米国株式市場はGAFAの株価に注目

昨日1月6日から7日にかけて世界的に株価が急騰したのは、1月4日発表の米12月雇用統計が経済の強さを示すものであったことから、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が利上げ続行に慎重な姿勢を示したことが直接の原因である。しかし、ことは簡単ではない。

昨年12月1日にアルゼンチンで行われた、トランプ氏と習近平国家主席による米中首脳会談で、両首脳は貿易戦争を「一時休戦」することで一致し、90日以内に中国の具体的な構造改革策をまとめることで合意した。しかし、これが中国の譲歩ですんなり収まる可能性は殆どない。

保釈されたファーウェイ副会長兼CFO
               保釈されたファーウェイ副会長兼CFOの孟晩舟氏

トランプ政権は、中国のAndroidスマートフォントップメーカーのファーウェイの副会長兼CFO孟晩舟氏をこともあろうにカナダで逮捕(後に、巨額の保釈金で本人の体に位置特定装置を固定するなどの厳重な監視付きの下、保釈した)するなど、ファーウェイの製品(中核機器は5G中継器)や国有企業のZTEなどの製品を政府調達から外した。日本の安倍晋三政権も追随したが、いやがらせ(見せしめのようにしか)みえない。表向き、ファーウェイは中国の軍とつながりがあり、世界の先進国から軍事機密その他の重要情報を盗んでいるとの報道が流されている。真偽は不明だ。

中国の膨大な対米輸出は、米国が国内の経済社会に必要なために対中輸入しているのであって、中国製品がなければ米国の産業界は立ち行かない。少なくとも品薄になるから、米国の製品価格は上昇し、つれて物価水準も上昇する(インフレ)になるから、長期金利は上昇せざるを得ない。債券価格や株価にとっては悪材料である。

加えて、ブランド国こそ米国であるが実際は中国で生産しているものが少くない。その代表例がAppleのiPhoneである。iPhoneのシステム情報から、生産国がどこなのかが判別できるサイトがある。サイト管理者が業務用に使っていたiPhoneは中国で生産されたものだった。こうなると、対中制裁は米国本国への打撃になって現れる。年初に世界同時株価暴落が発生したのも、「Appleショック」が発端だった。

世界的な株価急落は為替市場の円高になりやすい

Google、Apple、Facebook、AmazonをまとめてGAFAと言う。GAFAの株式時価総額は昨年末には1兆ドル(110兆円)を超え、日本の1年間の政府予算額を凌駕していたほどだが、GAFAの株価急落は要注意である。その中でも要注意なのが、Appleである。

Appleの製品は革新的と言われるが、人材流出のため独自でコンピューターの基本ソフトであるオペレーティング・システム(OS)を開発できなくなったため、UNIXのオープンソース版であるFreeBSDを拝借しており、iPhoneのOSであるiOSもその流れを組んでいると思われる。

世界のスマートフォン市場で圧倒的なシェアを握っているのは、Linux+JavaでOSを開発したGoogleのAndroidスマートフォンであり、iPhoneが一定程度普及している国はあまりない。中でも、ガラパゴス島である日本はその端的な例である。

本日8日の平均株価は2万円台の攻防となったが、恐らく、公的資金での買い支えがあるものと思われる。為替市場も1ドル=108.76円と若干ドル高に触れたが、円高・ドル安傾向が反転したものとは思われない。

 

 

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