昨日19日と今日20日、参院予算委員会の「森友疑獄事件」の集中審議が行われたが、野党は今回の疑獄事件に関して、東京地検特捜部、大阪地検特捜部にやる気がないようだが、国勢調査権を最大限に活かして徹底的に疑惑を解明し、安倍晋三内閣、安倍昭恵夫人、財務省の刑事犯罪を追及すべきである。そうしないと、疑似にせよ日本国の民主主義の根幹が崩れる。

植草一秀のメールマガジン第1996号によると、刑事犯罪を追及すべきなのは次の三点である。

第一は、国有財産が不正に低い価格で払い下げられた事実を明らかにすることである。
第二は、政府が決裁公文書を改ざん(書き換えではない)した重大犯罪を明らかにしてその責任を問うこと。
第三は、安倍首相夫妻の学校認可および国有地払い下げ問題への関与を明らかにしてその責任を問うこと、である。

国有財産は最終的に国民の財産であり、財務省理財局が中心となって管理している。財政法では第九条で、「国の財産は、法律に基く場合を除く外、これを交換しその他支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない」と明記している。しかし、「森友事件」では、時価10億円相当の国有地を、「ごみ処理費用」などの不明朗な「 事実」を挙げて、実質200万円相当で売却している。この実質的な売却価格が適正・妥当であったが、明確にしなければならない。売却国有地のゴミの量については未だ、背式な調査がない。会計監査院の調査の妥当性も不明である。そもそも、撤去しなければならない大量のゴミが埋没していたかさえ、不明である。

店晒しになっている森友学園への売却国有地

次に、安倍内閣は12日に当初の、森友学園への国有地の売却過程を詳細に綴った公文書が隠され、偽の「公文書」で国民の代表である国会議員および国会に嘘の説明を繰り返してきた。これは、刑法では「公文書毀損罪」に相当する。財務省が当初の公文書の中から、国有地不当廉価売却の根拠になる政治家および安倍首相夫人である安倍昭恵氏の関わりの部分を全て削除しているのだから、これは紛れもなく、財務省が「公文書毀損罪」を犯したことになる。財務事務次官を筆頭に交渉を指示し歴代の財務省理財局長とその関係者、及び、その指示を受けて公文書を財務省本局とともに改ざんした近畿財務局の関係者(既に2人が痛ましい自殺?を遂げて、他界している)らは、「公文書毀損罪」に問われ、刑事罰を受けなければならない。なお、改ざんした公文書で国民の代表である国会議員の国勢調査権を妨害するのは、安倍内閣や財務省の「威力業務妨害罪」に相当する。

さらに、公文書の改ざんは、理財局関連者の忖度程度では行うことができないのは明らかである。何故なら、政府の公文書は、民主主義の根幹をなす資料だからだ。繰り返して述べるが、太平洋戦争末期の東京大空襲(主として1945年3月10日の下町空襲など合計106回の米軍による東京大空襲)の時でさえも、霞が関官庁街は空爆していない。日本の戦争責任を追及するため、その証拠になる公文書を保存するためだ。財務官僚高官であるにしても、これほど大事な公文書を「忖度」程度で改ざんできるはずはない。

実際、財務省の麻生太郎財務相や太田充理理財局長らは全ての責任を、全理財局長の佐川宣寿氏に覆い被せようとしていたが、太田理財局長は当初、「佐川氏の国会答弁が誤解を与えないように書き換えた」と行っていたが昨日の参院予算委員会の集中審議では、「首相や大臣も答弁がある。政府全体の答弁を気にしていた」と付け加えている。これは健全な良識からすれば、森友文書の改ざんで、安倍首相始め安倍内閣の圧力があったことを意味する。安倍首相は昨日の参院予算委員会での集中審議で、「昭恵(夫人)が圧力をかけたことはない」と弁明したが、民進党の難波奨二氏は、「間接的な関与はあったのではないか。忖度はそういうところに生じる」と追及すると、同首相は「(財務省理財局が)忖度されたかどうかは、分からない」と疑惑を否定できなかった。また、太田局長は共産党の小池晃氏の質問に答えて、「(改ざん前の原文書で昭恵氏の記述があったのは)総理夫人だからということだと思う」と述べ、森友公文書改ざんの理由として安倍晋三首相・安倍昭恵夫人の圧力があったことをほのめかしている。

財務省が、安倍政権に反旗を翻しつつある証言だ。東京地検特捜部や大阪地検特捜部などの捜査当局は虚偽公文書作成(公文書毀損)罪での立件を急ぐ必要があり、直ちに強制捜査を実施して、関係書類の証拠隠滅が行われないように重要書類、データを押収する必要があるが、大阪地検は市民からの森友疑獄に関する政治家や財務官僚に対する告発状を受理しているものの、動きは全く鈍い。

このため、真相を明らかにするためにはまず、佐川氏や首相の妻である昭恵氏の国会喚問が不可欠であるが、これに合わせて、安倍昭恵氏と近畿財務局、国有地売却当時の財務省理財局長・迫田英典氏、森友学園の連絡役を務めた谷査恵子氏や、真相を隠すため刑務所に長期勾留され、基本的人権を剥奪されている籠池泰典夫妻らも証人喚問に呼び、安倍昭恵氏および財務省理財局、近畿財務局幹部らと対峙させれば、事態はかなり明らかになるだろう。

なお、あたりまえだが、泥棒(安倍政権、財務省)に泥棒(森友文書改ざん責任者、関連者)を調査させても、本当のことは分からない。籠池前理事長夫妻と安倍首相夫妻を対峙させれば、何が本当化、嘘かが明確になる。

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