対米独立・東アジア重視・中国民主化を訴える国際派で日本の真の保守の理論誌「月刊日本」の最新号である2013年7月号に、金融ジャーナリストの大手町太郎氏が執筆した「新たなリーマンショックを招く黒田金融緩和」と題する警世の論考が掲載された。分析は正しく、本サイトの内容とも関連することもあり、内容を紹介し感想を述べる。

その前に、06月24日の平均株価は1万3000円割れ寸前の前日比167円35銭安の1万3062円78銭で終了した。野田佳彦代表(前首相)、菅直人、仙谷由人、前原誠司、枝野幸男、細野豪志(注意:小沢一郎氏の指導を受けたが、変節してしまった。現在、幹事長の要職にあるが、変節の経緯を民主党内の偽装野党勢力に握られているため、なすべきことをなせない。海江田万里代表も小沢氏に政策提言をするほど近かったが、破綻した安愚楽牧場の和牛預託商法への関与をマスゴミに叩かれ、追い落とされようとしている。どうせ、政界から追放されるなら、民主党を分裂させてからで良い。そうすれば、歴史に名を残す名代表となる)の「諸氏」ら民主党の偽装与党勢力(当時。元来与党とは、国民の幸福のために奉仕する公僕党であるはずである)の国民に対する背信行為によって、昨年12月の国民にとっては迷惑な時期での総選挙では自民党圧勝、民主党惨敗は誰の目にも明らかだった。

話は少しそれるが、米国は同国の連邦準備制度理事会(FRB)のQE1/2/3に期待した効果がなく、基本的にバブルを引き起こし、将来的にはハイパーインフレーションの芽を育てているだけの危険な状況に陥ってきたことを悟るようになっていた。QE1/2/3に一定の効果があったと見られているのは、実質中央銀行引き受けによる財政出動によるものであり、QE1/2/3そのものによるものではない。それでも、QE3終了の目標とした失業率6・5%は達成できておらず、直近の5月で7・6%と先進国では考えられない高水準の状態にある。

しかも、職探しを諦めた「プー太郎」にならざるを得ない国民が大幅に増えており(社会保障費が膨らみ、社会保障基金の財政黒字込みでさえ巨額の財政赤字がいっそう増大する)、この失業率の数字でさえ世界の目を欺くものである。

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話を戻すと、そこで、米国としてはQE3を終了しなければならないが、QE3とは市中金融機関から毎月、米国債を450億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を400億ドル、合計少なくとも850億ドル(8兆5千億円)買い上げるというものだったから、これを止めるとなると、たちまち株価を始めとする有価証券の価格は暴落(長期金利は急騰)する。

そこで、米国がポチとして「頼りにしている」のが日本である。ジャパン・ハンドラーズの暗躍で「日本を取り戻した」同国は、世界最大の対外純債権国である日本の金融資産(ジャパン・マネー)に元々目を付けていた(郵政民営化の狙いはゆうちょ銀行、かんぽ保険のマネーを収奪することにあり、日本の利権集団は郵便事業を国に「戻し」、大都市の一等地にある郵便局本局を取り崩すことを前提に、巨大不動産会社に改変することが狙いだった)が、今度はそれに加えて(来月の参議院選挙では全国特定郵便局長会=全特=から、こともあろうに自民党候補として拓殖芳文顧問が立候補するから、郵政マネーの収奪は現実のものになる)、厚生年金、共済年金、国民年金の公的年金制度が保有する金融資産に目を付けている。

自民党が昨年末の総選挙で「官民合同投資ファンド(要するに、ジャパン・マネーで米国の国際はじめ有価証券を購入する)」の創設を公約に掲げていたのは、そのためであろう。ただし、その創設が未だに実現していないため、オバマ政権(ユダヤ・WASP=白人、アングロ・サクソン、堕落した似非プロテスタント=系の国際金融資本に牛耳られている)は「怒っている」。オバマ大統領の安倍晋三首相に対する扱いが極めて冷淡なのはそのためである。

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注:上図の構想をともかくも阻止したのが、2009年夏の総選挙であるが実質、ジャパン・ハンドラーの指令で8カ月の短命政権に終わった。東アジア共同体構築に乗り出した鳩山由紀夫首相(当時)に小沢一郎氏を官房長官を指揮する副総理格で政権の要職に据えるとともに、マスゴミから叩かれようが何をされようが、指揮権発動を行い、東京地検特捜部がジャパン・ハンドラーから指令を受けていることを世に明らかにすべきであった。ハラがなかったからである。猛省を促したい。そして、国政に復帰して、対米独立を図って挫折した祖父・故鳩山一郎元首相の遺志を完成させるべきである。

さて、大手町太郎氏が指摘した米国によるジャパン・マネー収奪計画は次の通り。

  1. 民主党の背信行為で誰の目にも昨年末の総選挙で自民圧勝が明らかだったから、米国政府の意向を受けたヘッジファンドは8000円台から日本の株を買い漁り、高値1万6000円までバブルを引き起こしたが、安倍政権をさらにポチ化するため、05月23日に利益確定の売りに転じ、安倍バブルの崩壊を引き起こした。
  2. 米国債を購入する国はもはや、日本以外にない。中国も買っていたが、同国は中央政府とともに地方政府の財政赤字が危機的状況に来ており、むしろ、ドルが高いうちに売りに転じたいと思っている。習近平国家主席は米国民主党と手をつないで甘い汁をすってきた太子党の代表だが、この問題をめぐって習国家主席は「異例の米国訪問」を行い、オバマ大統領と長時間にわたって会談した(その内容は、米国の新発国債とともに中国保有の既発米国債をも購入させるという内容と見られる)。(注:そんなことがうまく行くはずがなく、中国は経済・財政危機と政治の独裁体制、腐敗の蔓延で逆に大動乱期に入るとの予測が強まっている)
  3. そのための手段が、黒岩日銀による大規模な量的金融緩和政策である。黒岩日銀が市中金融機関に流したマネーで米国の新発債、中国保有の米国既発債を購入させる。「金融緩和に積極的な黒田東彦氏が日銀総裁に就任したのも、アメリカの意向を受けてのことだった」(大手町氏)
  4. 官民合同ファンドの設立を現実化する。大手町氏の指摘によると、N証券、N経済聞社が失敗した(恐らく、日本のある証券会社等がその危険性を察知して反対に回ったため、説得に失敗したものと予想される)が、その失敗を踏まえ、再び「別の証券会社」がファンド設立に動き出している。(注:米国が脅していると見られる)

以上がさわりだが、詳細は月刊日本の購読をお願いしたい。法学部しか出ておらず、米国への留学では新古典派マクロ経済学を教わり新自由主義で洗脳されているため、日本の経済オンチの財務官僚と安倍政権は、米国の国債を始めとした有価証券の購入➤米国を始めとしたバブルの継続ないしさらなるバブル化とドル最購入に伴う為替相場の円安化➤対米輸出、対世界輸出増加➤デフレ不況の脱却、のシナリオを考えているようだが、このシナリオは決定的に間違っており、実現しない。

何故なら、今日の世界の経済の最大の問題はロナルド・レーガン大統領に始まる新自由主義の失敗の結果として生じた米国の「巨額の財政赤字、大幅な対外経常赤字、世界最大の純債務」という「三つ子の赤字」にあるからであり、上記のシナリオはこれをさらに増幅させるものだからである。かつ、錬金術は存在しない。バブルは必ず崩壊するのである。それは、米国の長期金利の急騰を引き起こし、ドル、国債価格、ダウ平均の暴落を招く。大手町氏が「新たなリーマンショックを招く黒田金融緩和」と題して寄稿したのも、こうした見立てからであろう。安くなった(ただし、既に上昇し始めている)金の購入を考えるのも手だ。下図は、最大手の田中貴金属によるもの(金1グラム当たりの円価格)。

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しかし、今回は世界の主要国の中央銀行が「国債」という名の大量の不良債権を保有しているわけだから、マグニチュードはリーマン・ショックの比ではない。マックス・ウェーバーは資本主義には「禁欲のエートス」に裏打ちされた利他愛に基づく「近代資本主義」と金儲け主義を土台とした「賤民資本主義」の二類型があると見ぬいたが今や、世界の先進主要国の資本主義は新自由主義(市場原理主義=資本市場を大混乱に陥れたことに象徴されるように、実態はよく言っても市場介入主義・本当は市場経済破壊主義であり、市場経済とは円もゆかりもない=)「マネーゲーム資本主義」と呼ばれる「賤民資本主義」に堕落している。

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資本主義が堕落すると、共産主義が台頭する。これは、歴史の必然的法則であり、鉄則である。対抗の秘策は、ウェーバーの宗教社会学(特に、その傑作である古代ユダヤ教)に記されているが、根本は人間の本性を開花させ、初期資本主義時代の「禁欲のエートス」を高次元的に引き上げた「創造のエートス」を取り戻す(故小室直樹氏の指摘)ことを原点に、白人の傲慢性を打ち砕きつつ、東アジア共同体を中心に、21世紀にふさわしい市場原理を生かした新たな資本主義経済体制を創出することにある。

 

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