日本を破壊する亡国政策・アベクロノミクスとの戦いの年ー「悪魔」の正体を見抜け【暫定投稿】

2014年(平成26年)が幕を閉じ、2015年(平成27年)が幕開けた。「謹賀新年」と新年の訪れを祝いたいところであるが既に、アベノミクスと黒田東彦総裁率いる日銀の無茶苦茶な無制限量的金融緩和政策を併せたアベクロノミクス(広義アベノミクス)が猛威をふるい続け、日本の経済社会を破壊しつつある。歴史の各時代の経済社会を破壊する「悪魔」はいつも存在したが、「悪魔」はその装いを変えて猛威をふるう。正義と平和の確立を願う人々にとっては、時代の「悪魔」の正体を見ぬくことが必要である。現代の悪魔の正体は、実際には市場原理無視の「市場原理主義者」=新自由主義者=掠奪主義者である。懸命な日本の国民はこのことをしっかりと認識し新年以降、確実に襲いかかる日本の経済社会情勢の悪化を理由に、安倍晋三政権と黒田日銀体制の早期退場を実現させる必要がある。

2014年の最後に開かれた12月30日の東京証券取引所(東京株式市場)の大納会は、10月末の日銀「黒田バズーカ砲」を受けて円が急落し(円売り・日本経済売り)、日経平均は一時1万8000円台まで急騰したものの、その後上昇の勢いが衰えてきたことから、前日比279円7銭も急落し、1万7450円77銭で大引けた。市場では日経平均および各種銘柄の相場の方向が読めなくなっており、手仕舞う動きも強まっている。

今回の日経平均の急騰は明らかに、ゆうちょ資金、かんぽ資金による米国債購入に伴う円売り・ドル買い介入に端を発しており、これに公的年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による国債など債券投資比率の引き下げと株式投資比率の引き上げなどを柱とした高リスク投資が輪をかけた官製相場に過ぎない。株式相場の急騰の材料になっている超円安・ドル高の為替相場は、日本企業の海外直接投資、東アジア諸国との水平分業が進展した今日、輸出数量は増えず、むしろ、貿易収支の悪化と景気の下押しに拍車をかけている。そして、日本の経済社会に原材料価格、産業のコメである半導体など製品・半製品価格、農産物価格の上昇など、「悪い物価上昇」を引き起こしている。

広義アベノミクスの旗振り役を行っている日本経団連の榊原定征会長でさえ、1ドル=121円まで円の急落が進んだ12月8日、「中小や地域で負の影響を受けている企業や業態があるので、政策的な目配りをしてほしい」と安倍政権の経済運営に注文を付けざるを得なかったほどだ。

サイト管理者の私事にわたって恐縮だが、米国はインテルが設計(製造は海外の人件費の安い国で行っている)しているコンピューターの心臓装置のCPU(中央演算装置)にPentium G3258なるものがある。このCPUはインテルがシリーズ発売20周年を記念して特別に設計したもので、特殊な方法によって動作速度を大幅に引き上げることができるしかけをほどこしている。このため、低価格ながら高価な上位のCPUであるCore i3/i5シリーズの下位モデルに相当する性能を発揮できる。

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このPentium G3258の価格が、新宿ヨドバシカメラで税込み7480円だったものが一夜にして8900円まで、19.4%上昇したのである。店員に聞いてみると、「円安のせいで、価格改定せざるを得ませんでした」とのことだ。だから、新宿ヨドバシカメラでの購入は断念した。これは一個人の話だが、製品の製造のための投入物を海外からの原材料、半製品、農産物に依存している企業レベルでは、現在の超円安は極めて深刻な問題になっている。なお、インテルの希望小売り価格は72ドルだから、1ドル=100円では7200円、日本にとって適正水準と見られる1ドル=90円だと6480円になる。サイト管理者から見て、6000円前後というのが、妥当な水準である。

そもそも、円安というのは日本売り(ドルベースでみた日本の国内総生産は中国に追いぬかれたが今や、その半分にに落ち込んでいる)であり、成熟債権国に達し内需主導型の経済構造に抜本転換しなければならない日本の経済社会にとっては、スタグフレーション(不況下の物価上昇)を招く直接の元凶である。これまで、円安→株式相場上昇のパターン投資が続いてきたが、来年は修正を余儀なくされるだろう。

こういう状況下での年末大納会の株式相場急落で、多くの投資家が不安を抱えたまま越年するのに、「皆様のNHK」ならぬ「安倍様のNHK」と化した「イヌ・アッチ・ケー」はアベノミクスを絶賛して次のように報道している。

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東証大納会 年末終値は15年ぶり高値

株価この1年の動き

ことしの東京株式市場、日経平均株価の終値は、年末の終値としては15年ぶりの高値水準で取り引きを終えました。
日経平均株価は、ことし最初の取り引きで400円近く下落し、1万5900円台に。
年初の取り引きで株価が値下がりするのは平成20年以来、6年ぶりでした。
さらに、ウクライナ情勢への懸念などから株価は伸び悩み、4月中旬には1万3910円余りとことしの最安値を付けます。
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その後は着実に回復が進むアメリカ経済が株価を後押し。
ニューヨーク市場でダウ平均株価がたびたび最高値を更新し、上昇を続けると日経平均株価も持ち直します。
株価が上昇基調に転じたきっかけは、10月末の日銀の追加の金融緩和です。
発表を受けて、日経平均株価は終値で750円以上急騰しました。
追加緩和を受けて急速に円安ドル高が進んだことで、その後も輸出関連企業の業績回復への期待から株価の上昇は続きます。
今月8日には、取り引き時間中としておよそ7年4か月ぶりに、1万8000円台を回復。
終値でも1万7935円余りとなり、ことしの最高値を付けます。
日経平均株価は、追加緩和の直前と比べて1か月余りで、およそ2200円も上昇しました。
ことし最後の取り引きとなった30日の東京市場で、日経平均株価の終値は1万7450円77銭。
去年の年末より7.1%の上昇となりました。

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視聴者に10月末以降の超円安・株式相場急騰が、政府・日銀・ゆうちょ・かんぽやGPIFなど政府系ファンドによる市場介入・市場操作による官製相場でしかなく、経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を反映していない見掛け倒しの相場との見方があることを一言も報道しない。ただひたすら、「絶賛」である。イヌ・アッチ・ケーを頂点とする日本のマスコミ界は完全に「ダマスゴミ」と化している。

さて、日本の経済社会にスタグフレーションを引き起こし、大規模な破壊を推進している広義アベノミクス=アベコベノミクス=アホノミクスは、市場原理主義者による新自由主義=自由放任主義=掠奪主義の日本版でしかない。この「市場原理主義者」ほど「神の見えざる手」である「市場原理」を尊重せず、市場に介入して市場の正常な価格形成機能を破壊してきた(=「神」に逆らってきた)者はいない。新年からは「神」からの「罰=制裁」を受けることになる。

さて、黒岩日銀による「バズーカ砲」は、日本の経済社会のためではなく、経済情勢が断末魔に陥っている世界最大の借金大国・米国の「出口戦略」を支えるものである。米国は、連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン議長が「量的金融緩和政策は打ち止めにするが、政策金利は上げない」と言っているが、これは長期金利の上昇を極度に恐れているからである(植草一秀氏の「日本の奈落」の分析を参考にしました)。長期金利は国債の金利に代表されるが、国債の金利が上昇すれば国債価格が急落し、高値で米国債を買い上げた4.4兆ドルのFRBの資産が劣化する。また、保有資産で米国債についで多い不動産担保証券(MBS)も長期金利上昇のほか、本当は米国の景気はそれほそど良くないことの認識が広まれば、その価格が下がる。 

要するに、サブ・プライムローンなどの不良債権を抱えた民間金融機関を抱えた米国の中央銀行システムである連邦準備制度理事会(FRB)-各地区連邦準備銀行のシステム事態が、世界でもっとも多額の巨額不良債権を抱えるようになる。 こういうことは、世界のまともな投資家が承知していることである。

このため、米国が軍産複合体を中心に起こそうとしていることは、①イスラム国の自作自演による中東戦争の惹起②原油と金価格を中心とした各種商品価格の引き下げによるドル基軸通貨体制の維持(新金本位制ないしそれに代わる国際通貨体制の構築の阻止)③日韓中の東アジア諸国の離反ないし朝鮮半島危機の勃発④日米安保条約に実質的に盛り込まれた日米地位協定に定められた日米合同委員会による日本の官僚を通しての対日植民地政策の強化⑤米国の対日植民地政策の経済版としての、環太平洋経済連携協定(TPP)による日本経済の完全植民地化と日本の財布国家化(日本から借りたカネ=少なくとも1.3兆ドル相当=は絶対に返済しない)ーなどである。

しかし、米国は「神」に反逆を重ねてきた衰退国家であり、国際社会の中枢では中露を中心とした新興諸国(BRICs)による対米包囲網が着々と築かれつつある。新年以降はそのことが次第に明らかになり、懸命な日本の国民はインターネットを通してそのことに気づくようになるだろう。

 【今後の展望記事】

  1. 米国によるイスラム国詐欺
  2. 原油、金価格など一次産品価格の急落の原因と狙い
  3. 日本の政界再編の正しい方向
  4. 矢部宏治著「日本はなぜ、『基地』と『原発』を止められないのか」(集英社インターナショナル)について

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