自民党新総裁に岸田文雄前政調会長ー対米隷属・新自由主義からの脱却は不可能、野党は反転攻勢を(補強)

日本国憲法第53条に基づく野党側の臨時国会召集を無視して各種メディアをハイジャックして行われていた自民党総裁選は決選投票の末、岸田文雄前政調会長が河野太郎行革兼ワクチン担当相を破り、新総裁になった。岸田氏は新自由主義からの脱却を訴えているが、その訴えが何を意味するかもよく分かっていないと思われる。また、「日米同盟」という名の対米隷属体制は続く。真正野党側は、①コロナ対策の抜本転換②「日米同盟」という名の対米隷属体制からの決別(安保法制の廃止)②原発ゼロを含む温室効果ガス排出ゼロの実現③共生主義の理念の確立と共生主義経済社会政策の提示と実施④野党連合政権構想ーを国民の前に明らかにして、臨時国会中の衆院解散による総選挙で政権を国民の手に奪還する必要がある。

新総裁に岸田氏、野党側政権奪還できなければ立民・枝野代表は辞任を

東京都内のホテルで9月29日水曜日、投開票が行われた自民党総裁選では有効票762票(議員表382票、党員・党友票382票の合計764票)のうち、①岸田氏が国会議員票146票、党員・党友票110票の合わせて256票②河野氏が国会議員票86票、党員・党友票169票の合わせて255票③高市早苗元総務相が国会議員票114票、党員・党友票74票の合わせて188票④野田聖子幹事長代行が国会議員票34票、党員・党友票29票ーだった。

河野氏は議員票の獲得数が振るわず、党員・党友表でも44.2%にとどまり意外に意外と言うか全くるわなかった。これについてはまず、議員票の獲得数が振るわなかったのは、脱原発(核燃料サイクルの停止)、「年金改革」として「消費税増税」を公言したことに自民党所属議員から不安と反発の声が高まったことによると思われる。党員・当有票では、安倍晋三前首相の術策(ネガティブ・キャンペーン)党員・党友表はドント方式に基づいて各候補者に割り当てられるという総裁選規定のためだと思われる。

河野氏に比べて、岸田氏が党員・党友票で善戦、国会議員票でも同氏を制したことから、決選投票では岸田氏に議員票が流れ込んだと見られる。本サイトでも予測したように、岸田氏と高市氏が連合した可能性が濃厚だ。安倍前首相が広島県選挙区での大型買収事件で公金横領した疑惑をもみ消すため、高市氏を全面支援していたことから、岸田氏は決選投票にも残れないと見られていたため、意外に善戦したということになる、

しかしより根本的な問題として、岸田氏は、総裁選出馬前後に米国が「媚中派」の頭目として忌み嫌い、二階俊博幹事長の失脚を狙っている米国の支配層・ディープステート(軍産複合体と多国籍金融資本・企業)の期待通り、二階幹事長外しを訴えていた。このことからやはり、ディープステートが自民党総裁選の背後で暗躍していたものと推察されることが挙げられる。これに関して付け加えると、河野氏の弟の河野二郎氏は太陽光パネルなどの製造に必要な端子やコネクタ、圧着機械を主力製品として設計、製造、販売している企業である日本端子(本社・神奈川県平塚市、http://www.nt-web.jp/)の社長だが、同社は中国に3カ所の拠点を持つ。

父親の河野洋平氏(自社さ連立政権時代の自民党総裁で、村山冨市内閣時代の外務大臣。後に衆議院議長)はその大株主。河野太郎氏も同社に在籍していたこともある。今回の総裁選に出馬した河野氏も詰まるところは「反中」の「日米同盟=対米隷属=」堅持派だが、中国とは切っても切れない関係にあり、ディープステートから問題視されていた可能性がある。このことからして、「対米隷属派」の筆頭である安倍前首相の術策(ネガティブ・キャンペーン)にはまり、敗北したと思われる。

加えて、副総理兼財務相であり続けた麻生太郎氏が領袖の麻生派の幹部である甘利明税制調査会長が、岸田氏と安倍前首相と岸田氏を結びつけたようだ。つまり、表面的に見れば臨時国会で暫定的に成立する岸田次期政権は安倍、麻生、甘利3氏の3A政権だということだ。

自民党総裁選の第二回決選投票
自民党総裁選の第二回決選投票

 

河野氏の議員票が一回目の86票から決選投票で131票に増えたのは、決選投票で3Aと距離を置く二階派が支持に回ったことによるものと見られる。ただし、決選投票のち方票では都道府県がそれぞれ一票を持つ地方票で、河野氏が抜きん出た(https://www.youtube.com/watch?v=47tsVjLkeaM)。これは、岸田氏では総選挙を戦えないという地方自民党支持層の意思の表れだろう、地方の自民党支持層の不満が一気に高じる可能性は少なくない。自民党が次第に分裂していく可能性がある。29日の平均株価の終値は前日比639円安の2万9544円で引けた。米国の連邦準備制度理事会(FRB)が出口戦略を取り始めたことで、米国株が急落したことに連動した面はあるが、株式市場は自公政権の安定化につながると予想していた河野氏が敗北したことを危惧しているようだ。

いずれにしても、「日米同盟」という名の「対米隷属路線」と「新自由主義」から脱却できない自公両党の政権が続けば、安倍晋三前政権時代に強行成立した日本国憲法違反の「安保法制」は廃止できず、日本は中国に対して軍事・経済包囲同盟を構築しているディープステートの「対中先鋒」にならざるを得ない。

また、岸田新総裁は「新自由主義」経済政策からの脱却を訴えたものの、それが何を意味するかも分かっていないと思われる。また、NPO法人・医療ガバナンス研究所の上昌広理事長が指摘し続けてきたコロナ感染の季節的要因(新型コロナは風邪コロナと同じく夏に小流行、冬に大流行する)から、冬に第六波の大襲来が予想される。岸田新総裁はコロナ対策では、公衆衛生上の危機発生時に国・地方を通じて強い指揮権限を有する「健康危機管理庁」を設置するとしている。しかし、この「健康危機管理庁」は日本のコロナ対策を根本的に誤らせた厚生労働省の医務技官と保健局長を頂点とした「医系技官による感染症利権ムラ」の肥大化を招くだけだろう。

これでは岸田新政権は秋の総選挙の頃から行き詰まる公算が大きい。このため、真正野党側は、①コロナ対策の抜本転換(医療体制の抜本的強化とPCR検査の絶対的拡充、コロナ休業補償の整備)②「日米同盟」という名の対米隷属体制からの決別(安保法制の廃止)③技術的に実現不可能な核燃料サイクルの停止と原発ゼロを含む温室効果ガス排出ゼロの実現③共生主義の理念の確立と共生主義経済社会政策の提言④野党連合政権構想の明確化ーを今週中にまとめて国民に公表し、政権を国民の手に取り戻す必要がある。

立憲民主党では選挙対策委員長を務める平野博文代表代行が小沢一郎衆院議員に総選挙対策で要職に就くことを求めたと伝えられたが、枝野幸男代表が保身のため、これを拒否していとも伝えられる。枝野代表は米国のディープステートの支持を得られなければ政権を運営できないと考えているフシがある。それでは、国民への政権奪還は不可能である。小沢氏を要職につけて日本共産党と強力な共闘体制を築くことが必要だ。最良の方法は、すべての小選挙区で野党統一候補を立てる一方、比例ブロックでは「国民連合」のような政党を立てて統一名簿を作成、与野党一騎打ちの戦いにする小沢氏提唱の「オリーブの木」構想を実現することが望ましい。

立民の安住淳国対委員長は10月4日の臨時国会初日に、予算委員会での十分な審議日程が確保できなければ、内閣不信任決議案を提出する可能性があることを示唆した(https://digital.asahi.com/articles/ASP9Y425FP9YUTFK00C.html?iref=pc_ss_date_article)。立憲民主党の安住淳国会対策委員長は29日、新首相を選ぶため、来月4日に召集される臨時国会について、十分な審議日程が見込めない場合には「憲政史上初めてになるかもしれないが、(臨時国会)初日に内閣不信任(案の提出)もありうる」と述べ、新総裁を牽制(けんせい)したなお、秋から冬にかけて季節要因から新型コロナの新規感染が急拡大するため、解散・総選挙の時期を選べば、野党共闘側に有利になる。

実質3A政権の岸田次期政権ではこれに対処できないだろう。そんな安倍・菅直系で、科学に基づく政策能力もなければ胆力もない岸田氏が新総裁に選出された以上、野党共闘側が国民の手に政権を奪還できなければおかしい。立民の枝野執行部は退陣しなければならない。


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