プーチン大統領、「特殊軍事作戦」から「戦争」へ移行かー09月21日、30万人予備役の投入発表(追記:大統領「強硬姿勢」)

ロシアのプーチン大統領は日本時間の09月21日午後3時すぎから国民向けのテレビ演説を行い、ウクライナ事変(ウクライナ侵攻)について実戦経験のある30万人の予備役を動員することを発表した。米側陣営とそのプロパガンダを行っいてるマスメディアはロシアが追い詰められた証拠だとしているが、国際情勢解説者の田中宇(さかい)氏によると欧州諸国の自壊を進めて現政権を親露派にするか、反米親露なポピュリスト政権(民衆政権)を樹立させて親露派政権を樹立させ、米国と欧州を分離・切断することが狙いだと見ている。

NHKは09月21日17時31分に「プーチン大統領 “予備役”の部分的動員表明 ウクライナ侵攻で」と題する記事をWebサイトに投稿した(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220921/k10013829461000.html)。

ウクライナへ軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は国民向けのテレビ演説を行い、戦地に派遣する兵士について、職業軍人だけでなく、有事に召集される、いわゆる予備役を部分的に動員する大統領令に署名したことを明らかにしました。ウクライナ軍の反転攻勢を受け、プーチン政権は危機感を強めているものとみられます。(中略)そして、部分的な動員の対象について「合計30万人の予備役が召集される」と明らかにしました。

田中氏が09月21日午後15時に発表した「特殊作戦から戦争に移行するロシア」(https://tanakanews.com/220921russia.php、有料記事)によると、プーチン大統領の国民向けの演説は当初、現地時間の20日に行われる予定だったが、欧州のどこからか「ちょっと待ってくれ」と電話が入ったので、プーチンは演説を1日延ばしたのだろうと推測している。プーチン大統領の国民向け演説に先立ち、ロシア側は東部のドネツク州とルハンシク州、南部のヘルソン州それに南東部のザポリージャ州の支配地域で、それぞれ今月の09月23日から27日にかけてロシアへの編入に向けた住民投票の実施を行うことを決め、発表していた(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220920/k10013828831000.html)。

ロシア軍が侵攻を続けるウクライナで、親ロシア派の勢力は今月23日から27日にかけてロシアへの編入に向けた住民投票の実施を決めたと表明しました。ウクライナ軍の反転攻勢を受けてプーチン政権が急きょ、支配地域の一方的な併合に動き出したかたちですが、ウクライナ側は「偽りの住民投票だ」と強く反発しています。ウクライナの親ロシア派勢力は20日、東部のドネツク州とルハンシク州、南部のヘルソン州それに南東部のザポリージャ州の支配地域で、それぞれ今月23日から27日にかけてロシアへの編入に向けた住民投票の実施を決めたと表明しました。

米側陣営のマスメディアは、ロシアがウクライナ北東部のハルキウ州から撤退するなどロシア軍が極めて不利な状況に置かれたので、ロシア側の政治的影響力の強い東部のドネツク州とルハンシク州、南部のヘルソン州それに南東部のザポリージャ州で住民投票を行い、これら四州の独立を承認したうえで予備役兵を投入して東部、東南部四州を守るという窮余の策に転じざるを得なくなったと解説している。しかし、この四州を含むウクライナ東部、東南部、既に住民投票のうえでロシア領に編入されているクリミア半島は、プーチンロシア政権が構想しているノボロシア構想の大半を占める。

ウクライナ北東部のハルキウ州からの撤退はロシア側にとって一方的な撤退であって、戦線を複雑にせず戦況を有利にし、かつ、長期化するための既定の路線だったのではないか。いち早く、「特殊軍事作戦」から「戦争」への格上げを予想している田中氏は本日21日の論考で次のように述べている。まず、誰でも閲覧できるリードの部分は次だ。

ロシアが4州を併合した時点で、ウクライナとロシアの和解は不可能になる。ウクライナが今後よっぽど負けて、4州をロシアに奪われた状態で良いからロシアと和解したいと言い出せば別だが、米英は今後もずっとゼレンスキーをテコ入れして和解させないだろうから、この道もない。欧州はロシア敵視を続けねばならず、欧州経済は自滅が進み、エリート支配が崩れてポピュリスト支配になって米国側から離脱し、ロシア敵視をやめていく。これがプーチンの目標の一つだろう。

さて、本投稿記事を若干引用させていただきたい。まず、田中氏は当初、「戦争」への格上げはないと思っていたとのことだが、その考えを改めたのは、親露的なセルビアのブチッチ大統領の発言だ。

私は最初、露政府が特殊作戦を戦争に格上げすることはないのでないかと思っていた。露軍は優勢で、格上げは必要ない。格上げの話は米国側の勝手な憶測でないかと思っていた。しかし、9月20日に親露的なセルビアのブチッチ大統領が「われわれ(ロシアやセルビア)は特殊作戦の時期を終え、もっと大きな戦争の構図の中に入りつつある」と国連総会で述べている。これを知って私は、ロシアの特殊作戦が戦争に格上げされるのは事実なのだと理解した。ブチッチは、この転換が単にロシアとウクライナの戦闘が特殊作戦から戦争に呼称変更されるだけでなく、欧米と露中との大きな対立、世界大戦的なものに発展することを意味すると言っている。ロシアだけでなく中国も巻き込んだ世界大戦(の代替物)になっていくということだ。そういえば、米国は最近、台湾問題などで中国への敵視をどんどん強め、独英EUなど欧州も巻き込まれて中国敵視を強めている(日本は中国の近くにいるのに、いないふりをしている)。 (Serbian leader warns of imminent global war

米側陣営と非米側陣営との対立が先鋭化していくとの見通しだが、今回の「特殊軍事作戦」から「戦争」への格上げへの狙いとして、重要な部分を引用させていただきたい。

露軍がウクライナで完全に優勢なら、ウクライナはロシアに勝てないのだからロシアと停戦和解交渉するしかないと、欧州はゼレンスキーに加圧して停戦交渉させられるかもしれない。だが、プーチンの計略に沿って露軍は一方的にハリコフ州から撤退して露軍が負けているような感じを演出し、ウクライナや黒幕の米英がそれに乗って勝利宣言し、欧米マスコミは「露軍が惨敗してウクライナが勝ちそうなんだから、やるべきことは停戦要請でなく武器輸出の加速だろ」と欧米政府を突き上げる。欧州はロシアと和解できない。

ドンバスなどウクライナの4州が、従来のようにウクライナの一部である限り、露軍が4州から撤退してロシアに戻れば、ウクライナの国家統一は保たれ、それを目標にウクライナとロシアが停戦和解交渉できる(ウクライナはクリミアをあきらめる必要があるが)。しかし、4州が住民投票し、ロシアがその結果を認めて4州をロシアの一部に編入してしまうと、ロシアは国家の尊厳として、4州をウクライナに戻すことを容認できなくなる。ロシアが4州を併合した時点で、ウクライナとロシアの和解は不可能になる。ウクライナが今後よっぽど負けて、4州をロシアに奪われた状態で良いからロシアと和解したいと言い出せば別だが、米英は今後もずっとゼレンスキーをテコ入れして和解させないだろうから、この道もない。欧州はロシア敵視を続けねばならず、欧州経済は自滅が進み、エリート支配が崩れてポピュリスト支配になって米国側から離脱し、ロシア敵視をやめていく。これがプーチンの目標の一つだろう。 (ロシア敵視で進む多極化

プーチンの目標のもう一つは、中国など非米諸国の取り込みだ。和平の可能性がある限り、中印など非米諸国は、ロシアと結束して米国側と対立激化するよりも、ウクライナ戦争を停戦・和解させることを重視する。だが今後、戦争が正式化・長期化して停戦和解が不可能になり、ロシアなど非米側が石油ガス資源類を握って優勢が増し、欧州経済の自滅と米国金融の破綻が進んで米国側の経済覇権も崩れていき、米欧が中国を敵視する流れも加速すると、中国など非米諸国は、米欧とうまくやりよりも、ロシアに味方し、非米側の結束を強めた方が得策になる。露軍が今にも負けそうなら味方できないが、実のところ露軍はこっそり優勢だ。まずは4州の併合を他の非米諸国が認知するかどうかという話になる。Donbass wants SCO and BRICS to approve referendums, says LPR envoy

ウクライナ事変がここにきて急速に動き出してきた感じだ。ウクライナは独立国家としての歴史が非常に浅いがまずは、中国など非米側が東部、東南部四州を認知するかどうかが焦点になる。本サイトでも田中氏の論考を紹介しつつ、実のところは資源・エネルギー、貴金属、穀物などコモディティ大国であり、かつ、人口大国でもあるロシア、露中、非米側陣営が有利になっているのではないかとしてきた。ウクライナ東部、南東部で住民投票が行われる今月がひとつの山場になるが、取り敢えず一報させていただいた。

(09月22日14時20分記)プーチン大統領、「強硬姿勢」展開

その後、プーチン大統領が(「過激な隠れ多極派」に支配されている民主党バイデン政権下の)米国を盟主とする北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国を強く批判し、「核兵器」も選択肢のひとつに入れていることを示す強硬な演説を行った(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220922/k10013830411000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_002)。

また、プーチン大統領は、ウクライナへの軍事支援を行う欧米側を激しく批判し、「ロシアの領土の一体性への脅威が生じた場合、国家と国民を守るために、あらゆる手段を行使する。これは、脅しではない。核兵器でわれわれを脅迫するものは、風向きが逆になる可能性があることを知るべきだ」と述べ、核戦力の使用も辞さない構えを示し、欧米側を威嚇しました。

またプーチン政権は、ウクライナ東部や南部で支配する地域の一方的な併合をねらい、親ロシア派勢力は、23日から27日にかけて「住民投票」だとする組織的な活動を始める予定です。

核兵器をちらつかせてウクライナのゼレンスキー政権を軍事・経済両面から支援するNATO加盟諸国を牽制した演説だが、プーチン大統領の計略内の発言ではないか。というのも、ロシア側は第一に、ウクライナ政権側が流したハリコフ州イジュームでの残虐行為に真相解明のための積極的な動きに出ていない(注:イジュームでは今年の3月と4月に激戦があったが、激戦で死亡したウクライナ軍兵士の墓地には十字架を立てるなど手厚く弔っており、虐殺というにはへだたりがある。

第二に、09月15日からウズベキスタンのサマルカンドで開かれた上海協力機構(SCO)首脳会議開催を前にロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席がウクライナ事変後初めて首脳会談を行い、両国の「政治的・経済的結束」の強化を宣言するとともに、同首脳会議ではイランの正式加盟を承認するとともに、米側陣営への対決姿勢を強調した。これに応えるかのように英国の新首相であるトラスト首相は国連総会で、ロシアと中国との対決姿勢を強化することを表明した(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220922/k10013830931000.html)。

露中首脳とSCO首脳会議でウクライナ事変について触れなかったとは考えにくい。トラスト首相が強調したように、中国は「不可分の領土」である台湾問題で米国や英国から強い圧力を受けており、米側陣営との軍事的対抗の強化はロシアとも共通する。ロシアのウクライナ北東部ハリコフ州からの撤退やウクライナ東部や南部での住民投票、実戦経験を持つ予備役将校・兵士の招集による「特殊軍事作戦」から「戦争」への格上げやについては、プーチン大統領から習近平国家主席への直接の説明があったのではないか。そのうえでの、「露中結束」強化である。

【追記22日午後17時】脇道にそれますが、昨日09月21日午後、仕事の帰りでJR中央線中野駅北口を通りかかったら、アジア系の女性が日本語を流暢に語れないまま、「共産主義は人類を滅ぼす」という残虐な写真入りパンフレットを配布して、中国共産党を批判していた。「共産主義ってどういう理論かご存知か(注:サイト管理者(筆者)は共産主義を支持するものではないが、共産主義の隠された秘密については熟知する必要があると思っている)」と尋ねたが、日本語ができないので会話が成り立たなかった。中国共産党の批判が目的だったと思われる。恐らく台湾関係者で、台湾独立運動に加担しているのではないかと拝察している。

しかし、日本政府は1972年09月29日の日中共同声明で、①中華人民共和国政府が中国を代表する唯一の合法政府であることを認めた②中華人民共和国政府が台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明し、日本政府が、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持するーことを明記している。ここで、ポツダム宣言第八項は「カイロ宣言(注:対日方針を協議するため1943年(昭和18年)11月22日からエジプトのカイロで開催された米国のフランクリン・ルーズベルト大統領、英国のウィンストン・チャーチル英首相、中華民国の蒋介石中華民国(当時の中国)の国民政府主席による首脳会談を受けて、12月01日に発表された共同宣言)の条項は履行せられるべく」と規定しており、そのカイロ宣言は「台湾、澎湖諸島は中華民国(日中共同声明を踏まえれば中華人民共和国がその正当な後継国になる。従って、台湾は中華人民共和国の不可分の領土ということになる)ことが対日戦争の目的のひとつ」としている。

従って、日中共同声明発表移行は、台湾の独立運動は中国の主権を侵害するものにならざるを得ない。サイト管理者(筆者)が会った女性はアジア系の女性で国籍は尋ねなかったが、台湾から来られた可能性もある。要するに、中国共産党の非道性を訴え、中国から台湾を独立させるための運動に携わっていたのではないかと推察される。この中国からの台湾独立運動は現在、米国(バイデン民主党政権)が総元締めであると見られる。米国は1979年暮れの「米中共同声明」で、「中華人民共和国政府が台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である」という中華人民共和国政府の主張は認知すると言っているに過ぎず、同意するとまでは言い切っていないからだ。

だから、時を同じくして「台湾関係法」を制定して、台湾(台湾政府は伝統的に台湾を中華民国=の継承国=と見なしているがもはや、この認識に立つ国は今日に至っては存在しない。米中国交回復後、国連からも追放され、五大常任理事国のひとつになっているのは中華人民共和国である)との間に「台湾関係法」を成立させて、相互防衛条約を結んでいる。ここが、米国の二枚舌的なところ(戦争を創作する外交を展開してきた)で、バイデン政権はさらにその台湾関係法を強化しようとしている。軍産複合体が台湾に高性能武器を売却できるからだ。要するに、バイデン政権としては、台湾を独立させる運動を支援して軍産複合体の意にかなうように台湾海峡に緊張状態を創り出したいのだろう。

「台湾海峡有事」などという言葉は、中国が創り出しているものではなく、米国がひねりだしたものだ。それに、日本の岸田文雄政権が乗っかっている。ただし、本当に乗っかっているか否かは同政権の表と裏の動きをよく見なければ分からない。

しかし、中華人民共和国(中華民国の正統な後継国)にとって台湾独立運動は主権侵害以外の何物でもない。もともと、米中国交回復は共和党のニクソン大統領(当時)がロックフェラー家から送り込まれたキッシンジャー大統領補佐官とともに「忍者外交」を行って中華人民共和国を取り込む(関与政策)ために行われたものだ(多極化の本格的な開始)。それなら、多極化を本格的に進めれば良いが、それを過激に拙稚に邪魔しているのが民主党バイデン政権だ。なお、共和党のトランプ大統領も中国と対決姿勢を示したが、多極化政策を進めるためと見ることも出来る。ただし、北朝鮮と国交正常化しようとしたが、軍産複合体に妨害された。

もっとも、田中宇(さかい)氏によると、民主党バイデン政権も過激で拙稚な多極派に支配されているという。米国にはもはや、一極単独覇権体制を維持しようとする影の支配者はいないようだ。その能力がなくなったから、意思もなくなったということだろう。ということで、例の女性は究極的には過激で拙稚な隠れ多極派からコントロールされている気の毒な女性だという気がする。話を元に戻します。

ウクライナの東部、南部四州(欧州最大の原子力発電所・サボロジエ原発のあるサポロジエ州を含む)で住民投票が行われ、クリミア半島のようにロシアへの帰属が決まると、ウクライナはNATOの力を借りない限り分割される。これを阻止できるのはNATO加盟諸国だけだが、欧州のNATO加盟諸国はロシアからの天然ガスを完全にストップされ、経済的な危機に陥る。昔から米英領国は一体だが、ユーラシア大陸側の欧州はロシアからの天然ガスの完全にストップで経済・産業・社会インフラが破綻する。そうした状況になれば、欧州各国で民衆政権(メディアではポピュリスト政権と呼ばれてしまう)が政権を奪取し、欧州の政治・社会情勢は一変するだろう。

過激な多極派勢力に乗っ取られた米国と20世紀まで世界に君臨してきた英国といえども、欧州の経済破綻は救いようがない。加えて、米英領国、特に「基軸通貨ドル」を持つ米国は対露経済制裁の跳ね返りでインフレ率が高止まりし、同国の中央銀行システム(FRS)は中核である米国連邦準備精度理事会(FRB)が21日、三回連続の0.75%の政策金利(フェデラル・ファンドレート=FF金利=)の利上げを決めたほか、QT(Quantitative Tightening=量的金融引締め政策=)の大強化に乗り出した。

このため、09月21日の米国のダウ平均は前日比522ドル安の3万183ドルと06月17日以来の安値で引けた(https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPKBN2QM202)。

主要株価3指数はいずれも1.7%超下落。ダウ工業株30種は6月17日以来の安値で引けた。ナスダック総合とS&P総合500種はそれぞれ7月1日、6月30日以来の安値を付けた。

FRBは20─21日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場の予想通り0.75%ポイントの利上げを決定した。しかし、新たな金利見通しで、政策金利は今年末までに4.40%に上昇し、2023年には4.60%でピークに達するとし、さらなる大幅な利上げを示唆。6月に示した見通し3.4%、3.8%からそれぞれ上方修正した。また、利下げは(大統領選挙のある)24年まで想定されていないとし、FRBが近い将来のインフレ抑制を見越しているという投資家の期待を打ち砕いた。

今後、米欧日諸国(米側陣営)の金融・資本市場は大荒れの展開になるだろう。しかし、その根本原因である深刻なインフレはデマンドプル・インフレではなく、対露経済制裁の跳ね返りによるコストプッシュ・インフレである。要するに、いたずらに金融を引き締め、 市中から資金(通貨)を引き上げても深刻なインフレは解消しない。欧州は経済・社会が破綻し(今冬はとドイツなどで低所得者層を中心に凍死者、餓死者が出ると予測されている)、欧米を含む米側陣営はさらに金融危機に直撃される。

こうした状況の下では、NATO加盟諸国によるウクライナに対する軍事・経済支援は続かない。ロシアのプーチン政権がウクライナ東部、南部での住民投票に踏み切るのも、米側陣営の凋落とウクライナへの軍事・経済支援が不可能になることを見越してのことと思われる。要するに、勝算があると見ているからプーチン大統領は本格的に動き出したと見たほうが良い。同大統領は「核兵器」の使用をちらつかせるまでもないが、米側陣営にロシア側がとんでもない危機に陥っていると錯覚させて騙し、油断させるための策略(情報戦争)を行っていると見ることもできよう。

米側陣営が立ち直るためには、①ソ連崩壊後に当時のゴルバチョフ大統領(08月30日に逝去)とシェワルナゼ外相を騙して、ロシアを崩壊させることを最終的な目的としてNATOの東方拡大を行い続け、最後にウクライナで2014年02月にマイダン暴力革命を起こしてウクライナ東部のロシア系ウクライナ人を虐殺、ウクライナ事変を引き起こしたことの非を認める(ウクライナ事変はロシアにとっては正当防衛措置である)②冷戦終了後に大資本だけの利益になる新自由主義を世界に輸出して各国の国有資産を奪い取るとともに、国内では貧富の大格差、非米側陣営に対しては永久に「発展途上国」のままにしようとした(中東産油国やBRICs諸国がこれに反発し、その状況を克服しようとしている)ーことの大きな咎めを認めることが必要不可欠だ。

世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一協会:略称統一教会)はこうした国際情勢を踏まえた上で、北朝鮮の経済発展を前提とした朝鮮半島の統一を中核とする東アジア文明創設の原動力を果たさなければならないが、同連合の首脳部は何を考えているのか。



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