Ⅴ.米国とイラン(厳密に言えば、現実派勢力)が合意した覚書(NHKによる)の非公式内容

米国とイラン(厳密に言えば、現実派勢力)が合意した覚書は文書としては正式には公開されていない。国際メディアは、ホワイトハウスでのトランプ政権の高騰説明を各社各様に整理して伝えている。以下に、NHKが紹介した内容(https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015153101000)を掲載するが、公式文書ではないことに留意が必要だ。なお、こうした国家間の取り決めには付帯条項というものがあって、こちらは公開されることはほとんどない。

14項目からなる覚書の内容は

米政府高官が明らかにした14項目からなる覚書の内容は、以下のとおりです。

1.
アメリカとイラン、それにこの戦争における双方の同盟国は、覚書への署名をもって、レバノンを含むすべての戦線で軍事作戦を即時かつ恒久的に終結させることを宣言する。今後、互いに対するいかなる戦争や軍事作戦も開始せず、武力による威嚇、または武力の行使を控えること、そしてレバノンの領土の一体性と主権の確保を約束する。最終的な合意では、レバノンなどを含むすべての戦線における恒久的な戦争の終結を確認する。

2.
アメリカとイランは互いの主権および領土の一体性を尊重し、互いの内政への干渉を控えることを約束する。

3.
アメリカとイランは最長で60日間の期限内に交渉を行い、最終合意に達することを約束する。期限は双方の合意によって延長可能とする。

4.
覚書の署名後、直ちにアメリカはイランに対する海上封鎖およびあらゆる妨害や障害の撤廃を開始し、30日以内に海上封鎖を完全に終わらせる。この期間に船舶の通航量は、イランによって戦争前の数に見合うまで回復されるものとする。アメリカは最終合意から30日以内にイランの近隣から軍を移動させることを約束する。

5.
覚書への署名後、イランはペルシャ湾からオマーン湾へ、またその逆方向への商船の安全な航行について、60日間に限って無償となるよう最大の努力をもって準備する。商船の通航は技術的・軍事的な障害の除去やイランによる機雷の除去についての必要性を考慮したうえで直ちに開始され、30日以内に確立される。イランはオマーンとの間で、将来におけるホルムズ海峡の管理のあり方などを決めるため、ほかのペルシャ湾の沿岸国とも話し合いながら国際法などに基づき協議する。

6.
アメリカは地域のパートナー諸国とともに、イランの再建および経済発展に向けた少なくとも3000億ドル規模の確固とした計画を双方の合意のもとで策定することを約束する。この計画の実施に向けた仕組みは最終合意の一部として60日以内に策定される。関連する金融取引に必要な許認可などについては、アメリカが付与する。

7.
アメリカはイランに科しているあらゆる経済制裁を終結させることを約束し、これは最終合意に盛り込まれるスケジュールに基づいて行われる。これには国連安全保障理事会およびIAEA=国際原子力機関の理事会の決議に基づくもの、ならびに1次制裁と2次制裁の双方を含むアメリカによる独自制裁が含まれる。アメリカとイランは、これらの経済制裁に関する決定が極めて重要であることを認識し、合意に向けて今後の交渉において直ちに取り組む意向を表明した。

8.
イランは、核兵器の調達も製造も決してしないことを改めて確認する。アメリカとイランは、双方が合意する仕組みと最終合意に盛り込まれるスケジュールに基づき、備蓄された濃縮物質の処分について解決することで合意した。このための最低限の手法としては、IAEAの監督下で現地において希釈することである。アメリカとイランは、最終合意に盛り込まれる満足のいく枠組みに基づいて、濃縮や、双方が合意したイランの原子力利用上の必要性に関するそのほかの問題について、協議することで合意した。アメリカとイランは、これらの核に関する問題が極めて重要であることを認識し、合意に向けて今後の交渉において直ちに取り組む意向を表明した。

9.
最終合意が成立するまで、アメリカとイランは現状を維持することで合意した。イランは核開発計画について現状を維持し、アメリカはイランに新たな制裁を科さず、地域における追加の軍の展開を行わない。

10.
アメリカは、覚書の署名直後から制裁が終了するまで、アメリカ財務省がイラン産原油や石油製品などの輸出、ならびに銀行取引、保険、輸送などを含むすべての関連サービスについて制裁の除外措置を行うことを約束する。

11.
アメリカは、覚書の実施に伴い、凍結または制限されているイランの資金および資産について全面的に利用できるようにすることを約束し、アメリカとイランはこれらの資金の解除に関する手続きについて、交渉の過程で合意するものとする。

12.
アメリカとイランは、覚書の確実な履行や最終合意の順守状況を監督するための仕組みを設けることで合意する。

13.
覚書への署名後、アメリカとイランは、1、4、5、10、11の項目の履行が開始され、その履行が継続されることを条件に、残りの項目に限って、最終合意に向けた交渉に入る。

14.
最終合意は国連安全保障理事会の拘束力を伴う決議によって支持される。

このNHKによる報道は、ホワイトハウスでのトランプ政権高官のブリーフィングに基づいて、NHKの編集方針に基づいてまとめたものであり、正式かつ公式な覚書文書ではないことに留意が必要だ。

第五項なと、玉虫色になっている部分もあり、正式の合意文書では曖昧さを残さないようにしている可能性もある。ただし、この文面から見る限りでは、ホルムズ海峡航行中の商戦に対して、イラン側が軍事攻撃を行っても良いと受け止められる文言はないことに留意が必要だ。全体的には、イランの現実派勢力としては、経済破綻による国家崩壊を避けるために、是非ともスイスのビュルゲンシュトックで合意に辿り着きたい内容だ。ビュルゲンシュトックでの最終合意なしでは、この覚書は絵に描いたモチにしかならない。

 

 

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