーウ市内では一度も攻撃を行っていない。ウクライナ側の防空システムが発射したミサイルが住宅街に落下したものだ」と主張しました。また、ロシア大統領府のペスコフ報道官は24日、記者団に「ウクライナは、ロシア側の要求に応えることで状況を正常化させ、住民の苦しみを終わらせるチャンスがある」と述べ、ウクライナ側に非があるとする一方的な立場を繰り返しました。

この報道は、田中氏の見方を支持する内容だ。【追記終わり】

なお、【追記11月24日午後16時56分:ウクライナ側がロシアが2014年03月に併合したクリミア半島とロシアを結ぶ大インフラのケルチ海峡大橋=クリミア大橋(下図)を一方的に攻撃したことへの報復として】ウクライナのインフラ攻撃を展開することによって、ウクライナ国民がこれからの冬の季節に危機に陥ることで同国民に厭戦気分を高めさせ、ネオ・ナチ勢力依存のゼレンスキー政権からウクライナ国民を離反させようとする狙いがあることも確かだろう。

ウクライナ側は、ロシア軍による大量のインフラ攻撃に対して迎撃のために旧ソ連時代に製造した旧式の地対空迎撃ミサイルS300を使用しているらしいが、旧式のために誤射が発生し、迎撃ミサイルのうち少なくとも1発がポーランドのウクライナ国境近くのプシェボドフ村に着弾した模様だ。ただし、誤射ではなくウクライナによる意図的なポーランド攻撃、つまり、「偽旗作戦」の一環であるとの見方もあり、真相はやぶの中にある。ただ、大勢は「誤射」という流れだ。なお、「偽旗作戦」として捉えられているのは植草一秀氏で、同氏のメールマガジン第3364号「露見するウクライナ偽旗作戦」その見方を紹介しておられる。

11月15日にウクライナの隣国ポーランド領内にミサイルが着弾し、2人が死亡した。ウクライナのゼレンスキー大統領は、その直後からこれをNATO加盟国に対するロシアの意図的な攻撃だと激しく非難。ゼレンスキーは「これは集団安全保障に対するロシアの攻撃だ!きわめて重大なエスカレーションであり、行動が必要だ」と述べてNATOによる対ロシア軍事攻撃をけしかけた。

しかし、事実は異なると見られている。ロシアのミサイルを迎撃しようとしたウクライナのミサイルがポーランドに着弾したと考えられている。迎撃失敗と伝えられているが真相は異なる可能性もある。ウクライナによる意図的な行動であった可能性を否定できない。(中略)

国際社会が追求するべき方向は、戦争の拡大と長期化ではなく、戦争の一刻も早い収束である。問題を解決するにはミンスク合意(注:ミンスク合意Ⅱ=2015年2月11日にベラルーシのミンスクで調印された、東部ウクライナにおける紛争(ドンバス戦争)の停戦を意図した協定=)の原点に立ち帰ることが必要不可欠。ウクライナがミンスク合意を一方的に踏みにじったことが戦乱勃発の原点に位置するからだ。国際社会はゼレンスキーの正体を見抜き、ウクライナによる戦争拡大・長期化の野望を打ち砕かねばならない。

ただし、植草氏のメールマガジンでは、ウクライナによる意図的なポーランド攻撃という「偽旗作戦」ということの論拠は不明だ。ただ、その可能性はある得ることも理解しておく必要はあるだろう。大多数の見解は「誤射説」である。田中氏の論考を引用させていただきたい。

実のところ、着弾したのは「ロシア製」でなく、ロシアの前身であるソ連が開発したS300地対空迎撃システムのミサイル(5V55)だった。S300はソ連時代にロシアやウクライナなど旧ソ連諸国に配備され、ウクライナは冷戦後にソ連から独立した後もそのままS300を使用し、ミサイル部分は自国のキエフ工場で製造してきた。ポーランドに着弾したのは「旧ソ連が開発したウクライナ製のミサイル」だった。ミサイルの胴体部分にはウクライナ語で製造番号などが記載されており、プシェボドフ村に着弾し爆発したミサイルの破片もウクライナ語の製造番号が読み取れた。ポーランド政府が着弾の現場を調べて「着弾したのはウクライナのミサイルのようだ」と言い直したのは事件発生から1日たった後で、それまでポーランド政府は不正確なロシア犯人説を言い続けていた。 (NATO Admits Zelensky ‘Openly Lied’ About Poland Strike as Observers Slam Kiev for Pushing for WW3) (Missile incident was Ukrainian ‘provocation’ – Polish politician)(中略)

NATOの事務局や米国は結局、ロシア犯人説を採用しなかった。ポーランドに着弾したのがロシアでなくウクライナのミサイルだったことは着弾した瞬間からNATOのレーダーに映っており、NATOや米国がロシア犯人説を採用しなかったのは「常識」で考えると当然だ。だが、常識が通らず、ウソと非常識が次々に延々とまかり通るのがウクライナ戦争だ。ポーランド政府は、レーダー情報などから、着弾したのがウクライナのミサイルだったことを最初から知っていたはずだが、意図的にそれを無視してロシア犯人説をとった。NATOや米国も、ロシア犯人説こそ正式採用しなかったが、誰が撃ったのかわからないという姿勢をとり、米国側のマスコミがロシア犯人説を喧伝するのを誘発した。 (Ukraine and western allies at odds over missile that exploded in Poland) (US says Russia ‘ultimately responsible’ for Poland missile incident

NATOや米国は、ポーランド政府がウクライナ犯人説に転向するのと前後して「着弾したのはウクライナのミサイルのようだ」と言い出した。ウクライナ犯人説が優勢になったが、それで確定したわけでなく、この事件の全容は曖昧なままだ。

国際情勢評論家の舛添要一氏も同様の見解を取っている(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72779)。

その会合(注:インドネシアのバリ島で開かれていたG20首脳会議)の後、バイデン大統領は、「初期段階の情報ではロシアからの発射でないとの情報もあり、調査が完了するまでは言いたくない。軌道からみてもロシアから発射された可能性は低い」と述べた。米諜報機関によるミサイルの軌道解析などから、そう結論したと思われる。また、ポーランドのドゥダ大統領も、落下したミサイルは、ロシアが意図的にポーランドを攻撃したものではないと慎重な姿勢を示した。

さらに、NATOのストルテンベルグ事務総長も、ポーランドに落下したミサイルは、ウクライナの迎撃用ミサイルで、意図的な攻撃ではないと明言している。

ウクライナのゼレンスキー政権やポーランドのドゥダ政権は当初、「ロシア側犯行説」を声高に叫んでいたが、NATOの第4、5条に従って報復すると、第三次世界大戦になる。その場合、外務省国際情報局長、イラン大使、防衛大学教授を歴任し、現在、東アジア共同体研究所の所長でもある孫崎享氏によると、「短期的にはNATO側が軍事的には圧倒的に優勢のため、ロシアはウクライナの首都キエフに(注:戦術)核攻撃を行うかも知れない」と見ておられる(https://www.youtube.com/watch?v=9ezzcnXTv1o)。

舛添氏も主張されておられるが、ウクライナ戦争はウクライナ国民はもちろん米側陣営諸国の国民の経済生活にも大打撃を与え、「ウクライナ戦争支援疲れ=セレンスキー政権離れ」を引き起こしている。

西側は全力を挙げてウクライナを支援しているのに、支援するのは当然だといった高圧的なゼレンスキーの態度は好感を持っては受け止められていない。この戦争で、世界中で小麦のような食糧資源や石油や天然ガスなどのエネルギー資源の供給が減り、諸物価が高騰して国民の生活が苦しくなっている。そのために、イタリアやスウェーデンなどで、排外的な極右が勢力を拡大し、政権を担うまでになっている。これが「ウクライナ疲れ」である。今回のゼレンスキーの勇み足は、この「ウクライナ疲れ」に拍車をかける可能性がある。

米国では11月08日に行われた中間選挙で、中間選挙後は上院よりも予算編成権を持つ下院の力が強くなるが、AP通信によると日本時間11月23日午後16時11分(米国東部時間11月23日午前02時11分)の時点で、既に共和党は220議席を獲得している。

このため、舛添氏は次のように中間選挙後のウクライナ戦争について次のように分析している。

アメリカでは、中間選挙の結果、上院は民主党が過半数を維持したが、下院は共和党が支配することになった。下院議長に就任すると予想されている共和党のマッカーシー院内総務は、「アメリカ国民がウクライナに白紙の小切手を切ることはない」と述べている。ウクライナ戦争は選挙の争点にはならなかったが、昨年1月の発足以来、バイデン政権は189億ドル(約2兆7500億円)超の軍事支援をウクライナに供与してきており、アメリカの納税者もいつまでも椀飯振舞できるとは考えないほうがよい。

さらに、下院ではバイデンと息子のハンターが、不正が疑われるウクライナの会社と緊密な関係があったというスキャンダルが蒸し返されるだろう。そうなると、バイデンがアメリカ国民に支援の継続を要請しても、説得力を欠くことになる。

また、産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授の古森義久氏も「民主党善戦と報じられる米中間選挙、現実は下院掌握の共和党が『勝利』」と題する論考の中で次のように述べておられる(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72830)。

2023年1月3日からの第118会期の新議会の下院では、議長がまず共和党となる。そして下院に存在する外交、軍事など広範囲の議案や決議案を審議する合計20の委員会、インテリジェンスや気候変動などと取り組む合計5つの特別委員会の委員長も、すべて共和党議員が占める。要するに下院全体の運営の主導権が多数派の共和党の手に入るのだ。下院全体としてどんな課題を審議するかも、共和党が決定できるようになる。さらに、連邦議会の聴聞会などにどんな人物に召喚状を出して喚問するかを決められるのも共和党となる。(中略)

2023年1月から下院議長に就任するトランプ派のケビン・マッカーシー下院議員

今回の中間選挙の意味を突き詰めると、具体的な変化をもたらす最大の結果は下院での多数派の交替だったといえる。下院の運営の主導役が与党の民主党から野党の共和党へと替わったことである。つまり、中間選挙の事実としての結果は、民主党の敗北、共和党の勝利と評するのが正確である。(中略)

下院の監察・政府改革委員会や司法委員会の有力メンバーである共和党のジム・ジョーダン議員、ジェームズ・カマ―議員らは、マッカーシー議員とともに臨んだワシントンの記者会見で バイデン大統領の次男のハンター氏をめぐる不正疑惑を議会として追及する方針を明示した。ハンター氏は父のバイデン氏が副大統領だったオバマ政権時代に中国やウクライナの腐敗企業と接触し、不透明なコンサルタント契約を結んで巨額の報酬を得た。この行動が父親の影響力の不正利用など刑法違反となる疑惑が深まり、実際に刑事事件の捜査対象となっていた。ジョーダン議員らは、このハンター事件にはバイデン氏が絡む疑いもあるとして下院の関連委員会で徹底調査して、バイデン大統領に対する弾劾提訴も視野に入れて進むことも強調した。

熱烈なトランプ前大統領派でありトランプ氏と同様、2020年大統領選挙を不正選挙であるとするケビン・マッカーシー議員が、大統領が欠けた場合は副大統領についで二番目に大統領になる資格のある下院議長に就任するということは、共和党内でトランプ前大統領の基盤が大幅に強化されたことを意味する。米英ディープ・ステート(DS)=軍産複合体派(軍産複合体とネオコン派)に属さないトランプ前大統領は中間選挙で勝利したのである。

なお、米国の中間選挙は投開票日から2周間以上経っても全議席が確定しないという異常な状態=民主主義最後進国になっているが、民主党関係者が「郵便投票」という日本にはない大規模不正選挙を行ったにもかかわらず、下院議員の投開票では土壇場に来て共和党が巻き返しを図っているようにも見える。残りの下院議員の議席数は3議席だ。コロラド州、カリフォルニア州では共和党がそれぞれ1議席を獲得する可能性も少しは残されている。

トランプ前大統領は「赤いウェーブ(バイデン民主党政権の大失政と共和党の猛反撃による中間選挙での共和党の大勝)」が起こらなかったとして、米英ディープ・ステート(DS)傘下のマス・メディアから集中攻撃されているが、電気自動車会社テスラの最高経営責任者(CEO)で民主党支持者から共和党支持者に鞍替えし、ツイッターを買収した有名なイーロン・マスク氏がトランプ前大統領のアカウントを復活させるなど、SNSも含めた広い意味での米国の言論界では、軍産複合体派(軍産複合体とネオコン勢力)に支配されたマス・メディアに反撃する動きが今後、強まる公算が大きい(https://www.youtube.com/watch?v=Pisg9rwIl6k)。

これに加えて、田中氏の論考を紹介させていただきたい。田中氏は孫崎氏と異なり、ロシア劣勢説は取っていない。

ロシアはプロパガンダの戦いで連敗しているが、戦場の戦いではおおむね優勢だ。「名を捨てて実を取る」の観がある。露軍は巧妙な攻撃でウクライナのエネルギーインフラの半分近くを破壊し、ウクライナはこれからの厳冬期、多くの地域で居住不能になり、国民の戦意喪失と難民化が加速する。ウクライナは厳しい戦いを迫られている。今後の厳冬期に居住不能になるのはウクライナだけでなく、ロシアからの石油ガス輸入を急減したドイツなど西欧諸国も同様だ。ドイツでは燃料不足が悪化して停電も予測され、市民生活が困難になり、経済成長が止まって自滅的な退化が進んでいる。ウクライナ戦争は世界大戦の懸念すら高めてしまい、ドイツなど欧州にとって何の利得もない。欧州人は馬鹿だ。 (プーチンの偽悪戦略に乗せられた人類) (Ukraine – Switching The Lights Off) (Ukraine Has Lost 40% Of Energy System As Kyiv Sees First Snow, Freezing Temps

露軍は10月後半、ドニエプル川右岸のケルソン(ヘルソン)から撤収してウクライナ軍に明け渡しており、これが「露軍の惨敗」として米国側で喧伝されている。だが、ロシアはウクライナで長い戦争を予定しており、露軍とウクライナ露系住民の犠牲を最小限にするため、ウクライナ軍が米欧から支援されてしつこく攻撃してくる場合は撤退するようにしている。ウクライナ戦争が長引くほど、ドイツなど欧州の自滅が進み、欧州が対米従属とロシア敵視をやめて親露・非米側に転換する可能性が強まる。欧州の非米化が、ロシアと米多極派が共有するウクライナ戦争の隠れた目標になっている。 (Escobar: Sun Tzu Walks Into A Kherson Bar…) (プーチンの偽悪戦略に乗せられた人類) (濡れ衣をかけられ続けるロシア

サイト管理者(筆者)の立場は、ウクライナ戦争を大きなきっかけにして欧米文明の時代は終わり、マックス・ウェーバー=大塚史学の意味での文明史の大転換期に入ったと見ている。11月08日投開票の米国の中間選挙が、12月06日のジョージア州での決選投票の結果が確定しない限り、終わらないというのはその象徴だ。中間選挙の投開票の実態を見る限り、民主主義国の最優等生国だった米国はもはや、民主主義国の最劣等生国になっている。文明の大転換期には新しい文明を想像できる思想的理念的基盤が必要である。


この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう