マスコミ選挙報道による与党勝利への誘導

マスコミ各社が参院選公示日の翌日の7月5日、与党改選議席の過半数に大幅に上回る勢いから、日本維新の会加えて憲法改正発議の3分の2を越す勢いまで与党大有勢との選挙報道を一斉に流し、あいもかわらず投票率を引き下げるための選挙戦略に出た。

朝日新聞は5日のサイトで、「21日投開票の参院選について、朝日新聞社は4,5日の両日、全国の有権者を対象にした電話による情勢調査を実施した。取材で得た情報を合わせて分析すると、自民、公明の与党は改選議席(124)の半数を大きく上回る勢い。自民、公明と憲法改正に前向きな日本維新の会などの「改憲勢力」が非改選議席を合わせて、憲法改正の国会発議に必要な3分の2の議席を維持するかは微妙な情勢だ」と流した。

ただし、「調査時点では、投票行動を明らかにしていない人が選挙区で5割、比例区で4割おり、情勢が変わる可能性もある」と、いつものように責任逃れの文言も掲載している。参考までに朝日新聞社が序盤状況のグラフは下図である。

 

その一方で、本日8日の朝刊では社説でアベノミクスについて、「経済循環の道程遠く」と失敗だったとの論説を展開している。理由は、➀年率2%の物価上昇率に届いていない②安倍晋三政権がアベノミクスの目標として提示した名目、実質国内総生産の増加率3%程度、2%程度はそれぞれ、過去6年の平均で名目1.8%、実質1.2%にとどまった(これは、民主党政権下の実績よりも相当に悪い)③家計の可処分所得も年率0.6%程度で消費税増税を朱印とした物価上昇率を差し引けば、横ばいで内需の弱さは否定できない④外需は、米中貿易戦争を発端に世界経済の不透明感が広がり、景気後退を示すデータも出てきている-などだ。

朝日の社説はアベノミクスという言葉さえトーンが低くなったと批判している。安倍政権の失敗は経済政策だけにとどまらず、外交・安保政策でも安倍政権は、平和主義を根幹する日本国憲法の理念を踏みにじる「安全保障法」を強引に成立させるとともに、友好国であるはずの韓国との関係も悪化、米朝関係の動きにも先見の名を欠き、いたずらに緊張関係を煽っている。ロシアとの北方領土変換交渉は行き詰まり、安倍首相はイランのハメネイ師との会談で世界の物笑いになるなど、大失敗・大醜態の連続である。

こうした第二次安倍政権の「実績」を考えれば何故、国政選挙の今夏参院選で与党が改選議席数を大幅に上回る勢いなのか。答えは、投票率にある。朝日を始め、日本のマスコミは与党優勢の選挙報道を戦略的に流し、日本国民の選挙に対する関心を引き下げ、投票率を引き下げる役割を担っている。

結果として、与党支持の利権しか考慮することのない支持層が利権を守り、拡大するためどんな悪天候であっても投票に行く。低投票率ということは、日本国民が憲法に定められた国民主権を自ら放棄することと同等であり、マスコミが日本国民にそのような行動を取らせるような報道を展開することが、いつもの「与党圧勝」の原因であり、日本国民の真意とはかけ離れた国会の議席数の状態が続く。

日本国民はマスコミの選挙報道は二の次にして、自らの胸に手を当てて安倍政権の6年間を振り返り必ず、ベストではなくてもベターな候補者、政党に清き一票を投じるべきである。投票率が大幅に上昇すれば、マスコミの予想は外れる。

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