韓国汝矣島(ヨイド)のパーク・ワン訴訟で統一財団側の敗訴が10日、確定

韓国汝矣島(ヨイド)のパーク・ワン訴訟で今月10日、韓国大法院(最高裁判所)3部(主審パク・ポヨン最高裁判事)は、統一教材団が事業施行社Y22プロジェクト金融投資会社(特別目的会社)を相手に訴えた地上権設定登記抹消請求訴訟上告審で、原告側敗訴で判決した下級審の原判決を支持しする判決を下した。これによって、統一財団側の敗訴が確定した。これによって、下級審からの裁判費用はもとより、地上権設定が確認されたことで工事のストップにより損害を被ったY22はもとより、建設される多目的高層ビル入居予定の韓国一流企業などから、統一財団側は多額の損害賠償を請求されると見らる。ただし、コトの発端は統一財団側が、1997年秋に「悪魔の思想」である「新自由主義=掠奪主義」によって仕掛けられたアジア金融危機の正体を見抜けなかったことにある。

汝矣島は、大韓民国ソウル特別市を流れる漢江の中州で、同市の永登浦区に属する洞 (行政区画)。広大な面積を持ち、日本統治時代の1916年に軍用飛行場が建設され、1953年には国際空港となった。1958年に民間便は金浦国際空港に移転し、1971年にソウル空軍基地が設置されるまで空軍基地として利用された。その後は広場として整備されたが、アスファルト敷きの広大な汝矣島広場は1998年に汝矣島公園として緑地化され、市民の憩いの場となるとともに、1975年に国会議事堂が中区太平路から移転した。

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その後は、韓国の一流企業が本社などを置き、同国の経済・金融センターとしての地位を確保、一時は「東洋のマンハッタン」などと呼ばれた。

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 韓国政府およびソウル特別市は、汝矣島をさらに韓国および東洋の金融・経済センターとして発展させることを計画している。この中で、プロジェクト・ファイナンス(PF方式)によって資金を調達した特別会社のY22(世界的な建築家として知られている英国人のポール・ロジャーズ会長)は2005年、アジア金融危機により戦略を切り替えた統一財団(当時の事実上の責任者は郭錠煥(カク・ジョンファン、곽정환、1936年1月22日 – )氏。後に、統一財団から実質的に追放処分)と汝矣島(ヨイド)4万6千㎡敷地に対して99年間地上権を設定、地上72階のオフィス建物とショッピングモール、国際ビジネスホテルなどを建設する契約を結んで、地上72階のオフィス建物とショッピングモール、国際ビジネスホテルなどを作る超大型計画「パーク・ワン」の建設工事を繰り広げてきた。下図はY22が提供した「パーク・ワン」の完成予想図。

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ところが、建設工事が20%程度進んだ2010年、韓国裁判所に地上権の設定は不当だとして工事の中止と地上権設定登記抹消を請求する訴訟を起こした。裁判は4年に及んだが結局、最高裁判所は原告敗訴の判決を言い渡した。事実上の郭錠煥氏サイドの勝利である。

この事件については、背後に世界統一基督教神霊協会の創始者・文鮮明師の子女間の骨肉の争いがあるなどと言われている。しかし、汝矣島構想(Y22プロジェクト)が、アジア金融危機の中で統一財団傘下の企業が大きな打撃を被ったことをきっかけに浮上してきたことから、サイト管理者は同協会の李相軒(故人で、医学者であった)が執筆した「新しい共産主義批判」が日本共産党の「共産主義読本」を批判したものでしかなく、「エンゲルス・レーニン・スターリン主義批判」にとどまるとともに、世界統一基督教神霊協会の「友好団体」が単なる「反共運動」を克服できず、共産主義(目指すところは人類の福祉の向上と世界平和の実現であろうが、近代市場型資本主義の分析と理解が誤っていること、及び、暴力革命を肯定するなど目的実現の手段が誤っている)よりも悪質な「新自由主義=掠奪主義」の正体を見抜けなかったことにあると思っている。

なお、付言しておくとマックス・ウェーバーは「資本主義」の二類型を峻別した。ひとつは、「賤民資本主義」と言うもので、これは人類史とともに始まり、古今東西至るところで発生した。要するに、人間の持つ「あくなき金銭欲」を根底に、「顧客を騙して利益を得る」というものである。他の資本主義の類型は、歴史的には近代西欧において初めて誕生し、ウェーバーが「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」で分析した「近代資本主義」である。これは、「顧客に(本心からの)喜びを与えることのできる価値を創造、提供しすることによって利益を得、得た利潤を再投資することによって成長を遂げる」というものである。さて、新自由主義=掠奪主義は、この近代資本主義が「賤民資本主義」に堕落したものである。

さらに、世界基督教統一神霊協会に限らず、宗教団体(実質的に「集団的自衛権の行使を容認したことで、日本国憲法を破壊した」創価学会ももちろん含む)は憲法を含め、法律の尊守などコンプライアンスの確立とディスクロージャー(情報公開)の徹底が不可欠である。

話は変わるが、昨日のNHKの夜9時のニュースでは、インターネット上では米国CIAの工作員と言われるジョセフ・ナイ氏の話を長々と流した。「皆様のNHK」ではなく「安倍様のNHK」であり、政府の御用放送となっていることの証拠となるものであり、安倍政権の集団的自衛権行使容認が新自由主義=掠奪主義によって国力が壊滅した米国(世界最大の借金国がいつまでも軍事大国であり続けることは不可能)に押し付けられたものであることがまた、明らかになった。行き着くところは、徴兵制である。自民党の石破茂幹事長も徴兵制は憲法違反でないとしている。

●石破茂 ブログで徴兵制
URL http://ishiba-shigeru.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-5a39.html
引用: 
私は防衛庁長官・防衛大臣在任中、国会でこの条文解釈について問われた際に「違和感をおぼえる」と答弁した記憶があります。もちろん政府解釈は知っていましたし、関係大臣がそのような答弁をすること自体、議論を呼ぶことは覚悟していたのですが、結局何の問題にもなりませんでした。違和感をおぼえていたのは私だけではなかったようです。
まず第13条について、外部からの侵略から国の独立と平和を守ることこそ「最大の公共の福祉」です。国の独立と平和無くして「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利の尊重」などありえません。
第18条も、兵役を「奴隷的拘束」と同一視するのはいかがなものか。さらに、志願制ではなく徴兵制である点を「意に反する」ことにウエイトを置いて否定的に解釈していますが、兵役に「犯罪に因る処罰」と同じ評価がなされていることは極めて問題です。
:引用終了

引用者注:新自由主義=掠奪主義(国家の掠奪=国民の税金の掠奪)衰退しつづける米国に隷属し続けても、「犬死に」するだけで、日本においての「公共の福祉」の実現にはならない。子女を持つ創価学会婦人部は何をしているのか。また、安倍晋三首相は湾岸戦争とイラク戦争の違いが分からない。湾岸戦争は、国連が多国籍軍を派遣した。イラク戦争は、当時のブッシュ大統領が「イラクには大量破壊兵器があるから自衛のための先制攻撃を行わなければならない」と世界を騙して戦争を行った。その結果、今や世界有数の産油国であるイラクは泥沼であり、原油価格も高騰している。第四次石油危機の可能性もある。その最中に黒岩日銀は円安誘導政策を行っている。事実上、破綻しているが。

現代は文明の歴史的転換の時期である。安倍政権のような歴史的反動勢力に堕さず、新文明を如何に創造するか、人類の叡智を結集しなければならない時である。特に、宗教者の役割は大きい。次の「世界宗教の経済倫理・序論」(みすず書房「宗教社会学論選」大塚久雄・生松敬三訳)が示すとおりである。

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「人間の行為を直接に支配するものは、利害関心(物質的ならびに観念的な)であって、理念ではない。しかし、『理念』によって創りだされた『世界像』は、きわめてしばしば転てつ手(引用者注:線路の切り替え手)として軌道を決定し、そしてその軌道の上を利害のダイナミックスが人間の行為を推し進めてきたのである」(マックス・ウェーバー)

※小室直樹(故人)をはじめマックス・ウェーバーを理解できないのが、日本人の難点である。

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