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「日本一新運動」の原点―223号に平野代表が書いている、『これを外務省は隠している。(第19回国会・衆議院外務委員会議録第57号を見よ!)』の該当部分は以下の通り(国会会議録より該当部分を抜粋)。

【※サイト管理者注】
答弁に立った下田 武三(しもだ たけそう[1]1907年4月3日 – 1995年1月22日[1])は、日本外交官。外務事務次官駐米大使最高裁判所判事日本野球機構コミッショナー東京府出身。安倍晋三内閣が行った「集団的自衛権行使容認」なる閣議決定が、第9条で「国の交戦権を認めない」としている現日本国憲法違反であることがよく分かります。違憲国会の違憲議員たちが創出した内閣が違憲行為を行ったということで、「支配の正統性」を全く欠くものです。

第19回国会 外務委員会 第57号 
   昭和29年6月3日(木曜日) 午前11時48分開議

 出席委員
   委員長 上塚  司君
   理事  今村 忠助君 理事 福田 篤泰君
   理事  野田 卯一君 理事 並木 芳雄君
   理事  穗積 七郎君 理事 戸叶 里子君
       北 れい吉君    佐々木盛雄君
       増田甲子七君    須磨彌吉郎君
       河野  密君    西尾 末廣君
 出席政府委員
       外務事務官
         (アジア局長) 中川  融君
       外務事務官
         (条約局長)  下田 武三君
 委員外の出席者
         専  門  員 佐藤 敏人君
         専  門  員 村瀬 忠夫君
    
本日の会議に付した事件  外交に関する件
    
○上塚委員長 これより会議を開きます。(中略)

○穗積委員 一点だけ下田条約局長にお尋ねしておきたいのですが、それは日本の憲法と、日本が外国との間に共同防衛の体制をつくる、またはそういう集団的な防衛機構の中に参加することとの関連について、今までいろいろ法理的に御研究になつておられるだろうと推測いたします。またその必要を生じている情勢だとも思います。

そこで政策上のことは総理または外務大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、局長は純法律的の立場からその問題をどういうふうに御解釈になつておられるか。いろいろな場合が想定されるかと思います。日本の憲法は、これはさまつたものでございますが、特にあとの防衛機構から生じます日本が負う軍事的義務の内容いかんによつていろいろな場合があろうと思います。今まで多少予想されますいろいろなケースを考えてみて、いろいろな場合生じて来るだろうと思いますが、それらについて局長の法理的な御解釈をこの際承つておきたいと思いますが、いかがなものでしようか。

○下田政府委員 現憲法下におきまして、外国と純粋の共同防衛協定、つまり日本が攻撃されれば、相手国は日本を助ける、相手国が攻撃されたら、日本は相手国を助ける、救援におもむくという趣旨の共同防衛協定を締結することは、現憲法下におきましては不可能であろうと存じております。

○穗積委員 その不可能だといわれる点は、憲法の条章でどこでさしつかえがございましようか。

○下田政府委員 その理由は、憲法第9条第2項の「国の交戦権は、これを認めない。」というところにあるわけでございまして、共同防衛を約束しながら、おれの国は交戦権がないから、お前の国が攻撃されても、武器をとつて救援におもむいて、交戦権をフルに行使して助けに行くことはできないのだというようなことでは、どこの国も共同防衛協定を結ぼうとする気づかいがないわけでありますから、従いまして交戦権禁止の規定からして不可能であるというように存じております。

○穗積委員 交戦権を発動しない事実上の戦闘行為の限界について、今まで政府のお考えは、たんくかわつて来てもおりますし、人と場所によりましてまた多少の食い違いがあつたと思いますが、交戦権の発動を伴わない事実上の自衛権の発動または警察行為、そういう解釈はどういうようにされるといたしましてもいずれにしても交戦権を発動しない事実上の戦闘行為、そういうものによる協力、これはお考えになりませんか。

○下田政府委員 交戦権を発動しない事実上の戦闘行為だけに参加するということは、現憲法下で許される事実上の戦闘行為の範囲は、自衛権の限界内でございますので、自衛権の限界内であるということは、相手国が攻撃されただけではなくて、日本自身に対して侵略の危険または現実の侵略があつて、初めて自衛権の発動になるわけであります。これは共同防衛という観念よりも、むしろ日本自身の自衛権行使の問題になるのでありまして、従つて共同防衛と観念いたしますよりも、むしろ日本自身の自衛という問題であるというように考えております。

○穗積委員 そういたしますと、第一に交戦権とか自衛権ということが、一体何を交戦権と言い、自衛権の発動というものをどの程度に解釈するかということが、問題になつて来るわけです。実は今おつしやいましたように、日本の自衛権というものは、日本国に対する直接の、つまり日本の領域内に対する直接攻撃以外でも、日本の自衛を危うくするという解釈が、今まで日本においても行われましたし、現在自由主義諸国の間においてもそういう拡大解釈が行われているわけでございますが、そういうことで集団的自衛権の強化という考え方を政府によつて認めておられます以上は、そういう自衛権というものは、具体的には一体どういうことなのか。

自衛権の発動ということは、どこまでの限界の行為を自衛権の行為として認めるのかということになりますが、その点はいかがでございましようか。非常に今まで拡大解釈されておりまして、言葉のあやから言いますと、今おつしやつたように、考えられないというようなお話でございますが、自衛権の発動というものは、何も領域内の行為に限らないわけでございますから、そういう場合に非常に日本の安全なり、自衛のために協力関係にある国の安全が脅かされたときに、日本の自衛なり安全に非常な脅威を感ずるということで、集団的自衛権という解釈が出て来ておるわけです。その点はあなたのおつしやる自衛権とは、一体どういう意味で、ございましようか。どの限界を言つておられるのでございましようか。その点ちよつと明らかにしておいていただきたいと思います。

○下田政府委員 平和条約でも、日本国の集団的、個別的の固有の自衛権というものは認められておるわけでございますが、しかし日本憲法からの観点から申しますと、憲法が否認してないと解すべきものは、既存の国際法上一般に認められた固有の自衛権、つまり自分の国が攻撃された場合の自衛権であると解すべきであると思うのであります。

集団的自衛権、これは換言すれば、共同防衛または相互安全保障条約、あるいは同盟条約ということでありまして、つまり自分の国が攻撃されもしないのに、他の締約国が攻撃された場合に、あたかも自分の国が攻撃されたと同様にみなして、自衛の名において行動するということは、一般の国際法からはただちに出て来る権利ではございません。

それぞれの同盟条約なり共同防衛条約なり、特別の条約があつて、初めて条約上の権利として生れて来る権利でございます。ところがそういう特別な権利を生ますための条約を、日本の現憲法下で締結されるかどうかということは、先ほどお答え申し上げましたようにできないのでありますから、結局憲法で認められた範囲というものは、日本自身に対する直接の攻撃あるいは急迫した攻撃の危険がない以上は、自衛権の名において発動し得ない、そういうように存じております。

○穗積委員 集団的自衛権という観念は、もうすでに今までに日本の憲法下においても取入れられておるわけです。そうなると、今おつしやいましたような論理を厳密に考えて行くと、すでに憲法のわくを越えるものだというように考えますが、その点はどういうふうに理解しておられるのでしようか。

○下田政府委員 集団的自衛というのは、先ほど申しましたように、まだ一般的の確立した国際上の観念ではございません。特別の説明を要して初めてできる観念でございますから、現憲法のもとにおいては、集団的自衛ということはなし得ない。国際法上、たとえば隣の国が攻撃された場合に自国が立つ、そうすると攻撃国側は、何だ、おれはお前の国を攻撃してわけじやない、なぜ立つて来るかといつて、これは国際法上、攻撃国側から抗議あるいは報復的の措置に出られてもいたし方のない問題でありまして、現行国際法上は、特別のとりきめなくして集団的上自衛権というものを確立したものとは認めておらない。

従つて憲法は自衛権に関する何らの規定はないのでありますけれども、自衛権を否定していない以上は、一般国際法の認める自衛権は国家の基本的権利であるから、憲法が禁止していない以上、持つておると推定されるわけでありますが、そのような特別の集団的自衛権までも憲法は禁止していないから持ち得るのだという結論は、これは出し得ない、そういうように私は考えております。

○穗積委員 大体局長のお考えは、きようのお話や、今までわれわれが伺いましたものを総合いたしまして、推測ができるわけでございます。これ以上は、もう少し具体的な問題が出て参りましてからあらためて伺いたいと思います。

最後に念のためにちよつと伺つておきますが、今のその御解釈は、これはあなた個人の御意見ではなくて、外務省または政府を代表する統一された御意見と理解してよろしゆうございますか。

○下田政府委員 穗積委員の御質問の集団的自衛権と憲法との関係につきましては、政府の確立した見解を樹立するための相談をいたしたことはまだございません。そういう抽象的の理論として確立したのでなくして、現実問題として相談いたしたことはありますが、そういう理論を立てるための相談をいたしたことはございません。従いまして先ほど私が申しましたのは、外務省と申しますよりは、外務省条約局の研究の段階で得た結論だと申し上げる方がよろしいかと思います。

○穗積委員 非常に慎重に御答弁でございますが、条約と憲法との関係について、特に国際関係の法理の解釈については、われわれとしてやはり条約局のお考えというものは、外務省または政府を代表する意見として見なければならぬ。ということは、今申しましたようなことは、具体的な問題におきまして、さらにもう少し立ち入つた議論をしなければなりませんが、対外的な国内法の上に立つて行政を行つておる条約局が、条約と国内法との関係についてはつきりした政府を代表する意見でなければ、外国との条約上の交渉または協定の交渉または行政措置の交渉というものはできないはずだと思うのでございまして、これは機構の客観的なしかも合理的な解釈からいたしまして、条約と国内法との関連については条約局長の御意見というものは、政治通念からいたしまして、外務省または日本政府の解釈として見なければならない。

そうでございませんと、条約局たけの行為だということになれば、今までできました条約と国内法との関連において矛盾しない範囲において、日日の行政事務を処理して行かなければならぬ条約局としては、エグゼキユーテイヴ、執行部でございますから、そこにおける解釈が背骨になつていなければ、一つ一つの行政事務はできないはずです。そういうことになれば、この御解釈というものは、もとより政府を代表するものとわれわれは考えざるを得ないのでございまして、当然なことを念のために念を押したというだけなのでありますから、ひとつすなおにお答えいただきたいと思うのです。

そういたしますと、あなたのお答えでは、場合によれば違つた考えが一部政府の部内にあるかもしれませんが、そういうことを無視して、実は黙認されておる以上は、かつてに解釈して、条約局だけで事務を処理していいのだということになりかねない。ほかのことについてもそうなる。ですから当然そういうふうにわれわれ考えるわけですが、いかがなものでしようか。

○下田政府委員 私どもも政府のエグゼキユーテイヴの一つのブランチといたしまして、一応のルーテインの処理はいたしております。小さい問題でございましたら私ども内部で処理する案件もたくさんあるわけでございますが、大きな問題でございましたら、これはもちろん政府の関係部局と十分の相談をいたしまして、政府の意見というものを確立する必要があるわけであります。ところがただいま御提起になりました問題は、まだ現実の問題ではございませんで、まつたくの仮定に立つた問題であります。

共同防衛と申しますか、集団的自衛の問題になりますと、日本がまずそれに加入しえる集団安全保障の一単位といたしまして、カウントされる事態になつて、初めて持ち上る問題であります。ただいまの自衛力漸増が完成いたしましたあかつきに、やつと日本は集団完全保障の一つの単位として見られることに相なると思いますから、まだその最初の一歩に入つただけでございますので、現実の問題ではございません。

従いまして、外国から集団防衛機構に入れというような申込みのあるはずもございません。政府といたしまして何らかの重要な決定をいたすというのは、現実問題として起つた場合に行われることでありまして、ただいまのような、ただ抽象的な理論の問題として政府が見解を先走つてきめるという必要はないのであります。まつたくの法理上の問題として、条約局の見解を申し述べた次第でございます。
(以下略)

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