マイダン暴力革命を起こしてウクライナ戦争を始めたビクトリア・ヌーランド国務次官補が辞任ー「隠れ多極主義者」はネオコンか(ヘイリー氏は自らピエロ役)

ビクトリア・ヌーランド国務次官補(国務省で国務長官から三番目の高官)が今月3月5日付けで国務次官補を辞任した。ヌーランド氏といえば、2014年2月にキエフで合法的に選出されたヤヌコビッチ大統領をロシアに逃亡させ、追放したマイダン暴力革命を引き起こした実務上の最高責任者(注:最高責任者は当時のバイデン副大統領の可能性)であり、翌2015年2月に結ばれたミンスク合意Ⅱ(ウクライナの東部ドンバス地方に高度の自治権を与え、ロシア系ウクライナ住民を守ることが狙い)を事実上破棄させたと見られ、ウクライナ戦争を引き起こした直接の張本人であることで、知る人ぞ知るところだ。国際情勢解説者の田中宇氏によると、ヌーランド氏は結局のところ、単なるピエロ(注:操り人形)に過ぎなかったのであり、同氏によるとピエロを操っていた「隠れ多極主義者」は「ネオコン」のようだ。

退任したビクトリア・ヌーランド国務次官補、後世の歴史家から酷評へ

東京都中央区に本社を置く日本の証券会社・ウィブル証券会社のサイトによると、ビクトリア・ヌーランド国務次官補は今月5日退任したようだ(https://www.webull.co.jp/news-detail/10352015945704448)。

ワシントン、3月5日(ロイター)-国務省は火曜日、ロシアとの戦争におけるウクライナへの断固たる支持で知られる米国外交官第3位のビクトリア・ヌーランド国務次菅が、今後数週間で政治担当国務次官を辞任すると発表した。アントニー・ブリンケン国務長官は声明の中で、ヌーランドの後任は管理担当国務次官のジョン・バスが代行する予定であると述べ、以前は同省のスポークスマン、欧州担当最高外交官、NATO大使を務めたキャリア外交官であるヌーランドを温かく称賛した。

ブリンケンは書面による声明の中で、特に2022年のロシアの侵攻以来、ヌーランドがウクライナを支援していることをほのめかして、「ウクライナに対するトリアのリーダーシップは、外交官や外交政策の学生が今後何年にもわたって研究するだろう」と述べ、書面で述べた。

ヌーランド氏はオバマ民主党政権時代に国務次官補を担当し、2014年2月にキエフで合法的に選出されたヤヌコビッチ大統領をロシアに逃亡させ、追放したマイダン暴力革命を引き起こした最高実務責任者であり、翌2015年2月に結ばれたミンスク合意Ⅱ(ウクライナの東部ドンバス地方に高度の自治権を与え、ロシア系ウクライナ住民を守ることが狙い)を事実上破棄させたと見られ、ウクライナ戦争を引き起こした張本人だ。

ビクトリア・ヌーランド氏は夫にネオコンの理論家で有名な歴史家でブルッキングズ研究所上席フェローのロバート・ケーガン氏がいる。田中氏は、ヌーランド氏を米国の支配層を占めるにいたった「隠れ多極主義者(注:欧州や日本などの対米従属国に過激で拙稚な外交を行わせ、破滅に追いやり、米国の一極覇権体制を自ら崩すことが狙い)」をピエロ使いとして、そのピエロとして忠実な行動を展開し続けてきたようだ(「ピエロにされていたヌーランドが辞任」、https://tanakanews.com/240308nuland.php。有料記事=https://tanakanews.com/intro.htm=)。

ピエロに過ぎなければ、辞任は当然かもしれない。あるいは、バイデン大統領の腐敗ぶりを熟知しているから、今週の米大統領選挙でのバイデン現職大統領の敗退を見越してのことということもあり得る。また、田中氏の指摘するように「隠れ多極主義者」は「ネオコン」であり、夫のロバート・ケーガンがその一角を担っているのなら、国務次官補(国務長官、国務副長官に次ぐ国務省ナンバー3の地位であり、日本の外務省次官に相当するだろう。ただし、外務省は国務省の日本課に過ぎない)を続ける必要もなくなる。ただし、やはりピエロでしかなかったのだろう。国際情勢はピエロ使いがピエロを操ることによって具体的に動くが、ピエロがピエロ使いに昇格したり、その逆もあることを理解しておく必要はある。

ビクトリア・ヌーランドの夫であり、ネオコンの理論家とされるロバート・ケーガン氏

田中氏は国際情勢の正しい分析・解説を行っていると見られるが、ヌーランドが辞任に至った経緯について次のように述べておられる。

ウクライナ戦争は、開戦から1年3か月後の2023年5月末にウクライナのクラマトルクス(バフムト)を、激戦の末に露軍(主にワグネル)が陥落した時に、実質的にロシアの勝利・ウクライナの敗北で終わった。ウクライナ軍は戦死者多数で疲弊して戦えなくなっていた。翌月、米国に加圧されてウクライナ軍が「大反攻」を試みたが、3日で圧倒的に敗退した。それ以降、ウクライナ軍はほとんど戦えない状態が続いている。だが米諜報界は、マスコミ権威筋に「ウクライナはまだ戦える。挽回できる」「露軍は疲弊して潰れかけている」など、事実と正反対のニセ情報を食わせ続け、米国側マスコミは「間もなくウクライナが挽回してロシアを潰す」と喧伝し続けた。決着ついたが終わらないウクライナ戦争

この流れの中で、ビクトリア・ヌーランドは2023年7月に、バイデン政権の政治担当国務次官(under secretary …)から国務副長官(代行。acting deputy secretary)に昇格している。ヌーランドは、ウクライナを立て直してロシアを潰す策の具現化に邁進することになった。だが、ヌーランドが国務副長官に昇格した時点で、すでにウクライナはロシアに勝てない状況だった。過激なヌーランドは、ウクライナ軍に無理をさせて露軍と戦えと発破をかけたが、無理をさせるほどウクライナ軍は疲弊し、米傀儡として軍に無理を強いるゼレンスキーと、実際に軍を動かす将軍たちとの齟齬・対立が激しくなった。ウクライナ戦争体制の恒久化

ヌーランドは、ウクライナを頑張らせればクリミアをロシアから奪還でき、その延長でプーチン政権を崩壊せられると主張し続けた。上司であるブリンケン国務長官は、クリミアの奪還をウクライナに奨励するのは現実的でないとヌーランドの主張を否定したが、ヌーランドは無視して好戦的な案を放出し続けた。ヌーランドは、ウクライナに対露和平を許すと、自信をつけたロシアがNATO諸国を攻撃して核戦争になるから和平はダメなんだと主張した。彼女はバイデンよりも大きな権力を持っているという説まで出た。Nuland outlines US goals in Ukraine

だが、ヌーランドがどう動こうが、ウクライナの敗北は覆らなかった。敗北が確定してから半年が過ぎてもウクライナは有効な反攻ができず、今年に入って欧州諸国が米国の好戦策に同調しない傾向を強めた。ロシアの優勢とウクライナの敗北が否定できなくなり、ヌーランドは欧州や米共和党から失敗者のレッテルを貼られるようになった。この先に、今回の辞任がある。ヌーランドは、本当にバイデンよりも大きな権力を持っていたのか。そんなことはない(バイデンの脳内が、まっとうな判断をできない状況になっている可能性は高いが)。ヌーランドの上司たちは、彼女の過激な好戦発言(不規則発言)をわざと止めずに放出させ続けることで、欧州などの同盟諸国をビビらせる策をとった。実際は、ヌーランドの発言が具現化することはなく、過激な不規則発言の乱発によって、欧州や非米側での米国の信用が失墜するだけの結果になっている。11th July: The date set by Victoria Nuland for WWIII

なお、田中氏がこれまで指摘し続けているディープ・ステート(DS)内の「隠れ多極主義者」がユダヤ系のネオコンであるとするなら、京都大学を在学中に外交官試験に合格して外務省イリした馬渕睦夫氏の「ディープ・ステート(DS)」論と重なってくる。

田中氏は国際情勢の鋭い分析・解説で知られるが、結果的にロシアの立場を理解し、ロシアの動向について正しい解説をされているから、ロシアの日本語版メディアサイト・スプートニクからインタビューを受け、スプートニクはX(旧ツイッター)を使って次のようにまとめている(https://twitter.com/sputnik_jp/status/1765711736433254598)。

【視点】日本の国際情勢解説者、ヌーランド米国務次官退任を分析「ロシア敵視策は失敗確定、ウクライナ立て直し担当は無理だった」

🔷 5日、米国務省の #ヌーランド 次官(政治担当)が数週間以内に退任することが明らかになった。国際情勢解説者の田中宇(たなか・さかい)氏に、この退任劇について分析してもらった。以下、田中氏の見解をご紹介する。

💬 ヌーランドは、オバマ政権の米国務次官補だった2014年、中立だったウクライナをロシア敵視の米傀儡国に変えたマイダン革命の立役者。米国はその後、ウクライナに国内のロシア系住民を弾圧殺害させ続け、ロシアが同胞保護のためウクライナに進軍せざるを得ない今の事態を作った。

💬 ヌーランドは、ロシアを戦争に巻き込んで疲弊させて潰す構想だったが失敗し、今や疲弊して潰れかけているのは米欧ウクライナの側だ。米国(オバマやバイデン)のロシア敵視策は失敗が確定し、欧州や米共和党から批判が強まっている。バイデンはヌーランドを辞任させざるを得なかった。

💬 戦場でウクライナの対露敗北が確定したのは昨年5月で、バイデンがウクライナを立て直すためヌーランドを国務次官に起用したのは昨年7月だから、今回ヌーランドは最初から失敗する運命だった。しかもヌーランドは、好戦策を過激に稚拙にやって失敗させる策を意図的にやるネオコン系列の人で、立て直し担当は無理だった。

💬 #バイデン 側近にはブリンケン国務長官などネオコン系列が多い。彼らはウクライナ戦争の泥沼の長期化を画策している。そのために失敗を予測しつつ、立て直しの不能性を示すため、国務次官補の時に好戦性で有名になったヌーランドをピエロとして再起用したのでないか。共和党ではトランプ前大統領がネオコン系のジョン・ボルトンをピエロとして安保担当補佐官に据えていた。

ビクトリア・ヌーランド氏は歴史の表舞台から去るが、後世の歴史家は同氏を米側陣営を衰退・没落させた「悪の張本人」として位置づけることになるだろう。なお、田中氏は米共和党での大統領選出選挙から撤退したメソジスト派のキリスト教徒ニッキー・ヘイリー氏について、「今年の米大統領選では、トランプに最後までしつこく対抗したニッキー・ヘイリーが、自ら進んでピエロなトランプの敵を演じ続け、共和党内の反トランプ勢力を自分の周りに結集させて民主党への鞍替えを防ぐことで、トランプを優勢にしている。トランプ支持者たちはヘイリーが大嫌いだが、その態度は間違いだ。ヘイリーは実のところトランプを熱烈に支持しており、自分が共和党内でトランプの敵として立候補してしつこく戦うことで、トランプを優勢にした。ヘイリーは立派だ。これでトランプが、トルシ・ギャバードでなくヘイリーを副大統領候補にしたらすごい。(注:あるいは)就任後に国務長官にするとか」と評価している。

とにかく、バイデン政権しか支持ししない日本を含む米側陣営のマスコミを軽信・盲信しないことが、国際情勢を読み解くうえで正しい道だ。本サイトでは、事実関係のみ引用させていただいている。

 

 

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