ウクライナ事変で非米側陣営が結束、韓国も裏で加わり、中露韓主導で韓半島平和・統一実現の可能性

ウクライナ事変で非米側陣営が結束しているが、これに韓国も裏で加わり、中露韓主導で北朝鮮経済発展・韓半島(朝鮮半島)平和・統一が実現する可能性が出てきたようだ。

本サイトでは国際情勢解説者の田中宇(氏)の論考の紹介を通して、ウクライナ事変(米側陣営のメディアでは「ウクライナ侵攻」)をきっかけに、ロシア側が対ロ経済制裁をものともせずBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国。南アフリカを加えることもある)とサウジアラビアを盟主とする中東諸国、イランなど非米側諸国が豊富な天然資源(原油や天然ガス、希少金属)、穀物などのコモディティを武器に結束を強めていることを伝えてきた。

その流れの中で、中露韓主導で北朝鮮経済発展・韓半島平和・統一が実現する可能性が出てきたようだ。従来は、米国を中心とした6カ国協議(朝鮮半島の非核化が条件による北朝鮮の安定化)などによる米朝国交正常化・北朝鮮経済発展・韓半島平和・統一の試みが(建前として)なされてきたものの、トランプ政権の時代にトランプ大統領(当時)が行おうとした米朝国交正常化がディープ・ステート(DS=中心は戦争を好む軍産複合体=)によって阻止されるなど、北朝鮮の経済発展・韓半島平和・統一実現は遠のいている。ウクライナ事変をきっかけに、その代わりを中露が握ってきたというわけで、これに表向きは在韓米軍が駐留している韓国が隠然と中国との関係を深めて実質的には巧みに非米側陣営に属するようになり、近い将来には北朝鮮の経済発展・韓半島平和・統一実現に向けて動く可能性があるということだ。

田中氏が08月27日、「中露主導の朝鮮半島和平への道筋をつけるロシア」(https://tanakanews.com/220827korea.php、有料記事)と題する論考で、その可能性について言及された。重要箇所を引用させていただきたい。

状況は、今年2月のウクライナ開戦後、劇的に転換している。米国が同盟諸国を率いてロシアを徹底的に経済制裁し、世界はロシア敵視の米国側と、ロシア支持(不敵視)の非米側に決定的に分裂した。露中(非米諸国)は、米覇権体制下から追い出されていく傾向になり(そのぶん米覇権は縮小)、露中が米国主導の北朝鮮制裁に参加しても米国から仲間とみなしてもらえず、北制裁に参加する意味がなくなった。米国から敵視されている点で、露中と北朝鮮は似た境遇になった。露中は、むしろ北朝鮮を支援し、北に対する過剰な制裁や敵視を続ける米国の愚策性を逆非難しつつ、米覇権縮小のなか、朝鮮半島和平を露中が主導する方が早道になった。 (Russia vows to expand relations with North Korea

ロシアは、ウクライナ戦争が一段落した6月ごろからその方向に進み始め、北朝鮮に協調関係を強めようと提案し、北は喜んで乗ってきた。北朝鮮が最もほしい物資である石油ガスや穀物などの資源類を、ロシアは欧州に輸出しなくなったので豊富に持っている。ウクライナ開戦後、資源類の国際価格は3倍とかに高騰し、北朝鮮が国際市場で必要量を調達するのは困難になったが、ロシアは資源類を大幅に割引して北朝鮮に売る(譲渡する)ことにした。その対価として北朝鮮は、ロシアがウクライナから奪って事実上の自国領土にしていくロシア系在住地のドンバスに労働者群を送り込み、ドンバスを再建する建設事業などに従事させる。ソ連時代にあった露北間の、資源類と労働力とのバーターが復活している。(北朝鮮軍が露軍の傘下でウクライナ軍と戦闘する話も出たが、露政府が否定している) (Why is North Korea aiming to strengthen ties with Russia?) (North Korea Willing To Send Russia 100,000 Troops For Ukraine War: Report

ロシアはウクライナ事変(米国とそのウクライナ傀儡政権=主力はステパン・バンデラを開祖とするネオ・ナチ勢力=が2014年02月のマイダン暴力革命以降、東部ドンバス地方のロシア系ウクライナ人を大量虐殺しつつ北大西洋条約機構=NATO=加盟を目指して、ロシアによる「ウクライナ侵攻」を誘導したことが原因)で、米側陣営から過去最大級の経済制裁を受けたが、豊富な天然資源(原油や天然ガス)、穀物を有するコモディティ大国の利点を活かし、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国。南アフリカを加えることもある)とサウジアラビアを盟主とする中東諸国、イランなど非米側諸国との結束を強めてきた。

そして、対ロ経済制裁諸国(特に欧州)に対しては天然ガスや原油の供給を止めるようになり、天然ガスの先物価格は過去最高値をつけている(「欧州 天然ガスの先物価格 過去最高値 ロシアの供給を懸念」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220827/k10013790011000.html)。

ヨーロッパ市場では、暖房などでの需要が増える冬を前にロシアからの供給が長期間、停止されるのではないかとの懸念から、天然ガス価格が高騰していて、26日、指標となる「オランダTTF」と呼ばれる先物価格が一時、1メガワットアワーあたり340ユーロ台まで値上がりしました。前日の終値と比べておよそ10%高く、ことし3月につけていたこれまでの335ユーロを上回り、過去最高値となりました。

ロシアによるノルドストリーム(海底パイプライン)を使った天然ガスの欧州向け輸出を停止することで、最大の経済危機に陥ると見られるのがドイツだ。今冬には暖房ができなくなり、低所得層を中心に凍死者、饑餓者が急増ないし激増すると見られている。エネルギーの供給見通しが立たなくなったドイツ企業がドイツから脱出する動きも出てきているという(「潰されていくドイツ」https://tanakanews.com/220823europ.htm)。非常に有益だが、無料記事なのでどなたでも拝読的できる。

ただし、田中氏の指摘のように、過去の歴史を踏まえると北朝鮮を経済支援する中心国は中国で、ロシアはその「補佐」を務めるのだろう。韓国も何らかの役割を果たす可能性がある。象徴的な出来事は今年8月に米国のペロシ下院議長が訪台(注:台湾防衛と称して軍産複合体が高性能軍事兵器を高額で売却することが目的)した際、韓国にも立ち寄ったが、同国では、政府は中国に配慮して尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領も朴振(パク・チン)外相もペロシ下院議長と会わなかった。これは、韓国が隠然と非米化していることの象徴である。

また、韓国政府はロシアの「孫会社」として原子力発電所プラントを輸出している。さらに、ロシアも韓国を非米側陣営に取り込もうとしているようだ。

最近は、ロシアも韓国を非米化の方向に誘っている。ロシアの国営原子力企業ロスアトムは、受注したエジプト初の原発建設の工事のうち、タービン建屋の建設を、韓国の政府系原子力企業「韓国水力原子力」に孫請け発注した。ロシアは今後、アフリカ中近東などで次々と原発建設を受注していく構想だが、それらの今後の原発建設でも同様に韓国がタービン建屋を孫請け受注する可能性がある。韓国政府は、韓国の原子力技術が世界に認められたと誇らしげだ(ライバル日本がフクシマで潰れたのと対照的)。韓国は米国側の対露経済制裁に参加しており、ロシア企業からの孫請け受注は制裁違反の疑いがある。韓国政府は、米政府に問い合わせて制裁違反でないと確認したと言っているが、印象としては、韓国が非米側の方にまた一歩進んだ感じだ(韓国政府はすでに、ロシアからの天然ガスの輸入をやめないと宣言している)。 (S Korea signs $2.25 billion deal with Russia nuclear company

北朝鮮は最高権力者の金正恩朝鮮労働党総書記を中心とする恐怖の独裁体制を維持するため、韓国に在韓米軍を置かせて緊張関係を維持することに腐心しているが、中国に加えてロシアが北朝鮮を支援して経済発展に貢献し、これに加えて韓国が経済支援を行えば、独裁ではあるが体制を維持することができる。

ロシアは、韓国に大事な事業を発注することで非米側に取り込もうとしている。米国は、経済的にも外交的にも信用とちからが低下しており、米国主導の金融システムがバブル崩壊し、中露主導の金資源本位制に取って代わられる流れにある。中露に隣接する朝鮮半島にある韓国は、米国よりも中露が重要になって非米化していく。韓国は、非米側に足を突っ込むほど中露との協調を強め、在韓米軍の撤退を公式に望むようになる。その流れと、中露が北の経済を安定させて在韓米軍が撤退しても北の政権が崩壊しないようにしてやる流れが、今後同時に進んでいきそうだ。尹錫悦・韓国大統領は8月15日、北の電源開発(原発建設)に投資したり食糧支援するから北は核廃絶せよと提案した。クリントンの枠組み合意の「米国抜き版」だ。今のところ北は拒否しているが、いずれ受け入れるかもしれない。Yoon proposes ‘audacious’ road map for North Korea’s denuclearization) (North Korea furiously rejects South’s ‘absurd’ offer

なお、その場合は2024年の大統領選で米国としても恐らくは次期大統領政権としてトランプ政権が樹立されると、米国の軍人の生命と血税を犠牲にした在韓米軍駐留を見直す可能性がある。また、韓国が非米側陣営に深く関与すればするほど、北東アジアの安全保障の関係から(北朝鮮による核攻撃の可能性を考慮して)、韓国国内での在韓米軍の撤退圧力が強まる。

これに加えて、岸田文雄政権もロシアが提示した新サハリン2プロジェクト推進会社に三井物産、三菱商事を出資させるように誘導した(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220825/k10013786811000.html)。中国に対しては、岸田首相が後継者として養成していると見られる林芳正外相(山口三区衆院議員)が表向き、ペロシ下院議長訪台の際に中国が軍事演習を行ったことで反中外交推進者として見られているが、中国との友好関係にも腐心しているとのうわさも根強い。ウクライナのコルスンスキー駐日大使が林外相に面会を要請していたが、約1カ月にわたり実現していなかったことも含め、安倍晋三元首相の狙撃暗殺事件も含めて、従来の対米従属外交の問題点はそれなりに熟知している可能性はある。

仮に、2024年秋の大統領選挙で、不正がなければ、トランプ前大統領が再選される公算が大きい。こうなると、北東アジア情勢は激変する。世界基督教統一神霊協会(現世界平和統一家庭連合:略称は統一教会)創設者の文鮮明師は、「米国がキリスト教国家としての使命を果たさなければ、神の祝福は(旧)共産圏諸国に与えられる」と予言したことがあったとの話を耳にしたこともある。ここで、米国がキリスト教国家としての使命を果たすことができないというのは、米英アングロサクソンのディープ・ステート(DS=軍産複合体と資本の利益を最優先し、マックス・ウェーバーの意味での「人類史とともに古い」賤民資本主義に陥った多国籍企業=)が新保守主義と新自由主義に基づいて、冷戦終結後に世界一極支配体制を築こうとし、冷戦後の「終戦処理に失敗した」たことにあるのだろう。

冷戦崩壊後、文鮮明師は「恩讐(汝の敵)をも愛する」神主義・頭翼思想(統一思想)を強く主張し、ゴルバチョフ大統領や金日成主席とも会談、自説を強く主張したとされる。また、旧共産圏諸国もいわゆる「弁証法的唯物論・史的唯物論(唯物史観)」からなる古典的な共産主義思想に騙されたことを気が付き、市場経済原理を導入することを中心に経済体制の改革を行っており、神主義や頭翼思想(統一思想)が参考になるだろう。北朝鮮は改革・開放路線を打ち出したこともあったが、頓挫している。

ただし、この理念は宗教的・哲学的・思想的なもの(人文科学)であって、社会科学・自然科学で裏打ちされ、現実的な政策提言できるようなものにはなっていないと考えられる。世界の諸国民は、現代は時代の大転換期にあることに早く気づかなければならない。




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