総選挙の隠れた争点は軍事安保か経済安保かの選択-期日前投票に行かれてない方は必ず投票に行こう
八王子市川口町ホームセンター沿いの遊歩道=筆者

高市早苗首相が行った電撃解散・総選挙の隠された争点は、右派イデオロギーに基づく安全保障観に基づく軍事力大増強か、それとも、大転換期の現代の多極化時代に相応しい、世界各国との戦略的互恵関係の強化=共存共栄外交による経済安全保障の強化・深化かのいずれかだ。有権者である国民が軍事力大増強による安全保障強化を選べば、その財源は必ず、消費税の大増税によるものとなり、日本の経済力は衰退して国債価格は急落・暴落、国家としての信用も失われ、日本は破滅への道をたどることになる。日本は、中国に対しては、ニクソン大統領時代に同大統領の要請があったとされるが、田中角栄首相(当時)が中国の周恩来首相と調印した日中共同声明(1972年8月)と、園田直外相と黄華外交部長が調印した日中平和友好条約(1978年8月)に立ち返り、両国間の信頼関係を取り戻すべきである。ロシアに対しては日本国民が、停戦から戦争終結に向けてカウントダウンの段階に入っているウクライナ戦争の真の原因が、当時のバイデン副大統領の指示の下でヌーランド国務次官補がウクライナのネオ・ナチ勢力を利用して2014年2月、ロシア系ウクライナ住民を大弾圧するなど、ウクライナにロシアとの良好な関係を断ち切らせるために起こしたマイダン・クーデターが真の原因であることを見抜き、1956年10月に鳩山一郎首相が訪ソし、同国のブルガーニン首相との間で調印した日ソ共同宣言を発展させて日露平和条約を締結、信頼関係を取り戻して(プーチン大統領は柔道の有段者)、歯舞群島と色丹島の返還と国後・択捉島についての善処を求めるほか、ロシアの豊富な天然資源・鉱物資源などを取引品目とした貿易の活性化と経済関係の強化を図る時に来ている。

電撃解散・総選挙の狙いは敵基地攻撃能力の保有という軍事力の大幅強化

高市首相は今年2026年1月19日、衆議院の電撃的な冒頭解散・総選挙の理由を説明するための記者会見を官邸で行った(https://www.kantei.go.jp/jp/104/statement/2026/0119kaiken.html)。その中で、次のように述べている。

そして、国民の皆様の支持なくして、力強い外交・安全保障を展開していくこともできません。国際情勢は、更に厳しさを増しています。中国軍が、台湾周辺で軍事演習を行いました。世界が依存し、民生用にも広く用いられるサプライチェーン上流の物資を管理下に置くことで、自国の主張に他国を屈服させようとする、経済的威圧の動きもみられます。我が国が「自由で開かれたインド太平洋」を提唱してから10年、その進化を目指します。これまで、ASEAN(東南アジア諸国連合)関連首脳会議、AZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)首脳会合、トランプ大統領との首脳会談、APEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議、G20サミット、中央アジア+日本・首脳会合(注1)、李在明(イ・ジェミョン)大統領やメローニ首相との会談を始め、国際会議の機会を利用した数多くの各国首脳との二国間会談など、数々の貴重な外交機会に恵まれました。日米同盟を基軸に、日米韓、日米フィリピン、日米オーストラリア、日本・イタリア・イギリス、グローバルサウスなどとの連携を更に強化してまいります。

そして、安全保障政策を抜本的に強化します。国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画、いわゆる「戦略三文書」を前倒しで改定します。ロシアのウクライナ侵略を教訓に、各国は、無人機の大量運用を含む新しい戦い方、さらに、一旦そういった事態が起きた場合に長期化する可能性が高いという想定の下、長期戦への備えを急いでいます。これは前回、「戦略三文書」を改定した2022年と比べて大きな変化です。その改定は急務であります。かつ、旧来の議論の延長ではない抜本的な改定が必要です。

高市首相は明確に反中、反露外交戦略を採っている。GoogleのAIシステムであるGeminiによると、戦略三文書とは次のようなものであった。

戦略三文書(安保3文書)とは、日本の防衛政策の長期的な方針や具体的な装備・予算を定めた、国家安全保障の最上位となる「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の3つの文書の総称です。2022年12月に策定され、反撃能力の保有や防衛費のGDP比2%への増額を明記するなど、戦後の防衛政策の大きな転換点となりました。

戦略三文書は、敵基地反撃能力(制定当時は高市氏ら自民党の右派イデオロギー勢力は、「敵基地攻撃能力」と叫んでいたが、専守防衛を基本的な国防政策と規定している日本国憲法上、相応しくない表現と考えて「敵基地反撃能力」と言い直すようになった)の保有や防衛費のGDP比2%への増額を明記している。しかし、今回のウクライナ戦争で戦争形態が極超音速ミサイルや軍事ドローン、電子戦などに大きく変わったことを踏まえて、その戦略三文書をさらに見直す(注:軍事力の大幅増強)ことについて、国民(有権者)の理解を得たという形にするため、今回の電撃解散・総選挙になった。

そのためには、軍事力強化のための財源が必要になる。日本の税収項目のうち、基本は消費税、所得税、法人税の三項目であるが、結局のところは、もっとも課税しやすい消費税の増税というところになるだろう。税率は、10%→12%→15%→20%へと段階的に引き上げられることにになる。しかし、消費税増税はこれまで、税理士やエコノミストから、所得税の累進性の緩和と法人税率引き下げの財源として使われていると指摘されている。このうえ、共存共栄の外交戦略=経済安保戦略の強化・深化を実現することなくして、さらなる消費税増税を敢行すれば、日本の経済と財政はもたず、凋落の一途を辿るのは避けられない。

なお、高市首相の言う食料品への消費税率の引き下げ(ゼロ税率の導入)は二年に限るもので、日本維新も賛同している。しかし、二年間だけというのは、今日の物価高の原因が、海外諸国の石油・天然物・鉱物資源などの価格の急上昇と、長期にわたる円安が原因であるため、意味がない。国民新党の東京24区(八王子市など)からの立候補者は、「ガソリン価格が下がっていることからも分かるように、物価高の原因はエネルギー価格の上昇ではなく、政府による企業に対する無理な賃上げ要求によるものだ」と語っていた。

しかし、ガソリン価格の低下は政府の補助金によるもので、一時的な効果しかない。しかも、高市首相のゼロ税率の導入は、財源含めその詳細は不明だ。また、高市首相自身も食料品への消費税率ゼロの導入については、衆議院の電撃解散後は言及を封印してきた(https://www.asahi.com/articles/ASV233S3BV23UTFK00KM.html)。しかし、共同通信によると総選挙戦終盤後半あたりから、次のように語るようになったようだ。

「食料品は物価上昇率が高止まりするとの見方があり、賃上げと関係ない引退したシニア世代には特に厳しい』と指摘した上で、「食料品の消費税ゼロについて、検討を加速すると打ち出している」、という。

物価が上昇を続けても、エンゲル係数という言葉に象徴されるように、家計の中でも購買の割合が最も多いのは食料品の購入に使われる食費だ。その食料品にかかる税率を仕入れ税額の控除が可能になるゼロ%にすれば、年齢にかかわらず、国民の負担は軽減にされる。もっとも、食料品を販売する際の仕入れ税額は、輸出企業と同じように国税庁とその傘下にある税務署が還付することになり、事務負担が極めて重くのしかかることになる。財務省・国税庁としては、「まっぴらごめん」というところだろう。総選挙終盤での意味不明の高市発言だが、おっしゃりたいことは要するに、検討を加速(注:したふりを)することだけなのではないか。https://news.yahoo.co.jp/articles/3ec3ee978576c1a3088cd02555890755325c9160)。

むしろ、自民党内部では逆に、消費税率の引き上げについて、論議が盛んになってきたようだ(https://news.yahoo.co.jp/articles/c0dcd136ae387becde093fca391f624d90a99b59)、軍事力増強に向けて、必要な財源として消費税の増税が議論されているのであろう。逆進性が極めて大きい消費税の増税を行えば、日本の経済が衰退するための急所になるとともに、日本は国家として凋落するのは避けられない。右派イデオロギー色の強い高市早苗首相では、真の意味で強い日本を再構築することは不可能だと言わざるを得ない。

このほか、岩手三区の小沢一郎候補が批判した高市首相の「円安ホクホク発言」(注: 批判内容は、外国為替特別会計=外為特会=の含み益を政策財源として扱うことに対し、平時の税外収入として一般会計の財源に使うのは危険であるという指摘。外為特会が保有している米国債など海外諸国の国債は本来、急激な円高・円安に対処するためのいわば「有事の弾薬」として設けられている)や日本の長期金利がじりじりと上昇している(https://jp.tradingeconomics.com/japan/30-year-bond-yield)ことにも批判が強まっており、「強い経済」とは言うけれど、本当に大丈夫なのかという声も次第に強まっている。

共同通信の情勢分析の仕組みからみた終盤情勢

新聞社に対して記事を販売する日本最大の通信社である共同通信は、記者クラブに加盟しており、記者クラブ加盟の全国の地方紙の新聞社には事実上、政治部や外報部(外信部)が存在しないことから、地方の話題以外は共同通信が配信する記事を転載する。なお、時事通信社は共同通信社から分かれて出てきたが、こちらは記者クラブに加盟していない企業やマスコミ各社にも記事を配信している。マイクロソフト社のAIシステムであるCopilotによると、共同通信社はネット調査は行わず、電話取材と地方紙の記者をマニュアルに従って訓練し、地方の各政党の選挙対策対本部やさまざなな業界団体、支援団体、宗教団体などに、選挙に対する空気を取材させ、次のように分類するらしい。(右派諸国の強い)ネット調査は行わないようだ。

■ 共同通信の情勢記事を「構造」で表にするとこうなる

共同は、各党の選挙区を次の4分類で整理していると推定できる(公開はされていないが、記事の書き方から逆算できる)。

区分 意味 共同の表現に対応する語
確実 ほぼ当確レベル 「固める」「確実」
優勢 取る可能性が高い 「優位」「リード」
競り合い どちらにも転ぶ 「激戦」「接戦」「横一線」
劣勢 落とす可能性が高い 「苦戦」「一歩遅れ」
そして、 「◯◯を超える勢い」「◯◯うかがう」 という表現は、次の合計値を指している。

■ 「◯◯を超える勢い」の正体(構造的に再現)

共同の“最大値”はこう計算されていると考えられる。

最大値=確実+優勢+競り合い(全部) 

つまり、 接戦区・激戦区も全部「取る」と仮定した最大値が〇〇。

■ 「◯◯をうかがう」の正体(中央値)

中央値=確実+優勢+競り合いの一部共同は競り合い区のうち

  • 過去の傾向
  • 地域特性
  • 支援団体の動き
  • 取材メモ を加味して“半分くらい”を足していると考えられる。

■ 「◯◯割れの可能性」の正体(最小値)

最小値=確実+優勢(の一部)つまり、 競り合い区をほぼ全部落とすケース

■ (今回の)共同の(選挙)情勢を“表”として再構成するとこうなる(例示)

これは仮の数字だが、構造はこう。

区分 自民 維新 合計
確実 180 20 200
優勢 40 10 50
競り合い 30 15 45
劣勢 20 5 25

このときの共同の(配信記事の見出しの)書き方はこうなる。

  • 最大値(確実+優勢+競り合い)=295 →「300議席をうかがう」「300超えの勢い」
  • 中央値(確実+優勢+競り合いの半分)=約270 →「270台後半〜280台の見方も」
  • 最小値(確実+優勢の一部)=220〜230
つまり、 共同の情勢は“幅のある3つの数字”を、文章でぼかして書いているだけ。

選挙のプロと言われるアナリストは、共同通信の調査を一番信用しており、手作業で全国289の小選挙区の確実、優勢、競り合い、劣勢のランクをカウントしている。比例ブロックでの当選者は、時間のかかるドント方式で決まるが、各政党の投票率に一定の定数を乗ずれば、概算値は出てくるようだ(小選挙区制度が中心の選挙区制度=小選挙区比例代表並立制)しかし、AIはコンピューターであるから、単純計算も含めてたちどころに計算できる。共同通信の選挙情報配信記事では、確実、優勢、競り合い、劣勢という言葉は絶対使わない。どちらにもころびそうな場合は、「激戦」「接戦」「横一線」という言葉で、選挙後の取材で政府高官や官僚層からリークを取れなくなることがないように、「激戦」という言葉を使って、与党大物候補に配慮する。

最終版の中央値は270議席程度だ。しかし、日本では極寒の冬の時期の選挙であり、7日土曜日(選挙最終日)と8日(投開票日)は北海道、東北、日本海側では雪が降る見通し。共同通信もその影響は、期日前投票数をまとめることはできても、既に選挙情報を各新聞社(大手紙を含む)に配信したあとだから、選挙結果にどのような影響を与えるか不明である。なお、サイト管理者(筆者)の調査・予測やネットでの調べによると、公明党の支持母体の創価学会員の票は着実に中道改革連合に流れ込んでいるようだ。

しかし、衆議院の旧立憲を支持していた左派リベラル層が、旧立憲側が安保法制と原子力発電所稼働問題(原発問題)で旧公明の要請を受け止め、党執行部の判断を中心に現実路線に転換して、中道勢力を結集するための「一里塚」として、中道改革連合を電撃解散の直前に結成しため、中道改革連合を離れたようだ。この層の減少分が党勢の勢いにマイナスになっているとの情報が出ている。選挙情勢の一番確かな情報は、投開票日の8日日曜日の開票が行われる午後20時直後のNHKの予測報道だ。こちらは、既に投票済みの有権者の情報を基に構成している。

いずれにしても、有権者の国民の皆様は、今回の高市首相の電撃衆議院冒頭解散・総選挙の最大の狙いは、旧い右派イデオロギー(反共右翼思想)に基づいた軍事力の大幅増強について、国民(有権者)の白紙委任を受けたという条件を作ることであるということを踏まえて、期日前投票に行かれていない方は、降雪予想のある大変な中であるが、明日の1月8日に投票所に足を運ばれるよう、お願いしたい。

 

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