明日19日告示の京都市長選、守旧派対革新派の対立鮮明に

明日19日告示、来月2日投開票の京都市長選は今後の政局を占う上での重要な大型選挙になる。自公両党に加えて立憲、維新が「推薦」という形で現職の門川大作氏を候補者に選定、応援体制に入ったのに対して、日本共産党の支持者の多さで全国でもトップの京都市で同党に加え、山本太郎代表率いる令和新選組が弁護士の福山和人の出馬を促し、応援体制に入ったからだ。与党対野党の対決ではなく、守旧派と革新派の対決の構図が鮮明になった。

候補者としては他に日本維新の会と地域政党である京都等の村山祥栄氏が出馬した。まず第一に、桜を見る会の疑惑は全く晴れていない。桜を見る会の出席名簿が存在していることが明らかになりつつあるなど、ますます疑わしくなっている。これに加えて、カジノを含む統合型リゾート事業で、自民党現職衆議院議員・元内閣府副大臣の秋元司容疑者が収賄容疑で逮捕、再逮捕された。他に、嫌疑が持たれているのが自民党現職国会議員4人で、収賄を認め、日本維新の会を除名された下地幹郎衆院議員も存在する。さらに、公職選挙法違反容疑で河井克行前法相・案里参院議院夫妻宅に対する広島地検の強制家宅捜査が行われ、秘書も事情聴取を受けた。これらの不祥事に反発していわゆる自公支持勢力とされる「保守層」の票が分裂する可能性が少くない。

なお、2018年4月に行われた京都府知事選では、自民・民進・公明・立憲・希望推薦の西脇隆俊氏が402,672票、日本共産党推薦の福山和人氏が317,617票で、その差8万票強で西脇氏が当選したが、日本共産党も一定の支持を得ている。今回の選挙を取り巻く情勢からすると、2016年のような大敗はあり得ないし、相当の接戦になるものと思われる。

門川大作京都市長選立候補者
福山和人京都市長選立候補

一方、立憲と国民の「合流」は今回の市長選挙には間に合わない。それどころか、合流さえ出来ない状況にあることが明らかになった。立憲は、国民の政党支持率が極めて低いことや政策に問題があることなどから、「合流新党」の結成はもとろん、立憲の綱領・政策の丸呑み、執行部人事不介入など国民の飲めない条件を突きつけている。

立憲、国民の中でも特に御用組合の連合の影響力が強い国民は、➀税と社会保障の一体的改革(つまり、消費税の増税)②原発の再稼働-などを主張しており、要するに自公支援政党に過ぎない。立憲が上記の要求を突きつけるのは当然だ。しかし、民進党が希望の党と合流した際、自公の政策に同調しないと排除されて形成された立憲にしても、今や日本の経済社会に大きな悪影響を及ぼしている消費税増税については様子見の段階で、消費税減税とか廃止は頭にない。原発についても、即時稼働停止を明確にうたっているわけではなく、歯切れの悪い原発対策しか打ち出せていない。

これでは、立憲に期待した国民・市民の支持が離れるのは当然だ。しかも、自公に加わって両党の事実上の候補者である門川候補の支持に回るというのでは、国民も含めて両党が真の革新勢力ではなく、議員特権の享受を狙った守旧派にほかならないことを示している。

これに対して、日本共産党の志位和夫委員長と令和新選組の山本太郎代表は党首会談を行い、基本政策で一致している。➀応能負担の原則を踏まえた税制の抜本改革(所得税の累進制の強化、法人3税への累進課税制度の導入)を前提に、消費税は減税し将来は廃止する②原発稼働即時停止-などが柱だ。

これらは、国政選挙で掲げるべき政策だが、新自由主義のも中間層が没落し、大格差社会が出現していることは事実である。これを踏まえ、地方自治体の選挙であるから、企業優遇に力を入れた現職に対抗して、市民、住民に配慮した政策を打ち出していくことは確かである。

京都府自体が日本共産党の基盤が強いが、これに守旧派との決別を宣言している令和新選組が加わったことで、新自由主義を超克し、日本の現在の格差社会を改革する革新派が今後、大きく形成されていく可能性が強まってきた。今回の大型選挙である京都市長選の帰趨は極めて重要である。

なお、現職の門川氏が当選した場合はもちろん、敗北した場合でも解散・総選挙の遅れは自公遼等にとってダメージになるから、安倍晋三政権は早期に解散・総選挙に出る公算が大きい。

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