通常国会開会直後の解散・総選挙が再浮上

桜疑獄のさらなる拡大やカジノを含む統合型リゾート事業(IR)をめぐる元内閣府副大臣・秋元司衆院議員の贈収賄容疑事件(他にも自民党4人、日本維新の会1人の合計5人の国会議員が収賄容疑が向けられている)、公職選挙法違反が濃厚な河井克行前法務大臣夫妻の強制家宅捜査などで、任命権者の安倍晋三首相を長とする安倍内閣がピンチに立たされている。事態を打開するため通常国会開会直後の解散・総選挙が再浮上している。

植草一秀氏の国会内外の様々な情報を元に執筆されているメール・マガジン第2530号での予測である。具体的には、国民生活に欠かせない2019年度補正予算案が国会を通過した直後の2月16日日曜日に投開票である。

安倍政権の指示で動いていると見られる検察庁が要職に就いた経験のある現職の国会議員を逮捕したり、強制家宅捜査を行うなどのことは解せないところがある。日本の官僚組織は実際には米国の指令で動いているから、安倍首相が習近平国家主席を国賓として歓迎する意向であることや、IR疑獄での贈賄側の企業が中国企業であることから、中国に媚びる安倍政権に見切りをつけたことも考えられる。

いずれにせよ、時間が経てば経つほど安倍首相を頂点とする安倍内閣に不利になることは確かである。このため、立憲民主党と国民民主党との合流が現状、「進んでいない」状況を捉え、早期に解散・総選挙を行ったほうが政権の維持にもっとも適切だ、と安倍政権は考えるとしての予測である。安倍政権のお粗末さを考慮すれば、説得力のある総合的な情勢判断である。

確かに、今月10日に行われた立憲の枝野幸男代表と国民の玉木雄一郎の間で開かれた党首会談では、党名・人事・政策の丸呑みを求める立憲民主党に、国民民主党の玉木代表が拒否。逆に、新党を結成し、党名に「立憲」を入れないこと、党綱領に「改革中道」の文言を盛り込むことなどを提唱したため、両者の意見は平行線で終わり、「合流」は暗証に乗り上げているとの見方が強い。

朝日デジタルによると結局のところ、立憲の福山哲郎幹事長と国民の平野博文幹事長が16日、国会近くで階段下が、立憲への国民の国会議員の吸収のみを求める立憲と国民という党そのものが存続しなくなる国民との溝は深く、会談は物別れに終わったようである。20日の通常国会開会前の「合流」はなくなる見通しである。ただし、合流話自身はなくなったわけではないことに留意が必要だ。

しかし、合流の本質は本サイトでもしばしば触れたように、基本政策での一致が大前提だ。単なる数の増加だけでは、国民はそっぽを向いてしまう。事実、立憲の執行部は税制抜本改革を前提にした消費税減税には正直、反対だ。せいぜい8%に戻す程度のことしか打ち出せていない。さらに言えば、10%引き上げの経済への効果(悪影響)を見極めるといった消極的な態度しか取っていない。

国民に至っては、➀自公政権が大義名分としている「税と社会保障の一体的改革」、要するに消費税増税②原発の再稼働-に賛成であり、「野党」のフリをしながら自公の補完勢力になっている。こうした両党が仮に「合流」したとしても、国民に与えるインパクトは全く無い。御用組合になっている連合の影響から逃れられないから、なおさらである。

このため、安倍政権が目論んでいると考えられる解散・総選挙の早期実施に対抗するためには、新しい理念と政策を柱にしたが政策連合が不可欠である。具体的に言えば、強制共栄友愛の精神を理念に、➀税の累進性の徹底化を柱とした税制の抜本改革による消費税の5%への引き下げ(最終的には廃止)と最低賃金の引き上げ②フクシマ第一原発事故が適切に処理されず、大量の原発棄民が発生している中、東京オリンピックに国民の目をそらしつつ、原発を着々と再稼働している安倍政権の異常さを徹底的に追及し、原発は稼働を即停止する-などの政策を打ち出すことである。

このため、植草氏も指摘するように、政権奪取を狙う「確かな野党の連合」を早期に結成する必要がある。令和新選組、日本共産党、社会民主党が核になり、立憲、国民から理念と政策理解できる現職・元職の国会議員、新人を、言葉は悪いが引っこ抜くことである。その中でも、令和の山本太郎代表に期待するところが大きい。

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