自公、参院選で改選議席を19議席割り込む大敗ー衆参とも過半数割れで今後、政局は大混乱へ(追記:ウクライナ情勢)
参議院の本会議場=参議院のサイトから

7月20日(日)行われた第27回参院議員選挙で自民・公明の連立与党は選挙前の改選議席66議席から19議席を失って47議席になり、非改選議席75議席と併せて122議席になり、戦後初めて衆参両議院とも過半数を割り込んだ。自民党の石破茂総裁は、立憲民主党に対して秋波を送り大連立を呼びかけているが、野田佳彦党首は応じる気配がない。立民以外の他の保守政党も同じだ。結局、自民党は総裁選を行い、新総裁を選出後、党執行部を全面的に刷新する党の自己改革ができれば、比較第一党と他の保守政党が政策ごとに連合して法案を成立させる部分連合政権の「成立」という形で、政治を動かしていくということにならざるを得ないだろう。しかし、この部分連合政権構想はあくまでも暫定的なものであって、政局の混迷は続かざるを得ない。日本国のためには、トランプ大統領が推進している多極化文明外交を踏まえて、内政・外交両面で明確な政策理念を持ち、国家を発展させることができる政界再編による強靭な保守政党の構築が必要だろう。

日本でも多極化文明外交を展開する本格的な右派政権の樹立が必要

NHKが公開している参議院議院の新たな勢力図は次のようになっている(https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/sangiin/)。参院の過半数は125議席。

NHKによる参議院の新勢力図

今回の選挙で、衆参ともに自公両党が過半数割れになったため、他の野党の支持がなければ、政権を運営することが出来ない。石破総裁(首相)は政治空白を避けなければならないとして、獲得議席が改選議席と同数の22議席だった立憲民主党に秋波を送っているが、今回の参院選で日本国民が石破自公政権を拒否する意思を示したことは明らかだ。しかし。自民党が衆参で比較第一党であることも確かである。この観点から言えば、取り敢えずは、自民党が総裁選を行い、石破総裁に代わる新総裁を選出することが必要になろう。

共同通信によると、京都選挙区で、何とか議席を守った西田昌司参院議員は次のように語っている(https://www.47news.jp/12895893.html)。

参院選の京都選挙区で4選を果たした自民党の西田昌司氏は21日、京都市内で報道各社の取材に応じ、石破茂首相(自民総裁)は自民、公明両党大敗の責任を取るべきだとの認識を示した。石破氏の続投表明は「あり得ない」として、総裁選の実施を求めた。 昨年の衆院選で与党少数に転落した際に総裁を選び直すべきだったと主張。「国民から見放された人が物を言っても信頼性がない」と石破氏の政権運営を批判した。 西田氏は沖縄戦の慰霊碑「ひめゆりの塔」(沖縄県糸満市)の展示説明を「歴史の書き換え」とした自身の発言で逆風の選挙戦だったが、議席を守った。

ベテラン・長老格の再選された西田参議院議員のように、参院選で大敗した自民党の党総裁線の実施を求める声は自民党内に広がって行くだろう。有力総裁候補としたは、高市早苗前経済安保担当相か挙げられる。共同通信によれば、同氏は選挙日当日の20日の前の7月18日、次のように語っている(https://www.47news.jp/12882811.html)。

自民党の高市早苗前経済安全保障担当相は18日、奈良県大和郡山市で開かれた参院選の応援演説で、次期自民総裁選への出馬に意欲を示した。「私なりに腹をくくった。もう一回、自民党の背骨を入れ直す。そのために戦う」と述べた。党内では、参院で与党が過半数を割り込めば、石破茂首相(党総裁)の責任論が強まるとの見方が出ている。高市氏は、参院選の応援で全国を回った経験から「自民には厳しい目を向けられている。これまでの自民と何か違う、そういうお叱りだと思う」と言及した。

もっとも、高市氏の決意に対して、参院選が公示されるまでは素直に石破政権に従ってきたような軌跡があるため、疑いを持つ自民党議員も少なくない。やはり、国民の納得できる理念に基づいた根幹政策と強い行動力を持った衆院議員が必要だ。サイト管理者(筆者)自身としては、高市氏は暗殺された安倍晋三元首相の後継者と言われながら、同元首相が掴んでいたウクライナ戦争の真の原因(オバマ政権下のバイデン副大統領=当時=がウクライナのネオ・ナチ勢力を傘下において、ウクライナの親露政権であるヤヌコーヴィッチ製県を打倒=2014年2月のマイダン革命=し、東部ドンバス地方のロシア系住民を虐殺を含む大弾圧を行ったこと)を国民の前に明らかにしなかったことから、「夫婦別姓絶対反対」などには賛成できても、完全な信頼は置くことができないでいる。

サイト管理者(筆者)としては、いずれにしても、自民党内部で日本国の将来のための根幹となる政策面での論争が活発化し、自民党の総裁選が行われ、石破総裁に代わる新総裁が選出されることが望ましいと思う。ただし、この策は当面の取り敢えずの策だ。日本の政局混乱は避けられない。日本国のためには、内政・外交両面で明確な政策を持ち、国家を発展させることができる政界再編による強靭な保守政党の構築が必要だろう。

その内政・外交両面での根幹になる政策とは、前回の投稿記事でも述べたが、トランプ大統領が多極化外交(他局文明化外交)を展開していることを踏まえ、①付加価値税である消費を廃止し、米国のような小売売上税を導入する②多極化外交を展開しているトランプ第二期政権に対応できる平和外交政策を樹立する③中国や東南アジア、ロシアとも経済発展で連携する④ウクライナへの大規模な支援を止め、ロシアとの文化・政治・経済関係の強化に取り組む⑤日本で最も解決が困難な少子・高齢化対策については、世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会:略称統一教会)など、結婚の意義・子育ての意義を教理として明確に主張している宗教法人に対する弾圧を止め、健全な家庭の形成を促す政策を展開するーことなど、戦後日本の宏池会路線から完全に脱却できる政策理念が必要になるだろう。

【追記:22日午後15時30分】石破茂首相が続投の強気の姿勢を見せているのは、立憲民主党が獲得した議席数が改選議席と同じ22議席だったため、自公両党併せて40議席前後の大惨敗になると見られていた議席数が47議席になったため、自民党内の石破政権を支持する勢力(宏池会系)の間で、自民党の歴史的大敗の中でも「意外に踏ん張った」との見方が一定数、存在するためだ。しかし、自民党内に石破首相(党総裁)の声が広まっていることも確かだ。読売系の日本テレビでは、「与党過半数割れ 石破首相に自民党内の批判の声強まる」と題して、次のような石破降ろしの動きを伝えている(https://news.yahoo.co.jp/articles/033e4d10816a39426b1a2318fd3228de66ba952c)。

参議院選挙で与党過半数割れとなったものの、続投を表明した石破首相ですが、自民党内では批判の声が強まっています。続投の理由に「比較第一党としての責任」と繰り返している石破首相ですが、22日朝、閣僚からも厳しい指摘が出ています。

小泉農水相
「比較第1党というそういった表現を総理も幹事長もされていますけれども、私はむしろそこに胸を張るのではなくて、(与党で過半数という)目標を達成できなかったこと、このことを重く受け止めるべきだと思います」

石破首相の続投の判断をめぐっては、自民党内から「辞めない理屈を並べているようにしか見えない」などと批判の声があるほか、高知県連が早期辞任を申し入れる方針を決めるなど、地方組織の反発が既に広がってきています。また党執行部では、木原選対委員長が敗因の検証などののちに辞任する意向を示していますが、党内からは「森山幹事長はなぜ辞めないんだ」との声もあがっています。こうした中、一部の議員の間で注目されているのが、自民党の党則にあるいわゆるリコール規定です。国会議員と都道府県連の代表者の過半数の要求があれば、総裁の任期前でも総裁選を行うというもので、あるベテラン議員は「総裁選要求に向けた署名集めをするかどうか、話し合っている議員もいる」と指摘しています。

と言った具合だ。なお、小泉進次郎農水相が進めた備蓄米放出策は、備蓄米100万トンのうち2割程度の20万トンを市場原理からは不明朗な随意契約でコメ市場に放出するというもので、褒められたものではなく、自ら農水相を辞め、石破首相の退陣を誘引するというのが本当のところだろう。話を元に戻すと、日経新聞社の調査によると、石破降ろしの中核となりそうな清和会系の旧安倍派は53人と昨年2024年の衆院選前から4割ほど減らしているらしく、石破政権退陣のためには、もはや時代遅れになった宏池会の理念・根幹政策に反対する反宏池会で結束する必要がある。

また、自民党の森山裕幹事長も、尾辻秀久前参院議長の三女である尾辻朋実氏が自民党鹿児島県連の公募に応募した際、自民党に入党することを許可すべきだったが、許可しなかった。このため尾辻智実氏は立憲民主党の推薦を受けて無所属で立候補し、初当選した。鹿児島県は一人区であり、事実上の自民党分裂選挙になってしまい、自民党が一人区になって初めて参議院議員の議席を失った。森山幹事長も、自民党幹事長としての見識が疑われる。やはり、石破総裁と同様に、幹事長職を辞任しなければならない。

なお、サイト管理者(筆者)が新生日本は、ロシアや中国とも関係を改善・強化するべきだと述べたが、これに関して国際情勢解説者の田中宇氏は7月21日に投稿・公開した「日本の危うさと可能性」(https://tanakanews.com/250721japan.php、有料記事=https://tanakanews.com/intro.htm=)で、次のように述べている。

世界はすでに多極型になっており、東アジアにおける中国の覇権は決定的だ。米国はトランプになっても台湾を使った中共敵視を続けているが、これは目くらましな演技であり、トランプが台湾や高関税で中国を攻撃するほど、中長期的に、中国は非米化して強くなる。中共上層部の闘争が激化して習近平が独裁権力を失いそうだと言われるが、それは多分、習近平が独裁体制の任期延長のため、中共上層部の他の勢力に少し権力を移譲しているかのように見せる演技だ。実際の権力はすべて習近平が握ったままだろう。中国経済の悪化は予測されており、それで権力が揺らぐことはない。経済発展が中共の正統性だった時代は胡錦涛で終わっている。

自民党は、多極化で中国が台頭すると知っており、安倍晋三以来、対米従属で表向き中国を敵視しながら、裏では中共との関係を維持してきた。世界は多極化が進み、中共(やロシアやイスラエルや印度)の覇権は拡大し、米欧の覇権は縮小している。日本も、対米従属一本槍でやってきたので、力が低下し続けている。それなのに、今後の日本が中共と本格的に敵対するとしたら、それは自滅的な超愚策である。日本の今後の政権がどうなるかわからないが、自民党の既存勢力が力を失い、代わりに政権についた新勢力が米諜報界の隠れ多極派に入りこまれ、中共に対して自滅的な敵対策をとったりすると、日本の将来は、自滅的なロシア敵視策をやらされているドイツに似た、暗澹とした馬鹿げたものになる。

高市早苗前経済安保担当相=ニューヨーク・タイムズ

田中氏の国際情勢分析・考察に、マックス・ウェーバー=大塚久雄の「歴史社会学」を加味すると、現代は既に文明の多極化の時代に入っている。安倍晋三元首相(政治テロで暗殺されたけれども、その全貌は隠されている。医学や映像・音声学、国際情勢分析の専門家などによると、テロ殺人の真犯人は別に存在するとの見方が専門家の見方だ)の「地球俯瞰外交(トランプ大統領=第一期=、プーチン大統領、習近平国家主席と「仲良くする」米中露協調)外交」は一定の評価が出来るが、高市早苗前経済安全保障担当相が故安倍元首相の「地球俯瞰外交」を正しく継承・発展させているかは疑問である。

トランプ大統領はロシアによるウクライナ攻撃を暗黙で了解

トランプ大統領は7月14日、①北大西洋条約機構(NATO)諸国経由でパトリオットなど防空システムを供与する②ロシアが50日以内にウクライナ戦争の停戦に応じなければ、ロシアはもちろん、ロシア貿易を行っている諸国に対しても100%の追加関税を課すーと語ったことから、トランプ大統領は大変節したとの見方が世界中を飛び回ったが、この声明からかえってロシアによるウクライナに対するミサイルや軍事ドローンの攻撃が激化している(Youtube・言論チャンネル「メディアが報じないウクライナ最新戦況。ロシアの軍事圧力でゼレンスキー政権崩壊か」https://www.youtube.com/watch?v=Uz4-FQTSTv4&t=3s)。

元陸将補矢野義昭氏によると、ロシア軍はルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州を併合しているが、スミ州やドネプロペトロフスク州、ハリコフ州、オデッサ州などに併合の前段階になる緩衝地帯を形成している。また、クラマトルスクやコンスタンチノフカ、トレツク、ポクロウシクといったウクライナ軍の要衝を猛攻撃している。特に、トレツクは陥落寸前であり、コンスタンチノフカやウクライナ東部最大の要衝であるポクロウシクもロシア軍によって東西から挾撃、包囲されており、陥落寸前の状態になるのも間近だと言う。

この状況が進展すれば、いわゆるノボロシア構想が実現し、ロシアは工業地帯の東部ドンバスを確保するとともに、ウクライナの穀物を輸出する黒海もロシア軍によって制圧される。矢野氏によると、ロシアのプーチン政権はキエフ政権に(注:ウクライナ戦争を長引かせず、早期にほとんど無条件の)降伏を求め、ネオ・ナチ勢力傘下のキエフ政権を解体する戦略に転換したと見られると述べている。

Youtube・言論チャンネル

結局のところ、このトランプ発言は、トランプ大統領お得意の芝居、それも大芝居(注:ただし、欧州NATO加盟諸国への軍事兵器の輸出という形で、米国の軍産複合体にも一定の配慮をする必要があった)で、実際のところは、プーチン大統領にキエフの空爆などによりキエフ政権に降伏を求め、解体し、プーチン大統領の望み通りにウクライナ戦争を「停戦」ではなくて「終戦」に持ち込むための支援策であることが判明してきた。矢野氏によると、トランプ大統領とプーチン大統領は「反グローバリズム」で一致していると言う。サイト管理者(筆者)としてもトランプ、プーチン両大統領は実のところ、水面下で協調していると理解している。

 

 

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