今年第一・四半期の米国経済は物価高のもとでの不景気(不況)、つまり、スタグフレーションに陥り始めたことを象徴している。意外な景況に株式市場は驚き、ダウ平均は一時700ドル下がり、これまでの「市場最高値更新」の連続が嘘だったような状況を呈している。その米国の頼りない国内経済を象徴するドルに対して、日本円は1ドル=156円台の円安になっているのだから、開いた口がふさがらない。4月25日に加筆訂正したように、米側陣営の経済弱体化はこれから本格化する。物価高での不況=スタグフレーションがバイデン大統領の限界を如実に示しているが、大統領選挙は資金集めを競うものではなく、政策を競うものだ。経済問題でバイデン大統領が失脚を余儀なくさせられるとともに、自身の「記憶能力・判断力・意思決定力」に対する不安が高まってくれば、「もしトラ」が実現する可能性は高い。
米国中心の米側陣営、これから本格的なスタグフレーション(不況下の物価高)入り
NHKが、「米 1月~3月GDP伸び率 年率換算で+1.6% 市場予想大きく下回る」と題して、米国経済のインフレが沈静化せず、むしろ、ひどくなってきている状況下で不況が進んでいることを報道した(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240425/k10014433441000.html)。長くなるが、引用させていただく。
アメリカのことし1月から3月までのGDP=国内総生産が発表され、前の3か月と比べた伸び率は、年率に換算してプラス1.6%となりました。7期連続のプラス成長ですが市場予想を大きく下回りました。アメリカ商務省は25日、ことし1月から3月までのGDP(国内総生産)の速報値を発表しました。前の3か月と比べた実質の伸び率は、年率に換算してプラス1.6%でした。プラス成長は7期連続ですが2.5%程度を見込んでいた市場予想を大きく下回りました。内訳をみると、(GDP構成要素からは大きい項目ではない)住宅投資は13.9%、政府支出は1.2%それぞれ増加しました。一方、GDPのおよそ7割を占める個人消費は前の期の3.3%から2.5%に減速しました。(中略)
またあわせて発表された物価の指数が前の期を大きく上回りました。特にFRB=連邦準備制度理事会がインフレの実態を見極める指標として重視しているエネルギーと食品を除いた指数は市場予想も上回り、インフレの根強さが改めて示された形です(注:現在のインフレはウクライナ戦争に伴う資源・エネルギー価格によるところが非常に大きいから、エネルギー価格を除いて物価情勢を探るのはあまり意味がない)。市場では今月に入って発表された雇用や物価などの経済指標も相次いで市場予想を上回っていてFRBが利下げに踏み切る時期が大幅に遅れるという見方が広がっています。
昨年秋ころから、インフレが沈静化するため、米国連邦準備精度理事会(FRB)は金融政策を引き締めから緩和に転じるとの得体の知れない「観測」が強まり、FRBの利下げを先んじる形で国債や株式など証券価格(相場)は史上最高値を更新してきた。しかし、米国は大幅な財政赤字を抱えており、ウクライナなどに対する軍事支援はもちろん、国内の景気対策のためには国債をどんどん増発して、金融・資本市場で民間金融機関に国債を購入してもらわなければならない。
そうなると、必然的に証券の金利および市場金利は上昇するから、これを食い止めるためには、ドル紙幣の増刷権限を持っているFRBがバイデン政権との協調で、ドル紙幣を増刷する以外に道はなくなる(QE:Quantitative Easing=量的金融緩和政策=)。こうした措置は、民間金融市場・実体経済に事実上の過剰流動性をもたらすことになる(要するに、ヘリコプター・マネーをばら撒くこと)。この過剰流動性によるインフレが、もっともたちの悪い悪性インフレだ。これに、ウクライナ戦争で資源・エネルギーを大量に持つ非米側陣営を敵に回したため、コストプッシュ・インフレも収まらない。過剰流動性とコストプッシュ・インフレで米国の庶民の暮らしぶりは悪化する一方だ。
そのひとつの帰結が、GDPのおよそ7割を占める個人消費が前期の3.3%増から2.5%増へと、伸び幅が減速したことだ。今でこそ、個人消費のマイナス成長(前期比減)は生じていないが、バイデン政権が見識のないウクライナに対する軍事支援などの外交政策や経済政策を採る限り、米国を中心とした米側陣営は、経済のマイナス成長とインフレが併存するスタグフレーションに陥るという目も当てられない状況になっていくだろう。膨大な財政赤字の下で、大規模なウクライナ軍事支援に踏み切るのだから、海外に逃げ出しているウクライナの国民を国内に呼び戻し、ウクライナ国民傷つけるウクライナ軍事支援一本槍では、米国の経済も悪化して当然だ。
こうした状況に、金融・資本市場は大慌てであり、「NYダウ平均株価700ドル超値下がり 、円相場は一時1ドル=155円以下の大幅円安に陥った」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240426/k10014433611000.html)。
25日のニューヨーク株式市場ではFRB=連邦準備制度理事会の利下げが大幅に遅れ、高い金利水準が続くとの観測から売り注文が増え、ダウ平均株価は一時、700ドルを超える大幅な値下がりとなっています。25日のニューヨーク株式市場ではアメリカのGDP=国内総生産とあわせて発表された物価の指数が前の期を大きく上回ったことでインフレが根強く、FRBの利下げが大幅に遅れるとの観測から売り注文が増えました。ダウ平均株価は一時、700ドルを超える大幅な値下がりとなっています。
また、ニューヨーク外国為替市場ではFRBの利下げが遅れるとの観測から日米の金利差が改めて意識され、円売りドル買いにつながり、円相場は一時、1ドル=155円75銭まで値下がりして、およそ34年ぶりの円安水準を更新しました。
米国の金融・資本市場に登場する投資家は、嘘のニュースを軽信して大きな損失を被った。こうした事態は今後、ますます頻繁に見られるようになるだろう。それにしても不甲斐ないのは円相場であり、円(紙幣)の価値の安定が存立目的である日本銀行である。近い将来価値が崩落すると予想されているドルよりもまだ円が弱いのだから、まさに、打つ手なしという感がある。米国のディープ・ステート(DS)が、奥の院で多極化を志向しているとしても、メチャクチャな経済運営を行うと、米国の庶民から大反発が起きる。大統領選は、選挙資金の獲得能力を競うものではなく、政策を競うものだ。
ジェトロなどによると(https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/04/37e7a763f960f7f9.html)、現在では共和党のトランプ候補と民主党のバイデン候補の差はなく、ほぼ拮抗していると分析されているが、この観点からすると、バイデン政権の経済的失策とバイデン氏自身の「心身崩壊=記憶能力・判断能力・決断能力の衰退」によって、「もしトラ」が実現してしまう公算が大きくなる。共和党のトランプ候補自身はディープ・ステート(DS)を叩き潰すと公言しており、バンデン候補とは政策で競うつもりだ。
それが、大統領選挙としては当然のことだ。今や、世界は衰退する米側陣営と交流する非米側陣営に二分されており、国際情勢を日本で最も正しく解説していると思われる田中宇氏によると、「非米側はすでに資源類も巨大消費市場も製造技術も持っている。今のような米国側と非米側の決定的な分断が25年も続けば、非米側だけで世界を長期に繁栄させる体制を作れる。米欧日は、今よりずっとショボくなる。非米側が先進国で、米国側が後進国になる。発展途上でなく、衰退中のあわれな後進国」(https://tanakanews.com/index.html)になる。
ただし、米側陣営が自陣営を自賛する常套語句と化したとは言え、基本的人権の尊重とそれに基づく民主主義と自由の制度を創造したのはアタナシウス派キリスト教(父・子・聖霊は同一の位格であるという三位一体論が教義の中心。要するに、神とイエス・キリストは同一であるという教え。サイト管理者(筆者)が思うに、神ご自身とイエス・キリストとは別の存在なのではないのか、ということだ)を根幹に置く欧米文明だ。
サイト管理者(筆者)は「中露極悪説」は取らないし、ゴルバチョフ大統領(当時)が冷戦後の時代の新秩序として、北大西洋条約機構(NATO)に代替する「欧州共通の家」構想を提唱して欧米と東欧との和解を試みたように、米側陣営と非米側陣営が対立を続けることは、人類史の希望にはならないと断定せざるを得ない。やはり、アタナシウス派キリスト教の限界を超克する必要があり、歴史的に見て宗教は文明の根幹であるから、その根本的な事実のうえで、統一文明圏を創造するという人類史の最終段階に辿り着く必要があるのだろう。新約聖書の最終章を飾るヨハネの黙示録はその必要性を説いているのではないか。
下落が緩やかになりはじめた金地金相場ー今後は反騰の機会を伺う展開
金地金相場は既に一トロイオンス=2000ドルの壁を突破しており、この水準を下回ることはないが、同2350ドル程度の水準でここしばらく、軟化傾向が続いていた。しかし、その軟化傾向も緩やかになってきたようだ(https://gold.mmc.co.jp/market/gold-price/)。