私見であるが、現行日本国憲法は国際連合憲章を前提として作成されたものである。国連憲章には第43条で国連による、武力紛争解決のための「国連常備軍(=地球防衛隊)の創設」を規定している。

  1. 国際の平和及び安全の維持に貢献するため、すべての国際連合加盟国は、安全保障理事会の要請に基き且つ1又は2以上の特別協定に従って、国際の平和及び安全の維持に必要な兵力、援助及び便益を安全保障理事会に利用させることを約束する。この便益には、通過の権利が含まれる。
  2. 前記の協定は、兵力の数及び種類、その出動準備程度及び一般的配置並びに提供されるべき便益及び援助の性質を規定する。
  3. 前記の協定は、安全保障理事会の発議によって、なるべくすみやかに交渉する。この協定は、安全保障理事会と加盟国との間又は安全保障理事会と加盟国群との間に締結され、且つ、署名国によって各自の憲法上の手続に従って批准されなければならない。

この国連憲章を前提として、日本国憲法第9条が規定されている。

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第九条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

○2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
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ところが、第二次世界大戦終了直後に「民主主義陣営VS共産主義陣営」の戦い(核兵器の大量拡大再生産)という第三時世界大戦が冷戦という形で勃発、国連は機能しなくなり、ポツダム宣言違反であるけれども、米軍が旧・新日米安保条約に基づいて日本に駐留し続けることになり、日本の「対米隷属体制」が敷かれたままになってきた。

しかし、現実の「共産主義陣営」は「市場経済」を否定したことから経済の隘路に陥り、自壊した。ただしかしながら、市場制資本主義を前提とした民主主義諸国家も、カール・マルクスが「資本論」において「資本主義崩壊論」の前提とした「古典派的市場原理主義=私的所有の絶対化」が新自由主義(新古典派経済学)となって、米国を中心に世界中に蔓延しており、それによって世界の経済社会に重大なほころびが生じている。日本においてそれは、主権と富の米国への献上になる環太平洋戦略協定(TPP)による名実ともの同国への植民地化の危機になって現れつつある。

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このことを前提に、①新自由主義との決別と共生共栄の理念による現代資本主義体制の再建(「赤い資本主義」を含む)②「共産主義」とは「何なのか」の解明③①と並行しての国際連合の理念・憲章の見直し、再確立。特に、国連憲章53条、107条の「敵国=ドイツ、日本、イタリア=条項」の廃止②国連の再確立と機能強化への貢献―を行うことにより、現行憲法の国民主権・議会制民主主義・平和主義の理念を発展・強化するための正しい「憲法改正」の時期が到来している。そのための優れた著作がどんどん出版されているが、サイト管理者は文芸評論家で早稲田大学名誉教授の加藤典洋氏の最新著「戦後入門」(ちくま新書)に注目している。

本書は新書版ながら、1400635頁の大著である。機を改めて紹介する。

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