マクロン発言でウクライナの敗北が確定、欧米文明は没落ー根幹のキリスト教の大改革が不可欠

ブランスのマクロン大統領が2月28日、要するにNATO軍をウクライナに派遣することを提案したが、これは事実上、ロシア・ウクライナ戦争でウクライナ側が敗北したことを認めるものだ。米国を中心とする米側陣営がウクライナ戦争で勝つためには、NATO軍を投入するしかない。これに対して、ロシアのプーチン政権はNATOの全面支援を念頭に置いて、核弾頭搭載可能な中長距離ミサイルの実戦配備を進めている。ただし、ロシア側が核兵器を使用した場合、ウクライナ・米側陣営の戦勝は有り得ない。全面的な核戦争に大暗転するからだ。マクロン発言は核兵器の使用を否定しつつ、通常兵器でのウクライナの敗北を認め、米側陣営が政治・経済的にこれ以上窮地に陥らないよう東部ドンバス地方や黒海に面した港湾都市のオデッサなどを含むウクライナ南部などのいわゆるノボロシアの形成を容認したものだ。時代は英米二国が覇権国として君臨してきた欧米文明が終焉機に突入しており、中露インドを中心とするBRICSが主導権を握る非米側陣営が台頭する文明の大転換期ー着地点は統一文明期に突入している。そのためには、現代欧米文明の根幹になっているキリスト教の科学に反する謎ー①聖母マリアの処女懐胎(米側陣営の出生率の大幅低下=キリスト教が盛んだった韓国では0.7に劇的に低下=に直結)②父・娘・聖霊の三位一体論③イエス・キリストは神なのか人間なのか(アタナシウス派とアリウス派の対立)③十字架の贖罪と再臨論の矛盾=などが解明され、キリスト教界においてルターの宗教改革を超える大宗教改革が必要である。

マクロン大統領のNATOのウクライナ戦争への直接介入言及が意味するもの

フランスのマクロン大統領が「ロシアの侵攻が続くウクライナをめぐり、欧米諸国(注:NATO軍)が派兵する可能性を『排除すべきではない』と発言」した(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1024627)が、これはロシア・ウクライナ間の戦争で、ウクライナ側が決定的に不利に陥っているー要するに、事実上は敗北していることを認めたものだ。ウクライナ側には兵器・弾薬・兵員が決定的に不足している。米側陣営のNATOに頼み込んでも、NATO諸国も苦しく支援の見通しが立たない。

経済的なことを指摘してもどうしようもないが、ウクライナの国内総生産(GDP)は今年、前年比で30%以下に落ち込むと見られている一方、ロシアのGDPは前年比で増加する。経済成長が可能になってきている。こうした状況では、NATOが直接ウクライナに入り込み、軍事支援を行う以外にウクライナが勝つ見込みはない。当然ながら、プーチン政権はそのことを想定しており、NHKによると核弾頭搭載可能な中長距離ミサイルの実戦配備を進めている(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240302/k10014332751000.html)。

ロシア国防省は1日、複数の核弾頭を搭載できるICBM=大陸間弾道ミサイル「ヤルス」の発射演習を行ったと発表しました。ロシアのプーチン政権は、ウクライナへの軍事支援を続ける欧米側をにらみ、核戦力による威嚇を繰り返しています。ロシア国防省は1日、ロシア北部にある宇宙基地で、複数の核弾頭を搭載できるICBM=大陸間弾道ミサイル「ヤルス」の発射演習を行ったと発表しました。

ロシア国防省は発射時の映像も公開し、複数の弾頭がロシア極東のカムチャツカ半島の目標に計画どおりに着弾したとしています。「ヤルス」は射程が1万キロを超え、ロシア軍の核戦力の中枢を担うICBMで、ロシア側は実戦配備を進めていると主張していて、演習実施の発表を通じてウクライナへの軍事支援を続ける欧米側をけん制するねらいがあるとみられます。プーチン大統領は、2月29日に行った年次教書演説で「ロシアの戦略核兵器の戦力は確実に使用できるよう準備が完了している」と強調するなど、プーチン政権は欧米側をにらみ、核戦力による威嚇を繰り返しています。

これについて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は29日の分析で「欧米側に恐怖心を植えつけ、ウクライナへの支援を弱めさせようと頻繁に核の脅しを持ち出している。ロシアによる核兵器使用の可能性は非常に低い」と指摘しています。

NATOが直接、ウクライナ戦争に介入してきたら、プーチン政権が核兵器の使用に踏み切ることは誰が考えても当たり前だ。それを、NHKはいつもの「戦争研究所」の「解説」を錦の御旗に、「ロシアによる核兵器使用の可能性は非常に低い」などとしている。その戦争研究所(キンバリー・ケーガン理事長)は新潮社が運営しているフォーサイトのサイト(「『戦争研究所』は信頼できるか:ネオコンはバイデン政権下で「再起動」、https://www.fsight.jp/articles/-/50095」)によると、全く当てにならない。要するに、認知症の初期段階に入っていると見られる(https://www.youtube.com/watch?v=8n7iyKCFxHE=外務省の国際情報局長、イラン大使などを歴任した孫崎享氏が後半で2024年大統領選とウクライナ戦争でのウクライナ側の敗北について語っている=バイデン大統領を操っているネオコン勢力の広報機関でしかない。

ウクライナの戦況分析で欧米のクオリティペーパーが頼みにする「戦争研究所(ISW)」は、かつて論客として名を馳せたロバート・ケーガンの一族を筆頭にネオコン人脈が設立と経営に深くかかわっている。ISWの若い研究者たちにとってはイラク戦争時の「情報のクッキング」など歴史上の出来事かもしれないが、ベテランの軍事アナリストらの間ではISWは「ウクライナ軍のパフォーマンスに過度に楽観的だ」との批判もある。メディアは過去の教訓を忘れるべきではないだろう。(中略)

ネオコンは、親子、兄弟の絆で思想的連帯を維持する傾向がある。彼らはほとんどがユダヤ系で、反共・反イスラム教過激派。米国のリーダーシップで民主主義を拡大し、軍事力行使を躊躇しないというタカ派の思想だ。ケーガン一族の場合も、フレデリック氏(注:フレデリック・ケーガン氏のことで、キンバリー・ケーガン理事長の夫)の兄、ロバート・ケーガン氏は現在ブルッキングズ研究所の上級研究員で、その妻ビクトリア・ヌーランド氏は現職の国務次官。この夫婦4人は現在のネオコン派のリーダー格となっている。さらに、バイデン大統領は7月29日、ヌーランド氏を次官在任のまま「国務副長官代行」を兼任させる異例の人事を発表した。これで彼女は事実上の国務省ナンバー2となる。

彼女は共和党のブッシュ政権時代、ディック・チェイニー副大統領の外交担当副補佐官として、「イラク」をめぐる「大量破壊兵器情報」から「戦争」に至るまで、重要な役割を演じたと言われる。そして民主党のバラク・オバマ政権ではウクライナの「マイダン(広場)革命」からロシアのクリミア半島併合に至るまでの混乱期に国務次官補(欧州・ユーラシア担当)として辣腕を振るった。

ビクトリア・ヌーランド氏と言えば、ウクライナ戦争の直接の原因を作った2014年2月のマイダン暴力革命の首謀者だ。ウクライナ戦争を仕掛けたネオコン勢力が分析・解説する[戦争研究所の戦況など、当てにする方が間違っている。NHKは戦争研究所の誤った予測ばかり報じる広報機関に成り下がっている。

その戦争研究所が、プーチン政権が核兵器の使用をほのめかすのは単なる「脅し」だといっても誰も信じない。米国はルーズベルト大統領が核兵器を使用した。プーチン大統領だってNATOがウクライナ戦争に介入してくれば、戦術核兵器から始まって戦略核兵器まで核戦争に踏み切るだろう。フランスのマクロン大統領は英米の意向には必ずしも従わないロスチャイルド系の人物だから、NATOのウクライナ戦争への介入発言をすることで、①ウクライナ戦争におけるウクライナの事実上の敗北と戦争終結②核戦争の勃発の阻止ーに動いたと見るのが妥当だろう。

これについて、国際情勢解説者の田中宇氏は3月1日公開の「沿ドニエストルへの回廊=https://tanakanews.com/240301transnistria.php=、有料記事=https://tanakanews.com/intro.htm=」で次のように解説しておられる。

ウクライナ戦争は、軍事的にロシアの勝ちが確定している。ウクライナ軍は兵士がいない。ゼレンスキーは戦死者3万人とウソを言ったが、本当は米国がやらせた下手な戦略によって10万-30万人の兵士が戦死している。そうでなければ今のような徹底的な兵力不足にならない。欧米軍(NATO)が自らウクライナに進軍してロシアと直接戦争しない限り、勝敗は覆らない。フランスのマクロン大統領が欧米軍のウクライナ進軍の可能性について語ったら、すぐに西欧の多くの諸国から猛烈な否定の発言が殺到した。
How Macron’s latest Ukraine comments blew NATO apart

欧米はウクライナに兵器弾薬を送り込み続け、米国を牛耳る隠れ多極派が兵器弾薬と兵士の生命を露軍にどんどん破壊してもらう意図的な稚拙策をウクライナにやらせた。欧州(欧米)は深刻な兵器弾薬不足に陥っており、ウクライナから求められた弾薬の3割しか送れてない。こんな状態だから、欧米軍はウクライナに進軍しない。
Delinquent Europe: Zelensky Claims EU Only Delivered 30 Per Cent of Promised Artillery Shells

ウクライナや欧米の敗北は確定的だ。それなのに欧米は敗北を認めず、まだ何とかして勝敗を覆せないかと呻吟している。そんなことしても無駄ですよ、と言うためにマクロンは進軍発言を放った。欧米ウクライナ側はすでに決定的に負けていると赤裸々に発言したら、裸の王様と化しているバイデンの米国から叱られ、米傀儡の欧州人たちから否定的に非難されて終わる。だからマクロンは逆方向から発言した。
French PM backs Macron’s troops in Ukraine comments

なお、沿ドニエストル地方はロシア系住民が多い事実上の共和国で、モルドバとウクライナの西部を流れるドニエストル川に囲まれた地域だが、プーチン政権はおはり、ウクライナ東部の丼バス地方からウクライナ南部の黒海の港湾都市オデッサなどを経て汎ドニエストル地方に到る「ノボロシア」の実現を目指しているようだ。

これで、ウクライナの露軍占領地(というか、ウクライナの露系住民に頼まれて邦人保護のために露側が取り込んだ地域)は、ドンバスからオデッサを経由して沿ドニエストル国境までつながる。ロシアは陸路で物資を沿ドニエストルまで送れるようになる。ロシアは沿ドニエストルを併合しない。沿ドニエストルを経済的に助ける補給路・回廊を作るためにオデッサ周辺を取る。ロシアの優勢で一段落しているウクライナ

ウクライナは黒海の海岸部を失って内陸国になる。もともと(中世)のウクライナは黒海に面しておらず、オデッサはウクライナでなかった(だから取ってもかまわない)とプーチンも言っている。オデッサは、古代ギリシャの港町から、リトアニア公国、モンゴル帝国、オスマン帝国のものになり、18世紀末にロシア帝国が取っている。
ドンバスからオデッサを通って沿ドニエストル国境まで続く地域は露系住民もけっこういるので、プーチンや、ロシアの拡張主義者は「ノボロシア」と呼んで、歴史的なロシアの一部だと言っている。What Putin spoke about in interview with Carlsonノボロシア建国がウクライナでの露の目標?

プーチンは、ウクライナ開戦の前後、ノボロシアに何度か言及しており、ドンバスだけでなくウクライナの黒海岸全体を取るつもりでないかと騒がれた。だがその後、露軍はドンバスしか取っておらず、ノボロシアという地域名も露高官から発せられていない。しかし最近、プーチン傘下で好戦プロパガンダを担当するメドベージェフが「オデッサを早くロシアに戻してやるべきだ」と発言した。再び「ノボロシア」がロシア上層部の会話に出てくるかもしれない。Medvedev wants Ukrainian city of Odessa brought ‘home’ to Russia

ロシアとウクライナとのウクライナ戦争では既に、ウクライナの敗北が確定している。ゼレンスキー大統領はゼレンスキー大統領は2月8日、「戦況は膠着状態にある」(この発言でも正確とは言い難い)とするザルジニー総司令官を解任し、新たな総司令官にシルスキー陸軍司令官を任命したが、その直後、ロシア軍の侵攻を食い止めてきた要衝・アウディーイウカが陥落させられた。

孫崎氏によるとゼレンスキー大統領の支持率はザルジニー総司令官解任後、70%台から60%台へと10数%劇的に低下しているのに対して、ザルジニー総司令官の支持率は90%台と非常に高い。これまで陸軍司令官だった新たなシルスキー総司令官の支持率は40%台と、ウクライナの総司令官としての手腕は国民に疑問視されている。ゼレンスキー大統領の任期は今年5月末までだが、戒厳令が敷かれており、戦争に動員可能な男性の国外退去も禁じられているため、ウクライナでの大統領選は延期される見込み(https://news.yahoo.co.jp/articles/889ba349d5f9d147e7b99960ea098d4bb9ab0474)だ。同大統領の事実上の独裁が続けば(注:米国は第二次世界大戦中でも大統領選挙は実施された)、ウクライナでのクーデターの勃発も有り得る。

ウクライナ戦争でもウクライナの敗北は既定だが、そうなったのはネオコン勢力が率いるバイデン政権を含む一連の米国政権が、①NATOの東方拡大をしない②2015年2月のミンスク合意Ⅱ(東部ドンバス地方に高度の自治権を与える)を遵守するーなどの国際公約を破ったうえ、バイデン政権がゼレンスキー政権とともにウクライナ戦争を誘発するための東部ドンバス地方のロシア系住民を大弾圧し、ウクライナ戦争を誘導したからだ。これは、民主主義陣営とされてきた米側陣営の主導権を軍産複合体や諜報界などのディープ・ステート(DS)を握り、世界各国に紛争・軍事衝突を輸出するなとなど、キリスト教国家としての使命を果たさなかったからだ。

その根本的な理由としては、アタナシウス派のキリスト教が支配して欧米文明を創造してきたが、キリスト教の科学に反する謎ー①聖母マリアの処女懐胎(米側陣営の出生率の大幅低下=キリスト教が盛んだった韓国では0.7に劇的に低下=に直結)②父・娘・聖霊の三位一体論③イエス・キリストは神なのか人間なのか(アタナシウス派とアリウス派の対立)③十字架の贖罪と再臨論の矛盾など=がいまだに解明されておらず、現代社会に合わなくなってきたからだ。これらの謎を解明できるルターの宗教改革を上回る規模の宗教改革が起こり、軍産複合体とユダヤ人の流れにまで遡る米国のディープ・ステート(DS)が廃されて、本来のキリスト教国家としての使命を果たさない限り、米側陣営と非米側陣営の分断を克服できる統一文明の創造は不可能である。

パレスチナ国家構想を否定するイスラエル・ハマス戦争

ガザの南端にあるラファ地方に百数十万人のガザ難民が避難しているが、イスラエルはラファ地方への攻撃(事実上の大量殺戮=戦争犯罪)の手を緩めない。これは、イスラエルがガザ難民をラファ検問所からエジプトに追い出し、パレスチナ国家構想を消滅させことが真の狙いだと思われるからだ。ただし、エジプトにはハマスの親組織のムスリム同胞団(イスラム原理主義に基づく自治は行うが、王政は認めない)によって政権を奪われた苦い経験がある。

具体的には、チュニジアで2010年に始まった一青年の焼身自殺事件に端を発する反政府デモであるジャスミン革命に刺激され、エジプトでも2011年にムバラク政権を打倒する「エジプト革命」と翌年2012年には「大統領選挙」によってムハンマド・ムルシー政権が樹立されたが、これらの一連の動きはハッサン・アル・バンナが1928年、「イスラムのために奉仕するムスリムの同胞たち」を提唱して、イスラム原理主義に基づく王政ではないイスラム的な社会正義の実現を主張する政治団体として創設した「ムスリム同胞団」が主役になった。 エジプトでは非合法だが最大の政治勢力であり、中東諸国にも大きな政治・経済・軍事基盤を湯有している。その「ムスリム同胞団」の「パレスチナ支部」がハマスである。

ムハンマド・ムルシー政権は発足後約1年後の2013年7月3日、軍部によるクーデターによって終焉を迎えアル・アッシー政権が樹立され今に至っているが、この苦い経験からガザ難民はイスラム同胞団の熱烈な支持者であり、エジプト政権にとっては受け入れがたい存在である。だから、ラファ検問所を通しての入国は拒否し続けている。しかし、ラファ地方に百数十万人の難民が存在し、イスラエルはラファ地方の壊滅を目指してハマス組織を攻撃し続けると言っているから、大量殺戮=戦争犯罪は必ず起こる。

Palestinians inspect the damage of a destroyed house following Israeli airstrikes on Khan Younis, Southern Gaza Strip, Sunday, Dec. 31, 2023. (AP Photo/Mohammed Dahman)

米側陣営のマス・メディアではラファ検問所を通過して人道的な支援物資を送るべきだとしているが、ガザ北部は市街地を中心に既に壊滅しており、ラファ地方に百数十万人の難民が存在していることから、人道的支援物資を送るだけでは焼け石に水だ。結局のところ、ガザ難民をエジプトに移すべきだというように論調の変化が起こらざるを得ない。それが現実化すると、ムスリム同胞団は中東諸国に政治・経済・軍事の広範な組織を持っているから、エジプトやヨルダン、レバノン、シリアなどに政治状況に大きな変化が生まれる。要するに、英国主導で国連が認めた「パレスチナ国家」は必要なくなる。イスラエルの真の狙いはここにあり、エジプトの忠告を無視してハマスを泳がせていた見られるのも、裏でハマスと通じていた傍証と言える。

これについて、田中氏は2月25日に公開された「消されていくガザ=https://tanakanews.com/240225gaza.htm=、無料記事」で次のように指摘しておられる。

米英が覇権喪失してみると、残りの諸国(非米側)は、イスラエルがパレスチナ問題を丸ごと軍事的に潰すことにあまり反対していない。こういう状況を事前に踏まえた上で、イスラエルはガザ戦争を始めたのだろう。最近、トルコとカタール、UAEがイスラエルとハマスの仲裁に動き続けている。トルコとカタールはハマスと親しく、UAEはイスラエルと国交がある。仲裁内容は人質解放の話だけでない。エジプトにラファを開けさせることもおそらく議題になっている。
Turkey’s Erdogan receives red-carpet reception in Egypt, calls Sisi ‘brother’

エジプトは最近、ラファに接するエジプト国内の土地を使って、5万人を収容できる難民キャンプを整地した。キャンプは逃亡防止の高い壁に囲まれている。イスラエルがラファ空爆を本格化し、ガザ市民をエジプトに避難させないと殺されてしまう事態になったら、エジプト政府はラファ国境を少し開けて5万人以内のガザ市民を受け入れる予定にしたのだろう。
キャンプ整地工事が発覚するのと同時期に、トルコのエルドアン大統領がエジプトを訪問し、シシ大統領と話をしている。
Egypt Building Walled Camp in Sinai Desert to Absorb Palestinian Refugees from Gaza

問題は、ラファからエジプトに避難する人数が5万人をはるかに超えそうなことだ。イスラエルが本格空爆したら、ラファ周辺にいる150万人のほとんどが、エジプト側に逃げないと殺される状態になる。国際社会からエジプトに、ラファ国境を開けろという圧力・叫びが強まる。エジプト当局がラファを少し開け始めたら、イスラエルはここぞとばかりに空爆を激化し、ラファを人道的なパニック状態に陥れ、できるだけ多くのガザ市民をエジプトに追い出そうとする。
Egypt builds mysterious wall near Gaza – media

5万人のエジプト側キャンプはすぐに満杯の超過密になり、数十万人が入りきれない状態になる。エジプト当局は、流入したガザ市民を難民キャンプに閉じ込めるのでなく、キャンプ外のエジプト(シナイ半島)での生活を許すしかなくなる。イスラエルは、ラファ周辺も含めてガザ全域の市街を破壊し続け、市民がガザに戻ってこれないようにする。イスラエルは今後のラファ本格攻撃で市民を全員エジプトに追い出し、ガザを消してしまうことを目標にしている。
Egypt Erects 8-Square-Mile Walled Enclosure In Sinai Desert For Rafah Refugee Spillover

パレスチナ人だったガザ市民は、もうパレスチナ(ガザ)に戻れなくなり、パレスチナ人でなくエジプト人(アラブ人)になっていく。パレスチナのもう一つの地域であるヨルダン川西岸でも、イスラエル入植者がパレスチナ人の村を焼き、抵抗する人々を殺しまくる極悪な民族浄化の殺戮が拡大している。この民族浄化も、誰も止めることができない。イスラエルは、西岸のパレスチナ人をヨルダンに追い出し、ガザ消滅と合わせ、パレスチナの存在を消そうとしている。
Starving Gaza: Egypt and Israel’s Rafah weapon

米国は、イスラエルの動きを傍観・擁護するだけだ。米政府の上層部はネオコン系に乗っ取られている。たとえばガザ仲裁に努力するふりをしつつ何の成果も生まないブリンケン国務長官は、ユダヤ人でシオニストのネオコン系だ。彼らは、イスラエルがパレスチナを消していくことを許すだけでなく、イスラエルがパレスチナ人を大量虐殺しても米国や国連、国際社会が何も対応できない状況を作っている。その流れは、戦争を止める国連安保理の機能や、米英が覇権維持のためにやっていた人権外交の構図を破壊している。国連安保理の機能は、破壊されることによって、中露など非米諸国が、国連改革という名の国連の非米化・欧米の政治力を縮小させることをやりやすくする。
War On UN – West Retaliates Against ICJ Order By Defunding Humanitarian Mission For Palestine

巨大な殺戮と破壊を伴ってパレスチナはなくなっていく。誰も止められない。

ガザ難民の大量殺戮を阻止し、中東の和平と安定を実現するためには、パレスチナ国家構想を廃さざるを得ない。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教はアブラハムを共通の祖先とする同じ一神教だから、それは実現可能のはずである。既に述べた現代キリスト教の宗教改革と軌を一にする内容である。

 

 

 

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