第47回総選挙に見る潮流変化の胎動ーアホノミクス強行で経済恐慌発生【暫定投稿】

第47回総選挙で自公両党が圧勝したと伝えられるが、投票率が52.66%(有権者の2人に1人は棄権)と戦後最低で、政権交代の熱気に萌えた2009年夏の第45回総選挙と比較して20%ポイントも低下している現状では、小選挙区比例代表並立制のもとでは、当然の結果である。今回の総選挙は安倍晋三政権に対する信認投票というのが実態だったから、投票率の低下は安倍政権の政策に対する信認はむしろ、低下したことになる。

今回の選挙で重要なことは、(1)完全なる復古反動勢力の次世代の党(近代西欧の達成した成果=①基本的人権の尊重②国民主権の確立③議会制民主主義の実現④国際連合を柱とした世界平和の達成=)を否定する勢力が完全に凋落した反面、曲がりなりにも安倍政権の「集団的自衛権行使」に手枷・足枷をはめている公明党が比例区で議席を伸ばしたこと(2)新自由主義を批判している共産党が躍進したことは、国民が新自由主義の本質(掠奪主義)を見抜き始めていること(3)沖縄の全小選挙区で自民党候補が敗退したことは、歴代自民党政権の対米隷属政策への根源的批判が沖縄県民から日本全国に広がり始めたことの象徴であると捉えるべきことーであろう。

47election

 

信頼できる情報筋によると、バラク・オバマ米大統領が直接、安倍晋三首相に「来年10月からの消費税再増税は辞めろ」と電話で命令してきたという。これが、今回の第47回総選挙の「火付け役」になった。

なお、輸出主導型であった昭和の高度成長期なら円安→純輸出増加→投資・消費の内需増→好景気という景気循環が可能であった。しかし、高度成長期以降、日本は成熟債権国に達し、内需主導型の経済構造に転換しなければならない情勢である。そのためには、為替相場の円高が望ましい。円安だと、原燃料高、水平分業の進展による工業製品の高騰、農産物価格の高騰を招き、「賃金が上昇しないのに悪いインフレーション」が発生する。また、貿易収支、経常収支も悪化して、景気にはマイナスだ。その意味で、経済原理からすれば円高→株高であるが、実際には円安→株高となっている。

今年の夏以降、経済原理的にはあり得ない円安→株高を演出したのは、ゆうちょ銀行・かんぽ生命による総額30兆円規模のドル買い→米国債購入と年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF、運用資金規模127兆円規模)による株式投資比率の引き上げである。要するに、政府自らが金商法違反を犯し、暴力的に官製相場を形成したのである。しかし、政府(財務省)と財務省日銀局は米国の通貨当局と同様に、実態は国債の日銀引き受け(担保のないペーパーマネーの大量市中供給)を行っているから、必ずハイパーインフレーションが起こるが、その前に、長期金利が高騰を始める(国債価格は暴落を始める)だろう。来年以降、長期金利の急騰から株式相場が急落し、金融恐慌→経済恐慌にいたる。

安倍政権は今後、なりふり構わず「アベノミクス」なるものを展開してくるだろうが、その結果は「経済恐慌」ないし「ハイパースタグフレーション」でしかない。来年以降に展開される世界経済恐慌と相まって、安倍自公政権は瓦解するだろう。そのための条件としては、民主党が「連合赤軍派」を追い出すこと、あるいは、民主党正統派が同党を出て生活・社民と合流すること、国民が「維新の党」に対する幻想を捨てることである。なお、民主党は海江田万里代表が比例復活もできず落選し、代表を辞任せざるを得なくなるという醜態を演じているが、これは、海江田代表が民主党連合赤軍派を追い出せなかったことの報いである。水と油の民主党は分裂、メルトダウンし、民主党正統派と生活が合体すべきであるし、そのチャンスでもある。

今日の世界的な政治、経済情勢を熟知しているのは小沢一郎生活の党代表と亀井静香衆院議員(無所属)の二人である。過去の怨念を捨て、日本国および日本国民に最後の奉仕を行い、中道左派勢力を結集しながら、若い政治家、官僚、知識人を育てていくべきである。

さて、参考までに、第45回から今回第47回までの比例代表で自民、公明、共産、未来ないし生活の各党が確保した議席数を調べてみた。

  自民党 公明党  日本共産党   未来の党または生活の党 
第45回総選挙  18,810,217  8,054,007  4,943,886
第46回総選挙  16,62,4457  7,116,474  3,689,159 3,423,195
第47回総選挙  17,564,292  7,274,689  6,040,875 1,028,633

第45回総選挙(2009年夏)のように投票率が高い(69.2%)と自公の得票率は相対的に落ち込む。自公の組織票は2500万票程度だろう。今回の総選挙では、浮動票が新自由主義に明確に反対する共産党に大量に流れ込んだことが分かる。ただし、同党は400万程度の基礎票を持っていることが分かる。植草一秀氏は、自公に対峙できる「主権者国民党」「日本共産党」「社会民主党」の選挙協力を訴えているが、そのためには、旧左翼(基本的に、エンゲルス=レーニン主義)の思想の限界(新自由主義は批判して当然であるが、経済的には社会的共通資本に守られ、市場原理=私的所有制度に基盤を持つ=を活かした資本主義を含む資本主義一般を否定し、一党独裁制により体制を維持する)を思想・政治・経済の各分野で超克する必要がある。そのためには、カール・マルクスの思想をマックス・ウェーバーの視点から逆照射すれば良い。また、21世紀の日本を担う社会的勢力を組織化する必要がある。

また、ブレトンウッズ体制に代替する新しい体制の萌芽ががBRICsから出てきた。

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201407/2014071600048
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 【フォルタレザ(ブラジル)時事】ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国(BRICS)首脳会議が15日、ブラジルのフォルタレザで開かれ、途上国などの発展を支援するBRICS開発銀行の設立で合意した。金融危機の際に資金を融通し合う1000億ドル規模の外貨準備基金の創設も決定。世界銀行や国際通貨基金(IMF)に近い役割を持たせ、欧米主導の国際金融システムに対抗する。
 開催国ブラジルのルセフ大統領は、約2年間にわたり議論を重ねた開発銀設置にめどが付き、「歴史的な決定だ。大きな一歩を踏み出した」と手応えを語った。

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 開発銀の資本は当初、500億ドル(約5兆円)で5カ国が均等に出資。最終的には1000億ドル規模への拡大を目指す。上海に本部を設置し、初代総裁はインドから出す。南アには開発銀行アフリカ地域センターを設置することを決め、各国のバランスに配慮した。(2014/07/16-09:04)

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今後の日本の行く道としては、①世界最大の借金大国・米国への隷属体制を続けて、米国と共に心中する②日本、中国、統一朝鮮を中心に東アジア共同体を構築、BRICsと協力しながら国際連合による集団的安全保障体制をバックに世界平和を築くーのどちらかしかない。

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