安倍晋三政権の対米隷属政策が続けば、名実ともに米国による日本の植民地支配が完了することになる。これは、偽「保守主義者」の願望する「戦前回帰」とは異なる。日本国が単に、米国の植民地になるだけのことである。ただし、建国の精神であるキリスト教精神から逸脱し、完全に堕落した米国が今後、栄えることはない。逆に衰退の一途をたどるだけである。よって、安倍首相の言う「この道しかない」という言葉の主語などをつけて正しく表現すれば、「地獄に至り米国と心中するにはこの道しかない」のである。

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【地獄への道を切り開く日米安保体制の日米同盟化】

それでは、どうすれば良いのか。日米安保条約第十条には、「この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。もつとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する」とのくだりがある。

つまり、日米安保条約(による占領軍の基地使用権限)は国際連合が真にその機能を実現するまでの暫定的な条約に過ぎないのである。従って、日本が今後とり得る道は、①国際連合の機能強化に最大限の努力をなし、達成する。特に、国連による集団安全保障体制を確立する②日米安全保障条約を日米有効条約に改変し、日米地位協定を破棄する。従って、日米合同委員会を廃止する③現憲法を上回る内容で、主権在民・基本的人権の尊重・平和主義・国連中心主義を理念とした日本国憲法を日本人自身によって制定するーことが必要となる。

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【イマニュエル・カント】

そのためには、歴史認識ー世界史の歴史認識ーが重要である。唐突だが世界史には中心史と周辺史がある。中心史はマックス・ウェーバーが「世界宗教の経済倫理」で追求しようとした古代オリエント文明→古典古代(ギリシャ・ローマ)文明→西欧史(中世・近代)→アングロ・サクソン太平洋文明→東アジア世界文明である。この中で、カントの「永遠平和のために」が生まれ、第一次世界大戦の「国際連盟」の実現に至る。その後、「国際連盟」の限界を克服しようと、大西洋憲章(1941年8月14日)→連合国共同宣言(1942年1月1日)→ブレトンウッズ協定(1944年7月、戦後の国際貿易・通貨体制の構築)→ダンバートン・オークス提案(1944年8月から10月)→国連憲章(1945年10月24日)と至る歴史の真髄とその限界を把握する必要がある。

ただし、国際連合は冷戦の勃発(民主主義陣営と共産主義陣営の対立)により、その理念・理想が現実化しなかった。このため、民主主義、共産主義についての考察が必要である。民主主義はその根本に、キリスト教精神がある。共産主義については、ロシアの思想家でマルキストから転向したニコライ・ベルジャーエフの「共産主義という名の宗教」がある。さらに、共産主義体制は市場原理を否定したため、体制自身の欠陥による自己崩壊を遂げたが、その後は米国が新自由(放任)主義体制を世界に輸出し、世界経済の混乱を招いた。これらの超克の道も確立しなければならない。

※サイト管理者は現代の本居宣長と呼ばれる小室直樹の私塾に参加したことがあるが、小室のキリスト教(例えば、「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」に対する理解の仕方。これについては、神学者の大木英夫の「ピューリタニズムの倫理思想」が理解が深いと思う)に対する理解について不満がある。なお、ロスチャイルド家とロックフェラー財閥との闘争として現代史を捉える見方が存在することも承知しているが、それでは1815年のワーテルローの戦い以降の話でしかなく、世界史ないしビッグ・バンから始まる宇宙史を解明できない。併せて、宗教者を自称する人々は彼岸(たいていは天国)のことだけ考えるのではなく、此岸に天国を形成せねばならないことをよーく考えるべきである。

【※追記】以下に、今年に入ってからの諸事態に対するサイト管理者の認識を述べる。

  • 2015年初から日経平均が乱高下しつつ、傾向的には急落ないし暴落しつつある。官製相場の暴落である。
  • 円安が日本経済にとって良いことは何一つない(貿易製品のドル建て輸出価格が膨れるが、数量は増大していない。貿易収支改善の効果はなく、むしろ、製品輸入額の増加で貿易収支は悪化しており、円安倒産が既往最高となってきている)が、円安➤株高の構造が続いている。これは、市場原理から考えておかしい。政府系企業(日本郵政、年金積立金管理運用独立行政法人=GPIF=など)が広い意味での金融市場を操作している。やっていることは、金融商品取引法違反のドル買い、株買いによる相場操作である。しかし、一介の政府系企業が「神の見えざる手」である市場原理に反することを、いつまでも続けることはできない。なお、成熟債権国に達している日本の経済社会にとっては、円高➤株高が当然である。
  • 為替相場は中長期的に購買力平価によって決まる。つまり、物価(上昇率)の高い国の通貨は安くなり、物価(上昇率)の低い国の通貨は高くなる。だから、円安にも限界がある。ただし、異次元金融緩和=国債の中央銀行引き受けはハイパースタグフレーションを招く。これは、日本売り=国債価格暴落、金利急騰、円暴落をもたらす。もっとも、米国がその一歩手前まで来ており、このためQE1/2/3をやめると言い出したが、米国の金利が急騰する(米国債価格が暴落する)懸念がある。黒岩日銀はこのため、昨年10月末に第二弾の異次元金融緩和を行い、米国を助けている。しかし、出口戦略は一切無し。「あとは、野となれ山となれ」である。
  • 原油価格の暴落は、ロシア経済を破壊するためのアングロサクソン系国家とイスラエルの策略である。
  • 米国の軍産複合体とイスラエルが「イスラム過激派」の「残虐非道な行為」を煽り、対イスラム諸国攻撃の口実を積み立てるのに余念がない。

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