在韓米軍の韓国撤退が視野に入ってきているようだー中露がユーラシア大陸を席巻、韓国も協力か

ウクライナ事変を契機に、ロシア、中国が結束、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)に加え、中東産油国、イラン、トルクメニスタンなど中央アジア諸国など非米側陣営(コモディティ大国が中心)が結束を固め、新たな国際決済経済システムの構築の本格化や上海協力機構の拡充などで、ユーラシア大陸運営の主導権を握ろうとしているようだ。韓国も密かに協力しつつあるようで、ユーラシア大陸の極東にある朝鮮半島(韓半島)でも新しい動きが始まりつつあるようだ。

中露と韓国がユーラシア大陸の牽引力にー新しい世界主義の理念が不可欠

中露が北朝鮮の経済発展に協力し、中国との関係を深めつつある韓国も隠然として北朝鮮の経済支援を行うことで、米国(バイデン政権が支配されているディープ・ステート(DS=軍産複合体と手段を選ばぬ利益極大化が最大の目標である多国籍企業、歴史的な経緯からするとディアスポラの離散ユダヤ人と呼ばれる人物たちも絡んでいるようだ=))抜きの朝鮮半島(韓半島)和平・南北統一が進む可能性があることについては既に紹介させていただいた。

記事の参考にさせていただいた国際情勢解説者の田中宇氏は、08月29日に公開された「ユーラシアの逆転と日韓米軍の撤退」(https://tanakanews.com/220829eurasia.htm)と題する記事で、視野を拡大させて中国・ロシア両国が五大陸のうちでも最大のユーラシア大陸の運営主導権を把握することを予測している。無料記事なので関心のある方はどなたでもご覧頂きたい。

本サイトで若干の紹介をさせていただく前に、2008年03月に日経BP、時事通信、読売新聞社の参加にある中央公論などが設立した日本ビジネスプレス(JBPress)もここにきて、「対ロ経済制裁は効いているのか?」と題する期間限定一般公開記事(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71564?page=3)を同じ08月29日に投稿し、米側陣営による対ロ経済制裁が効いていないことを指摘し始めた。以前の公開記事と矛盾しないように「短期的には」との条件付きだが。

ただし、短期的にはもちろん中長期的にも効かないだろう。中露両国を中心にユーラシア大陸の非米陣営は国際決済システムの構築を急ぎ、非米側陣営の安全保障のために上海協力機構を拡充させつつあるからだ。ただし、JBPressの言い分も紹介しておきたい。日本の国民を騙すことに限界が来ていることを示唆する内容ではあるからだ。

問題は、ノックアウトの大打撃がまだ具現化していないことだ。国際通貨基金(IMF)によれば、ロシアの国内総生産(GDP)は2022年に6%縮小する見通しで、今年3月に多く見られた15%減という予想よりもかなり小さく、ベネズエラで観察された経済不振よりも小規模だ。エネルギー販売によって今年の経常収支は2650億ドルの黒字になり、中国に次ぐ世界第2位の黒字国になる見込みだ。一度は苦境に陥ったロシアの金融システムも落ち着きを取り戻しており、一部の輸入品については中国など新たな供給国が確保されている。

片や欧州では、エネルギー危機によって景気後退が引き起こされる恐れがある。ロシアが供給を絞ったことを受け、天然ガス価格は8月第4週だけでさらに20%も上昇した。 制裁という兵器にはいくつか欠点があることが分かってきた。

JBPressのサイトでは「いくつかの欠点」として、①タイムラグ(効果が出るまでに時間がかかること)の存在②独裁国家は権力基盤が強固だから、必要な資源を国内から強制調達できる③制裁相手国(ロシア)の反発があり、制裁相手国(ロシア)は制裁諸国(特に、欧州)に対して天然ガスなど生活や産業に不可欠な天然ガスの供給を止め、制裁諸国に重大な打撃を与えられるーことなどを挙げている。しかし、これらの「欠点」は欠点にならない。

欧米諸国には中東産油諸国や米国のバイデン政権が復帰したがっている「イラン核合意(包括的共同行動計画=JCPOA=」に復帰することで、イランから原油や天然ガスを輸入するくらいしか道は残されていない。自然エネルギーに頼るにしても時間がかかるし、どの程度の規模のエネルギーを確保・供給できるか見通しが立っていない。なお、JCPOAとは、イランが核開発を大幅に縮小する代わりに経済制裁=天然ガスの世界の三大埋蔵量国(ロシア、イラン、カタール)の一角を占めるイランからの天然ガス輸出を禁止することが狙い。しかし、米国がトランプ政権の時代に脱退した(注:①核合意に弾道ミサイルの開発規制が盛り込まれていない②核開発制限に期限が設定されているーことなどが表向きの理由。ただし、これにもウラがあると見られているし、そもそもイラン核開発説を謀略説とする見方も根強い)ため、欧米諸国への輸出は頓挫している。

むしろ、ロシアは中国やインド(ソ連時代からインドはソ連・後継のロシアと関係が深い)との連携を強め、米側陣営の国際決済システムであるSWIFT(国際銀行間通信協会)に代わる非米側陣営の国際決済システム(中国のCIPS=人民元国際決済システム=やロシアのSPFS=ロシア連邦中央銀行とロシアの銀行を中心とした世界400金融機関間との間の金融情報伝達・決済用銀行間システム=を強化した、コモディティの裏打ちのある国際決済システム)の強化や経済・軍事安全保障のため設立した上海協力機構(1996年から2001年にかけて組織化し、当初は中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン・インド・パキスタンの8か国が参加して出発、2021年9月にはイランも正式に参加した)と結束して、米側陣営によらない世界システムを想像しようとしている。

なお、本サイトでは何度も書かせていただいたが、購買力平価=極端に言えば、各国のマグドナルドのハンバーガーの値段で通貨の交換比率を決めた各国通貨交換レート。現実の為替レートは金融情勢や国際情勢、国際決済銀行(注:世界各国の中央銀行の中央銀行)の金地金など貴金属価格の操作などで揺れるが、理論的には現実の為替相場が長期的に到達する為替相場=では既に国内総生産(GDP)ベースで世界最大の経済大国であり、現在主流になりつつある5Gで世界最大件数の特許を持つなど科学技術でもほとんど米国に追いつき、追い抜いており、世界最大の科学・軍事大国にもなりつつある。

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また、追い抜きつつある一人っ子政策を廃止したためなお人口大国でありつづけているため、世界最大の内需国でもあり、かつ、世界最大の輸出国でもある。パソコンはもちろんスマートフォンやiPhoneの世界最大の生産国であり、パソコンの頭脳であるCPU(工場を持たない米国AMD社が開発したRYZENシリーズ)など高性能半導体は「中国の不可分の領土である台湾」(1982年日中共同声明)のTSMC(台湾積体電路製造股份有限公司)が受託生産しており、台湾も含めた中国は今や、世界最大の製造業の生産基地である。要するに、非米側陣営はたそがれの米側陣営に依存しなくても発展できる基盤を創造しているわけだ。

なお、中国のCIPS=人民元国際決済システム=について、大和総合研究所のサイトから紹介させていただきたい(https://www.dir.co.jp/report/column/20220405_010835.html)。

2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を受けて、ロシアへの金融制裁が決定され、一部銀行がSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除されることとなった。国際決済は主に送金情報伝達システムと実際の資金のやり取りを成立させる決済システムの2つで成り立つ。SWIFTとは前者の送金情報の伝達に用いられるサービスであり、その普及率の高さから国際決済における事実上の標準規格となっている。SWIFTからの排除は国際決済における主な手段の消失を意味する。そのような中で突如、SWIFTの代替手段として中国が運用する人民元決済システムであるCIPS(人民元国際決済システム、Cross-border Interbank Payment System)が注目を浴びた。

CIPSとは中国が人民元の国際決済のために構築したシステムであり、決済システムのみならず送金情報の伝達機能を有している。システムへの参加銀行は2022年4月1日時点で1,288行となっている。中国資本の銀行が主だが、欧米のメジャーな銀行もいくつか参加しており、日本の銀行では3メガバンクも参加している。送金情報の伝達機能を有し、参加銀行が多数あることから、SWIFTの代替手段として期待が高まったのであろう。

要するに、結束した非米側陣営は米国抜きで発展できる政治・経済・軍事システムを急速に構築しつつある。こうした状況を踏まえて田中氏が公開された論考が先の「https://tanakanews.com/220829eurasia.htm」だ。要点部分を若干紹介させていただきたい。

ロシアは今年2月のウクライナ開戦後、中国やインド、イラン、トルコなど非米諸国を誘い、ユーラシア大陸の非米化を進めている。ロシアはまず、欧州に売れなくなった石油ガスなどの資源類を非米諸国に安く売ることで、非米諸国が米国主導の対露制裁に乗らないようにした。開戦後、資源類の国際価格が上がったので、安く売ってもロシアは前より儲かっている。非米諸国間の資源類の貿易決済には、米国側のSWIFTでなく、ロシアや中国が開発してきたSWIFT代替の非米諸国通貨建ての決済システムを使い(露SPFS、中CIPS)、中国も非米諸国との貿易に非米決済システムを使う傾向を強めている。中国は習近平が政権についた2014年から、ユーラシアの経済覇権戦略として一帯一路を進めてきた。これまで一帯一路は停滞していた部分もあるが、ウクライナ戦争でロシアが中国も誘って非米化に積極的になったことで一帯一路も加速されている。 (資源の非米側が金融の米国側に勝つ)(略)

北朝鮮が経済発展し始め、和平が進んで軍事的脅威が減っても北が政権維持できるようになると、南北和解が実現し、韓国が米国に要請して在韓米軍が撤退していく。その前に(もしくは同時期に)、米国が覇権放棄屋のトランプの共和党政権になり、米国の方から在韓米軍を撤退していく可能性もある。在韓米軍がいなくなったら、次は在日米軍だ。安倍元首相殺害の深層 その2

在日米軍撤退の条件となるのは、台湾が中国の傘下に入って台中の和解が実現することだろう。朝鮮半島が和解しても、台湾問題が残る限り、在日米軍は駐留し続ける。中国(中露)が強くなり、米国が弱くなる傾向なので、日本自身が米国に頼って中露と敵対し続けるシナリオは消えていく。台湾が独立して中国がそれを容認するシナリオもなくなる。武力による台湾併合は、アジアの地域覇権国になる中国の印象を悪くする。アジア諸国から尊敬されたい中国は、台湾を武力併合しない。米国の覇権崩壊など政治環境の変化によって、台湾が中国と交渉する気になるしかない。何らかの道筋で台湾問題が解決すると、米中や日中の対立も低下し、在日米軍が撤退する。米国は金融面と社会面から崩壊しかけているが、これが進むと米英が中露を敵視する力も失われ、日本や台湾は中国を敵視できなくなり、地政学も丸ごと過去の遺物となる。 (日本の隠然非米化

なお、植草一秀氏の「日本経済の黒い霧」(ビジネス社)の266頁から272頁によると、1972年09月29日の日中共同声明で日本側は、①中華人民共和国政府が中国を代表する唯一の合法政府である②中華人民共和国政府が、台湾が中華人民共和国政府の不可分の一部であることを重ねて表明し、日本政府が、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場(注:カイロ宣言で定めた台湾、澎湖諸島は中華民国=当時=に返還することが対日戦争の目的のひとつである、という内容)ーことを明確に認めている。

だから、台湾が独立を宣言すると言っても、それは国際法違反であり、中国政府から制裁を食らうことになる。台湾企業の対中本土投資などで中台は経済関係で深くつながっているから、そういった無謀なことはするべきでないし、しないだろう。なお、米国は日本よりかなり遅れて1979年に「米中共同声明」を結んでいるが、これはウォーターゲート事件により、ニクソン大統領が辞任させられたためだ。

民族自決権、内政不干渉が国際連合憲章の基本原則だ。田中角栄首相の電撃的な中国訪問は、米国の多極派であるニクソン大統領=キッシンジャー大統領補佐官による「忍者外交」で中国に対して敵視政策から関与政策に大転換したことを受けてのものだ。その後、鄧小平福首相は東京を中心として日本を訪問、日本の経済発展に驚いたこともあって、毛沢東の文化大革命による経済破綻から中国を経済再建するため、1978年前後から①ソ連のコルホーズ・ソホーズのように市場原理を無視して中国経済を崩壊させた人民公社の解体(農業・農村の自由化、農民の都市への移動の自由化を含む)②長江デルタ、珠江デルタ、閩南トライアングル(アモイ・泉州・漳州)、山東半島、遼東半島、河北省、広西チワン族自治区を経済開放区とし、日本など外資を好条件で導入して、産業基盤の育成と経済発展につなげる改革・開放路線ーを漸進的に進めた。

この鄧小平路線が、今の中国の大発展の基盤だ。ソ連の市場経済原理を無視した「計画経済」という名の合理的な実施が不可能な「指令経済」と、この中国の「赤い資本主義」の台頭が、いわゆる社会主義社会の崩壊、冷戦終結の根本原因になる。なお、余談だがマックス・ウェーバー研究家の林道義東京女子大教授(当時)によれば、「ロシア革命」の実体は「古代化社会主義」である(「スターリニズムの歴史的根源」)。日本では西暦645年の大化の改新のようなものだが、この大化の改新によって成立した律令国家(古代社会主義)はその後、三世一身の法や墾田永代私有令などによって食いつぶされ、貴族から新たに台頭した武士へと権力基盤が移り、平安時代末期から日本型封建社会が形成され、欧米近代資本主義文明の受け皿になった。

しかし、米側陣営はソ連崩壊後の戦後処理を根本的に誤った。本来ならキリスト教的価値観など宗教を重んじ、健全な家庭を大切にする新保守主義は歪曲されて好戦的なネオ・コンサーバティズム(ネオコン)に堕し、新自由(放任)主義と結びついて世界の諸国民を戦争と貧困(大格差社会の惹起)に陥れた。このため、英国のブレア元首相が指摘せざるを得ないように、欧米文明は黄昏(たそがれ)時に来ている。

ただし、米国で11月08日に行われる中間選挙と2024年秋の大統領選挙でトランプ陣営が勝利した場合は、米国もまた新たな変貌を遂げる可能性はあるだろう。そして、日本の岸田文雄政権はどう動くのか。最も重要な課題は、非米側陣営には近代西欧が確立した日本国憲法に代表される基本的人権の尊重・国民主権・平和主義の概念が生活実感として定着していない(日本でも生活実感として定着しているとは言い難いが)。基本的人権の尊重と離婚率が異常に高くなった特に米側陣営の家庭の再建と平和主義を中心とした新しい世界主義的な理念が必要とされている。サイト管理者(筆者)が関わりを持ったことのある朝鮮半島(韓半島)の平和統一と世界平和を志向してきた世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会、略称統一教会)がそれに応えられるだろうか。


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