
ロシアとウクライナは6月2日、トルコのイスタンブールで第二回目の停戦協議を行ったが、ウクライナはその前日の1日、ロシアの各地とくにロシア東部地方の軍用飛行場をトラックで運んだドローンで攻撃(注:英国のM16が協力したと言われている)するなど、協議を行うふりをして事実上、規模の大きいテロ行為を行っている。ロシアはこれに対して6日、報復攻撃を行った。ロシアとしては、ウクライナが総選挙を通じた非ナチ化による事実上の政権交代を実現する以外に、ウクライナ戦争の終戦はないと見ている。
キエフ政権にウクライナ戦争終結の意思なしー米露は、水面下で支援の欧州リベラル左派政権を解体
ウクライナはロシアと表向き、ウクライナ戦争の停戦協議を行っているが、その裏ではドローン(FPVドローン)をトラックでロシア領内に運搬し、ロシアとウクライナの国境から遠く離れたイルツーク州など4つの空軍基地を攻撃した。キエフ政権はプロパガンダ用に、欧米のオールド・メディアに対して映像などの情報公開を行っている(https://www.cnn.co.jp/world/35233862.html)。
ウクライナ軍が先ごろロシア国内にある空軍基地に対して実施した大規模なドローン(無人機)攻撃をめぐり、ウクライナ保安局(SBU)は4日、新たな映像を公開した。新たな映像には、ウクライナ軍による的確な攻撃の様子が詳細に捉えられている。ウクライナは、軍用機に損傷を与えたり破壊したりすることで効果を発揮できる場所を攻撃していた。ロシアはこうした軍用機を使って、ほぼ毎日空爆を行い、ウクライナの民間人に恐怖を与えてきた。SBUが公開した動画には、複数の飛行場に駐機する数十機の異なる種類の飛行機にドローンが接近し、その周囲で航空機が炎上したり爆発したりする様子が映っている。
ウクライナ軍当局者によれば、ロシア軍の航空機41機が被弾した。攻撃を受けた航空機の中には戦略爆撃機や早期警戒管制機が含まれる。英王立防衛安全保障研究所(RUSI)の上級研究員ジャスティン・ブロンク氏は今回の攻撃について、「ウクライナの特殊部隊にとって驚くべき成功だ」と述べた。損害を受けたり破壊されたりした航空機が41機という主張の半分でも確認されれば、ロシアの長距離航空部隊の能力に大きな影響を与えるという。
今回の攻撃はロシア国内の飛行場4カ所を標的とした。最も遠いのはウクライナとロシアの国境から約4500キロ離れたイルクーツク州のベラヤ空軍基地だった。そのほか、2000キロ以上離れたムルマンスク州の基地、約520キロ離れたリャザン州の基地、約800キロ離れたイワノボ州の基地も標的となった。
ウクライナ国防省の発表をそのまま伝えたものと思われるが、ロシアとウクライナの国境から東に約4500キロメートル離れたイルクーツク州のベラヤ空軍基地のほか、2000キロ以上離れたムルマンスク州の基地、約520キロ離れたリャザン州の基地、約800キロ離れたイワノボ州の基地もドローンで攻撃されたことは間違いない(ただし、成功率は15〜20%と見られている)。これに対して、ロシアは6日、ウクライナに対して報復攻撃を行った(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250607/k10014828481000.html)。
ウクライナ各地では、6日、ロシアによる激しい攻撃があり、多くの死傷者が出ていて、ロシアの国防省は「ウクライナによるテロ行為への報復だ」と発表しました。ウクライナによるロシアの軍用飛行場への攻撃などに対する報復とみられます。ウクライナでは、6日、首都キーウをはじめ各地でロシア軍による攻撃があり、ゼレンスキー大統領は、40発を超えるミサイルや400機以上の無人機が使用されたと明らかにしました。(中略)
今回の攻撃についてロシア国防省はSNSに「ウクライナによるテロ行為への報復として、兵器工場や武器倉庫などに大規模な攻撃を実施した」と投稿しました。ウクライナ側が6月1日にロシア軍の戦略爆撃機などに損害を与えたとする「クモの巣作戦」と呼ぶ、ロシア各地の軍用飛行場への攻撃などに対する報復とみられます。
ロイター通信も、「ロシア、ウクライナ首都攻撃は『テロ行為』への報復と表明」と題した記事を配信した(https://jp.reuters.com/world/ukraine/I5RARQ2RLNKKVPVYF5SMQDOQ2Y-2025-06-06/)。
ロシア国防省は6日、ウクライナの「テロ行為」への報復として、同国軍がウクライナの軍事施設および軍事関連施設に対し夜間に大規模攻撃を実施し、成功したと発表した。
ロシア大統領府のペスコフ報道官も、大規模攻撃はウクライナの「テロ行為」に対する報復だったと確認した。
(ペスコフ報道官は)「特別軍事作戦の枠組み内で行われていること、我が軍が日常的に行っていることの全ては、テロ体制のあらゆる特徴を獲得したキーウ政権の行動に対する報復である」と述べた。
ロシアとウクライナは表向き、エルドアン大統領の仲介のもとトルコのイスタンブールで「停戦協議」を行っているが、実際のところはウクライナのキエフ政権によるロシアのテロ攻撃→キエフ政権のプロパガンダ(対ロシア攻撃の誇示)→オールド・メディアによるキエフ政権の称賛→ロシアの対ウクライナ報復攻撃の繰り返しになっている。ただし、キエフ政権の無謀なテロ攻撃のために、キエフを中心としたウクライナ国民はロシアの報復攻撃に恐怖を募らせており、また、ロシアのウクライナ併合地域がクリミア半島からドネツク州、ルガンスク州、ザポリージャ州、ヘルソン州から、ロシアが「(ロシア軍を展開する)緩衝地帯」と称する新たな「併合地域」がウクライナ東北部のスミ州やハリコフ州にまで拡大する様相を見せている。


ただし、ロシアとウクライナの停戦協議がまったく無意味かと言えば、そうでもない。第2回協議には、ロシア側からメディンスキー大統領補佐官、ウクライナ側からウメロフ国防相が協議責任者になり、協議参加者を引率していった。今回の協議では6000人の両国の遺体を交換することだけで合意したが、ロシアの実業家でロシア情勢に詳しい国際情勢アナリストのニキータ氏によると、ロシア側はDNA鑑定を行い、身元確認まで行っているものの、ウクライナ側はそれ相応の準備が出来ていないようだ(https://www.youtube.com/watch?v=R856Cw3hh4k)。
実際、第一回協議で決まった捕虜一千人の交換で、ウクライナ側は一千人に120人足りなかったため、緊急避難的に国家反逆罪で収監されていたロシア系ウクライナ人を捕虜の中に含ませたという。6000人の死亡者をロシアに送ると言っても、ロシア軍の兵士の死亡者の管理をきちんと行っているか、定かでない。それと、ウクライナの法律では、死亡者一人あたり5060万円の死亡補償金(合計3060億円=21億ドル程度)を拠出しなければならず、その死亡補償金の捻出が出来るかどうか、定かではない。
キエフ政権はには、国民総生産の90%超の対外債務があり(https://www.ceicdata.com/ja/indicator/ukraine/external-debt--of-nominal-gdp)、「(昨年の対外債務返済計画の修正=200億ドル規模=で)8月から対外債務の支払いを一時停止」した状態(https://jp.reuters.com/world/ukraine/KMDNCWVLF5ICTNFQNVMKQH4WPM-2024-08-01/)にある。ウクライナがロシアに対して事実上のテロ行為を繰り返せば繰り返すほど、ウクライナの国民と国家には経済情勢が厳しくなる。
こうした中での停戦協議だが、キエフ政権は停戦協議で、ウクライナ戦争で圧倒的に優位に立っているロシアの意向を無視した覚え書きしか出していない。これでは、ウクライナが根本からの平和を取り戻すことは難しいだろう。ロシアの覚え書きを十二分に踏まえる必要がある。
ただし、とりあえず、ウクライナ側の覚え書きを述べておきたい。この覚え書きは、ロイター通信にリークされたようだ。その主な内容は、①前提なしの30日間停戦を実現する②北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)などあらゆる同盟へ参加する③ノボロシア(東部ドンバス地方と南部)のドネツク州、ルガンスク州、ザポリージャ州、ヘルソン州4州をロシア領として承認することを拒否し、他国の承認についても抗議するとともに、これらの地域からウクライナ軍を撤退させるつもりはない④ウクライナ軍の削減は拒否する⑤ウクライナは他国の軍隊と軍事基地を自国に駐留させる権利を求める⑥ウクライナ(キエフ政権)はロシア(プーチン政権)に賠償金を求める。賠償金を支払うまでは、金・外貨準備金の返還に強く反対するーなどというもので、キエフ政権にはロシアとの終戦に持ち込む意思がない。
これに対して、ロシアのリア・ノーボスチに掲載されたロシア側の覚え書きは、三部構成になつている。第一部は、「最終合意の主な要素」で、①クリミア半島とドネツク州、ルガンスク州、ザポリージャ州、ヘルソン州といった東部ドンバス地方の新たな4州などをロシア領として承認する②ウクライナの非核化・中立化③非軍事化・非ナチ化④外国軍のウクライナ駐留禁止④戦後賠償の相互破棄ーなどからなる。
第二部の停戦条件は、次の二種類のうちのいずれか。その第一は、ウクライナ軍がドネツク州、ルガンスク州、ザポリージャ州、ヘルソン州の4州から完全に撤退するという条件。第二の条件は、ウクライナの再軍備化・軍隊への動員の禁止のほか第三国の軍関係者のウクライナ国外への撤去、軍事支援の停止、戒厳令の解除、(大統領と最高会議議員の)選挙の実施ーなどというものだ。第三部の、「停戦実行と期限」は、条約文作成の開始と戦地で遺体を収容するための2、3日間の停戦、ウクライナ軍が撤退を開始した時点から30日間の停戦を開始することーなどからなる。
ロシア側の覚え書きの最終目標は、大統領と最高会議の国民による選挙を通してウクライナ国内のネオ・ナチ組織を解体するとともに、ウクライナ国民の選挙を通して非ナチ化を徹底化し、ウクライナの少なくとも中立化を達成することだろう。ロシア側の終戦条件は一貫している。
その実現のためには、ウクライナを支援している英仏独及び欧州連合の欧州リベラル左派全体主義官僚独裁政権(ニキータ氏の言う「戦争屋」)を打倒し、米国トランプ政権とともに、欧州に右派政権が樹立することを支援することが不可欠になる。トランプ大統領は不動産王出身の海千山千の人物であるから、時にはプーチン大統領やイスラエルのネタニヤフ首相を批判したりして、オールド・メディアを誤魔化し、揺さぶりながら、新たな国際秩序をもたらすため、世界の多極化・多極化文明の到来を実現していくことになる。
ウクライナのドローン攻撃によるテロに対するロシアのウクライナ報復攻撃の第2幕
キエフ政権による6月1日の原始的なドローン攻撃は、トランプ政権が構築中の中長距離ミサイル迎撃システム「ゴールデンドーム」は、ほとんど完全なミサイル迎撃ミサイルとして予想されているが、トラックにドローンを積み込んで敵基地や国民に対してテロ攻撃するというような、今回ウクライナ側が使った原始的な手法に対しては、別途対策が必要になる。

ロシアに詳しい国際情勢アナリストのニキータ氏によると、極超音速ミサイル・アレーシュニク(オレーシュニクとも発音。射程距離2000km以上の中距離弾道ミサイル。音速の10倍で飛ぶと言われ、現在の防空システムで迎撃することは現実的に不可能)を使った第二次の本格的な対ウクライナ報復攻撃が1周間程度の間、行われるようだ。トランプ大統領は6月4日のプーチン大統領との電話会談で、結論的に言えば、核ミサイルの使用を思いとどまらせることしか出来なかったようだ(https://www.youtube.com/watch?v=K-nUGfZ9tkE&t=10s)。なお、今回の電話会談ではイランの核ミサイル開発問題やインド・パキスタン間のカシミール問題なども話し合い、ロシアの協力も要請したようだ。水面下での米露協調が進んでいる。



ロシア軍が一週間程度以上、極超音速ミサイル・アレーシュニクを中心とした使った対ウクライナ・ミサイル攻撃を行えば、ウクライナの防空システムは完全に役に立たなくなり、大量の兵員不足の中、キエフ政権のウクライナ軍は事実上、破壊される。これは即、キエフ政権の崩壊につながる。ニキータ氏によると、英国も「テロを行ったことを公表せよ」と指示し、ウクライナを罠にかけたとも考えられるとしている。これからキエフ政権が崩壊し始め、解任されて英国大使に左遷されたザルジーニ総司令官らが権力を掌握する可能性も出てきた。
トランプ減税法案をめぐるトランプ大統領とイーロン・マスク氏の対立は終息へ
国際情勢アナリストの及川幸夫氏によると、トランプ減税法案をめぐるトランプ大統領とイーロン・マスク氏の対立は終息するようだ。これは、トランプ減税法案を試算した超党派とさているが、実際は民主党寄りの議会予算局(CBO)が、減税による経済活性化とそれによる税収増効果を過小評価し、財政赤字の累増効果を課題に見積もったため。保守系のヘリテージ財団系の行政管理予算局(OMB)は正当に見積もっている(https://www.youtube.com/watch?v=CudwEnthdpE&t=12s)。
ただし、トランプ大統領始めトランプ政権はトランプ減税法案について、下院通過後、上院での通過を優先させている。対立の終息によって、マスク氏のスペースXが国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶ連邦政府との契約は打ち切られることはなくなった。CBOやOMBの性格を良く認識する必要が有り、オールド・メディアに踊らされてはいけない。
バイデン前大統領が前立腺がんを隠していたことが発覚、民主党に強まるバイデン批判
バイデン前大統領が昨年の大統領選挙の前に前立腺がんにかかっていたことを隠していたことが発覚、「米国連邦国家」にとって犯罪行為だとして、民主党にバイデン批判が広がり、亀裂が走っている(https://jp.reuters.com/world/us-politics/QVGIC2IBH5PT5EWCMBKFQDSCCA-2025-05-20/)。
バイデン前米大統領(82)は、前立腺がんと先週診断されるまで10年以上、PSA検査と呼ばれる前立腺がんの検査を受けていなかったと、バイデン氏の広報担当者が20日明らかにした。ロイター通信 共和党や一部の医療専門家からは、なぜがんが進行する前に発見されなかったのか疑問の声が上がっている。また、ホワイトハウスでの職務遂行能力に関する重要な情報を、バイデン氏とその側近が国民から隠していたのではないかという疑念も浮上している。 もっと見る
オールド・メディアには酷評のトランプ大統領だが、反オールド・メディアや独立系調査機関ではトランプ大統領の支持率は高い。2026年の中間選挙では、民主党が大敗する可能性も出てきた。
史上最高値まで戻してきた金地金相場
金地金相場が史上最高値まで戻してきた(https://gold.mmc.co.jp/market/gold-price/)。巨額の財政赤字、大幅な経常赤字、世界最大の体外順債務残高に対処しようとしているトランプ政権ではあるが、過去の経済運営のずさんさが響いている。このため、トランプ大統領がサウジアラビアを訪問、同国の最高実力者のモハメッド・ビン・サルムーン(MbS)皇太子と6000億ドル規模(近い将来、1兆ドル)の巨額の投資で合意したほか、強固なペトロ・ダラー制を再構築したといっても、まだまだ安心は出来ない。公約どおり、米国を高度製造業を基軸とした産業国家に再生させる基盤を確立できるか否かが、トランプ政権の重大な仕事になる。
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中露主導のBRICSを中心とした非米側陣営と英単独覇権体制派を除去した米側陣営との協調が、今後、ますます重要になってくるだろう。2025年6月にカナダ・アルバータ州カナナスキスで開催される第51回G7サミットよりも、ブラジルのリオデジャネイロ市で7月6、7日に開催される第17回BRICS首脳会議の方が、新たな国際決済システムの青写真の提示などで、世界の注目を集めるだろう。