イスラエル・ガザ戦争を機会に国内外情勢を展望するー米側陣営の衰退と非米陣営での基本的人権の重視が肝要(追記:エジプトは難民受入を)

岸田文雄政権は世界統一平和家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会=統一教会)たたきにもかかわらず、大手メディアの支持率では低下する一方だ。来年秋の総裁選で勝利するのは難しく自民党首脳の間では、次期総裁選びが始まっているようだ。国際情勢も中東でイスラエルとハムス(ムスリム同胞団パレスチナ支部)との戦いが続いている。現在、人質開放のための休戦が続いているたが12月1日、イスラエルのネタニヤフ首相は停戦を停止し、ハマスとの戦争を再開した。北のガザは既に崩壊しており、南のガザも人口が150万人程度密集し、人が住める場所ではなくなっている。ムスリム同胞団はエジプトと言語と風習が似ている。エジプトがラファ検問所を開けて、パレスチナの国民を救えという声が世界から広まってくるかも知れない。その場合は、ガザ・ヨルダンにエジプト、ヨルダン、トルコ、レバノン、シリアが関与した拡大パレスチナ国家の建設に向けての動きが始まる公算が大きい。現時点で、国内外の情勢について中間考察を行ってみた。

日本の置かれた国際経済情勢ースタグフレーションへー

日本の国内総生産=GDP=の状況から見てみたい。内閣府による次の国際比較指数統計がある(https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je21/h06_hz010301.html)。

実質経済成長率(国内総生産=GDP、大雑把に言って国民の給料と企業の収益の合計)はG7諸国で最低。人口要因があると言っても、G7諸国中最低の部類に属している。
なお、最近は為替の大幅円安が続いている(物価の番人である日銀も困っている。理由や対策はあるが、岸田文雄政権のもとでは実行不可能=消費税減税とか保有米国債の売却によるドル売り・円買い介入など。なお、植草一秀氏の持論であるが、中央政府・地方政府・社会保障基金を合わせたネットの純資産はプラスである=)から、ドルベースでみたGDPの増加の妨げになっている。

世界経済のネタ帳から日本の名目GDPの推移を見ると、次のようになっている(世界経済のネタ帳、https://ecodb.net/country/JP/imf_gdp.html

名目GDPは、最近はかつての横ばいからややうえに動く気配が出てきたが、ほとんど横ばいの大枠を出ない。やはり、近年の円安が大きな障害になる。G7諸国の中でも、名目GDPの成長率は最低に属する(https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/07/oecd_01.html)。

次に購買力平価でみた日本の国内経済総生産の世界に占める位置(https://ecodb.net/ranking/imf_pppgdp.html)をみる。購買力平価とは物価ベースで計算した為替相場のこと。てっとり速くいえば、各国で販売されているマクドナルドのMacが各国でいくらで販売されているかで為替相場を決める。国際金融・為替情勢に左右されない。中国が世界最大のGDP大国になっている。G7以外の非米諸国も多い。

特に近年、米国からも経済大国として扱われている中国との比較を見ておきたい。

購買力平価ベースでは、中国の国内総生産は日本を大きく抜きん出ている。独裁政権と言われるが「共同富裕」という政策を本格的に実施しているため、一人あたりのGDPも増加している。それでは何故、日本の国内総生産が低迷しているのだろうか。その一つとして考えられるのは、逆進性の強い消費税が政府の一般会計の酷税の最大の税収項目になっており、内需を抑えている。消費税は実際のところは、法人税や高額所得者への所得税の減税の財源になった。

その第二としては、小泉純一郎政権が本格的に推進して、製造業など日本の経済を支える主要業種への派遣労働が本格化したことである。これによって、厚生年金保険や健康保険(社会保険)に加入しづらくなるほか低賃金、解雇が横行するようになり、高齢者へのしわ寄せも含めて、内需が減退する。第三としては、大学・大学院を含む教育に対する支援が減少したことが挙げられる(本来は理工科系・文化系ともに不可欠)。強いて言えば、経済の発展には理工科系への投資が重要だが、イランとかマレーシアなどは、女子が理工科系大学に進出している。ウクライナ戦争勃発後は、いわゆる、グローバルサウスで非米側陣営に属している国々は、発展の起動に乗り出している。

次に、2022年になって加速し始めたインフレーションの動向を見る。過去数十年間のインフレーションはそれなりに落ち着いていた。

ところが、2022年ころからインフレーションが加速し始めた(https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=76473?site=nli

大手メディアはインフレの時期が過ぎたと宣伝するが、実際はそうではない。

インフレーションの原因としては、①基調的には対露経済制裁の跳ね返りによる供給ショック(コストプッシュインフレ)。需要を抑える需要抑制政策(金融引き締め政策など)は役に立たない。ウクライナ戦争を集結することが最善の策②物価と賃金の悪循環もあるが、賃上げの出来ない中小企業もたくさん存在する③円も1ドル=360円だった1970年頃の水準に激落している。

今後の見通しとしては、ウクライナ戦争を集結させなければ、根本的解決はない。金融引き締めを続ければ、需要不足になりインフレと不況が共存するスタグフレーションになる。金融引き締めを止めれば、インフレーションが再燃・加速する。その反復になる。こうした日本の経済情勢の悪化の中で、文明論的な国際情勢の変化が起こっている。

ウクライナ戦争の原因と国際情勢の文明的転換

まず、ウクライナ戦争の原因ーウクライナ侵攻からウクライナ戦争にいたる経緯から見てみよう。

  1. 東西ドイツが統一ドイツとして北大西洋条約機構(NATO)に残留することについて、199029日に米国のジェームズ・ベーカー米国務長官が、ソ連のミハイル・ゴルバチョフ共産党書記長と会談し、統一ドイツがNATOの加盟国としてとどまることができるなら、NATO1インチたりとも東方に拡大しないことで合意。その後、ブッシュ大統領(父)とベーカー国務長官、ソ連のゴルバチョフ大統領とシェワルナゼ外相とのトップ会談で確認された。正式の合意文書や調印文書は存在しないが、米国の国家安全保障公文書館が機密指定解除した公式記録には発言内容が記録されており、NATOは国際法上、拘束される(https://www.youtube.com/watch?v=j_Z2uhKOFGI)。

  2. しかし、米国を盟主とするNATOは米国一極支配体制を維持するためNATOの東方拡大を続け、ソ連(後のロシア)との約束を反故にしてきた。その最終仕上げがウクライナへの内政干渉である。米国は、ユシチェンコ大統領を誕生させた200412月の「オレンジ革命」や2014年の冬のマイダン暴力革命(バイデン副大統領やヌーランド国務次官候補がウクライナの米国大使館を根城にして、ウクライナに根付いていたステパン・バンデラを「開祖」とするネオ・ナチ組織を使って暴力的かつ非合法的手法でヤヌコーヴィッチ政権を打倒し、親米政権を「誕生」させた」)を通して、ウクライナ政権を傀儡政権にした(20142月)。

  3. 2014年の2月のマイダン暴力革命に抵抗して、ロシア系ウクライナ人が多かったクリミア半島地方は住民投票でロシアへの併合が決定。東部ドンバス地方ではロシア系住民による親米ウクライナ政権に対する抵抗運動が起こったが、親米ウクライナ政権はこれを武力弾圧(虐殺・拷問含む)し続けてきた(注:これについてはれいわ新選組の山本太郎代表も不定例記者会見で明らかにしている=https://www.youtube.com/watch?v=3C9NwfAi44M=)。このため20149月、停戦協定に相当するミンスク合意Ⅰがウクライナ、ロシア、東部ドンバス地方のドネツク州、ルガンスク州の間で結ばれたが、協定は守られなかった。そこで、翌年20152月にドイツ、フランスの仲介の下で、①ウクライナ政府軍と両州のロシア系住民からなる武装組織との停戦②ドネツク州、ルガンスク州に高度の自治権を付与するーことなどを盛り込んだミンスク合意Ⅱ(217日には安全保障理事会第 7384 回会合にて採択=2202号決議=され、国際法になった=https://www.unic.or.jp/files/s_res_2202.pdf=)が成立したが、これも守られなかった。

  4. ウクライナ内部では、ネオ・ナチ組織に多額の資金援助を行ったイホル・コロモイスキー氏が、マイダン暴力革命後正式に発足したポロシェンコ大統領からドニプロペトロウシク州知事に任命されたが20153月、コロモイスキー氏の子分と言われるオレクサンドル・ラゾルコ氏がウクライナの国営石油パイプライン管理会社ウクルトランスナフタ(UkrTransNafta)社の最高経営責任者を解任された後、コロモイスキー氏の私兵とされる者たちがウクルトランスナフタ本社を襲撃し、ウクライナ政府が任命した新任の最高経営責任者を追い出した事件が発生。コロモイスキー氏はポロシェンコ大統領からドニプロペトロウシク州知事を解任され、両氏の対立が決定的になった。

  5. 一方、マイダン暴力革命後に、バイデン副大統領(当時)らはウクライナで様々な利権を得た。米国がウクライナに生物・化学研究所を設立させ、国際機関による査察も拒んだのもその一環だ。また、バイデン副大統領の次男であるハンター・バイデン氏がウクライナの天然ガス会社であるブリスマ・ホールディングスの取締役を務め、月額5万ドル(約536万円、当時のウクライナ国民の月収は6ドル程度)の高額報酬を受け取っていた。高額報酬の裏には、バイデン副大統領親子にブリスマ・ホールディングスなどでの資金洗浄疑惑など不正行為があったと見られ、ウクライナの検事総長が捜査を進めていたが、バイデン副大統領がポロシェンコ大統領に圧力をかけて解任させた。

  6. ハンター・バイデン氏の不正疑惑は、今年(2022年)の3月からニューヨーク・タイムズ紙などの米国の主要紙が一斉に報道することになってしまった(https://news.yahoo.co.jp/articles/b8d898ab36e85ce15a6dbd8199bb04609777210d)ため、これと関連して米国のウクライナ政権への内政干渉(傀儡政権化)が明らかになってくる可能性がある。

  7. ポロシェンコ大統領と決裂したコルモイスキー氏は、自身が保有しているテレビ局(「1+1」)を使い、俳優だったゼレンスキー氏を主役に「国民のしもべ」と題するドラマを放映して、ポロシェンコ政権の不正を国民の前に明らかにし、俳優だったゼレンスキー氏を大統領にさせる選挙活動に取り組んだ。

  8. ゼレンスキー大統領候補はウクライナ国民に、ミンスク合意Ⅱを誠実に実行することを約束して2019年春の選挙で大統領に就任するが、ゼレンスキー大統領はドンバス地方のドネツク、ルガンスク両州の代表はテロリストだと公言し、就任後はミンスク合意Ⅱの誠実な履行は放棄した。そして、バイデン政権が20211月に発足すると、ゼレンスキー大統領は同年325日に「軍事安全保障戦略」を承認する大統領令を発出した。この「軍事安全保障戦略」には、「ロシア連邦との地政学的対決において、国際社会がウクライナを政治的、経済的、軍事的に支援することを求める」ことが明記されるとともに、優先順位の高い項目として「ウクライナのNATOへの完全加盟」が明記された。ゼレンスキー大統領はさらに同年9月に、クリミアの「脱占領と再統合」のための戦略を実施するための行動計画を承認した。そして、20226月には正式にNATO加盟を果たす意向だった。

以上が、ロシアによるウクライナ侵攻までの経緯である。バイデン大統領雨が2021121日に米国大統領に就任した後は、ゼレンスキー政権のウクライナ東部(ドネツク、ルガンスク週)への弾圧は凄まじかったた。こうした経緯のため、ロシアのプーチン大統領としてもミンスク合意Ⅱは破棄されたとして224日、ロシアとウクライナ東部のドンバス地方、クリミア半島のロシア系住民の安全を守ることを主たる目的として、「特別の軍事作戦」としてウクライナへの軍事侵攻を行わざるを得なかった。

プーチン大統領は「特別軍事作戦」は米側陣営がロシアに対して強力な経済制裁措置を行ったほか、ウクライナに対する軍事支援を行ったため、「特別軍事作戦」は「ウクライナ戦争」に暗転せざるを得なかった。NHKはウクライナ戦争の現状について次のように見ているhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20231119/k10014262501000.html

①ウクライナではロシアとの戦闘が長引くなか、ウクライナの調査会社が先月末に発表した世論調査では、政府や大統領への信頼度が低下。特に政府への信頼度は39%と、去年5月に比べてほぼ半減しました。

②ウクライナ軍のザルジニー総司令官は今月1日付けのイギリスの経済誌「エコノミスト」の寄稿やインタビュー記事の中で、戦況について「第1次世界大戦と同じように、こう着状態に陥る段階に達している」という認識を示しました。これに対してゼレンスキー大統領は4日に行った記者会見で「皆、疲れているが、こう着状態ではない」と述べ、総司令官の見方を否定しました。

③イギリスの公共放送BBC17日、ウクライナからこれまでに2万人近くが徴兵を逃れるために国外に出国したことがわかったと伝えました。川を泳いだり、夜間に徒歩で国境を越えたりして隣国のルーマニアなどに出国したとしていて、ほかにおよそ21千人が国外に逃れようとしてウクライナ当局に拘束されたということです。ウクライナではロシアによる軍事侵攻以降、総動員令が出され、18歳から60歳の男性が徴兵の対象となり、原則、出国が禁じられています。しかし、徴兵を逃れるために賄賂を贈るなどの汚職も後を絶たず、兵員の確保も課題となっています。

④ウクライナでは、一握りの政治家や実業家が利権を独占する政治構造が続いていて、2019年に行われた大統領選挙で政治経験のなかったゼレンスキー大統領がはじめて当選したのは、汚職に対する国民の不満も背景にあったとみられます。しかし、ロシアによる侵攻を受けて欧米などからの軍事支援が続くなかでも汚職の問題が次々に明らかになりました。ことし1月には、大統領府のティモシェンコ副長官など汚職の疑惑やスキャンダルが指摘されていた政府の要人が相次いで解任されました。


さて、今後のウクライナ戦争の見通しだが、米側陣営(G7)の武器の供与受けた夏のウクライナの反転攻勢は既に、失敗した。大統領選挙を控えたウクライナではゼレンスキー大統領が失脚するとのうわさが絶えないようだ。結局のところ、ウクライナを東南部と西部に分割する形で停戦する(実質は終戦する)公算が大きい。

なお、安倍晋三元首相が英誌エコノミストとの対談で次のように語っている(https://sputniknews.jp/20220529/11385401.html)。ただし、大手マスコミによる報道はない。

日本の安倍晋三元首相はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領のNATO加盟に関する姿勢とドンバスでの紛争解決の拒否が、ロシア軍による特殊作戦が始まった原因であると表明した。安倍氏は英誌エコノミストとのインタビューで「ゼレンスキー大統領に対して自国がNATOに加盟せず、ウクライナ東部の2つの地方に自治権を与えると約束させることができた場合、軍事行動は回避できただろう」と述べた。安倍氏は、ゼレンスキー氏の立場を変えることは非常に難しいだろうが、バイデン米大統領であれば影響を与えることができただろうと述べた。しかし、ゼレンスキー氏はもちろん拒否したに違いないと安倍氏は見ている。

国際情勢解説者の田中宇氏は、安倍元首相が邪魔な米国の諜報界(かつては軍産複合体、現在はディープ・ステート(DS)とも言われる)が同元首相の狙撃テロ暗殺の真犯人だとしている。奈良県立医科大学の医療チームは記者会見で、元首相の前の左右の鎖骨辺りに銃創があり、そこから体内にはいった弾丸が心臓に入るなどして出血多量で亡くなったとしている。しかし、山上徹也被告は同被告のいた位置から元首相前面から致命弾を発泡することはできない。この点は、外務省国際情報局長、イラン大使、防衛大学教授を歴任され、東アジア共同体研究所もされている孫崎享氏が指摘している。

ウクライナ戦争の帰結として、米側陣営の敗北と非米側陣営の台頭が挙げられる。①権威主義国家と言われるロシアと中国が結束を強めた(現在、「共産主義(スターリン主義=日本共産党がかつて教育のためとして編纂した「共産主義読本」が紹介しているが、今や、配管になっていて、復刻の見込みもない)」を信じている国家はない)②中国の習近平主席がサウジアラビアを訪問して、サウジの権力者であるムハンマド・ビン・サルマーン首相兼皇太子に会い、原油の人民元建てでの購入で合意するなど友好関係を深め、その縁でスンニ派の雄であるサウジアラビアとシーア派の雄であるイランが、断絶した国交を正常化した③中国が主導する上海協力機構(中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン・インド・パキスタン・イランの9か国が加盟。 アラブ首長国連邦、ミャンマー、クウェート、モルディヴ、バーレーンが対話パートナー参加国)の国際政治力が高まった④BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の6カ国がBRICSに新規加盟することを発表し、BRICSの世界的な政治的影響力が高まった。

パレスチナをめぐるイスラエルとハマスの戦いの行方

第五として、ハマスとイスラエルの中東新戦争で、英国が目論んだパレスチナ国家の樹立が失敗に終わり、イスラム同胞団による拡大パレスチナ国家が樹立される公算が大きくなった。ハマスはイスラム同胞団パレスチナ支部である。2006年に、ブッシュ(子)大統領の要請により、ガザとヨルダン西岸の「民主主統治」のために選挙を行ったが、イスラム同胞団が圧勝して、米国が押すファタハは乾杯した。このため、パレスチナ国家の民主主義的統治は不可能になり、ヨルダン川西岸はファタハ、ガザはハマスが統治するパレスチナ国家の分裂統治がなされてきた。

今回、人質開放と停戦が行われているが、北部は市の都市と化しており(これは、イスラエルの意図的な戦争犯罪だ)、南部にも人口が密集して住めなくなっている。イスラエルとしては、ガザや西岸のパレスチナ人をエジプトやヨルダン、レバノン、シリアに追い出すつもりだ。

イスラム同胞団というのは、Wikipediaに「1928年に、西洋からの独立とイスラム文化の復興を掲げてハサン・アル=バンナー(Hassan al-Banna1906年 – 1949年)によってエジプトで結成された。1940年代後半には、同国最大のイスラム主義運動に成長し、このころよりヨルダン・パレスティナなど周辺諸地域への進出が始まり、現在ではアラブ諸国を中心に広くイスラム圏に広がり、各地に支部や関係組織を展開している」とあるが、①イスラム原理主義による統治②王政の否定ーを基本理念として掲げてきた。そして、現在のガザや西岸はもとろん、エジプト(いったん、アラブの春でムバラク政権を打倒し、モルシー政権がムスリム同胞団派の政権を建てたが、軍事クーデターで打倒された)やシリア、レバノン、トルコなどに広範な支持層を持つ。

王政であるサウジアラビアとは仲が悪かったが今や、関係を改善しつつある。なお、イスラム諸国もエジプトがイスラエルとの国交を結んだ(イスラム同胞団政権の際にも、国交を断絶しなかった)のを皮切りにイスラエルとの関係改善を図りたいというのがホンネのようだ。エジプトを含むイスラム同胞団が根を貼っている地域は言語、習慣が同じで、言うなら、「拡大パレスチナ国家」を樹立する可能性があるし、人道的悲劇を望まない諸国民(イスラエルのホンネでもあるだろう)もそう望むだろう。とりわけ、エジプトはムスリム同胞団も混じっていると思うが、ガザ難民を受け入れる必要がある。

英国は、大英帝国の時代に三枚舌を使って中東諸国(オスマン・トルコ帝国、ユダヤ民族、アラブ民族)をだました償いをしなければなるまい。そして、ユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラム教徒は信仰の祖・アブラハムから分かれでた唯一神の兄弟宗教であることを理解せねばならない。

米国を中心としたG7諸国など米側陣営の経済情勢の不安定化が今後、本格化する

米国は2022年にインフレ率が9%台まで給湯したが、今年2023年10月には3.2%まで低下し、今後はインフレも落ち着いてくるとの見方が圧倒的多数。ただし、経済成長に効果的なインフレ率は2%程度と言われているが、そこまで低下するかは不明。こうした中で、短期金利が長期金利より高い状態が持続している。米国で最も低い金利は政策金利=FF(フェデラルファンド・レートだが、このFFレートが現在5.25−5.50%で最も高く、貸出期間が長くなるにつれて金利が低くなっている。この状態は米国を中心にG7諸国など米側陣営の経済が、本格的な不況に陥ることを暗示している(https://jp.investing.com/rates-bonds/usa-government-bonds)。

Wikipediaでは「逆イールド(inverted yield)」について、次のように解説している。「(金利水準の)フラット化が更に進んで、短期の債券より長期の債券の金利が低くなること(長短金利の逆転)がある。この場合のイールドカーブは、右下がりの曲線になる。これを逆イールドと呼ぶ。逆イールドは景気後退の予兆とされており、その発生を金融界や産業界は警戒する」。最近は、マス・メディアも従来の歪曲報道に加えて、逆イールドカーブが持続することの危険性についても取り上げることがなくなった。

これに関連して国際情勢解説者の田中宇氏は10月4日に公開された「米国債金利の上昇(https://tanakanews.com/231004rate.php)、有料記事=https://tanakanews.com/intro.htm=」で次のように述べている。

米連銀は、利上げとQTによってインフレを収束できると言っているが大間違いだ。今のインフレは流通網など供給側に原因があり、利上げやQTで通貨発行を抑止しても効果はない。
2年前にインフレが始まった時から、それはわかっていたのだが、連銀は利上げとQTを延々と続け、案の定、効果を上げられないままだ。当初はパウエル議長自身が「インフレの原因が供給側なので利上げしても効かない」と抵抗していたのに、もっと上の方から加圧されて利上げさせられ、失策のレッテルを貼られている。この手の「意図的な失策」は、イラク戦争や地球温暖化問題などとも共通する、米覇権を自滅させる「隠れ多極派」っぽい手法だ。インフレはずっと続き、米連銀は頓珍漢な利上げを続けさせられ、ドルと米覇権が自滅していく。Life In America Has Never Been More Unaffordable Than It Is Right Now

次に、金価格(1トロイオンス=31グラム)が2000ドルの上限を突破してきた(https://gold.mmc.co.jp/market/gold-price/#gold_1year)。ドルの一番の敵は金価格で、金価格はこれまで月中平均価格が1トロイオンス=2000ドル以下に抑えられていたが、最近では2000ドルを突破する場合も出てきた。2000ドル突破が本格化すると、ドルは価値を失うことになる。

世界平和統一連合(旧世界基督教統一神霊協会:略称統一教会)のゆくべき道

第一に、人類は神と霊界を人生の前提としなければならないことを告げるとともに、地上天国を建設しなければ天上天国も建設できないとの創始者の文鮮明師の教えを世に訴えて、そのための運動をすること。

第二には、宗教と科学の次元・内容を最大限に高め、①の目的に達成のために強力な運動を行っていくこと。

そして、第三には統一思想(頭翼思想)と統一科学(筆者が学生のころは「科学の統一に関する国際会議」を開いていた)のレベルを上げ、政策論を打ち出し、日本および世界の政府(特に、米国、中国、ロシア)に実行させること。そして、米側陣営が倒れるのを防ぎ、権威主義国家が独裁国家にならないように、ともに救っていくこと。

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