あくまで参考としてだが、レアアースと医薬品(原料)の二点に絞って、高市路線のリスクについて、パターンAとBについて、損害の規模を試算してみて欲しい。高市首相は明確に軍拡路線を採用することをうたっているから、これに、現在は2%程度だと思うが、防衛費5%への上昇率分(必要な財源の規模)も付け足す必要がある。

1. 前提をはっきり置く

レアアース(日本向け)

  • 年間輸入額(対中中心の全体): 仮に 3,000億円 規模と置く
  • うち 中国依存:80%(2,400億円) と仮定

医薬品原料(原薬・中間体)

  • 年間輸入額: 仮に 5,000億円 規模と置く
  • うち 中国依存:60%(3,000億円) と仮定

※数字は「日本の規模感」と「中国依存の高さ」からのラフなオーダー。  厳密な統計ではなく、シナリオ比較用の仮定

2. シナリオ設定

パターンA(穏やかな締め付け)

  • 対中分の 30%が1年間停止
  • 残りの対中分+他国からの代替分は 価格20%上昇

パターンB(強い締め付け)

  • 対中分の 70%が1年間停止
  • 残りの対中分+他国からの代替分は 価格50%上昇

3. レアアース:損害試算

パターンA

  • 対中分:2,400億円
    • 30%停止 → 720億円分が「即時には代替困難」なボトルネック
    • 残り 1,680億円が20%値上がり → 336億円の追加コスト

レアアースA:年間 約1,056億円の直接ショック

パターンB

  • 対中分:2,400億円
    • 70%停止 → 1,680億円分がボトルネック
    • 残り 720億円が50%値上がり → 360億円の追加コスト

レアアースB:年間 約2,040億円の直接ショック

4. 医薬品原料:損害試算

パターンA

  • 対中分:3,000億円
    • 30%停止 → 900億円分がボトルネック
    • 残り 2,100億円が20%値上がり → 420億円の追加コスト

医薬品A:年間 約1,320億円の直接ショック

パターンB

  • 対中分:3,000億円
    • 70%停止 → 2,100億円分がボトルネック
    • 残り 900億円が50%値上がり → 450億円の追加コスト

医薬品B:年間 約2,550億円の直接ショック

5. レアアース+医薬品原料 合算

  • パターンA合計:
    • レアアースA:1,056億円
    • 医薬品A:1,320億円 → 約2,400億円規模/年の直接ショック
  • パターンB合計:
    • レアアースB:2,040億円
    • 医薬品B:2,550億円 → 約4,600億円規模/年の直接ショック

※これは「一次的な直接コスト+ボトルネック額」だけ。  ここから波及する 生産停止・輸出減・医療現場の混乱 は含めていない。

6. 防衛費2%→5%への引き上げ分(財源規模)

  • 名目GDP:600兆円 と仮定
  • 防衛費2% → 12兆円
  • 防衛費5% → 30兆円

増加分:18兆円/年

この 18兆円/年 が、

  • 増税
  • 国債
  • 他予算削減 の組み合わせで賄われることになる。

7. 高市路線の「定量的なリスクの輪郭」

ラフな前提に基づくオーダー感として:

  • 対中制裁ショック(レアアース+医薬品原料)
    • 穏やかなAでも:約2,400億円/年
    • 強いBなら:約4,600億円/年
    • しかもこれは「二品目だけ」の話
  • 防衛費2%→5%
    • 18兆円/年の追加負担

つまり、

  • 「対中強硬+サプライチェーン多様化+防衛費5%」という高市路線をフルに踏むと、 毎年18兆円の防衛負担+数千億〜兆円規模の制裁ショックリスク を抱え込む構造になる。
  • 一方で、その防衛費増と制裁リスクが、 中国の中距離ミサイル優位を根本的に崩せるかと言えば、かなり疑わしい というのが、あなたが直感的に感じているところだと思う。

このくらいの粗さでも、 「高市路線のコストの桁」 はだいぶ見えてくるはず。

これに、電池自動車の重要な部品である電池・電子部品:損害試算を加えると、次のようになる。

3. 電池・電子部品:損害試算

パターンA

  • 対中分:2兆円
    • 30%停止 → 6,000億円分がボトルネック
    • 残り 1兆4,000億円が20%値上がり → 2,800億円の追加コスト

電池・電子部品A:年間 約8,800億円の直接ショック

パターンB

  • 対中分:2兆円
    • 70%停止 → 1兆4,000億円分がボトルネック
    • 残り 6,000億円が50%値上がり → 3,000億円の追加コスト

電池・電子部品B:年間 約1兆7,000億円の直接ショック

4. 3分野合算(レアアース+医薬品+電池・電子部品)

前に出した数字と合算する。

パターンA合計

  • レアアースA:約1,056億円
  • 医薬品A:約1,320億円
  • 電池・電子部品A:約8,800億円

合計:およそ1兆1,200億円/年の直接ショック

パターンB合計

  • レアアースB:約2,040億円
  • 医薬品B:約2,550億円
  • 電池・電子部品B:約1兆7,000億円

合計:およそ2兆1,600億円/年の直接ショック

※ここでもまだ「一次的なボトルネック+コスト増」だけ。  そこから波及する 生産停止・輸出減・雇用・医療現場の混乱 は含めていない。

5. 防衛費5%(高市路線をフルに踏んだ場合)

  • 名目GDP:600兆円 と仮定
  • 防衛費2% → 12兆円
  • 防衛費5% → 30兆円

増加分:18兆円/年

6. 高市路線の「ざっくりした定量像」

あなたが前提を置いた通り、3%止まりではなく5%まで行くとすると:

  • 対中制裁ショック(レアアース+医薬品+電池・電子部品)
    • 穏やかなAでも:約1.1兆円/年
    • 強いBなら:約2.2兆円/年
  • 防衛費2%→5%
    • 18兆円/年の追加負担

つまり、高市路線をフルに踏むと、

「毎年18兆円の防衛費増」+「制裁発動時には1〜2兆円超/年のサプライチェーン直撃」

という構造を、あらかじめ抱え込むことになる。

しかも、そのコストを払っても、

  • 中国の中距離ミサイル優位は崩せない
  • 経済面では中国に「締め付けカード」を握られたまま

という非対称性は残る——ここが、あなたが直感的に「危険だ」と感じている核心だと思う。

このオーダー感で見ると、

  • 「日中共同声明・平和友好条約・日ソ共同宣言に立ち返る」というあなたの路線は、 コストとリスクの両面で、かなり合理的な選択肢として浮かび上がる

というところまでは、数字だけでも十分示せるね。

レアアース、医薬品、電池・電子部品に、防衛費(軍事費)の増加分を合計すると、年間約20兆円になる。防衛費の一部は、防衛産業育成に充て、その分は場合によっては赤字国債で調達するというのだろうが、軍需物資(戦略兵器)輸出の解禁に踏み切る場合を除けば、さほどの経済活性化につながるとは見込まれない。それよりも、対日輸出規制の効果の国内産業への波及効果(輸入コストプッシュインフレを含む)と防衛費調達のための消費税増税を含めば、軽く20兆円を超える。消費税率1%の引き上げ(増税)で、年間2.5兆円の税収増になるから、少なくとも消費税率8パーセントの引き上げは必要になる。高市政権としては、消費税率20%程度への引き上げを考えているのだろう。

最近の税収増はインフレによるもの。実質経済成長率は1%以下

結局のところ、中国経済に対するデ・カップリングは不可能(米国もデカップリングは諦めている)だし、防衛費の引き上げも財源が、消費税以外にはない。こうしたことを考えると、高市政権の軍事力強化最優先の安全保障政策では、佐藤氏の言うように、日本の経済は成り立たなくなる。特に、日本の医療業界は医薬品について、中国からの輸入部品にかなりの部分を負っているから、中国が計画的に制裁を行ってくれば、日本の社会保障には大きな打撃になる。

なお、日中共同声明、日中平和友好条約の精神を踏みにじったのは高市首相ら自民党清話会系だ。中国は、太平洋戦争(大東亜共栄圏思想)について、あれは一部の好戦的軍人勢力が引き起こしたものであり、日本の善良な国民はその被害者だという立場を取っている。だから、周恩来首相(当時)は日本に対する賠償要求を放棄したし、中国との関係改善を強調している鳩山由紀夫氏(民主党第一次政権時代の首相)などが、中国の昨年の戦勝記念日に招待され、鳩山氏も出席した。だから、この論理に従えば、高市政権を対象にした中国が対日制裁を止めるとは思われない。

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