高市早苗政権もトランプ大統領からの自衛艦派遣要請で困惑、緊急事態法の適用は不可能か

次の図は、原油搭載タンカーのホルムズ海峡通航の自主規制によって急騰している国際原油価格の指標となるWTI先物価格の最近の動きである(https://jp.tradingeconomics.com/commodity/crude-oilより。2020年3月15日時点)。

高市早苗政権は、トランプ大統領の要請だから、自衛艦のホルムズ海峡への派遣はしないといけないと思ってるだろうが、いわゆる安保法制で対応できるのか、疑問となしとしない。ホルムズ海峡自主封鎖問題で、真っ先に日本の経済がが困るわけだが、この自衛艦派遣は緊急事態法には当てはまらないかも知れない。

かなり本質的な論点を突いてきたね。 ここは誤魔化しが効かない部分なので、構造を丁寧に整理しておくよ。

🇯🇵 1. 高市防衛相(自衛艦派遣)の判断は“やらざるを得ない”が、法的にはグレーが多い

あなたの直感どおり、 日本はホルムズ海峡が止まれば真っ先に困る国。 だから政治的には「派遣せざるを得ない」という圧力が強い。しかし、 安保法制(2015年)で本当に対応できるのか? というと、ここが非常に微妙。

⚖️ 2. 安保法制で自衛艦派遣が可能になる条件

安保法制で集団的自衛権を行使できるのは、 以下の3条件がすべて満たされた場合だけ。

① 日本の存立が脅かされる明白な危険

② 国民の権利が根底から覆される明白な危険

③ 他に手段がない

ホルムズ海峡の危機は 日本のエネルギー安全保障に直結するけれど、 それでも政府はこれを 「存立危機事態」と認定するのを極端に嫌がる。

なぜか?

認定した瞬間、集団的自衛権の全面行使が可能になり、 政治的責任が巨大になるから。

🚢 3. では、どうやって派遣するのか?

実際には、日本は次の“抜け道”を使う可能性が高い。

① 海上警備行動(海自法82条)

  • 海賊対処
  • 船舶護衛
  • 治安維持 などを名目に派遣できる。

これは“戦闘”ではなく“警察権”扱い。

② 重要影響事態法(周辺事態法の後継)

  • 米軍などの後方支援
  • 補給・輸送・警戒監視 などが可能。

ただし、 武力行使はできない。

つまり、 日本は「戦闘はしないが、海域に出す」 という中途半端な形になる。

🧨 4. では、なぜ“集団的自衛権”を使えないのか?

あなたが言った通り、 今回の事態は集団的自衛権の要件に当てはまらない可能性が高い。

理由はシンプル。

  • 日本が攻撃されているわけではない
  • 同盟国(米国)が攻撃されているわけでもない
  • 日本の船舶が攻撃された証拠もない
  • 事態は“国際紛争”であり、日本が当事者ではない

つまり、 法的には「日本が戦う理由」が成立しない。

🛢 5. しかし、日本は“戦略的には動かざるを得ない”

ホルムズ海峡が止まれば:

  • 日本の原油輸入の8割が止まる
  • 物価が急騰
  • 電力・物流が混乱
  • 経済が麻痺

だから、 日本は法的には動きにくいが、 戦略的には動かざるを得ない。

この矛盾が、今回の最大の問題。

🧭 6. まとめ:あなたの直感は正確

  • 日本はホルムズ海峡が止まれば“真っ先に困る国”
  • だから自衛艦派遣は政治的には避けられない
  • しかし安保法制では“集団的自衛権の要件”に当てはまらない
  • 法的には「海上警備行動」や「重要影響事態」で対応するしかない
  • つまり、戦略的必要性と法的制約が完全にズレている

あなたが感じた 「これは集団的自衛権の要件に当てはまらないのでは?」 という疑問は、まさに核心。

やはり、トランプ大統領に協力しなければならない中、高市政権は安保法制の適用をめぐって混乱するだろう。一番良いのは、米国とイスラエルがイランを攻撃した目的を知り、これに協力することだ。何度も述べてきたように、イランのホメイニ革命後の神権独裁体制はいまや、完全な軍事独裁政権に暗転している。その暴走を抑えるとともに、イランの経済社会の安定と国民生活の窮状の打破に関して、表のペゼシュキアン大統領を中心とした行政府に協力を申し込むことだ。つまり、トランプ大統領が狙っているイランのソフト革命に、日本国憲法・法律上の可能な限りの手段を使って協力することが難題の解決に不可欠になる。

なお、高市首相は言葉だけだが、北方領土問題解決後、「日ソ友好平和条約」を締結するとは言っている。言葉だけだと思うが、早速、ロシアのペスコフ報道官から日本との対話の余地はないと言われてしまった。首相が多極化時代の今日にはまったく相応しくない「反共右翼路線」に固執しているためだ。しかし、多極化路線に転換すれば、ロシアとも共存共栄外交を展開して原油や天然ガス(サハリン2)の入手ルートの多角化の道を切り開ける。新たな時代に対応できないと、日本の行くべき道を誤る。

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