ネオナチのナワリヌイ氏死亡、ウクライナの継戦が目的かー有り得る核兵器を使わないロシア・NATO戦争
?????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????

一般的にはロシアのリベラル派反体制活動家として「知られる」アレクセイ・ナワリヌイ氏が今月2月16日、収監中の西シベリアの監獄で死去したと伝えられた。詳細は不明だが、米側陣営では、プーチン大統領(プーチン政権)による殺害だとされているが、国際情勢解説者の田中宇氏によると、既にウクライナの敗北で決まっているウクライナ・ロシア戦争を継続させるための同大統領・政権の策略という。ウクライナ戦争は継続させたほうがロシアの国防力・経済力は向上し、3月17日に大統領選挙が予定されているプーチン大統領の支持率も上がる。現実的な見方ではないだろうか。

ナワリヌイ氏の死去、ウクライナ戦争継続のためかーNATO・ロシア戦争の可能性も

ナワリヌイ氏の死去についてNHKは2月17日、「ロシア ナワリヌイ氏が死亡 プーチン政権批判の反体制派指導者」と題して報道した(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240216/k10014361581000.html)。ただし、極右であることは分からなくしている。

ロシアでプーチン政権を批判する急先ぽうとして知られ、刑務所に収監されていた反体制派の指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏が死亡したと当局が発表したことを受けて、ロシア国内外で追悼する動きが出ているほか、欧米各国などからはプーチン政権を批判する声が相次いでいます。

ナワリヌイ氏は第一級のロシアの反体制活動家ということになっているが、Wikipediaによると「2000年、ロシアの自由主義政党「ヤブロコ」の党員となり、党の連邦政治委員会のメンバーとなった。2002年には、ヤブロコのモスクワ支部地域委員会に選出されている。極右のロシア民族主義者として活動し、2006年には民族主義極右団体による反移民を掲げるデモ行進に中心人物として参加し、2007年には極右団体の国家ロシア自由運動を創設した。その後、国家ロシア自由運動は2011年に解体し、後継として2012年にはレオニード・ヴォルコフ(英語版) と共に政党未来のロシアを結成している」との記載がある。

西シベリアで死去したナワリヌイ氏、英国BBCによる

Wikipediaも内容にバイアスがかかっており、中立というのは疑わしいが、「極右」というのは田中氏の論考とも合致する。田中氏は昨日22日に公開した「ナワリヌイ死去の裏読み(https://tanakanews.com/240222russia.htm、無料記事)」と題する論考で、ナワリヌイ氏について「リベラル派が極右とかネオナチと非難する民族主義者・ナショナリストで、2007年ごろから野党人士として有名になり、プーチン(メドベージェフ)政権を汚職理由で辞任要求する反政府運動を強めた」と述べていることとも一致する。

ナワリヌイは米欧風の政治を好むリベラル派でなく、その逆の右派民族主義者で、クリミアは(地元民の民意に沿って)ロシア領であるべきだと言っており、反ウクライナだ。彼の政治思想は、欧米リベラル派が極右とかネオナチと呼んで誹謗する種類のものだ。彼は、プーチンの汚職だけを非難(喧嘩売り)し、外交政策には賛成していた。それなのに欧米リベラル派は、ナワリヌイがプーチンに喧嘩を売っていたのを好機として、ナワリヌイをリベラル派のように扱い、ロシアの反政府人士の代表として称賛し、支持してきた。
欧米の政府や権威筋は、何でも良いからロシアを敵視したい。その構図は、ロシアを敵視して強化する隠れ多極派の策略に乗せられており、プーチンも売られた喧嘩を喜んで買ってロシアを台頭させている。NATO Chief Shocks With Prediction Of ‘Decades-Long Confrontation’ With Russia

同論考によると、ナワリヌイ氏の支持率は1%にも満たない。詳細は不明だが表立ってプーチン政権が殺害する理由はなかった。あったとすれば、米側陣営にウクライナ戦争はウクライナの敗戦という形で集結させるべきだとの動きが出ており、プーチン政権としては米側陣営から「覇権」を奪い、BRICSや中国、インド、それにイスラム諸国と協調して米側陣営の謀略のないまともな世界を築くため、ウクライナ戦争は長期化させたほうが良い(注:長期化させればさせるほど米側陣営は衰退していく)とみているフシがあることが考えられる。

そんなナワリヌイが2月16日に獄中で体調不良を訴え、間もなく死亡した。米当局は、露当局が殺したという確証がないと表明しているが、バイデン大統領は「プーチンに責任がある」と断言し、露政府がナワリヌイを殺した前提で追加の対露制裁を発表した。米欧の権威筋やリベラル派は、ここぞとばかりにロシア敵視を強めている。Biden Says He’ll Impose ‘Major’ Sanctions on Russia Over Navalny’s Death

ロシアでは3月17日に大統領選挙が予定されており、支持率85%のプーチンが当選しそうだ。ナワリヌイは立候補もしておらず、世論調査で彼を支持する露国民は1%しかいないのでプーチンの脅威でない。プーチンは、大した脅威でないナワリヌイを殺すほど神経質で性格的に問題がある極悪人だとする「解説」を米国側マスコミが流している。
Biden Knows Putin Killed Alexei Navalny

ナワリヌイはなぜ死んだのか。私が注目したのは、ロシア政府がナワリヌイの死を発表した時、NATOなど米国側諸国がドイツに集まって対露関係などを話し合う年次のミュンヘンに安全保障会議がちょうど開かれており、会議にナワリヌイの妻ユリア(Yulia Navalnaya。夫を補佐する共闘者)が招待され、ロシアから来て出席していたことだ。ミュンヘン会議の主催者は、露政府が発したナワリヌイ死去の発表を、すぐに議場で発表した。そして議事進行を変更し、ユリアを登壇させて演説をさせた(もともとこの日演説する予定だった)。ユリアはプーチン政権を強く非難し、議場の一同がロシア敵視を強め、プーチン打倒を誓った。
Yulia Navalnaya takes stage at Munich meeting after news of husband’s deathNavalny death rocks Munich Security Conference, as wife says Putin regime ‘will be punished’

ロシアで最初にナワリヌイの死を発表したのは西シベリアの監獄当局だったが、その数分後には露大統領府(クレムリン)が記者発表し、話はすぐにミュンヘンの安保会議に伝わった。露政府は、ミュンヘンの議場にユリアがいる時間を狙ってナワリヌイの死を刑務所に発表させ、ユリアが情緒的な演説をするように仕向け、米国側が露敵視とウクライナ戦争支援を強めるように画策したのでないか。They Finally Killed Navalny …

田中氏の分析によると、米側陣営ではウクライナ戦争での米側陣営の敗北を潔く認め、終戦に持ち込む必要があるとの見方が広まっているという。それも、よりによって例えばジョージ・ソロス系のシンクタンクであるクインシー研究所が「米欧はウクライナ戦争に勝てず、これからプーチンのロシアと交渉して戦争を終わらせていかねばならないのだから、ナワリヌイの死を理由に対露制裁を強めて対露対話の道を閉ざすのは得策でない。対露制裁は露経済を強化してしまう」との主張をしているという。こうしたまともな主張は、バイデン政権には認められない。ただし、バイデン政権も「隠れ多極派」が主流を占めるディープ・ステート(DS、米諜報界と軍産複合体のことか)に操られているから、表向き徹底的な対露戦争派であり、これによって米側陣営は弱体化することになり、「隠れ多極派」の思惑通りになる。G7諸国も米国の従属国でしかなく、米国の政権の言うことは聞かないといけない。

田中氏の分析によるとこれに加えて、バルト三国のエストニアなどを中心に、核兵器を使わない限定的なNATO・ロシア戦争が起こり得る可能性も出てきたと言う。

それは、NATO加盟国のエストニアあたりが国内のロシア系住民への弾圧を強め、ロシアが邦人保護策のためにエストニアに軍事進出(侵攻)せねばならない状況を作り、対立激化の中でエストニアあたりにいる米軍特殊部隊が匿名的にロシアを攻撃してロシアとNATOを開戦させるシナリオだ。ウクライナはNATOでないので、戦争になってもNATO5条の参戦義務が米国やEUに生じなかった。だが、エストニアやポーランドやルーマニア(沿ドニエストル関係)はNATO加盟国で、これらがロシアと交戦すると5条が「自動発動」されて、米露が戦争に入ることになっている。EU state’s leader sees elderly Russians as potential threat

私はこれまで、NATO加盟国とロシアが開戦すると、すぐに5条が発動されて米露が核戦争になるので、NATOはロシアと開戦せず、戦場は今後もずっと非加盟国のウクライナだけに限定されるだろうと思ってきた。だが、NATO加盟国とロシアが開戦しても、米国がすぐに5条を全面発動せずぐずぐずしていたら、NATOとロシアが開戦しても米露の全面戦争や核戦争にならないシナリオがあり得ると思い直した。(同盟諸国とロシアを戦争させたい米国

このシナリオは、NATOとロシアの交戦状態・有事体制を生むため、トランプが返り咲いてもロシアと和解するわけにいかなくなり、トランプはNATOを棄てることもできなくなる。ロシアは、米国側と非米側の対立を維持して多極型世界で発展できる。NATOがロシアと開戦しても5条が全面発動されないのはNATOの信用失墜になる。米露間の対立の度合いをうまく調整しないと本当の核戦争になる。だが、それらの問題を回避できれば、トランプに露敵視とNATO関与の維持を強要できる。(ウクライナ戦争を世界大戦に発展させる

こうして、バイデン政権がウクライナ戦争を煽り、エストニアやポーランドのロシア系住民弾圧を機にNATO・ロシアの限定的な戦争が始まることになれば、今年秋の2024年大統領選挙でトランプ前大統領が勝利してもウクライナ戦争をすぐに終結させることはできない。ただし、このシナリオは非常に危険な火遊びである、まかり間違えば核戦争にいたることになる。田中氏によると、「最近、ダボス会議やミュンヘン安保会議で、トランプ当選の可能性が議題にされているが、それは要するにこの手のシナリオについて裏で検討しているのでないかと思っ」ているが、のちの機会にこの手のシナリオについて述べるという。

2024年米大統領線はトランプ前大統領当選の確率が高まっているが、キリスト教保守層の支持が高まっていることもその要因のひとつのようだ。宗教的な立場からすれば、戦争は紛争の最終的な解決手段であってもやはり、必要悪でしかない。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の一神教が仏教で言えば難行・苦行を行って悟りを開く「小乗仏教」の段階にとどまるのではなく、世界平和実現に向けて重大な役割を担うことが期待されている。現代文明はキリスト教によってもたらされたが、そのキリスト教の影響が大幅に低下している。サイト管理者(筆者)としては、キリスト教内部からの宗教改革が起きるかどうか、いろいろな動きが出ているから、そちらにも目を向けていきたい。

世界的な株高はバブルの現象

平均株価が22日、バブル時の最高値を更新し(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240222/k10014367121000.html)、ニューヨーク市場も市場初めて39000ドル台をつける史上最高値ほ更新した(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240223/k10014368371000.html)。

22日のニューヨーク株式市場はアメリカの半導体大手、エヌビディアの決算内容を受けてAIの需要の高まりや企業業績の先行きへの期待から買い注文が膨らみ、ダウ平均株価は初めて3万9000ドルを超え、史上最高値を更新しました。22日のニューヨーク株式市場は21日に発表されたアメリカの半導体大手、エヌビディアの決算内容が生成AIの需要の拡大を背景に市場予想を上回ったことを受けて企業業績の先行きに期待が広がりました。

このため、IT関連の銘柄を中心に買い注文が膨らみ、ダウ平均株価は一時、500ドルを超える大幅な値上がりとなりました。

ここでNHKが「エヌビディア」と言っているのは、超高性能のビデオカード製造で有名な米国の超優良半導体製造会社「NVidia」社のことで、文章はもちろん画像も生成する生成AIの興隆で注目されている。中国はドローンで世界最高性能の会社を有しているが、半導体についてはあまり知られていない。しかし、INF(中距離核戦力全廃条約)に参加していなかったことから、高性能の半導体とその制御技術を必要とする中長距離ミサイルの誘導技術はずば抜けているとされている。

さてしかし、①日本経済は昨年第四・四半期まで二期連続して実質国内総生産(GDP)が前期比マイナスのマイナス成長率になっており、不況下の株高というのはやはりおかしい②米国はインフレが沈静化しており、確実に利下げの段階に入るというが、ウクライナ戦争が集結していないことやフーシー派による紅海という大交通網の遮断で、インフレの原因であるコストプッシュインフレは終息していない(米国の連邦準備銀行が隠れQTを行っている。田中氏の「金融システムの詐欺激化」https://tanakanews.com/240218money.php、有料記事=https://tanakanews.com/intro.htm=)③インフレや国際情勢の悪化にも強い、ドル建ての金価格が昨年後半からそれまでの1トロイオンス=2000ドル台以下から2000ドル以上をどんどん突破してきている(金はドルの天敵)ーなどから、金融システムは詐欺が激化していると見ておいたほうが良い。

上の図は三菱マテリアルによる金価格のグラフ(https://gold.mmc.co.jp/market/gold-price/#gold_5year)。ここ五年間のドル建て、円建ての金価格である。特に、昨年に入ってからは1トロイオンス(約31グラム)の2000ドルを超える動きは強力になっている。実物資産、特に金の価格は経済の正しいバロメーターだ。

これまで金の先物売で、中央銀行の中央銀行であるはずの国際決済銀行=BIS=によって不正操作されていたことは有名だ。参考記事だが、金の先物売りによる「ゴールド価格不正操作の傍証~BIS(国際決済銀行)元総裁の講演録を読む」https://www.mag2.com/p/money/12114という記事の中に、「その内容は、為替相場で米ドルの価値が下がれば、相対する金価格は上がる。だから金価格を下げて、相対する米ドルの価値を上げなければならない。今後、BISで金準備を売却することで、一般金市場での金価格を規制せよ(価格上昇を押し下げよ)というものです」)投機は儲かりさえすれば、何があっても良いという投機の専門家に任せておいたほうが良い。

 

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう