1兆ドルの大規模財政出動準備を受けて17日のダウ平均は反発

米国ニューヨーク株式市場は新型コロナウイルス感染のパンデミック宣言を受け、暴落を続けていたが17日、トランプ政権が1兆ドル(約108兆円)を上回る大規模な財政出動の策定に乗り出したとの報道を受け、反発に転じた。ただし、コロナショックによる暴落でトランプ政権樹立後の上げ幅が吹き飛んだ形になっていることから、株式相場の転換点になるかどうかは、財政出動策の内容と実際に実行するかどうかにかかっている。

朝日デジタルが18日午前6時2分、サイトに掲載した記事によると「米トランプ政権と米議会は17日、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への打撃を緩和するため、個人へ現金を直接配る措置を含め、1兆ドル(約108兆円)に上る大型の財政出動の最終調整に入った」という。

17日、1兆ドルの大規模財政出動に踏み切ることを明らかにする米国のトランプ大統領=ヤフー・ニュースから

17日の米ニューヨーク株式市場は、主要企業でつくるダウ工業株30種平均が反発して始まった後に下落に転じ、一時、ほぼ3年1カ月ぶりに2万ドルの節目を割り込んだ。しかし、トランプ政権が現金給付を含む大型の財政出動を受けたことを好感して、ダウ平均は反発し、ニューヨーク株式市場は終値で前日比1048・86ドル(5・20%)高い2万1237・38ドルと反発して引けた。

ただし、期待面からの反発であり、反発が持続するかどうかは、財政出動の現金給付規模の程度など実際の内容と迅速に発動されるか否かにかかっている。また、適切な新型コロナウイルス感染対策拡大防止策が採られるか否かにかかっていることももちろんである。本サイトでは、金融政策ではコロナショック対策としては効き目がなく、大型の財政出動の必要性を訴えていた。

日本でも政府=安倍晋三政権が総合経済対策を打ち出そうとしているが、借りのある財務省に遠慮して、従来の財政政策を否定した新自由(放任)主義の枠内にとどまる恐れが強い。また、19日にも三回目の現状評価と新型コロナ拡大防止策が打ち出されるが、国際オリンピック委員会(IOC)や、政府=安倍政権は強行開催の姿勢を続けている(橋本聖子五輪相が17日の閣議後に「予定通りの開催日(7月24日)に完全な形で開催する」と言明した)ため、感染拡大防止(人命尊重)よりも、国威発揚とオリンピック開催延期もしくは中止で被る損失を避けることを優先させているため、新型コロナ感染拡大防止に不可欠のPCR検査数の大幅な増加に踏み切るか(現状、1日1000件程度で隣国の韓国1万7000件程度)は疑わしい。

なお、今回の東京オリンピック出場選手を決める各種競技大会に大きな混乱が生じているほか、誠意各国が相互に他国の国民の受け入れを禁止する措置を講じているため、選手団の派遣や観戦客の日本への渡航を認めるかについては、不透明もしくは疑問なところが多い。

日本の政府=安倍政権だけが、世界の潮流とは真逆の対応をしていることを警戒しなければならない。

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