
トランプ大統領が発言した「(イランは)早く懸命になるべきだ」との発言は、国家の最高首脳である最高指導者が決まっていないイランに対して、停戦条約に署名しなければならない最高指導者を早く決めろという意味だ。モジタバ・ハメネイ師は恐らく健康上の理由で最高指導者としての職務を遂行できない状態にあり、イスラム教シーア派の本流である十二イマーム派の聖地・コムのマルジャ、アヤトラ級の高位聖職者からも正式な承認は受けていない。このため、イランは国家の最高首脳が存在しないという権力の完全な空白の状態にある。このため、同じ革命防衛隊(IRGC)の出身でありながら、対立関係にあった空軍司令官出身のモハンマッド・ガリバフ議会(国会)議長と国家安全保障最高評議会(SNSC)の事務局長を務め、コムの高位聖職者ともパイプが太いアリー・ラリジャニ氏が、イランの経済破綻→国家崩壊という連鎖を避けるため、協調して最高指導者の選出に入るとの観測が出ているようだ。GoogleのAIシステムであるGeminiとも議論しながら、Copilotとこの点について協議した。サイト管理者(筆者)の責任において紹介する。
トランプ発言の真意は「イランは早く最高指導者を選出しろ」ということ
NHKは2026年4月30日12時21分に更新した「トランプ大統領『核協議先送りせず』イラン側は対抗措置示唆」と題する記事で、次のように伝えている。
アメリカのニュースサイトアクシオスは29日、トランプ大統領に電話でインタビューした内容として、トランプ大統領がイランからの新たな提案を受け入れない考えを示したと伝えました。アクシオスはイランからの提案はまず、ホルムズ海峡を開放し、核開発に関する協議は先送りするというものだったとしたうえで、トランプ大統領はイランが核開発計画についてアメリカの懸念に応える合意に達するまで、イランの港を出入りする船舶に対する海上封鎖を継続すると述べたとしています。トランプ大統領は海上封鎖について「ある意味では爆撃よりも効果的だ」と述べたということです。
アクシオスは情報筋の話として、アメリカ中央軍が協議のこう着状態を打開するため、短期的で強力なイランへの攻撃計画を準備しているものの、前日の28日夜の時点ではトランプ大統領は攻撃の命令を下していないとも伝えています。トランプ大統領やホワイトハウスはイランからの提案の内容や、アメリカの今後の対応について公式に説明していませんが、報道に先立ってトランプ大統領は29日、SNSに「もうお人よしでいるのはやめる」という文言などとともに「イランはまとまって行動できない。非核化に関する合意に署名する方法もわかっていない。早く賢明になるべきだ」と投稿していました。
通常、国家の非核化条約や終戦に向けた停戦条約は、国家の最高首脳が署名して始めて国際法上の効力が得られる。米国の場合はトランプ大統領で決まりだが、イランの場合は最高主導者とされているモジタバ・ハメネイ師が健康上の理由から最高指導者としての職務が遂行できない状態にあると言われており、本来は必要な聖地コムのマルジャ、アヤトラ級の高位聖職者の承認も得られていない。このため、トランプ政権が停戦合意書に署名したくても、できない状況だ。この点は、バンス副大統領も認識している。
つまり、イランの最高権力は不在であり、その下位組織の国家安全保障最高評議会(SNSC)が代役を行っているが、このSNSCがはっきり言ってサラミ革命防衛隊(IRGC)最高司令官とバヒディ内務相ら強硬派とラリジャニ事務総長ら現実派に決定的に分裂している深刻な状態だ。イランは国家意思の決定を行おうにも行えない深刻な権力分裂の状態であり、その裏ではし烈な権力闘争が行われている。
トランプ大統領が、「イランはまとまって行動できない。非核化に関する合意に署名する方法もわかっていない。早く賢明になるべきだ」と再三再四述べているのは、このためだが、メディアはこのことをまともに取り上げないから、イランの国内情勢のことはさっぱり分からない。Geminiによると、イランの憲法では最高指導者が職務を遂行できなくなった場合には、第111条で次のように規定しているという。
Geminiに聞くが、モジタバ師はもう職務を遂行できない状態にあるようだ。このところ、前ほど頻繁にテレビとかでのアナウンサーの代読もなくなっている。そういう場合は、イラン憲法第111条だったと思うが、最高指導者を選出しなければならないんじゃないのか。
ご指摘の通り、イラン憲法第111条の規定がまさに適用されるべき局面です。モジタバ氏の露出が激減し、代読による声明すら途絶え始めている現状は、彼が物理的、あるいは精神的に「職務を遂行できない状態( incapacity)」にあることを強く示唆しています。イラン憲法第111条の規定この条文では、最高指導者が死亡、辞任、あるいは「職務遂行能力を喪失した」場合、以下の手続きを取ることが定められています。
- 指導評議会の設置: 新たな最高指導者が選出されるまでの間、大統領、司法府代表、および守護者評議会の聖職者1名からなる「暫定指導評議会」が職務を代行する。
- 専門家会議の招集: 専門家会議は「直ちに」新たな最高指導者を選出しなければならない。
現状と矛盾現在、イラン国内では以下の異常事態が起きています。
- 憲法の無視: 本来なら第111条に基づき、速やかに「モジタバ氏の不能」を宣言し、選出をやり直すべきですが、革命防衛隊(IRGC)の強硬派が権力を維持するために、この憲法手続きを事実上凍結している状態です。
- トランプ氏の苛立ち: トランプ大統領が「イランはまとまって行動できない」と批判しているのは、まさにこの「憲法に基づいた正当な交代すら進められない機能不全」を指しています。
ラリージャニー(アリー・ラリジャーニーまたはアリー・ラリジャニ)氏とガリバフ氏の動向憲法手続きが正常に動き出せば、あなたの予測通り以下のシナリオが現実味を帯びます。
- ガリバフ氏の役割: 国会議長として、憲法手続きの再始動を公式に要求する。
- ラリージャニー氏の役割: 専門家会議のメンバーである(高位聖職者の)兄弟サーデグ氏らを通じ、コムが認める「真の聖職者」を候補として一本化する。
💡 結論
モジタバ氏の沈黙は、彼を「看板」として利用していた軍部強硬派の限界を示しています。憲法第111条の起動、つまり「モジタバ氏の不在を正式に認め、新指導部を選出するプロセス」が始まるかどうかが、国家破綻を回避する最後のハードルです。もし、この数日中に専門家会議が動きを見せれば、それはラリージャニー氏ら「現実派」が軍部を抑え込み、トランプ氏との交渉窓口を正式に開こうとしているサインとなります。
実際は、最高指導者に上奏する国家安全保障最高評議会(SNSC)がイラン国家の意思決定機関になっているが、これは憲法違反であり、かつまた、強硬派と現実派の深刻な対立・分裂が続いている。このため、国家としての意思決定が出来ない。ここで、現実派とされるSNSC事務総長のラリジャニ氏についてCopilotに尋ねてみた。
革命防衛隊(IRGC)出身で、現実派の中枢はどんな人物か。
あなたの視点をさらに精緻化するために、次の点を確認したい。イランの最高指導者選出において、あなたが「現実派」と見ている中心人物は誰だと考えているか?(ガリバフ、ラーリージャーニー(https://x.gd/HkBHV)、ラリジャニとも呼ばれる)あるいはIRGC内部の特定派閥など、どのラインを想定しているかで分析の精度が変わる。)
結論:ラーリージャーニーは「ガリバフとは全く系統が違うタイプの現実派」で、宗教的正統性・官僚経験・安全保障ラインをすべて兼ね備えた“体制内部の超エリート”。ガリバフより“宗教エリート寄り”で、“交渉型の保守本流”という位置づけになる。 (以下、すべて検索結果に基づく事実を引用しながら説明します)
🧩 ラーリージャーニーとはどんな人物か(要点)-Wikipediaでは殺害されたとされているが、現存している
- 1958年生まれ、ナジャフ出身の名門宗教一家(父は大アヤトラ)
- IRGC出身の軍人(准将)としてイラン・イラク戦争に従軍
- 哲学博士(カント研究)という異色の学者肌
- 国営放送IRIBの長官(10年)として情報統制を担う
- 文化相、国会議長(12年)、国家安全保障会議書記など主要ポストを歴任
- 核交渉の中心人物(JCPOAの成立に深く関与)
- 2026年の最高指導者死去後、モジタバ体制移行を裏で支えた中心人物と報じられる
🧭 ガリバフとの違い(構造的比較)
あなたが「現実派=ガリバフ」と見ているのは正しいが、ラーリージャーニーは別系統の“体制内部の現実派”。
① 宗教的正統性の差
- ラーリージャーニー:宗教名門の出身、兄弟も高位聖職者 → 宗教エリート層に強い影響力
- ガリバフ:軍官僚出身で宗教的基盤は弱い
② 体制内部での“格”の差
- ラーリージャーニーは 国会議長12年+国家安全保障会議書記+核交渉責任者 という「三権+外交+安全保障」の全領域を経験。
- ガリバフは 軍(IRGC)→警察→テヘラン市長→国会議長 と行政・治安寄り。
③ 対外交渉の経験
- ラーリージャーニー:JCPOA(失敗に終わったイラン核合意)の成立に深く関与(議会側の調整を主導)
- ガリバフ:交渉経験は限定的、実務官僚型
④ 2026年の最高指導者交代での役割
- ラーリージャーニーは モジタバ体制への移行を裏で支えた“調整者”と報じられている
- ガリバフは IRGC実務派の代表として、治安・行政の安定を担当
🧨 ラーリージャーニーは「現実派」か?
事実ベースで見ると、“交渉型の保守本流”と言える。
- 核交渉(JCPOA=イラン核合意)を推進した実績
- 議会と宗教機関の橋渡し役
- 安全保障ライン(SNSC書記)での調整能力
これらは、イラン内部で「現実派」と分類される典型的な特徴。ただし、 人権・治安政策では体制維持に強くコミットした強硬面もあると報じられている(注:Wikipedia=https://x.gd/HkBHV=では今回の米国・イスラエルのイラン攻撃によって殺害されたとなっているが、そうではない)。
🧠 あなたの分析との接続
あなたは「現実派=ガリバフ」を中心に見ているが、 ラーリージャーニーは“宗教エリート側の現実派”として、ガリバフとは別のパワーラインを形成していた人物。
- ガリバフ:IRGC実務派の現実主義
- ラーリージャーニー:宗教エリート+外交官僚の現実主義
両者は競合も協力もあり得る関係。
ラリジャニSNSC事務局長はガリバフ議会(国会)議長とは異なって、強硬な点はあるが、高位聖職者の兄弟が二人おり、宗教界の使命は熟知している。それは、信仰共同体(ウンマ)としてのイラン国家を維持することであり、信徒(ムスリム)を極度の精神的・経済的疲弊から救うことである。イラン経済の現状は、イランの通貨リヤルが1ドル=150万から200万バレルに暴落しており、既に紙屑になっている。そして、激しいハイパーインフレーションと失業という深刻なスタグフレーションに見舞われていることに象徴されるように、このままで行けば経済破綻による国家崩壊が避けられない状況にある。
これを回避するため、高位聖職者の兄弟を二人持ち、聖地コムとも太いパイプを持つラリジャニSNSC事務局長は現実派にならざるを得ない。このことから、これまで対立関係にあったガリバフ議会(国会)議長と協調して、最高指導者を選出し、イランの国家破綻を阻止する動きに出る可能性は小さくない。トランプ大統領の電話待ちの中身は、最高指導者選出の本格的な動きが開始されたかどうかである。可能ならば、ガリバフ、ラリジャニ協調による本格的な動きがあれば、より強い動きになる。次に、ラリジャニSNSC事務局長について、イスラム教十二イマーム派の観点から見てみる。




















