安倍首相(当時)「桜を見る会」前夜祭の支持者への参加費補填疑惑報道、菅首相の安倍首相失脚狙いか。

読売新聞11月23日1面付「スクープ」から始まった恒例の「桜を見る会」参加費補填疑惑は大手マスコミの追跡報道で疑惑はほぼ確実になっている。問題は日本学術会議任命拒否問題やコロナ禍対策のために25日から行われる国会集中審議直前に何故、東京地検特捜部が政府の機関紙と揶揄される読売にリークしたかだ。復権を狙う安倍前首相を抹殺するための謀略の可能性も否定できない。

11月24日火曜日コロナ感染状況

本日1124日水曜日の新型コロナ感染状況は、東京都では午後15時の速報値で新規感染確認者は1週間前の17日水曜日の298人より102人少ない196人、重症者は前日比10人多い東京都基準の重症者数としては非常事態宣言語としては過去最多の51人だった(https://www.fnn.jp/articles/-/61484)。16日(180人)以来、8日ぶりに200人を下回ったが、3連休のためにPCR検査検査数が少なかった可能性がある。
東京都のモニタリング(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)では、7日移動平均での感染者数は424.3人、PCR検査人数は5395.4人だから、陽性率は7.86%。東京都独自の計算方式でも6.7%。感染者のうち感染経路不明率は57.11%だった。陽性率が高くなってきていることに留意が必要だ。
全国では、午後20時30分時点で1228人の新規感染者と19人の死亡者が確認されている。コロナの第4波は3波の東京・埼玉型コロナウイルスに、空港の防疫体制(基本的には感染を見逃しやすい簡易型の検査である抗原検査を積極的に活用)をくぐり抜けた強い感染力と攻撃力を持ったスペイン型のコロナウイルスが同時並行的に感染拡大している公算が大きいと推測される。
東洋経済ONLINEhttps://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)では、1119日時点の実効再生産数は全国が前日比0.02人増加して1.30人、東京都では前日比0.03人増加の1.29人となっている。なお、東洋経済ONLINEによると23日までの状況だが、三連休で東京都のPCR検査人数が相当減っていることが分かる。大規模社会的検査が必要だ。

政府主催の「桜を見る会」は毎年春、皇族のほか各国駐日大使、国会衆参両院議長、最高裁長官、都道府県知事、各省庁事務次官、各界の功労者など1万名を新宿御苑に招待し、天皇陛下ご夫妻が慰労と激励をする会合(儀式)だ。開催費用は国庫から拠出される。1766万円の税金だ。ところが、各界の功労者の中に、「功労者」とは言えないような首相をはじめ閣僚、自民党幹部の支持者(後援会会員)が参加していることが「しんぶん赤旗」の取材によって判明した。これを受けて、2019年11月8日の参議院予算委員会で「首相が後援会関係者を多数招待しているのでは?」と追及。報道各社が一気に後追いを始めた。確かに、「桜を見る会」への出席者は年々増加しており、それに伴い国庫負担も急増している。下図はWikipediaからのものだ。

「桜を見る会」の予算と参加人数の推移
「桜を見る会」の予算と参加人数の推移
日本共産党の田村智子参院議員(政策委員長)
日本共産党の田村智子参院議員(政策委員長)

これを見ると、参加者、国庫負担による開催費用ともに急増している。これは、「各界の功労者」にふさわしくない人々(首相はじめ閣僚や自民党幹部の後援会入会者)が多数参加していたことを伺わせる。田村参院議員が追及したのは「各界の功労者」の中に、首相はじめ閣僚、自民党本部執行部関係者の支持者(後援会会員)がいたのではないかということだが、安倍首相はその事実は否定せず突如、2021年からの「桜を見る会」は中止すると発表した。「桜を見る会」にふさわしくない首相はじめ閣僚、自民党本部執行部関係者の支持者(後援会加入者)が含まれていれば、明らかに公金(税金)の着服だが、政府=安倍政権は参加者名簿を明らかにしないまま、同首相の「病気理由」の突然の引退になった。

新宿御苑で行われた桜を見る会
新宿御苑で行われた桜を見る会(ヤフーニュースによる)

ところが、「桜を見る会」の前日に安倍首相が2013年〜2019年にかけて、東京都内の高級ホテルホテルニューオータニとANAコンチネンタルで「桜を見る会前夜祭」を開いていたことが明らかになった。安倍首相は2019年にホテルニューオータニで開かれた前夜祭では、会費は1人5000円程度とし、後援会事務局担当者(安倍首相の第1公設皮脂)が徴収してホテルに渡していた、だから政治資金規正法にも掲載していないと強弁していた。

ところが、ホテルニューオータニでは立食パーティは1人1万1000円からというのが通常の相場であることが判明している。このため、600人を超える弁護士や学者が今年5月、会費の安さに疑問を呈し、安倍前首相や公設第1秘書らを、政治資金規正法、公職選挙法違反の疑いで東京地検に刑事告発した。刑事告発してもこれまで何の報道もなされなかったので、検事総長に昇格させるため、検察庁法に違反して閣議で任期を強行延長させた東京高検の黒川弘務検事長を麻雀賭博で辞任させて、検事総長に昇格させる人事を見送る代わりに、名古屋高検の林真琴検事長を検事総長に昇格させることで決着させたかに思われていた。

ところが、ニュースサイトのリテラ(https://lite-ra.com/2020/11/post-5706.html)によると、11月23日の読売新聞に「安倍前首相秘書ら聴取『桜』前夜祭巡り 東京地検」と題する「スクープ」記事が掲載され、上記の告発状を受け、政治家大物を逮捕・起訴する東京地検特捜部が安倍前首相の公設第1秘書らを任意聴取していたと報じた。これを受けて、朝日新聞や東京新聞、NHKなどが後追い報道を行って、東京地検による公設第1秘書らの「任意聴取」が事実であることを一斉に報道した。NHKでは23日午後15時59分に後追い報道の第一報をサイトで公開し、東京新聞では23日21時48分、朝日新聞では22時06分にサイトに公開、後追い報道を行った。

大手マスコミのどの報道も「関係者によると」となっているが、関係者が東京地検特捜部であることは明らかだ。NHKでは午後19時のニュースでもこの問題を深堀りした第二報を報道したという。リテラによると次のようなものだ。
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桜を見る会
桜を見る会

ところが、そのあと(読売新聞の報道のあと)、検察側が予想以上に本格的な捜査を進めており、決定的な証拠を握っていることが判明した。

というのも、NHKが昼のニュースでこの問題を後追い報道、そのなかで「桜を見る会」前夜祭をめぐり、会場となった2つのホテルが「安倍前総理大臣側が費用の一部を負担していたことを示す領収書や明細書を作成していた」と伝えたからだ。NHKは「複数の関係者への取材によりわかった」としているが、検察から情報を得ていることは間違いない。

さらにNHKは夜の『ニュース7』でも続報を打ち、具体的な補填金額まで報じた。内容は以下のようなものだ。

「会場となった2つのホテルは、懇親会の費用の総額などが記された明細書を安倍前総理大臣の事務所側に宛てて作成していて、去年までの5年間の費用の総額は合わせて2000万円を超えることが記されているということです。さらに、この総額から、参加者から集めた会費分などを差し引いた少なくとも800万円以上については、安倍前総理大臣側が負担したことを示す領収書が作成されていたということです。東京地検特捜部もこうした経緯を把握し、後援会の代表を務める安倍前総理大臣の公設第1秘書らから任意で事情を聴くなどして確認を進めているものと見られています」

つまり、5年間で最低でも800万円以上を安倍首相側が補填していたことを示す証拠が出てきて、それを検察が押さえていたのである。
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ここまでくると、安倍前首相らは政治資金規正法違反はもちろん、公職選挙法違反にも相当することになる。「もし安倍前首相側が費用を補填し、酒食を無償で提供したとしたら、『寄附』に該当し、公職選挙法に規定されている公職選挙法199条の2の1項(公職の候補者の寄附の禁止)もしくは199条の5の1項(後援団体による選挙区民への寄附の禁止)に違反したことになる」というわけだ。

ここまで来ると、考える今後の展開としては、第一に、菅義偉首相が官房長官時代に安倍首相の悪行の隠蔽に深く関わっていたことから、自分にも「害」が及ぶとして、上川陽子法務大臣(オウム真理教の麻原 彰晃=松本 智津夫=らの死刑執行を命じた)に指揮権発動させて、証拠不十分として逮捕・起訴を取りやめることだ。ただし、東京地検が起訴可能な十分な証拠を保有していれば、これは難しいし、国民も納得しない。

第二は、「準司法機関」としての検察庁に任意聴取・強制聴取・家宅捜査・逮捕・起訴など一連の検察業務を任せることだが、問題は森友学園、加計学園まで飛び火する可能性があることだ。菅首相が警察畑の杉田和博内閣官房長官を頂点とする秘密警察組織を使って、ある程度の「火の粉」はかぶっても「延焼」を避けるとともに、返り咲きを狙う安倍前首相を失脚させる。安倍前首相は、「潰瘍性大腸炎」を理由に辞任したが、慶応大学病院の主治医の公的な診断書がないから、辞任の本当の理由は分からない。菅首相は自民党内の自由世襲派議員を嫌っていると言われる(自民党は自由世襲派と自由利権派からなる)。

第三は、林真琴検事総長を中心に、コロナ禍のもとで今の政府=菅政権が立ち往生していることも斟酌したうえで、日本の政治の歪みを正すため、検察庁が政治家は大物であっても不正をしていることの確かな証拠があれば、厳しく追及するという本来の姿に立ち戻ること。この場合には、後半中の河井克行元法相、河井案里参院議員の後半にも強い影響が生じ、買収資金の出所元(自民党最高首脳部)の捜査を通して、これまた安倍前総裁と二階俊博幹事長に捜査が及ぶことになる。ただし、読売が「スクープ」したことからして怪しいし。東京地検特捜部の前進は戦後の米国が設立した「隠匿物資摘発組織」だから、この考えを取るのは困難だ。

林真琴率いる検察庁特に東京地検特捜部の真の狙いが何処にあるかは不明だが、政局にも関わる重大事案だ。野党側は安倍前首相を衆参両予算委員会で参考人招致して徹底的に追及すべき事案だ。自民党の森山裕国対委員長は三権分立の立場から参考人招致はしないとしているが、安倍首相が度重なる虚偽答弁を行った疑いが濃厚になったわけだから、これは立法府である国会の問題だ。参考人招致を拒否するなら、自民党全体が安倍前首相のウソ発言隠しを行っていることになる。連立与党の公明党の山口那津男代表でさえ、安倍前首相の釈明を求めている。なお、いつもゼロ回答(今回は安倍前首相の参考人招致)しか持ち帰らない立憲民主党の安住淳国対委員長を監視しなければならない。

そして、国会集中審議を通して、➀桜を見る会前夜祭事案②日本学術会議推薦会員任命拒否事案③コロナ第4波無為・無策事案ーを徹底的に追及し、真相などを徹底究明すべきである。ただし、大コロナ禍の中に遭っても、菅首相は解散・総選挙を強行する可能性も否定できない。日本の経済社会を破壊し続け、日本をハゲタカ外資に売り飛ばそうとしてきた小泉純一郎政権以降続いてきた安倍、菅政権を打倒する理念と政策体系と野党連合構想を国民の前に提示することが不可欠だ。

重要な政策は、➀コロナ禍抜本対策=コロナ禍を災害指定することも含まれる=②消費税凍結ないし廃止を中心とした不公平税制の抜本改革・逆進性の強い社会保険料精度の見直③利権支出にまみれた歳出構造の抜本改革➃安保法制や今国会で成立濃厚な種苗法などトンデモ法の廃止⑤原発廃止から再生エネルギーへの転換、黒田東彦総裁の解任を含む量的金融緩和から積極財政への財政金融政策の抜本転換⑥余りにも立ち後れてしまった日本の産業の再生と高度化➆東京オリンピック、パラリンピックの中止ーなどがある。



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