NHK、ウクライナ戦争でウクライナの苦戦を認めるーゼレンスキー政権が「隠密作戦」を展開とか?(追記:ウクライナ戦争と米大統領選)

NHKがウクライナ戦争でのウクライナ側の「苦戦」を認めるようになった。米国ではトランプ共和党がわずかながら予算編成権を持つ下院で多数派になっており、このほど可決された2024年度予算(2023年10月から2024年度9月)でもウクライナへの軍事支援は事実上のゼロ回答だ。NHKはウクライナ側は「隠密作戦」で戦局を挽回しようとしているとしているが、ウクライナ側は、ゼレンスキー大統領が国民に高い人気があったウクライナ軍の最高責任者であるザルジニー総司令官(武官)や安全保障政策を担当する国家安全保障・国防会議のダニロフ書記(文官)を解任するなど、内部分裂の様相を見せてきており、「隠密作戦」どころではない状態だ。

証拠に欠けるウクライナの「隠密作戦」

ロシアのプーチン大統領は曲がりなりにも大統領選挙を行い、「圧勝」した。米側陣営のマス・メディアはなにかにつけ難癖をつけるが、プーチン大統領が国民から大きな支持を得たことには変わりがない。これに対して、ウクライナのゼレンスキー大統領は、国民に高い人気があったウクライナ軍の最高責任者であるザルジニー総司令官(武官)や安全保障政策を担当する国家安全保障・国防会議のダニロフ書記(文官)を解任するなど、自分と見解を異にする政府高官らを震え上がらせている。要するに反ゼレンスキー大統領勢力の弾圧に乗り出したと見て良い。

ロシアが約二年前に「特別軍事作戦」を展開したのは、バイデン政権が成立した2024年1月以降、東部ドンバス地方でロシア系ウクライナ国民の大弾圧に乗り出したからで、プーチン大統領としても、ロシア系ウクライナ国民を保護するという選択に踏み切らざるを得なかったためだ。この点については、プーチン大統領に20回以上も会い、「特別軍事作戦」について理解していた安倍晋三氏(狙撃犯によって殺害)がよく知っているが、何故か「院政」を敷けるはずだった日本の正解では最高権力者の安倍氏の見解は報道されていない。

今回のロシアとウクライナとの間の戦争は、ロシア側に正当な理由がある。「天網恢恢疎にして漏らさず」と言われるが、ウクライナ側が不利になる(注:ウクライナは事実上敗北している)のは当然で、やっとNHKもこの事実を認め始めた。これについては、安倍氏の見解は適切だったことになる。なお、話は少しそれるが、安倍氏の見解が国民に知れわたる前に同氏を狙撃殺害したのは、山上哲也被告ではない。これらのことを要領よく説明しているのが、外務省出身で、防衛大学にも勤めた経歴を持つ孫崎享氏の解説である。

このYoutube動画での孫崎氏の発言によると、安倍氏の批判は、「武力」を行使して領土を変更してはならないと叫ぶネオコン傘下のバイデン政権ほ中核とする米側陣営こそ、武力を使って親ロシアのセルビアからコソボを独立させたことにも及んでいる(1990年代後半にセルビアからの「独立運動」。国連には加盟していないが2016年7月時点で113の国連加盟国が国家として承認している。)。

親路のセルビア内のコソボ

さて、安倍氏の死因は前方喉近くの二つの銃創のうち、一つの銃創から同氏の体内に入った弾丸が心臓に到達したことから、出血多量である。この安倍氏の生前の「特別軍事作戦」擁護の見解と死因が明らかにされないまま、批判は世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会:略称統一教会)に向かってしまった。

一昨日3月26日には、東京地方裁判所が旧統一教会・田中冨広会長への過料10万円を決定したが、「ちょうど立憲民主党を中心とする野党による統一教会問題の国対ヒアリングが行われているさなかに、過料決定の報道が飛び込んできました。文部科学省の担当者は、同党の山井和則議員からの過料に関する質問を受けて「過料の決定が下ったという報告は受けています」としたうえで、決定文自体はまだ見ていないとしながらも、次のように話します。『我々として適法な報告、聴取、質問権の行使であったということが認められたとすれば、正しい決定が下されたことになるのかと思います。今後も引き続き、解散命令に向けて全力をあげていきたい』」(https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/fbf47885f58d43f640ac65d4986ea8f6ef3d380e)とのことだ。

統一教会問題の国対ヒアリング最中に東京地裁が判決を下したわけだが、明らかにタイミングが良すぎる。東京地裁の判決内容も岸田政権を擁護するものであり、果たして三権分立の大原則が守られているのか、疑わしい。世界平和統一家庭連合のこの地裁決定に関する公式見解は、下記の内容だ(https://ffwpu.jp/news/5171.html)。

文科省は、今回の過料裁判において、宗教法人法(以下「法」)第81条第1項第1号に規定する「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」との解散事由に関して、「法令に違反」には、民法上の不法行為も含まれるとの立場から、同解散事由に該当する「疑いがある」(法第78条の2第1項3号)として質問権行使は適法だと主張しました。これに対して家庭連合側は、過去の最高裁判例を元に、「法令に違反」には民法709条は含まれないと主張し、文科省側において違反法令を特定しておらず(民法709条違反を主張せず)、構成要件該当事由の主張を欠き、質問権行使は違法であると主張して争いました。

これに対し、東京地裁は、「法令に違反」の「法令」には民法も含まれるとし、民法709条の不法行為は他人の権利等を違法に侵害してはならないとの禁止規範を含んでいるため、「法令に違反」に含まれると誤った判示をして、質問権行使を適法としました。

しかしながら、過去の最高裁判例(平成9年7月11日)では、不法行為制度(民法709条)は加害行為に対する予防・抑止のための禁止規範ではないと解しており、法律学及び法律実務において「民法709条違反」という概念はどこにも存在しません。したがって、家庭連合側は、即時抗告して、東京高裁において、今回の裁判所の判断の誤りを正してまいります。

平成9年7月11日の最高裁判決は、懲罰的損害賠償をめぐって争われた裁判に対する判決のことで、上告人は敗訴しているが、その中で、最高裁は損害賠償制度に対する明確な見解を示している。その内容は次のようなものである。

我が国の不法行為に基づく損害賠償制度は、将来における不法行為の抑止すなわち一般予防を目的とするものではない。我が国においては、将来の不法行為を抑止することは、形而上または行政上の制裁に委ねられている。

つまり、不法行為による損害賠償の制度を定めた民法709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」)に関して言えば、709条「違反」の結果として損害賠償賠償責任が生じるのではなく、709条を「適用」して損害賠償をしているのであって、法律実務の専門家は「709条に基づく損害賠償請求」と表現して、損害賠償の実務を行っている。世界平和統一家庭連合には民事裁判で敗訴した事例もあるが、709条に基づいて賠償責任を着実に行ってきている。つまり、同連合は709条をむしろ尊守してきているのである。

宗教法人法第81条はその第一項「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」挙げているが、この「法令」というのは「自然法」ではなく、国家が定めた「実定法規」である。世界平和統一家庭連合側は解散請求の重要な要件になる「法令」について、政府(文科省と文化庁)に厳しく質しているが、政府側は明確な回答をせず、また、東京地裁も、東京高裁がオウム真理教事件に関して平成7年12月19日に決定した判決の中で、宗教法人解散請求に必要な「法令」については「刑法等の実定法規の定める禁止規範又は命令規範」に限定したことについて、本来は法解釈にあたっての「一般論」、つまり、「原理・原則」なのに、「個別事案」に過ぎないとして逃げている。

東京地方裁判所

政府(岸田文雄政権)と東京地裁が裏で手を握っているとしか思えない。三権分立とは程遠い我が国の裁判制度である。世界平和統一家庭連合に対する解散請求の発端は、安倍氏の殺害殺害であるが、既に述べたように安倍氏を狙撃殺害したのは山上被告ではない。この点をあいまいにしたまま、岸田政権が世界平和統一家庭連合に対する解散請求を裁判システムに出してきたのは、①自民党の二大勢力の一方である宏池会が清和会(注:清和会の最高権力者はウクライナ戦争でプーチン大統領に理解を示した安倍晋三氏だった)を事実上、潰すためである②バイデン政権を支配するネオコンとしては、多極化外交を展開してきた安倍氏を権力の座から引き下ろす必要があり、岸田政権もその要求に応えざるを得なかった(注:安倍氏の致命傷になった弾丸は行方不明になっている)③その狙いを隠すために、世界平和統一家庭連合に濡れ衣を着せたーと見て良いだろう。

世界平和統一家庭連合に対する宗教弾圧と、ウクライナ戦争やイスラエルとハマスの戦いなど今日の国際情勢は水面下でつながっている。長くなったが話を元に戻して、「隠密作戦」について、NHKは次のように解説している。

この動画で、解説委員は「ウクライナの隠密作戦は戦況を左右するかも知れません」としているが、「(最終的には)領土の奪還をしなければなりません」と明言していて、要するに一時的な作戦との見解だ。一種の保険をかけたようなビデオだ。なお、「隠密作戦」の実態は、証拠がないので不明だ。それよりも、ゼレンスキー大統領は予想外の戦況の悪化に、反ゼレンスキー勢力の拡大を恐れているのではないか。国際情勢に詳しい田中宇氏は、3月13日に公開した「トランプがウクライナ戦争を終わらせる?」(https://tanakanews.com/240313trump.php、有料記事=https://tanakanews.com/intro.htm=)で、次のように述べている。

トランプは当選したら、米国のNATO撤退と、ウクライナ戦争の停戦和解を並行して開始しそうだ。欧州諸国、とくにドイツや北欧は、米国がNATOを率いてロシアに必勝すると言いながらウクライナを戦争に陥れ、勝っていると言いながら大負けしていることに大変迷惑し、困窮している。ドイツは開戦前、ロシアと仲が良くてガスなど資源類を大量輸入して全面依存してきたのに、開戦後はロシア敵視を強要され、独経済を支えてきたロシアからの資源類の輸入も止まり、露独をつなぐノルドストリームのガスパイプラインも米国に壊されてしまった。ドイツなど欧州の多くは、もうロシアに勝たなくて良いから早く和解して戦争をやめたいと思っている。そうしないと経済がどんどん破綻してしまう。だが、米国がバイデン続投で永久に戦うぞと言っている限り、欧州の方から和解停戦を切り出せない。France and Poland don’t speak for NATO, says Italy

トランプが返り咲くと、これらの全てが大転換しうる。トランプは、ゼレンスキーとプーチンを仲裁して停戦させる。ゼレンスキーには、対露和解停戦しても貴殿が政権から追い出されたり殺されたりしないよう守ってあげると約束する。ゼレンスキーはもう勝てないと昨年からわかっていたので、トランプが自分の政治生命を守ってくれるなら(注:ノボロシア構想を認めても)対露和解に賛成する。バイデン続投だと、ゼレンスキーを追放してもっと有能な戦略家と交代させて戦争継続しようという話になりかねない。Peaceful times are over – EU state’s PM

米側陣営のメディアは、ブルームバーグ(経済、金融情報の配信、通信社、放送事業を手がける米国の大手総合情報サービス会社)を始めとして、ネオコン傘下にあるバイデン政権を支持しており、反トランプだ。米国のメディアに左右される日本を含む米側陣営のメディアも同様に親バイデン、反トランプになる。NHK党という党があるが、「国民をメディアから守る党」に昇格すべきではないか。

なお、米国のニュース専門ケーブルテレビ・CNNの日本版は「ロシア軍が猛攻、脆弱な防衛線押し込む ウクライナ東部」と題して、ウクライナが苦戦に陥っていることを伝えている(https://www.cnn.co.jp/world/35217217.html)。

ウクライナ軍にとって重要な同国東部戦線の防衛ラインが、過去1週間で部分的にロシア軍の手に落ちたとみられることがわかった。英国の国防情報機関や軍事ブロガーが現地情報筋を引用して明らかにした。

英国防情報部は3月30日、東部の要衝アウジーイウカ近郊で戦うウクライナ側の命運について、いつになく否定的な評価を下した。同市は2月半ば、ロシア軍に制圧された。X(旧ツイッター)で共有された英国の声明によると、ロシアはアウジーイウカの西側で段階的な前進を継続。3月下旬にはほぼ確実にトネンケとオルリウカの村落2カ所を掌握したとみられる。現在も周辺地域の複数の村落に対して引き続き攻勢をかけているという。同局はその上で、ロシア軍がこの地域における兵員と弾薬でウクライナ軍を著しく上回っていると指摘。月に3万人の兵力を補充できて

2024年米大統領選挙、選挙結果を左右する7つの激戦州で6州はトランプ候補が優位(ジェトロ調べ)

今週11月5日の米国大統領選挙では、スイング・ステートと呼ばれる7つの州での勝敗が選挙結果を左右すると言われているが、ジェトロ(日本貿易振興会)は現状について、このうち6州でトランプ氏が優位に立っていると紹介している。

米国の2024年大統領選挙に向けた予備選が続く中、民主党候補のジョー・バイデン大統領、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が各党代表候補者となることがより確実になり、11月の本選挙に向け、各党の勢力が拮抗(きっこう)して勝利政党が変動しやすい激戦州(注:下表)での動向がさらに注目されるようになった。激戦州での最近の世論調査では、7州のうち6州でトランプ氏の支持率がバイデン氏を上回っている(添付資料表参照)。

CNNは3月22日、ペンシルベニア(PA)州、ミシガン(MI)州で実施した世論調査結果(注2)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによると、もしきょう大統領選挙が行われたら、バイデン氏、トランプ氏のどちらに投票するかという問いに対して、PA州ではバイデン氏、トランプ氏ともに支持率が46%と互角だった。MI州では、トランプ氏が50%とバイデン氏(42%)を上回った。無党派の支持は、PA州ではバイデン氏が46%とトランプ氏(36%)を上回り、MI州ではトランプ氏が47%とバイデン氏(37%)を上回った。

日本ではあまり問題にされないが、バイデン大統領の記憶力が(注:判断・決断力とともに)相当低下していることが今後、選挙戦での重要な要素になってくるだろう(注:参考に過ぎないが、「バイデン氏の記憶力低下を指摘した元特別検察官、米議会で証言 機密文書問題で党派間の溝が浮き彫りにhttps://www.bbc.com/japanese/articles/cw4z777jv8zo)。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう