米中間選挙は下院を制した共和党が実質的に勝利ー大規模な不正選挙を撲滅できるかが次期大統領選を左右(追記:宗教の役割の重要性)

11月08日に実施された米国中間選挙上院選は、ジョージア州で行われた上院議員選で現職の民主党候補が勝利したため、上院は民主党が51議席を獲得し共和党は改選前から1議席減らした49議席に終わった。しかし、中間選挙以降は予算編成権を持ち、上院よりは力を持つことになる下院の議員選挙では、今回の中間選挙でも郵便投票と電子投票による大規模な不正選挙が行われた可能性が高いにもかかわらず、共和党が222議席を獲得したのに対して、民主党は213議席に終わった。このため、全体としてはトランプ前大統領の影響力が強い共和党が実質的に勝利したと判断できる。

2022年米国中間選挙の最終結果

AP通信が日本時間の12月10日(土)午前07時41分に公開した下院の議席数は次の通りで全議席の当確はまだ発表していない。コロラド州第3選挙区での当確を明示していないため、あと1議席が確定していないためだが、開票状況では民主党のアダム・フィッシュ候補の16万3286票(得票率は49.9%)に対して、共和党のローレン・ボーベルト候補が16万3840票(得票率は50.1%)でわずかながらリードしている状況で、共和党候補がわずかに有利だ。ただし、この開票状況は久しく変わっていない。一般的には、郵便投票による本人確認のための時間が非常に長くかかっているためだと言われるが、それでも「当確」を出すのが遅すぎる。

その背景には今回の中間選挙でも、大規模不正選挙が行われた可能性が指摘される。2020年の大統領選挙では、コロナウイルス対策を名目に多用された郵便投票のほか、電子投票(タブレット型パソコンによる投票)は、有権者本人へのなりすましや電子投票システムを悪用した改ざんが行いやすいために、大規模不正選挙が行われた可能性があるが、今回の中間選挙でも引き続いて大規模不正選挙が行われたと見られる。

以上はAP通信の中間選挙の開票状況の現時点での状況だが、NHKではジョージア州での上院議員の決選投票が行われた後の12月07日午後16時14分時点で、上下両院の全議席の完全な当確予想を公開している(https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/us-election/)。これは、AP通信の開票状況とも符合する。

これらの開票状況からすると、下院は大規模な不正選挙が行われた可能性が高いにもかかわらず、共和党は改選前の民主党の下院議席数220議席を上回る222の議席数を獲得したと考えて良いだろう。米国では欧州や日本とは異なり、有識者からなる上院の権限が下院よりも強いと見られているが、これは新政権発足時に上院が最高裁判所長官を含む判事や金融政策の最高責任者である連邦準備制度理事会(FRB)議長など司法の最高責任者や行政側の最高責任者を承認する権限を持ち、新政権の政権運営を政権に有利な形で進められるためだ。なお、条約の批准権は主として上院が持つ。

これに対して、下院は民主主義国家の議会では最も重要な毎年度予算決定に際して、予算の編成権を持つ。上院の承認は必要だが最終的には共和党主導で編成される予算案に対して、上院も従わざるを得ない。予算が決まらないと、米国民の生活に極めて重要な支障が出るためだ。現在、民主党のナンシー・ペロシ氏(カリフォルニア州)が務める連邦下院議長の後任には、共和党下院院内総務のケビン・マッカーシー氏(カリフォルニア州)が就任する予定だ(https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/11/8b5ade775d871b34.html)。

マッカーシー氏は民主党のバイデン政権が認めてきた青天井でのウクライナへの軍事援助などを認めない考えだ。2020年の大統領選挙でトランプ大統領(当時)に「選挙結果」を受け入れるよう求めて、トランプ氏といざこざがあったが、基本的にはトランプ氏を強く支持していると見られる。ヤフー・ニュースは「トランプふたたび――その新たな相棒は議会下院マッカーシー新議長」と題する論考記事を紹介、公開している(https://news.yahoo.co.jp/byline/mutsujishoji/20221118-00324382)。

①トランプ前大統領が2024年大統領選挙に立候補することを表明した②今回の中間選挙で共和党が勝利した議会下院ではマッカーシー議長のもとトランプ色が強くなる公算が高い③
連邦議会議事堂占拠事件などでトランプから支持者が離れた後も、マッカーシーは筋金入りのトランプ支持者であり続けた。

トランプ前大統領と時期下院議長のケビン・マッカーシー共和党院内総務

トランプ元大統領が16日、2024年のアメリカ大統領選挙に立候補を表明した。議会中間選挙の前から取りざたされていたが、いよいよ本人が正式に表明した格好だ。11月16日、支持者を前にしてトランプは「バイデンが大統領になって以来、我々は衰退してきた」と述べ、「アメリカを再び偉大で壮大なものにするため」立候補を表明した。その後、話題は不法移民、エネルギー問題、犯罪など各方面におよび、何度も同じことを話したこともあり、スピーチは延々1時間以上に渡ったという。

このヤフー記事はトランプ前大統領に対する非難で満ち満ちている。ただし、ケビン・マッカーシー次期下院議長(米国大統領が欠けた場合の大統領の継承順位はカマラ・ハリス副大統領に次いで2番目)がバイデン民主党政権の政策・動向について、トランプ前大統領とともに厳しく監視していくことは確かだ。その分、バイデン政権の政権運営は厳しいものになる。要するに早い話が、バイデン大統領は「レームダック化」したと見るのが妥当だ。

しかし、トランプ派共和党の躍進、トランプ前大統領の2024年大統領選での再選が厳しい状況にあることもまた確かだ。これは、次のような事情による。国際情勢解説者の田中宇(さかい)氏の論考をサイト管理者(筆者)なりに改めてまとめると、米国を支配する「闇の勢力=ディープ・ステート(DS)=」には、①軍産複合体を中心とする米英単独一極覇権派②軍産の一部と好戦的なネオ・コン派勢力からなる「隠れ多極主義派」(中露を中心とするBRICS諸国やG20の非米側陣営に世界の主導権を譲ろうとしており、意図的に欧州諸国を中心に自滅政策を強いている勢力)ーの二大勢力があって永年、対立構想を続けてきた。

現在は、米国および米側陣営諸国の経済力の衰退により、後者の隠れ多極主義勢力が優勢になっているが、いずれにしても両勢力ともトランプ前大統領に対して傘下のマス・メディアを使って非難・口撃しているうえ、共和党内にも古くからのディープ・ステート(DS)傘下の議員が多数存在すること、そして、トランプ系共和党勢力が2020年の大統領選挙以降、度重なる選挙制度改革をバイデン政権に要求しながらも、両勢力(主として隠れ多極主義勢力)の傘下にある民主党バイデン政権がこれを拒み続け、2024年の大統領選挙でも大規模な不正選挙が行われる可能性が高い。これらのことが、次期大統領選でのトランプ候補の再選の大きな足かせになっている。

田中氏から「覇権放棄屋」とされるトランプ氏自体は、上記のヤフー・ニュースの論考でも紹介したように、両勢力とは距離を置いた特異な存在だ。あくまでも、軍産複合体の軍事作戦と「新自由主義」の経済政策によって経済・社会が衰退する米国の再生を目的としていると見られる。しかし、上記のことから2024年の大統領選挙での再選には少なくとも「黄信号」が灯り始めたことを認識する必要があるだろう。

サイト管理者(筆者)としては、トランプ氏が政治的影響力を挽回するためには、多民族国家である米国を統合してきた健全で保守的なキリスト教徒の支持基盤を拡大する必要がある。そのためには、米国のキリスト教勢力が再生し、米側陣営の深刻な社会・経済問題である「少子・高齢化」のひとつの重要な原因になっている「人工妊娠中絶」を安易に認めない、健全で保守的なキリスト教徒の社会・政治的勢力を拡大する必要があると考える。

文明の歴史的転換期における宗教理念の役割と宗教組織の自己変革の必要性

田中氏は12月07日に公開した「米諜報界が中国のために作る世界政府」(https://tanakanews.com/221207china.htm、無料記事)で次のように見通されている。まず、リード文を紹介させていただく。

これは中国が非米諸国を主導して世界政府の構図を運営し、欧米諸国を、米国の傀儡から、中国主導の世界政府の傀儡に強制的に転換させる多極化の動きでないか(日本はすでに安倍晋三による米中両属化で隠然転換)。大リセットも世界政府もコロナ覇権も温暖化もウクライナ戦争も、構図を作ったのは米諜報界だが、それを牛耳っているのは、米覇権(欧米)をいったん自滅させて覇権構造を米単独から多極型に転換しようとする「隠れ多極主義者」である。多極派は、テロ戦争などを通じて諜報界を乗っ取った。世界政府など一連の構図は、米諜報界が、中国(が主導する非米側)のために作ってやったのでないか。

「米諜報界が中国のために作る世界政府」の本文の論考の中から、重要と思われる内容を抜粋・引用させていただきたい。

米国覇権の黒幕は英国であり、英国系のカナダや豪州は米覇権の構図を強化・恒久化することに熱心だ。独仏EUも冷戦が終わって対米自立するどころか逆に米傀儡色を強めた。これらの国々は全て、コロナと温暖化の超愚策を猛烈にやって自滅している。中国が直接WHOや国連を牛耳ってコロナや温暖化の超愚策を英国系やEUに強要したら、それは拒否されるだろう。今のところまだ米諜報界が超愚策を強要しているのだろう。しかし、国連でもG20でも中国の影響力が強まるばかりだ。すでに、中共が米諜報界の皮をかぶって欧米に自滅策を強要している可能性もある。「次のパンデミック(注:既にコロナウイルス・パンデミックの次のパンデミックが予想されている。なお、コロナウイルスは米国が中国に資金提供して動物のウイルスの研究させていた生物研究所から流出した可能性が強い)」が起こされるころには、中国の覇権がさらに強まっているだろう。米諜報界は積極的に、中共を内部に入り込ませているのでないか。

世界政府(大リセット、新型コロナ、地球温暖化)は米諜報界が中国(主導の非米側)のために作ってやった隠れ多極化策だという考え方・仮説は、私の思いつき(妄想、仮説)である。田中宇の妄想なんて誰も読みたくないぞ、という人は読まない方が良い。イラク戦争は多極化のための策だったというのも私の思いつきの仮説・妄想であり、当初は権威好きの人々(軽信者たち)からボロクソ言われた。しかしイラク戦争(注:戦争の原因だった大量破壊兵器などはイラクに存在しなかった)が今に続く多極化の急進の開始点だったことは、今や確定的なことになっている。これから何年かしたら、世界政府的ないろんな構図が、中国主導の非米型・多極型の世界を推進していることが、今よりも顕在化しているだろう。妄想は、あらゆる分析や研究、開発、発明、哲学など知的行為全般の母である。妄想を現実とすり合わせていくと新しい知的財産になる。権威が好きな人々は大体、妄想から出発する知的行為が苦手な人だ。

ウクライナ戦争の構図もずっと続き、欧米のさらなる自滅と、非米型の世界体制の形成に資することになる。日本は自滅を回避している。自民党政府は隠然と親中国であり、安倍晋三が敷いた米中両属体制が今後の日本を救うことになる。安倍が積極的に日本を非米的な路線に引っ張っていくことを恐れた日本の対米従属派(官界やマスコミ権威筋)が、米国(諜報界(注:ディープ・ステート(DS)を意味する)の非主流派に転落した軍産系)からそそのかされて、安倍の殺害と、その後の自民党への攻撃(今さら統一教会=世界平和統一家庭連合=との癒着を出してくるなど)を続けている。

日本は1972年09月29日、訪中した田中角栄首相(当時)が中国政府との間で「日中共同声明」を公式発表し、①中華人民共和国政府が中華民国のあとを次いだ中国を代表する唯一の合法政府である②中華人民共和国政府が、台湾が中華人民共和国の不可分の一部であることを重ねて表明し、日本政府が、この中華人民共和国政府の立場を、十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第8条(カイロ宣言を誠実に履行することを明記しており、そのカイロ宣言では、台湾、澎湖諸島は中華民国(注:現在はその正統の後継国家である中華人民共和国)に返還することが連合国側の対日戦争の主要な目的のひとつとしている)に基づく立場を堅持する」ーことを公式に認めている。

だから、米国のディープ・ステート(DS)(「隠れ多極派勢力」に乗っ取られているが、経済・社会の衰退にもかかわらず、一極単独覇権支配をなお夢見る軍産系の勢力も根強いと見られる)にそそのかされて、台湾が中国からの独立運動を展開した場合(もしくは、ウクライナ戦争のように中国が台湾を攻撃するよう誘導して台湾海峡事変を起こさせた場合)に、領土問題は国家の最重課題だから、中国がこれを阻止するためにあらゆる手段を行使することは当然のことだ。その際は、日本にとって死活問題になる台湾海峡問題が勃発することになるが、日本政府としては米英ディープ・ステート(DS)の言いなりになって、中国の軍事基地や政治的要衝に対して攻撃するなどのことは日本国憲法や日中平和友好条約の精神から考えて当然、行ってはならない。

しかし、日本の岸田文雄政権は「敵基地反撃能力」の保有を行わなければならないとして、防衛費と称する敵基地等攻撃軍事能力を含めた軍事予算を国内総生産(GDP)1%から2%(4兆円強から8兆円強)に倍増させることにしている。これほど矛盾に満ちたことはない。ウクライナ戦争が起こったのも、米国の傀儡政権であるゼレンスキー政権が、米国とともにロシアとの外交決着を目指す努力を怠ったどころか、武力行為を誘発する試みを行ってきたこと(東部ドンバス地方に対する大規模攻撃の実施)にある。日本は米国に対して、「台湾海峡事変」を引き起こさないように外交努力を行うというのが、日本国憲法、日中平和友好条約に基づくあるべき姿だ。

また、北朝鮮問題に対しても中露に対して外交的働きかけを行い、日韓米中露が協力して北朝鮮に対する経済支援を前提にした朝鮮半島の平和統一を中核とする東アジア共同体構想を実現するよう努力すべきである。東アジア共同体研究所(元首相の鳩山友紀夫理事長)による(https://www.youtube.com/watch?v=fkbbcyUwM8k)と、日本の防衛省は米英ディープ・ステート(DS)の言いなりになって、沖縄県以南の島嶼に中国の航空機や軍艦を攻撃するための地対空ミサイル、地対艦ミサイルを実践配備しているようだが、今後は現実的に「敵基地等反撃能力保有」のため、中国本土の軍事基地を攻撃するための中長距離戦術・戦略ミサイルを米国から購入ないし共同開発して、配置することになる。財源は不明だが、日本国民の生活を苦しめる結果になることは間違いない。屁理屈をつけて、消費税をまた増税する可能性だって有り得る。

しかし、中国は米国とソ連(当時)が締結した中距離核戦力全廃条約(INF条約)に参加していなかったため、核攻撃能力を含む中長距離ミサイルの開発が著しく進んでいる。仮に、台湾海峡事変(台湾有事)が勃発した場合に日本が米英ディープ・ステート(DS)の要求で中国のミサイル基地を攻撃すると、日本の米軍航空基地と自衛隊航空基地は即座に中国人民解放軍から滑走路を攻撃され、使用不能になり、敗北してしまうだろう。外務省国際情報局長、防衛大学教授を歴任された孫崎享氏もそうした見方を採っておられる(注:台湾海峡事変が勃発した場合の軍事シミュレーションでは米側が中国側に敗れるとの結果が出ている。日本が参戦しても同じ結果になるだろう)。

日本の取るべき道は今や、政治・経済・軍事力で米側陣営をしのぐ勢いを見せつつある中露サウジアラビアを中心としたBRICSと中東諸国、上海協力機構など非米側陣営と米側陣営が友好関係を構築することに、最大の外交努力を行うことだ。これに関連して田中氏は、BRICSや上海機構など非米側の国際組織の内部は、他の加盟諸国の国権を尊重する形で運営されている。非米側では国権が大事にされている。中国は覇権を隠然と行使する(注:中国がこれから主導しそうな非米かつ多極型の覇権体制は、明清までの中国がやっていた「冊封体制」を模していると感じられる)とされている。

しかし、中国は歴史的経緯からして、貴族と平民、奴婢の身分社会を肯定したうえで冊封体制(注:冊封=さくほう=とは、中国の皇帝がその一族、功臣もしくは周辺諸国の君主に王、侯などの爵位を与えて、これを藩国=朝貢を命ぜられる臣下の国=とすること)しか築けなかった儒教文明圏にとどまって経済が発展せず=農耕文明社会にとどまった=、近代化した欧米列強の侵略を受けてしまった。欧米文明のようには、基本的人権の尊重・博愛主義という概念と市場経済に基づく近代資本主義システムを創出できなかった中国が、キリスト教文明圏である欧米文明圏が創出したこれらの普遍的とも言える価値観を十分に相続しているとは言い難い面があることを十分、認識する必要がある。独裁体制を築いた習近平国家主席が貧富の格差を是正する政策を展開しようとしても、である。

 

米側陣営と非米側陣営との友好関係を創出するためには事実上、水面下で両属外交を展開している韓国と日本の歴史的使命だ。韓国や日本、とりわけ韓国は歴史的経緯から宗教的情操が豊かであり、かつ、文明の歴史的転換期には新たな次元の理念(宗教・思想)が重大な役割を果たす。日本の場合は「まわりの空気」を重んじ、一神教が峻別する善悪をあいまいにする「日本教」(山本七平、小室直樹)の克服が課題だ。その意味で、民主主義国家の憲法の根幹になっている「宗教・思想・言論・結社」の自由は最大限保障されるべきであり、国家・国民は宗教を弾圧してはならないし、宗教界も憲法で保障されている内容にふさわしい組織に自己を変革して、文明の転換期にふさわしい役割を果たすべきだ。


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