緊急事態宣言再発令(再発出)の問題点について

菅義偉首相が明日1月7日夕刻、主として1都3県(神奈川県、千葉県、埼玉県)を中心に、改正インフルエンザ特措法と施行令に基づいて「緊急事態宣言」を再発令(発出、以後発令と記す)。政府=安倍前政権、菅政権は「東京オリンピック/パラリンピック」の開催を戦中の「国体護持」のように最上位目標に置き、今に至るまで感染症対策の基本原則であるPCR検査を徹底的に抑制しており、感染患者の保護・隔離・適切な医療措置などの医療体制整備(財政による医療機関の減収補填や医療従事者への特別手当、簡易医療施設の建設を含む)を行っている。今回の「緊急事態宣言」は、「飲食店」を狙い撃ちにした限定的なものにとどまる可能性があり、しかも、営業自粛を強化する一方で、営業自粛・時短の強化に伴う財政による補償措置は不十分なものになる恐れも強い。取り敢えず第一報を投稿しておきたい。

1月6日水曜日コロナ感染状況

本日2021年1月6日水曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では新規感染確認者は1週間前の12月30日水曜日の944人より422人も多い過去最多の1591人、重症者も前日から2人増えて過去最多の113人になった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。十二分の補償措置を含む「都市封鎖」に近い対策が必要な情勢だ。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は初めて1000人を突破して1071.9人、PCR検査人数は6799.3人だから、瞬間陽性率は15.76%。東京都独自の計算方式でも14.4%。感染者のうち感染経路不明率は68.29%だった。政府(厚生労働省)によるステージ3/4の陽性率は10%だが、世界保健機構(WHO)では各国に対して5%以下に抑えることを要請している。陽性率は10%をかなり超え、感染経路不明率も70%まで上昇する一方だ。市中感染による感染爆発の段階だ。
全国では、午後23時59分時点で新規感染者数は初の6000人台で過去最多の6001人、死亡者は65人、重症者は前日比11人増加して784人が確認されている。政府=菅政権が、飲食店の営業自粛強化で感染拡大が減っているとしている大阪府は新規感染者数が560人、死亡者数は10人が確認されており。以下の本文に示すように新規感染者数は増加傾向にある。
【参考】東洋経済ONLINE(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、1月5日時点の実効再生産数は全国が前日比0.01人増の1.07人、東京都は前日比0.01人増の1.17人となっている。

東京都のコロナ感染者数
東京都のコロナ感染者数

改正インフルエンザ特措法と施行令に基づく政令による「緊急事態宣言の再発令」は、「飲食店」を中心とした限定的なものになる可能性があり、しかも、飲食店の強力な営業自粛・事実上の営業停止命令も検討されているようだ。なお、一足先に飲食店の規制強化に踏み出した大阪府ではこのところ感染者が拡大している。

【感染者が拡大傾向にある大阪府】維新の吉村洋文知事は「緊急事態宣言」発令は不要だと言っている。

 

首相官邸
首相官邸

しかし、政府のコロナ感染症対策本部分科会が今年の1月5日に発表した配布資料(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/bunkakai/corona20.pdf)によると、コロナ感染の「震源地(スプレッダー)」になっている無症状・軽症状感染者を発見・保護・隔離・適切な医療措置を行うためのPCR検査・抗原検査の大規模な実施体制の確立には重点が置かれておらず、「新型ワクチン頼み(早くて2月下旬」頼みになっている。

 

また、緊急事態宣言では「飲食店」がやり玉に挙がる見通しだが、分科会では、「5つの場面(職場や自宅などでの飲み会、イベント大会、屋内でのクラブ活動などが追加されている。東京都で感染経路不明者が65%程度以上になっていることを考えると、市中感染が激増しているわけで、「飲食店」だけを標的にすることには疑問が残る。やはり、「いつでも、どこでも、だれでも、何回でも検査が受けられる」完全な検査体制を確立することが最重要だ)」。

また、新型コロナウイルスはRNA遺伝子であり、自己増殖中に変異する(自己複製・コピーに失敗する)場合が少なくなく、武漢型、ミラノ型、日本東京・埼玉型(首都圏型)、スペイン型、英国型、南アフリカ型など変異種が多く見つかっている。日本で接種予定の新型mRNAワクチンがすべてのタイプの変異種に効くかどうかは不明であり、最悪の場合は作製を重ねなければならなくなる可能性も否定は出来ない。また、基本的には2回接種する必要があるので、おおむね感染防止に役立つには1カ月ほどかかる。

その間に感染すれば、感染拡大防止に役立たない可能性もある。さらに、先進諸国のワクチン承認機関での「緊急承認」のため、安全性も完全とは言えない。次の投稿記事を参照して下さい。

次に、「飲食店を中心とした営業活動の強力な自粛要請(何らかのペナルティーがつく。場合によっては、事実上の営業禁止措置)」を盛り込むことも検討されているが、営業活動の強力な自粛要請には、十分な「補償措置」が必要だ。東京都では、政府による財政支援措置を受けて、店舗ごとに1日4万円〜4万5千円程度支給するようだが、ひと月当たり120万円〜150万円程度では、飲食店の固定経費(家賃、電機・ガス・水道その地、従業員の給与手当て)と機会利益損失の補填にはとても足りないだろう(追記:政府では1店舗当たり1日6万円、月額180万円を目処としているらしいが、同じことだ)。

詳細は今後のマスメディアの「政府関係者」の「取材」による官邸からのリーク報道と菅首相による正式発表に待つしかないか、「財政規律」の大義名分のもとに限定的な補償措置になる可能性が濃厚だ。飲食店など中小企業の存続、解雇や雇い止めを防がなければ現状、大幅な「需要不足」に陥っているとは言え、供給面で隘路が出てくる可能性も考慮する必要があり、大胆な積極財政を必要とするところではあるが、それが困難な金融・経済情勢になってくる可能性も考慮しておかなくてはならない。

 

今回の日本での第三波襲来は、春からまともな識者の間では要請の強かった検査体制の大規模な整備を徒に怠り、冬入り間近にGo To トラベルを中心としたGo To キャンペーンによって引き起こされたことは確実である。要するに、政府=安倍前政権、菅政権の政策失敗、つまり、人災である。厳しく追及していくい費用がある。



この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう