
トランプ大統領は自身のSNS)「トゥルース・ソーシャル」で、フォルドゥ、ナタン、イスナファンのイランの「核施設3個所に対して(注:電撃)攻撃を行い、成功した」と伝えた。ただし、「今こそ平和の時だ」と結んでいる。また、時事通信によると、「米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は21日、イスラエルの攻撃を受けるイランの最高指導者ハメネイ師が後継者候補3人を既に選出したと伝えた」という。トランプ政権が国際社会の情勢も考慮して、イランのハメネイ師現体制の転覆を支援する可能性を否定できない。
ロイター通信が伝えたところによると、トランプ大統領は自身のSNS)「トゥルース・ソーシャル」で、フォルドゥを含むイランの「核施設3個所に対して攻撃を行い、成功した」と伝えた(https://jp.reuters.com/world/us/KQDOEYAJSVL2JJIGY4UVJJBVKM-2025-06-22/)。そして、投稿の最後には「今こそ平和の時だ」と結んでいるという。
[イスタンブール/エルサレム 21日 ロイター] - トランプ米大統領は21日、自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」を通じ、米軍がフォルドゥを含むイランの核施設3カ所に対して攻撃を行い、「非常に成功した」と表明した。米政府関係者によると、米軍のB2爆撃機が関与した。トランプ氏は「全ての飛行機は無事に帰路についた」と投稿。「われわれの偉大な米戦士たち」に祝意を示した。投稿の最後には「今こそ平和の時だ」と記した。
フォルドゥはイランにある「地下各施設」と言われており、米国のバンカバスターでなければ破壊できないとされる(https://www.jiji.com/jc/article?k=2025061900852&g=int#goog_rewarded)。バンカバスターを搭載できるのは、可変翼ステルスB2爆撃機だけなので、ステルスB2が使われたようだ。
ステルス可変翼B2爆撃機=バンカーバスター爆弾搭載可能
イスラエルが対イラン攻撃で米国の参戦を促している背景に、中部フォルドゥのウラン濃縮施設が最重要標的の一つになっていることがある。同施設は、首都テヘランの南約200キロの山岳地帯にあり、中部ナタンズのウラン濃縮施設と並ぶイラン核開発の中枢拠点。イスラエルの攻撃を逃れるため地下80~90メートルで濃縮が行われており、空爆での破壊は極めて困難とされている。
NHKの同時中継によると、トランプ大統領はイランの「核施設」攻撃後、ホワイトハウスで国民に向けて戦術の全体像を示し、「イランは中東における反米ならず者テロ支援国家であり、米国、イスラエルに対して死をと叫び、米国をはじめ世界の平和を乱して来た。核開発を行っている核開発施設の三拠点に対して精密攻撃を行い、数分間で制圧した。イラン核濃縮施設はなくなった。この精密攻撃を成功させた(国防総省=ペンタゴン=)内の統合参謀本部に感謝する。イスラエルのネタニヤフ首相には、(イランからの核攻撃がもはや存在しなくなったことから、祝意を表したい)」旨の説明を行った。
トランプ大統領の声明内容を文章化したものは、次の通りだ(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250622/k10014841181000.html)。
アメリカのトランプ大統領は日本時間の22日午前11時すぎからホワイトハウスで演説し、「アメリカ軍はイランの3つの主要な核施設を標的とした大規模な精密攻撃を行った。われわれの目的はイランの核濃縮能力の破壊と、世界最大のテロ支援国家がもたらす核の脅威を阻止することだった。今夜、私は世界に対して、この攻撃が軍事的に見事な成功を収めたことを報告できる」と述べました。トランプ大統領は演説で「イランの主要な核濃縮施設は完全に消し去った。イランはいま和平を結ばなければならない。そうしなければこの先の攻撃ははるかに大きなものに、そして容易なものになるだろう」と述べました。
また、「イランには和平か、あるいは過去8日間見てきたものを上回る悲劇が待っている。覚えておくべきだ。まだ多くの標的が残っている」「今夜の標的は最も困難で、致命的だった。ただもしすぐに和平が訪れないのであれば、われわれはほかの標的にも精密かつ迅速に、そして巧みに攻撃する。多くの標的は数分で排除することが可能だ」と述べました。
さらに「私はイスラエルのネタニヤフ首相に感謝と祝意を表したい。われわれはおそらく、これまでに例がないほど1つのチームとして取り組み、イスラエルに対する恐ろしい脅威を排除するために、長い道のりを歩んできた。イスラエル軍が果たしたすばらしい仕事に感謝する」と述べました。
一方、フランスのAFP通信によると、ネタニヤフ首相は、トランプ首相を称賛し、次のように述べた(https://news.yahoo.co.jp/articles/e952c51d28b678f769efede127305dcd552acdbd)。
【AFP=時事】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は22日、ドナルド・トランプ米大統領がイランの核施設3か所への爆撃を発表したのを受け、トランプ大統領に祝意を表した。ネタニヤフ氏はビデオメッセージで、「トランプ大統領、おめでとうございます。素晴らしい米国の正義の力でイラン核施設を標的にするというあなたの大胆な決断は歴史を変える」と称賛。攻撃について「米国が真に無敵であることを示した」と述べた。また、トランプ氏は「歴史の転換点」をもたらし、「中東やその他の地域に繁栄と平和の未来をもたらすことを支援する」だろうと付け加えた。
AFPの報道の最後の「トランプ氏は『歴史の転換点』をもたらし、『中東やその他の地域に繁栄と平和の未来をもたらすことを支援する』だろう」のネタニヤフ発言は、第一次世界大戦時の三国協商国の中心であった第英帝国の三枚舌外交(オスマン・トルコ帝国の解体後の三国による分割統治の密約の弊害=イスラエルとパレスチナの対立=を収集するための苦肉の作でしかにい)「パレスチナ国家構想」を抹消するとともに、イスラエルとサウジの国交正常化を実現する「拡大アブラハム合意」を実現させ、あらヒア中東はイスラエル、サウジアラビア、新生イラン、トルコなどの大国にまかせ、中東文明の真の実現を到来させることを意味するものではないかと思う。

イスラエルの戦争目的のこうした見方には、Youtubeのイエアンドライフ・チャンネルも賛同している(https://www.youtube.com/watch?v=SMPowUhZ5tQ)。イエアンドライフ・チャンネルでも、米国がパレスチナ人の移住先(少なくとも、自治区)として、リビアもしくはソマリランドと交渉していると見ている。パレスチナ人を経済的に豊かにするための資金は、中東産油国で経済的に豊かなサウジアラビアやその傘下のアラブ首長国連邦が拠出し、自治区の運営については米国のトランプ政権が助言する。
イランはシリアのようになるか、それとも、新たな体制を築くかの瀬戸際に来ている。いずれにしても、イランの「核開発疑惑」が正しければ、イランの軍事能力の劇的な低下は避けられないだろう。最高指導者のハメネイ師の責任が問われる時代になってきた。イランのマスウード・ペゼシュキヤーン大統領派は、イラン政局の主導権を握ることができなかったようだ。これに関して、時事通信はニューヨーク・タイムズの報道を引用し、ハメネイ氏がモサドによる殺害の危機が迫っているとし、三人の後継者を選出していると報道した〈https://news.yahoo.co.jp/articles/13425fd13aa5288b8e1a00c1bc99eae8f708d811〉。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は21日、イスラエルの攻撃を受けるイランの最高指導者ハメネイ師が後継者候補3人を既に選出したと伝えた。イスラエルのネタニヤフ首相はイランの体制転換を排除せず、ハメネイ師の殺害計画を持っているとされ、暗殺による国内の動揺を防ぐ狙いとみられる。
同紙によれば、ハメネイ師は地下壕に避難し、最側近を通じて軍司令官らと意思を疎通。トランプ米大統領は17日、「どこに隠れているか正確に把握している。少なくとも今は殺害しない」と主張した。
国際情勢解説者の田中宇氏の国際情勢分析をサイト管理者(筆者)なりに解釈すると、同じ隠れ多極派のイスラエルのネタニヤフ首相と極めて強いつながりを持つトランプ大統領がイランの武力攻撃に踏み切ったことで、「パレスチナ国家構想」の抹消のため、トランプ政権が国際社会の情勢をにらみ、「パレスチナ国家構想」の抹消を認めないイランのハメネイ師体制の転覆を支援することに踏み切ったとも推察される。イランは人口・領土大国ではあるが、軍事力ではイスラエルに及ばない。今回も含めて五次にわたる中東戦争は、米国の支援を受けたイスラエルの圧勝に終わっている。ただし、イスラエル(古代ユダヤから連綿として続いてきた)は、キリストとして降臨したイエスを十字架で磔の刑に処し、殺害したことの最終的な連帯罪を精算しなければならないだろう。
イランの「核開発」疑惑について
田中氏はイランが核開発を起こって核を保有しているという見方は否定している。一般的なイランの各疑惑については、Wikipediaに掲載されている(https://x.gd/OSU7R)。
概要
イランは1979年の革命以降、反米、反イスラエルを国策とするようになった。イランは医療用アイソトープの生産を行う首都テヘランにある原子炉の稼働のため、20%高濃縮ウランの自国製造を進めている。通常の原子力発電では低濃縮ウランで十分であり、高濃縮ウランを用いるのは原子爆弾(原爆)の製造を狙っているからではないかと、アメリカ合衆国などから疑いをかけられた。ただし原爆には90%以上の高濃縮ウランが必要であるため、意見が分かれた。イランは自ら加盟する核拡散防止条約(NPT)の正当な権利を行使しているのであり、核兵器は作らないと主張した。当時の第6代イラン大統領マフムード・アフマディーネジャードは『Newsweek』2009年10月7日号の取材に対して「核爆弾は持ってはならないものだ」と否定する発言をしている。イランのアラグチ外相は2025年2月5日、核兵器保有はイランの最高指導者アリー・ハーメネイーが、イスラム教のファトワーで禁じていると説明している。これに対して米国は、イランの主張に疑念を持ち、核兵器保有に向けての高濃縮ウランであると主張して、国際的にイランを孤立化させようとする政策を取ってきた。これらには政治的思惑が見え隠れしており、疑惑段階でイランに経済制裁をとる一方で、既に核兵器を保有しているパキスタンやインドなどにはイランのようなボイコット(制裁)を行わなかった。
2015年にイランは「P5プラス1またはEU3+3」(パリ合意などでイランと交渉していた英仏独と欧州連合に、米中露が加わったもの)との協議で、核開発施設の縮小や条件付き軍事施設査察などの履行を含む最終合意を締結し、核兵器の保有に必要な核物質の製造・蓄積を制限することとなった[2]。これをイラン核合意(JCPOA)という。
国連常任理事国であり核保有国である5カ国に加えドイツがメンバーとなっている背景には、ドイツとイランの(とりわけ原子力分野における)密接な経済的結びつきがある。イランの核開発はかなりの程度ドイツの原子力技術に依存しており、シーメンスを始めとするドイツの主要企業がイランとの深いつながりを持っていた。(中略)
米国の合意離脱と制裁再開、イランの合意違反
2018年5月8日、米国は、イランが合意の精神に違反していると非難し、合意から正式に離脱した 。米国を除く合意の参加国とイランは合意に残留することを発表した。
2018年8月7日、米国は合意により停止していたイランへの経済制裁を再開した。
2019年5月8日、イランは合意内容の一部を履行しないことを宣言した。
2019年7月以降、イランは3.67%以上の濃度にウランを濃縮するなど、合意に違反している
ただし、イランの「核開発疑惑」が本物なのか、濡れ衣なのかは本当のところは不明だ。両者のいずれかによって、国際情勢は大きく変わる。もし、仮に濡れ衣だとすれば、BRICSが黙っていないだろう。ただし、原子力発電所などのための平和利用のためならら、地下深くでイランの濃縮を行う必然性は出てこない。当然のことだが、今回の米国トランプ政権のイラン攻撃に対して、イラン国内の反応を注視しなければならない。NHKは次のように報じている(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250622/k10014841181000.html#anchor-06)。
一方、イランの原子力庁は22日、「イスラエルによるここ数日の容赦ない攻撃に続いて、22日明け方、フォルドゥ、ナタンズ、それにイスファハンにある核施設が、国際法に違反する残忍な攻撃を受けた」と明らかにしました。その上で、「この国際法に違反する行為は、IAEA=国際原子力機関の無関心、さらには共謀の下で行われた」として、IAEAを非難しています。そして、「多くの殉教者をだしながら発展してきた国家の産業の歩みを止めることはない」として、核開発を続けるとしています。(中略)
イラン議会議長の戦略顧問はSNSへの投稿で、「特に異常なことは起きていない。数日前からフォルドゥの核施設への攻撃を予想していた。回復できないような被害は受けていない」と明らかにしました。さらにイラン国営放送は、「フォルドゥの核施設は出入り口のみが被害を受けており、施設自体には被害はない」と伝えています。
イラン側の公式的な報道・声明としては、当然の内容だが、真実のところは不明だ。同じ記事によると、イラン側はイスラエルに対して報復のためのミサイル攻撃を行ったようだが、アイアンドームに阻止しているという。