日本企業、サハリン2から撤退しない可能性もー岸田政権、なくはない対米隷属外交転換の可能性

日本企業がサハリン2から徹底しない可能性が出てきた。岸田文雄政権は米国ディープ・ステート(DS)の圧力を適当にかわして日露関係の維持を狙っている可能性もなくはない。

NHKでは「ロシア政府『サハリン2』事業を引き継ぐ新会社設立決定と発表」次のように報じている(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220804/k10013751511000.html)。

日本の大手商社も出資するロシア極東の石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」をめぐってロシアは(8月)3日、事業を引き継ぐ新たなロシア企業を設立することを決定したと発表しました。日本の商社は今後、ロシア側の求める条件に応じるか、対応を迫られることになりそうです。日本にLNG=液化天然ガスを供給しているサハリン2の事業主体「サハリンエナジー」社はロシアの政府系ガス会社ガスプロムのほか、イギリスの石油大手シェルが27.5%、日本から三井物産が12.5%、三菱商事が10%をそれぞれ出資しています。

プーチン大統領は6月30日、「サハリンエナジー」社を新たに設立するロシア企業に変更し、その資産を新会社に無償で譲渡することを命じる大統領令に署名していました。ロシア政府は3日、事業を引き継ぐ新たなロシア企業をサハリン州の中心都市ユジノサハリンスクに設立することを決定したと発表しました。2日付けの政令で3日以内に必要な登録手続きを行うことを求めています。大統領令では外国企業に対して設立から1か月以内に株式の譲渡に同意するかどうかロシア側に通知する必要があるとしています。日本の商社は今後、ロシア側の求める条件に応じるか、対応を迫られることになりそうです。(中略)

ロシア政府が「サハリン2」の事業を引き継ぐ新たなロシア企業の設立を決定したことについて、萩生田経済産業大臣は4日午前、記者団に対して「政府としては中身を精査中で、今の段階で予断を持ってのコメントは控えたい」と述べました。そのうえで「国内企業とこの間、さまざまなシミュレーションをしてきたので、基本的な方針は変わらない。わが国のエネルギーの安定供給のために極めて重要な拠点であり、維持を続けていくことに変わりはない」と述べ、サハリン2の権益の維持を目指して、ロシア側が示す出資の条件などを精査して対応していく考えを示しました。

サハリン2に出資していた三菱商事や三井物産もロシア側の提案を前向きに検討しているという。ロシアから液化天然ガスを輸入できなくなることは、日本経済にとって大きな打撃だ。岸田政権は米国からの対露経済制裁強化・強要の圧力を受けているが、本サイトでこれまで述べてきた通りウクライナ事変を契機として世界が米側陣営(アングロサクソン陣営)と非米側陣営(露中・中東諸国・インド、場合によってはイスラエルが開発中の天然ガス生産システム=ロシアの同盟国であるイランの傘下にいるレバノンの与党ヒズボラも協力している=(https://tanakanews.com/220805mideast.php)を巡って、ロシアとも関係の深いベンヤミン・ネタニヤフ元首相が首相に帰り咲けばイスラエル)とに分裂し、非米側陣営の優勢がはっきりしてきている現在、表裏の対中外交も含めて岸田政権の外交の舵取りが注目される。

なお、日本は1972年9月の日中共同声明でポツダム宣言に触れ、同宣言に明記されたカイロ宣言(台湾、膨湖諸島が中華民国(当時)に返還されることが対日戦争の目的の一つである)に従って台湾を中国の不可分の領土として認定しているが、1978年12月の「米中共同声明(中華人民共和国とアメリカ合衆国の外交関係樹立に関する共同コミュニケ)」では米国としては、中国政府が台湾を中国の不可分の領土と主張していることを明確には受け容れていない(植草一秀著「日本経済の黒い霧」ビジネス社、268頁ー271頁)。この点で、岸田政権が民主党のペロシ下院議長の訪日に伴い、対中強硬外交を展開・加速することは経済的・軍事的に得策ではなく、国益にも反する。

これらに関して、国際情勢解説者の田中宇(さかい)氏は8月5日に公開した「非米化で再調整が続く中東」と題する投稿記事(https://tanakanews.com/220805mideast.php、有料記事)で次のように述べている。なお、最初のリード文を先に掲載する。

ロシア、トルコ、イランの首脳がイランに集まってシリア内戦の解決について話し合った定例の「アスタナサミット」は、シリアをめぐる状況を画期的に転換した。これまで米国に味方し、露イランアサドと敵対していたトルコが、サミット直後に突然、露イランシリアの味方に翻身し、シリアに駐留する米軍に撤退を要求し始めた。トルコは、敵として戦っていたアサド政権のシリア政府軍と協力することにした。トルコの転向の裏には、米国の覇権低下とロシアの影響力拡大がある。

今回の話を吟味しているうちに再度直観したのは「日本の安倍晋三も、エルドアンやネタニヤフと同様、多極化に対応するためロシアや中国との関係を取り持って日本を隠然と非米側に転換させようとしたため(米国側に)殺されたのでないか」ということだ。国葬に反対したり、統一教会と自民党の関係を非難して話をそらしているマスコミ権威筋などは、安倍を殺した米諜報界の軍産DSの一味・傀儡ということになる。自民党は、親分の安倍を殺されても隠然とした親ロシア・親中国の姿勢をとり続け、こっそり非米側の政党になっている。日本の権力層の主流派は、安倍を殺されても隠然非米化を堅持している。とても良い。日本では今や、マスコミやリベラル勢力の方が売国的な対米従属・DS(注:ディープ・ステート==DS=)傀儡である。安倍殺害が、この転換を引き起こした。あれは個人が起こした偶発の事件でない。この話はあらためて書く。 (安倍元首相殺害の深層) (Japanese Companies Appear To Be “In No Rush” To Exit Operations In Russia

サイト管理者(筆者)には国葬には問題があると思うが、安倍晋三元首相の「俯瞰外交」を精査する必要はあると思う。反政府系の野党陣営も、ウクライナ事変の深層・真相を見極め、世界が米側と非米側に分裂(二極化・多極化)しているという文明史の大転換期を踏まえ、大胆な外交政策を提示し、それを踏まえた経済政策を立案していかなければならない秋に来ている。


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