
注目されている米国のトランプ大統領とロシアのプーチン大統領の首脳会談は、来週8月15日金曜日にアラスカで行われることになったようだ。首脳会談は通常、実務レベルの交渉で実質的内容が決まってから、二国間交渉の総仕上げとして行われる。プーチン大統領は、ウクライナ戦争の根本原因の除去なくして戦争の終決には応じられないとの見解を崩していない。戦争の根本意原因の除去とは、①ネオ・ナチ勢力傘下のキエフ政権の解体(ロシア系住民に対する大弾圧を阻止できる体制の確立)②歴史的には現在のロシアの領土であったウクライナ南部クリミア半島とドネツク、ルガンスク、ザポリージャ、ヘルソン州のウクライナ東南部4州のロシアへの併合の米国から始まる国際的な承認③ロシアの安全のため、将来にわたってウクライナの北大西洋条約機構(NATO)への非加盟確約を確約できること(ウクライナの中立化ないし親露派政権の樹立)ーであり、この見通しが水面下での米国とロシアの交渉によって成立の見込みが立ったため、米露首脳会談が行われる見通しが立ったと思われる。
キエフ政権敗北の可能性高まり、米露でウクライナ戦争の終戦に向けた交渉展開か
オールド・メディアの日本の代表格であるNHKは8月9日、「トランプ大統領 “15日にアラスカでプーチン大統領と会談へ”」と題して、次のように報道している(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250809/k10014889461000.html)。
アメリカのトランプ大統領は、SNSへの投稿で、今月15日にアメリカのアラスカ州でロシアのプーチン大統領と首脳会談を行うことを明らかにしました。対面での米ロ首脳会談はロシアによるウクライナ侵攻後、初めてで、停戦に向け、事態の打開が図れるのかが焦点となります。
アメリカのトランプ大統領は、8日、ロシアのプーチン大統領との首脳会談についてみずからのSNSに投稿しました。このなかで「待ち望まれていた私とプーチン大統領との会談は次の金曜日、8月15日にアラスカで行われる」としています。これに先だってトランプ大統領はプーチン大統領との首脳会談をめぐってホワイトハウスで記者団に対し「非常に複雑だ。ロシアとウクライナ双方の利益になるよう、土地の交換を行うことになるだろうが詳しいことはあとだ」と述べていました。また、ウクライナに関連して「ゼレンスキー大統領は署名をする準備をしなければならず、そこに向けて懸命に努力している」とも述べていましたが、どのようなものに署名するかなど詳しい内容については言及していません。トランプ大統領は、ロシアに対し、ウクライナとの停戦に応じなければ、ロシアから原油や石油製品を輸入している国々に、2次関税などの制裁を科す意向を示し、圧力を強めてきていて、会談の実施を公表した8日をその期限としていました。
Kyiv Independentは9日午後、プーチン大統領の包括的な停戦案について「ドンバスからのウクライナ軍撤退、スームィ州とハルキウ州からのロシア軍撤退、ザポリージャ州とヘルソン州は現状維持」「米露首脳は領土交換を伴う和平案について15日に協議する」と報じた。
なお、プーチン大統領の側近で、ウシャコフフ大統領補佐官もアラスカでの首脳会談開催を確認している。さて、トランプ大統領のうち、「これに先だってトランプ大統領はプーチン大統領との首脳会談をめぐってホワイトハウスで記者団に対し『非常に複雑だ。ロシアとウクライナ双方の利益になるよう、土地の交換を行うことになるだろうが詳しいことはあとだ』と述べていました」との記述は理解が出来ない記述だ。この記述は、プーチン大統領の「ウクライナ戦争の根本原因の除去」の内容とは矛盾する。そういうことであれば、米露首脳会談が行われるはずがない。
【追記:10日午前12時】軍事ブログ「航空万能論」によると、「ドンバスからのウクライナ軍撤退、スームィ州とハルキウ州からのロシア軍撤退、ザポリージャ州とヘルソン州は現状維持」「米露首脳は領土交換を伴う和平案について15日に協議する」とのことのようだ(https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/russia-proposes-swapping-occupied-territories-of-sumy-and-kharkiv-for-unoccupied-areas-of-donbas/)。
Kyiv Independentは9日午後、プーチン大統領の包括的な停戦案について「ドンバスからのウクライナ軍撤退、スームィ州とハルキウ州からのロシア軍撤退、ザポリージャ州とヘルソン州は現状維持」「米露首脳は領土交換を伴う和平案について15日に協議する」と報じた。
ロシア軍は現在、ウクライナ東南部に猛攻撃を行っていることから、これが真実なら、領土問題についてはキエフ政権の完全な敗北になる。【追記終わり】
トランプ大統領のトゥルース・ソーシャルへの投稿記事を見れば、「トランプ大統領もプーチン大統領もともに高度に(非常に)期待している米露首脳会談」とあり、そういう記述が正しいのなら、「特別軍事作戦敢行の根本原因の除去」に反するため、プーチン大統領が首脳会談に応じるはずがない。なお、トランプ大統領発言なるものの「ロシアから原油や石油製品を輸入している国々(要するに、中国、ロシア、トルコ=ロシアから陸と湖を通してパイプラインを敷設し、大儲けをしている=)に、2次関税などの制裁を科す意向を示し、圧力を強めてきていて、会談の実施を公表した8日をその期限としていました」という発言は、トランプ大統領一流の「脅し文句」で、プーチン大統領がこの言葉に屈するはずはない。
実際のところは、市場もトランプ発言に慣れて、サイト管理者(筆者)としてはあまり評価していないJBPressのコムラムにストの指摘のように原油相場は上昇していないし(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/89895)、仮に米国が対露制裁を強化すれば、BRICSやグローバルサウス(中東も含まれる)の協力体制が強化されるだけだ。

さて、対露制裁がトランプ大統領一流の脅し文句だという理由の第一は、ウクライナ戦争の選挙区が、ロシアが圧倒的に優位に立っているということだ。軍事ブログの「航空万能論」は8月5日投稿の「ロシア軍が(注:ウクライナ東部の最大の軍事要衝)ポクロウシク包囲に向けて前進、コンスタンチノフカも不味い状況」と第する投稿で、次のように述べている。
ロシア軍の夏季攻勢はポクロウシクとコンスタンチノフカの状況を悪化させ、RYBARは「ロシア軍が成功を続けるポクロウシクの状況と今後の展開」について、DEEP STATEは「コンスタンチノフカ方面の不味い状況」について報告、特にポクロウシクの状況はウクライナ軍にとって危機的だ。
さらに、8日投稿の「ロディンスケを巡る激しい戦い、ポクロウシクの運命を左右する天王山」(https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/the-fierce-battle-for-rodinske-will-determine-the-fate-of-pokrovsk/)では、次のように戦況を伝えている。
ロシア軍の夏季攻勢は東部戦線で成功を続けており、DEEP STATEはポクロウシク方面について「ロシア軍がロディンスケ(注:Rodyns'ke)を占領すればポクロウシクの兵站を支える最後の拠点=フリシネ(Hrysyne)を攻撃できるようになる」と警告、RYBARは「ポクロウシク市内でのロシア軍の存在感が拡大し続けている」と報告した。

少し前だが、NHKでさえ、「ロシア軍 ウクライナ東部の要衝へ前進か 英国防省が分析」と題して、キエフ政権をもっとも支援する英国の国防相が、ポクロウスクが危険な状況にあると認めざるを得ないことを述べている(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250803/k10014883211000.html)。
ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍は一方的に併合を宣言した東部ドネツク州の要衝へ向けて前進したと見られ、アメリカのトランプ大統領が今月8日までに停戦に応じなければロシアに制裁を科す考えを示すなか、州全体の制圧を急いでいるものとみられます。イギリス国防省は2日、SNSでウクライナ東部ドネツク州の要衝ポクロウシクをめぐるロシア軍とウクライナ軍の攻防について、「この1週間、ロシア軍が前進した」という分析を示しました。
ポクロウシクはウクライナ有数の工業都市、ドニプロと主要道路や鉄道で結ばれているウクライナ軍の輸送拠点で、イギリス国防省は「ロシア軍のねらいは物資の供給ルートなどの遮断だ」としています。ロシアが一方的に併合を宣言したドネツク州をめぐってはロシア国防省は先月31日、別の要衝、チャシフヤールを掌握したと発表しています。
二国間または多国間の外交交渉が、ウクライナ戦争の終決には意味のない(注:キエフ政権に軍の再編成などの時間を与える)「停戦」をもたらすのではなく、「戦況」が終戦に向けた外交をもたらす時代に入っているというのが、ウクライナの現実の情勢である。
また、トランプ大統領がメドベージェフ国家安全会議副議長と激しい論争を行い、トランプ大統領が原潜二隻をロシア方面に展開させたと述べたことについて、国際情勢解説者の田中宇氏は8月7日に投稿・公開した「ウソの敵対を演じる米露」(https://tanakanews.com/250807russia.htm、無料記事)で、実は米露は水面下で世界の多極化推進で協力しているとして、次のように解説している。
メドベージェフはプーチンの忠臣で、2022年春のウクライナ開戦でロシアと米欧の対立が決定的になった後、おそらくプーチンに任命され、露政府が正式発表できないものの世界に対して発したい、米欧に対する挑発的で過激な非難や皮肉を発し続ける担当者をしている。(Trump Threatens Russia's 'Failed Former President' Medvedev Who Better 'Watch His Words')(中略)
今回もメドベージェフはいつもの調子で、トランプの口だけのウクライナ和平仲裁の動きや、ロシアと貿易する印度などにトランプが懲罰的な高関税をかけたことなどを批判し続けた。最近様子が違ってきたのはトランプの方で、メドベージェフの発言が米露核戦争の引き金になりかねないと危険視し、8月1日に防衛強化と称して米軍の原潜をロシアの近くへと前進させた。米国が原潜からロシアを攻撃することはないと言われており、前進配備は米露対立を見世物として演出するトランプの策略の疑いがある(注:米国の原潜はロシア金買いから引き戻されたとの報道が支配的)。(Trump’s Beef With Medvedev Just Went Nuclear)
今回の米露対立にはプーチンも間接的に入ってきて、新型ミサイル「オレシニク」の大量生産の体制を確立した(だから米国と戦争しても負けない)と表明したりした。トランプ政権では、ルビオ国務長官が「ロシアは米国よりも弱いので、米露の戦争になったら戦術核兵器を使わさせるを(注:使わざるを、の間違いか)得ない」などと言っており、これまた米露核戦争の扇動になっている。(Trump Deploys 2 Nuclear Subs After Medvedev's "Foolish, Inflammatory" Statement)
トランプは、プーチン政権と喧嘩(演技)をする一方で、イスラエルのガザ戦争やイラン系との戦争など中東の問題では、米露が密接に連絡を取り合って(注:イスラエルの中東覇権拡大が、多極化の推進に支障を来さないように)仲裁などの対応をしている。トランプは1期目から、既存のロシア敵視を乗り越えて対露和解を目指し、民主党やエスタブ側から「トランプはロシアのスパイだ」と濡れ衣をかけるロシアゲートをでっち上げられて苦労させられた。(米国では今まさにロシアゲートの冤罪性が暴かれている=リベラル左派の日本のオールドメディアは伝えないが、米国内ではオバマ元大統領とその側近は収監されるのではないかとの見方が強まっているという。:https://www.youtube.com/watch?v=MksubB9YkW4&t=10s=、なお、エプスタイン文書(富裕層のジェフェリー・エプスタインの豪邸で買春したエリートの名簿)で、民主党エリートとリベラル左派メディを壊滅せ作用とするトランプ大統領の対応を分かりやすく説明した次のYoutubeも参照して下さい:https://www.youtube.com/watch?v=CH32PZqaKAE)(US congressman demands Soros testify over Russiagate plot against Trump)
このようなトランプとロシアの関係を見ると、トランプは今回、メドベージェフの発言を好機として使い、米露が核戦争になりそうな感じを演出している可能性が高い。トランプはロシアだけでなく、中国や印度などBRICSや非米側の他の諸大国に対しても、ロシアと貿易しているという理由で高関税をかける経済制裁を開始している。(Is Trump Hellbent On Derailing India's Rise As A Great Power)
トランプは実のところ、米覇権を自滅させて世界を多極化したい非米側・隠れ多極派の人だ。トランプは、自分が非米側の人であることを隠すために、ロシアやBRICSを敵視制裁する策をこれ見よがしにやっていると考えられる。トランプが露中印を敵視するほど、露中印は結束して世界の非米化を推進する。トランプがBRICSに高関税をかけるほど、BRICSは経済面で米欧に頼らなくなり、米欧抜きで世界経済を動かすようになり、世界の非米化が進む。(非米側の拡大)
トランプ大統領は不動産業界でも屈指の海千山千の取引交渉にに長けた人物であり、敵対勢力を欺くことが得意だ。米露関係の悪化を煽りながら、BRICSや中東産油国を含むグローバルサウス諸国の緊密化、世界の多極化(サイト管理者=筆者=の言葉で言えば、世界の文明の多極化の推進)を進めているというのが、田中氏の基本的見方だ。なお、ロシア・ウクライナ担当特使は、ネオコン派(戦争屋)のキース・ケロッグ氏であるが、今回は中東担当特使のスティーブ・ウィトコフ氏がプーチン大統領と面会したと伝えられる。
田中氏によると、これは、ウクライナ戦争だけではなく、トランプ大統領の多極化外交を展開するうえで重要であり、ロシアにとっても重要なイスラエルの情報(ネタニヤフ首相のガザ軍事戦強化=ガザ全域制圧作戦開始などの真意)を伝える狙いがあると見ている。サイト管理者(筆者)としても、それは正しいと思う。ネオコン派のケロッグ氏はロシアから嫌われており、ウィトコフ氏(注:トランプ大統領と同じく不動産業界出身であり、40年間の交流のある同大統領が最も信頼している政権の一員のひとり)の方が、トランプ大統領とプーチン大統領からの信頼が厚いという側面がある。

ただし、田中氏の本投稿記事で田中氏はウクライナ戦争はまだ続き、長期化すると指摘されているが、それは断定できない。トランプ大統領とプーチン大統領が、現場レベルでの取引交渉がまとまったうえで米露首脳会談を行うという外交の常識に基づくことであれば、一時的な停戦を経てすぐに終戦に向かうことも考えられる。要するに、ゼレンスキー氏は、ウクライナ軍がロシア軍に大敗している現状、ウクライナ終戦条件の確定の場から外されるのではないか。これに関連して、時事通信は「ウクライナ抜きでも可能 米ロ首脳会談開催で―トランプ氏」と第する意味深な記事を発信している(https://www.jiji.com/jc/article?k=2025080800178&g=int#goog_rewarded)。
【ワシントン時事】トランプ米大統領は7日、ロシアのプーチン大統領がウクライナのゼレンスキー大統領との会談に応じなくても、米ロ首脳会談の開催は可能だとの認識を示した。米ロ両政府は来週中の開催も視野に調整を進めているとみられる。トランプ氏はホワイトハウスで記者団から、米ロ首脳会談実現のためにプーチン氏がゼレンスキー氏と会う必要があるかと問われ、「その必要はない」と表明。「彼ら(ロシア)は私との会談を望んでいる。私は(ウクライナ侵攻の)殺し合いを止めるために何でもする」と語った。
この記事は、ウクライナ戦争でウクライナの大敗が確定しているため(注意:トルコのイスタンブールの第三回ロシア・ウクライナ高官会談で、ウクライナ側は全欧州の安全保障という言葉を用いて、現実を容認せざるを得ない姿勢を示している)、基本的には、ゼレンスキー氏に戦争終結に向けての取引交渉に参加の余地はないというトランプ大統領とプーチン大統領の認識の表れではないか。
実際、毎日新聞のニュース・サイトでは、「米国が露に領土交渉の凍結提案 ウクライナ占領地巡り、欧州メディア」と題して、ウクライナ側がロシアへの領土の割譲を認めざるを得なくなっているとの観測報道を行っている(https://mainichi.jp/articles/20250808/k00/00m/030/007000c)。ポーランドは、英仏独とウクライナの中継地であり、欧州NATO諸国のウクライナ支援に重要な役割を果たしている。
ポーランドのニュースサイト「オネット」は7日、米国のウィットコフ中東担当特使がロシアのプーチン大統領と6日に会談した際、ウクライナにおける占領地を事実上ロシア領と認め、停戦と引き換えに領土交渉を「49年または99年」凍結することを提案したと報じた。報道によると、米側の提案には対露制裁の多くを解除し、露産天然ガス・石油の輸入再開も含まれるなど「ロシアに非常に有利」な内容とされる。ロシアが求める北大西洋条約機構(NATO)を拡大しないとの確約は含まれないとした。提案内容は欧州各国と調整されたものと伝えた。
下図のうち二段目はYoutubeチャンネル・「ニキータ伝〜ロシアの手ほどき」の最新版(8月9日土曜日版「プーチン•トランプ会談実現でいよいよ終幕⁈ 抵抗するグローバリスト〜8/9日土曜版です🙂↕️‼️」=https://www.youtube.com/watch?v=TLOjMsmn8Y8=)によるものだが、赤色の部分は戦争を事実上起こしたウクライナが割譲しなければならない最大限の州だ。そして、プーチン大統領はゼレンスキー氏に対して、米露首脳会談の結果を受け入れるように迫っているという。受け入れれば、停戦からすぐに終戦という流れになるため、ゼレンスキー氏は戒厳令を解除せざるを得ず、大統領選挙の実施が必至になるため、失職して権力の座を失うことになる。このため、あらゆる策を弄して、米露首脳会談を阻止するために動いていると言う。
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ワルシャワ条約機構が解体されてからかなりの年月が経っているが、NATOを拡大する意味はないと思うが(注:トランプ大統領はNATOから離脱するとの見方も強い)、領土問題に限らず、トランプ大統領とプーチン大統領との間で交渉されるウクライナ戦争終結条件は、「特別軍事作戦」敢行の根本的原因を除去するためのロシア側に有利な内容になるとの見方が体制である。
【追記:8月10日午前7時】幸福の科学出身で現在、参政党のブレーンになっているおいかわまさYoutubeチャンネル「THE CORE」の最新動画「来週トランプ-プーチン会談, 舞台裏で起きていること」(https://www.youtube.com/watch?v=VXAwsce4s6Q&t=1040s)によると、スティーブ・ウィトコフ中東担当特使の訪露の最大の狙いは、プーチン大統領の側近(経済政策担当)のキミル・ドミトリエフ大統領経済特使と会い、米国経済最大のネックになっているレアアース(を始めとして世界最大の天然資源の宝庫である東シベリア・北極圏に埋蔵されている豊富な天然資源)を共同開発で合意することであったという。

プーチン大統領とウィトコフ特使の会談は3時間にも及んでいることから、米露の東シベリア・北極圏の共同開発で合意した可能性が極めて高い。これは、世界平和統一家庭連合創設者である文鮮明総裁(当時)が提唱したベーリング海峡開発構想が現実味を帯びてきたことを示している。米露首脳会談が行われる場所が、ベーリング海峡がすぐそばにある米国はアラスカ州で開かれることも、意味深だ。

米露の経済協力は、文明の多極化から文明の調和・統一に向けての第一歩である。中国は9月3日を「抗日戦争勝利記念日」として大記念祝賀式典を行い、中露同盟強化の観点からプーチン大統領も参加することにしているが、トランプ大統領も出席するのではないかとの見方が広まっている。その場合は、第二次世界大戦後の国際秩序を決定づけたヤルタ会談を凌ぐ、新たな世界秩序の枠組みを定める「ヤルタ会談2.0」になると予想されている。
国際情勢解説者の田中宇氏によると、トランプ大統領とプーチン大統領、習近平国家主席は同じ「隠れ多国主義派」に属する。隠れ多国主義派の現在の最大の焦点は、ガザ完全制圧を表明して、中東覇権拡大策に乗り出したイスラエル主流派の右派リード党首であるネタニヤフ首相を如何に制御するかに集中している。ヤルタ会談2.0の実現は容易ではないが、イスラエル問題も討議のひとつの焦点になるだろう。核戦争なき世界平和を実現するためには、不可欠な「ヤルタ会談2.0」である。
自民党総裁の行方、石破茂総裁の続投かー自民のさらなる地盤沈下は必至
自民党の両院議員総会が8月8日午後開催されたが、臨時の総裁選挙を求める声が多く出たという。もっとも、その是非を判断する手続きを総裁選挙管理委員会に委ねることになったようだ(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250809/k10014889151000.html)。両院議員総会には臨時の総裁選の実施を決定する顕現がないということのためで、自民党の「本気度」が問われている。
党則では、逢沢一郎氏が委員長を務める総裁選挙管理委員会が臨時の総裁選の実施についての決定権を握っているようだが、これまでは自民党総裁が総裁辞任の決意を表明したことをきっかけに党総裁選が行われてきた。しかし、今の石破茂総裁に総裁辞任の意思はない。取り敢えずは、「臨時の(総裁選の)実施には、党則上、党所属の国会議員295人と、都道府県連の代表者47人の総数の過半数、172人の要求が必要とされて」はいるらしい。総裁選管理委員会は自民党所属議員、県連すべてに対して開催の是非を聞き取り調査し、その結果を公表したうえで、総裁選開催の是非を決定するとのことだ(政治ジャーナリストの桜井よしこ氏による=https://www.youtube.com/watch?v=KbEtc86z9T0=)。
これだと、参院選総括後に辞任するにしても森山幹事長を始めとするリベラル派執行部(トランプ政権の誕生と民主党の凋落で、日本政治における役割は終わった宏池会系の岸田文雄前総裁・首相が後見人)による切り崩しを行うことが予想される。そうして、開催に必要な賛成数には足りなくなり、臨時総裁選は実施しないことで決着させられてしまう可能性が高い。下図は、国政の中心になる衆議院(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/kokkai/sisetu.htm)のサイトによる。
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今回の参院選では、何があっても自民党を支持する岩盤層が相当程度崩壊し、本当の正体は定かでない大企業と癒着した連合寄りの国民民主党と反グローバリズムの参政党に流れているのだから、自民党は真正保守議員(戸籍制度を破壊する夫婦別姓と異常なLGBTには反対)とリベラル左派議員(戸籍制度を破壊する夫婦別姓と異常なLGBTにも賛成)に分裂するべきだ。そうして、真正保守系は他の保守系野党と新たな政党を結成し、リベラル左派系はリベラル系野党と新たなまとまりを見せるべきだ。日本の政界が政党のデパートのようになっていては、日本は二大政党制を実現し、政権交代時に中央官庁の課長級以上の官僚を総入れ替えするというように制度改革しなければ、政権交代による政治のダイナミズムは働かない。今のままでは、文明の大転換期を乗り切れない。