バイデン政権支持率、過去最低更新を継続中ー対ロシア経済制裁による記録的なインフレに直撃され

バイデン政権の支持率が過去最低を更新し続けている。ロシアに対する経済制裁が米国および世界の経済に重大な資源価格インフレをもたらしているためだ。現地時間で05月21日には総額400億ドル(5兆1千億円)のウクライナに対する軍事的・経済的・人道的支援に対する追加予算が議会で成立したが、この予算がバイデン大統領の属する民主党の政治家らに横領されるとの疑惑も出ている。

バイデン政権の支持率、過去最低更新を継続中

AP通信が報じたところによると、就任直後は61%あったバイデン大統領の支持率は5月は前月比6ポイント下がって39%になり、過去最低を更新した(https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000255426.html)。

アメリカで記録的なインフレが続くなか、バイデン政権の支持率が39%まで下がり、これまでで最も低い数字となりました。AP通信によりますと、アメリカ国内に住むおよそ1200人の成人を対象に今月(注:5月)12日から16日に実施した世論調査で、バイデン大統領を支持すると答えた人は39%と、先月から6ポイント下がり過去最低となりました。就任した直後は61%でした。記録的なインフレが続くなか、特に経済を巡ってバイデン氏の政策を支持する人は2割にとどまっています(中略)。

また、共和党員の支持率は5%にとどまっていて、政権発足時に掲げていた「団結」とは程遠い状況となっています。

これに関連して、国際情勢に詳しく、政治活動も展開している植草一秀氏はメールマガジン第3226号「バイデン大統領失敗の本質」で、次のように指摘しておられる。

バイデン大統領はウクライナ戦乱でのバイデン大統領支持率上昇を狙ったと見られるが、バイデン支持率はまったく上昇していない。昨年1月の政権発足時には支持が不支持を20%ポイントも上回っていたが、本年2月には不支持が支持を14%ポイントも上回る状況に転じた。ウクライナ戦乱発生直後にこの差が8%ポイントに縮小したが、5月19日時点で14%ポイントに回帰している。

戦争経済は軍事産業だけに恩恵を付与するが、米国ではインフレ亢進(注:高進)により市民生活が急激に疲弊し始めている。バイデン大統領はロシアを叩き、中国を叩き、世界を米国の一人勝ちの状況に持ち込もうと懸命だが、何よりも大事な点を見落としている。それは、世界の主要国が相互依存関係にあるということ。世界の主要国が相互に信頼し、相互に尊重し合う関係を構築しなければ、世界経済は破綻する。その経済破綻は間違いなく我が身に跳ね返る。

中間選挙後のバイデン大統領は完全なレームダック状況に陥ることになると思われる。

インフレ高進が資源・穀物価格の急騰・高騰というコストプッシュ・インフレによって起きているものであることから、需要を抑制するためのQE(Quantitative Easing=量的金融緩和=)の終了やQT(Quantitative Tightening=量的引締め=)の本格化でも解消することは難しい。しかし、それでも行わなければならないから、金融・資本・為替市場の重大な波乱要因になる。これから苦境に立たされるのはロシアではなく、コモディティ小国である欧米日陣営のほうだろう。

実際のところは欧米日陣営の主導国であるG7諸国はコモディティ小国であり、天然ガス・原油・金を含む貴金属・穀物などコモディティ大国であるロシアに対する歴史上かつてないほどの経済制裁は、資源価格インフレになって欧米日陣営に跳ね返ってきている。ウクライナでの戦闘状況について深層・真相は不明だが、どうも、ロシアが東部ドンバス地方や黒海に面した南部地方で優勢に進めているようだ。しかも、ロシアや暗黙のうちにロシアを支援している中国や中東諸国、インド、イランなど人口・コモディティ・科学技術大国では今後に経済成長が期待されるため、ロシアはウクライナ事変の長期化も視野に入れているようだ(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220522/k10013637381000.html)。

ロシア軍はウクライナ東部のマリウポリの掌握後、東部2州の掌握に向けて攻勢を強める狙いですが、欧米の軍事支援を受けるウクライナ軍は反撃を続けています。一方、ロシアはNATO=北大西洋条約機構の加盟を巡って対立するフィンランドに対し、天然ガスの供給を停止し、ロシアによる報復措置ではないかとみられています。ロシア国防省は21日、ウクライナ各地をミサイルで攻撃し、北西部ジトーミル州では巡航ミサイル「カリブル」でウクライナ軍の兵器などを破壊したと発表しました。

破壊した兵器についてロシア側は、欧米側から供与され東部2州のウクライナ軍に移送されようとしていたと、主張しています。また南部オデーサの港もミサイルで攻撃したと発表し、ウクライナ軍の装甲車用の燃料施設を破壊したとしています。

上記の「ロシア軍 東部2州掌握へ攻勢強める狙い ウクライナ 反撃続ける」と題する報道ではこのあと、ウクライナ側の反撃について述べているが、ロシア国防省の発表よりは確度が低いと思われる。加えて、ウクライナ事変は実際のところは米国を盟主とする北大西洋条約機構(NATO)とロシアとの戦いである。そのNATOも、ロシアからの天然ガスの輸入をめぐって一枚岩ではない。

なお、ウクライナ事変で世界は二極化(米英陣営側=アングロサクソン陣営側=と非米英陣営側)ないし多極化時代に本格突入したとの見方は既に定着してきているようだ。毛沢東の「農村から都市へ」という戦略は夢に過ぎなかったが、従来「永遠に発展途上国」とされてきた陣営が着実にコモディティ生産、科学技術、金融技術で力を付けてきている現在、鄧小平の意味で現実のものになりつつある。

総額400億ドルのウクライナ支援は米国民主党政治家が横領か

加えて、現地時間で05月21日には総額400億ドル(5兆1千億円)のウクライナに対する軍事的・経済的・人道的支援に対する予算が議会で成立し(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220522/k10013637551000.html)たが、この予算がバイデン大統領の属する民主党の政治家らに横領されるとの疑惑も出ている。

アメリカのバイデン大統領はウクライナへの兵器の供与や人道支援などを強化するため、およそ400億ドル、日本円にして5兆円余りの追加の予算案に署名し法律が成立しました。韓国を訪問中のアメリカのバイデン大統領は21日、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナへの支援を強化するため、およそ400億ドル、日本円にして5兆円余りの追加の予算案に署名し、法律が成立しました。

しかし、国際情勢解説者として活躍されている田中宇(さかい)氏は05月18日に「米政治家らに横領されるウクライナ支援金」と題する解説記事を投稿し、追加予算400億ドルも含めた総額530億ドルのかなりの規模の「支援金」が米民主党の政治家によって不正に横領されてしまうとの展望記事を投稿している(https://tanakanews.com/220518ukrain.php、有料記事)。

米政府は開戦以来530億(約6兆8千億円)ドルをウクライナに支援していることになっている(注:既に130億ドルの予算が成立しており、今回400億ドルの追加予算が成立したたため)。だが米政界では、これらの支援金のかなりの部分が目的通りにウクライナのために使われず、不正使用や使徒不明になるのでないかという疑いが共和党側で強まっている。民主党系の米議員たちが親族や友人にウクライナ関連のNGOを作らせ、支援金の一部がそれらのNGOに入る構図が作られている疑いがある。NGOは何もせず報告書だけ巧妙に書き、NGOが米政府からもらった資金は議員と仲間たちで山分けされそうだ。日欧からの支援金も、この不正構造の中に流入させられている懸念がある。

ウクライナ支援と称して成立した予算は、国防総省などによって執行されるが、予算執行の追跡システムが明確でないため、どのようにでも操作できるというのが、田中氏の見立てだ。詳細は解説記事を精読いただきたい。共和党の党員でのバンデン大統領支持率が極めて低いのも納得の行く説明がなされている。なお、今回のウクライナ事変はロシアが「特別軍事作戦」を開始した02月24日に勃発したとされているが、実際のところは2021年01月21日にバイデン政権が発足した後の今年02月16日からネオ・ナチ軍事組織を中核としたウクライナ軍による東部ドンバス地域に対する大規模軍事攻撃(高性能軍事ドローン兵器含む)が始動しており、ゼレンスキー大統領はクリミア半島(1954年に当時のソ連指導部がウクライナに移管し、住民の6割以上がロシア系)の武力奪回やNATO加盟も表明している。

要するに、先制攻撃を行ったのは2014年02月22日のマイダン暴力革命によって成立して以降の、米国の傀儡政権である非合法ウクライナ政権側の方である。米欧日諸国陣営のマスメディアはこれらの事実を全く伝えない大本営発表と化しているから、米欧日陣営のマスメディアを視聴する際には極めて慎重でなければならない。ウクライナ事変の事実を直視すれば、米国での秋の中間選挙で民主党は大敗北を喫する可能性が高い。「天網恢恢疎にして漏らさず(天の網は粗いように見えるが、悪人たちの悪事を漏らすことはない)」である。

なお、日本では06月22日公示、07月10日投開票の参院選が事実上始まっている(22日のバイデン大統領訪日は岸田文雄政権浮揚が大きな狙い)が、国民民主党がその正体を顕にし、自公連立政権を支える日本労働組合総連合界(連合)によって立憲民主党が支配され、野党共闘が崩壊しているから、参議院選で野党側が大敗北する可能性がある。その場合は、①国防費増額②敵基地攻撃能力の確保と強化③緊急事態条項を盛り込んだ壊憲ーが実施されることになる。日本国民は米国での秋の中間選挙について予測する(米国の民主党が改選議席数=下院は全議席、上院は三分の一=を大幅に失えば、日本の野党には反転攻勢のきっかけになる)とともに、民主主義を守るため、壊憲には反対する必要があるというのが、サイト管理者(筆者)の見方だ。


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