イスラエル、「ガザ地上戦」をぎりぎりで回避かー中東大戦争では生き残れず、非米側陣営(露中)に乗り換えか(追記:岸田政権の今後)

イスラエルはハマス(イスラム同胞団)の電撃的同国侵攻を受けて、ガザ北部のパレスチナ人をガザ北部から南部、そしてエジプトに避難させたうえで、ガザに地上侵攻すると公言している。ただし、このネタニヤフ首相を首班とするイスラエル挙国一致政権が「強硬姿勢」を現実のものにすると、イスラエルはハマスだけでなくレバノンのヒズボラ(1982年に結成されたレバノンのシーア派イスラム主義の政治組織)やシリア、そしてこれらの武装組織や国家だけではなく、その背後にあるイランも参戦することになり、いわゆる「中東大戦争」が勃発することになる。昔のイスラエルは単独覇権力が強かった米国の支援があり、「中東大戦争」が起こったとしても勝てたが、米国の単独覇権力が劇的に弱まわった現在、それは不可能であり、同国の存続が危うくなる。そこで、エジプトが先陣を切ってイスラエルと国交樹立し、中東諸国の盟主であるサウジアラビアのアラブ首長国連邦やカタールも同国と国交回復をしたように、イスラエルもホンネはイランとの関係改善を図りたいのではないか。イスラエルが「ガザ地上侵攻」の強硬姿勢を取り続けるのも、詰まるところ、大規模な「地上侵攻」をやめろとの国際世論を高めさせることでこれに応え、イランを含むイスラム諸国家・諸組織との国交正常化・関係改善を実現して中東に恒久的な平和をもたらしたいというのが真意ではないだろうか。国際情勢解説者の田中宇氏は米国に代わって中露、BRICSなど非米側陣営が中東和平工作を展開すると見る。

イスラエルのホンネは露中中心の非米勢力による恒久的な中東平和の実現

共同通信社は、米国のメディアが米政府がイスラエルへの大規模な地上侵攻を思いとどまるよう説得していることを伝えた(https://www.chibanippo.co.jp/newspack/20231023/1121196)。

米CNNテレビは22日、米政府がイスラエル政府にパレスチナ自治区ガザへの地上侵攻を遅らせるよう要請したと複数の関係筋の話として報じた。ガザを実効支配するイスラム組織ハマスからの人質解放や、ガザへの人道支援を進めるためとしている。イスラエル政府は否定しているという。(中略)

バイデン大統領は21日、イスラエルに侵攻を先延ばしするよう促すのかと記者団に問われ、肯定も否定もしなかった。

朝日デジタルも、同様の報道を行っている(https://digital.asahi.com/articles/ASRBQ0BRFRBPUHBI02R.html)。

米CNNは22日、米政府が、イスラム組織ハマスが拘束した人質の解放とパレスチナ自治区ガザ地区ガザへの支援物資搬入のため、イスラエルに対してガザへの地上侵攻を延期するよう求めていると報じた。2人の関係者の話として伝えている。米ニューヨーク・タイムズも22日、複数の政府高官の話として、バイデン政権がガザへの地上侵攻を遅らせるよう進言したと伝えた。人質交渉の時間を稼ぎ、より多くの人道支援を届けるためだという。

ブリンケン国務長官は22日朝、CBSニュースの番組でこの点を問われたが、直接的には答えず、「私たちはイスラエルと、彼らが何を計画しているかについて話した。私たちは彼らに最善の助言をする」と語った。

これに関連して、朝日デジタルは同じ報道記事で米欧主要6カ国がイスラエルに一般市民の保護求めていることを報じている。

米欧主要6カ国は23日、イスラエルへの支持と、同国の自衛権を認めることを強調する共同声明を出した。ただ、その際に国際人道法を順守し、一般市民を保護することも求めた。ロイター通信が報じた。

声明を出したのは、米国とカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、英国。声明発出に先立ち、バイデン米大統領は各国首脳と電話会談を重ねていた。声明では、各国は20日に実現した人質2人の解放を歓迎しつつ、残るすべての人質の速やかな解放も呼びかけた。

米国を盟主とする米側陣営はハマスの電撃攻撃を受けた「イスラエルの自衛権」を「尊重」しながらも、ハマスが200人余りの人質を確保していることやガザ地区住民に対する人道上の配慮から、イスラエルのガザ地区への大規模地上侵攻を思いとどまらせるよう外交交渉を行っている。イスラエルは強硬姿勢を崩してはいないが、大規模地上侵攻を思いとどまっている。これは表向き思いとどまっているように見えるが、実はネタニヤフ政権の中東和平の実現へ向けての戦略ではないか。

国際情勢解説者の田中宇氏は10月22日に公開した「ガザ地上戦の瀬戸際で」と題する解説記事(https://tanakanews.com/231022gaza.htm、無料記事)で、中東大戦争が勃発すればイスラエルは敗北、国家存亡の危機に立たされると予想し、このため、単独覇権力が弱まり当てにならない米国(米側陣営)ではなく、サウジアラビアやイランも加盟するBRICSなど非米側陣営に和平の仲介を求めていると分析している。

世界に散らばる米外交官を統括する米国務省では、イスラエルのガザ侵攻を支援・扇動する上司のバイデン陣営への反逆が強まっている。外交官たちは、世界が米国を支持しなくなったことを強く感じている。イスラエル自身、ガザに地上軍侵攻したくない感じが強い。ガザに地上侵攻したら、それに合わせてイスラエルの北にあるレバノンのヒズボラが侵攻してきて、イスラエルはいきなり南北2つの戦争を抱えて破綻に瀕するからだ。
‘Mutiny Brewing’ Inside State Department Over Israel-Palestine Policy

シリア政府軍もヒズボラに加担してイスラエルと戦争になるだろう。ヒズボラとシリア政府はイランの傘下にある。イスラエルがハマスと本格戦争すると、連動してイランとシリアとヒズボラという3つの敵がイスラエルとの戦争に入る。これは、私が以前から書いていた(ずっと外れていた)中東大戦争の構図だ。近年、イランやヒズボラが強くなる半面、イスラエルの唯一の後ろ盾である米国は弱くなっている。10年前なら米イスラエルがイラクに対してやったようにイランを完全破壊できたかもしれないが、今は無理だ。中東大戦争になったらイスラエルは米国に見捨てられ破滅だ。イスラエルはガザに地上侵攻できない。
中東大戦争の開戦前夜)(中略)

ハマスは、ガザ北部から数10万人の市民を南部に緊急避難させて「戦場」を用意して、イスラエルを地上侵攻に誘った。市民を避難させたのは、イスラエルをはめる落とし穴作りだった。これまでイスラエルが、ガザ市民を南隣のエジプトに追い出して空っぽにする策略として、ガザ北部に侵攻するから南部に避難しろと市民に要求しても、市民の親分であるハマスは人間の盾を維持するため避難を許さなかった。だが、今回ハマスは市民を南部に避難させた。私は最近の有料記事でこの理由について分析したが、今回は追加の理由として、イスラエルをガザ地上侵攻に引き入れて中東大戦争を引き起して自滅させる、もしくは自滅的な中東大戦争になるのでイスラエルがガザ侵攻できない状況に陥れる、というのを考えた。
What is Known About Vast Tunnel Network Beneath Gaza

こうなると、ハマスやヒズボラ、シリア(それにシーア派の色彩の濃いイスラム教国家であるヨルダン)などの諸組織(武力も兼ね備え得た政治・行政組織)や諸国家の背後にいるイランとの和解・関係正常化が必要になる。田中氏によると、イスラエルはそれを露中を中心とした非米側陣営であると見ている。中国は昨年12月、サウジアラビアを訪問し、同国産原油を人民元建てで購入することで合意し、その余勢を駆って今年の3月10日、サウジとイランの国交回復の仲介役を果たした。また、ロシアのプーチン大統領政権も中東和平に本格的に乗り出している。

ユダヤ人は世界的な諜報界の元祖であり、多極化の動きをよく知っている。多極化を誘発した張本人(=資本家)ともいえる。イスラエルはむざむざと破綻せず、今回の窮地を逆に活かし、自国を米国側から非米側に付け替えていくのでないか。イスラエルの付け替え策に協力して準備しているのがプーチンのロシアだ。プーチンは、イスラエルやアラブやイランやトルコの首脳たちと個別に話し合いを進めている。ガザ停戦を皮切りに、パレスチナ問題の解決策を検討している。
Measures resolving Israeli-Palestinian conflict should be agreed without delay

イスラエルとアラブだけでなく、イランが入っているのが重要だ。パレスチナ問題と同時に、シリア(ゴラン高原)やレバノン(ヒズボラ)とイスラエルの対立も同時に解決しようとしている。(トルコはムスリム同胞団のまとめ役)イランを敵視するばかりの米国では、この和平仲介をやれない。安保面でイランやシリアを助けてきたロシアにしかやれない役目だ。ユダヤ人はプーチンに感謝し、恩返しにロシアは繁栄を手にしていく。
Russia initiates UNSC meeting on Israeli-Palestinian conflict

ガザの停戦とパレスチナ問題の解決を求める声が世界的に強まっている。市民運動や「アラブの街頭」だけでなく、各国政府がもう戦争をやめるべきだと言い出している。好戦策ばかりの米国への反感や不信が強まっている。非米側だけでなく、ウクライナ戦争で疲弊した欧州G7諸国もそうだ。イスラエルは、この声に押されて嫌々ながら、という姿勢をとりつつ、実はとてもやりたいガザの停戦やパレスチナ問題の解決、イランとの和解などを了承していく。これらの策をこれまで妨害してきた入植者集団(多くが米国「帰り」)はかつてネタニヤフのリクードを支配していたが、ガザ開戦後、ネタニヤフは中道野党連合と挙国一致内閣を作り、入植者集団を無力化している。
Netanyahoo’s Strategic Dilemma

国連などの場でこの問題解決を主導していくのはロシア(と中国)で、そこにサウジやイランが新加盟するBRICS、中露と親しくなったアフリカ諸国、中国主導のG77などが協力する。バイデンは完全にお門違いになっており、米国は今後の問題解決から(隠然と)外される。米側マスコミは米国主導での解決だとまたぞろ大ウソを喧伝し、みんなそれを軽信するのだろうが、米国はもう主導役をやれない。
How China and Russia can help us avoid escalation in the Middle East

こうした動きは、米国単独覇権が既に崩壊していることを示している。田中氏はバイデン政権は米国ディープ・ステート(DS)内の多極主義勢力に操られていると見ているが、仮にそうだとしても、その「多極主義」の意味が分かっていないようだ。

バイデンは先日(注:10月19日の支援者の集会)の演説で「今の世界システムは力尽きており、新しいシステムが必要だ。米国がそれを作る」と述べた。この発言の前半だけ見ると、バイデンもようやく米国の覇権喪失を認めたなと意外な感じだ。だが、後半の「新たな世界システムも米国が作る」という部分は、やっぱり彼が全然わかっておらず間抜けなことが露呈している。新しい世界システムは米国でなく、中露BRICS・非米側によって着々と構築されている。イスラエルだけでなく、日本も近いうちに非米側への乗り換えが必要になる。あっさり無条件降伏的な中国擦り寄りになりそうでげんなりだが。
US will build ‘new world order’ – Biden

米国の単独覇権力が崩壊の危機に直面していることの象徴のひとつは、国債10年物の長期金利が10月27日金曜日週末時点で4.9930%と年率5%を上回る寸前に来ていることだ(https://finance.yahoo.co.jp/quote/%5ETNX)。インフレを抑えるためにQT(Quantitative Tightening=量的金融引締め政策=)を行っているのだが、インフレは対露経済制裁に伴う供給サイドのコストプッシュインフレで起こっているため、インフレ沈静化は困難だ。むしろ、冷戦後は金融で経済を維持してきた米国の金融システムが重大な困難を抱えるとともに、インフレと不況が共存するスタグフレーションが深刻化して米国の経済は非常に厳しくなる(田中宇氏「米国債の金利上昇」: https://tanakanews.com/231004rate.php、有料記事=https://tanakanews.com/intro.htm=)

世界の長期金利の大元締めである10年もの米国債の金利が急上昇している。10年米国債は、住宅ローンや社債などすべての長期金利の原点だ。米国では商業不動産市場が崩壊しかけており、米国債の金利上昇は、とどめの一撃となって米不動産市況を崩壊させかねない。

日本は円が実効実質為替レートで50年ぶりの円安水準(円の購買力)になっており、日銀が為替無策(円安無策)のために米側陣営のインフレにさらに拍車をかけている。岸田文雄首相は10月22日に行われた徳島県・高知県合区の参院議員補選で自民党候補が敗退したが、長崎4区補選で辛くも勝ち1勝1敗になったため、来年の総裁選に向けて解散・総選挙を行う可能性が濃厚になった。しかし、所得減税など行ってもインフレ、スタグフレーション対策には無策であるし、賃金と物価のスパイラルも招いており、実質賃金はむしろ低下している。賃金を引き上げられない体力の弱い企業も多く、その場合は実質賃金の低下はもっとひどくなる。強行すれば、「自爆解散・総選挙」になるだろう。岸田政権の行く末は、内政・外交ともに「不安がいっぱいだ」。

宗教法人の解散命令に「民法違反は入らないー会社法との比較」=中山国際法律事務所の中山達樹代表弁護士=

中山国際法律事務所の中山達樹代表弁護士(http://www.nkymlaw.jp/pdf/211210.pdf)がブログ「川塵緑」に「宗教法人の解散命令に『民法違反は入らないー会社法との比較』」(https://blog.goo.ne.jp/05tatsu/c/9dc6885e9cf6922e66541f34c2ecbb98)を掲載された。分かりやすく参考になるが、拡散希望なので、全文掲載させていただきたい。

宗教法人の解散要件に「民法」違反は入らない。昨年10月中旬、岸田首相が、一夜にして法令解釈を変えた。10月18日には、オウム真理教の判例に従い、解散要件(宗教法人法81条)の「法令に違反」について「民法は入らない」と。しかし、翌19日、一夜にして俄に見解を変え、「民法も入りうる」と。

青天の霹靂的な一夜の解釈変更。首相大丈夫ですか、、と思ったけど、今、改めて他の法律と比較すれば、宗教法人の解散要件の「法令に違反」には、民法は入らない、とご理解いただけるはず。司法試験とか行政書士とかの試験・受験勉強にピッタリな、結構簡単なロジックです。会社と宗教法人を比較します。

会社は営利目的。だから経済的自由。憲法的には劣位の権利。だから解散要件は甘くていい。すぐ解散になっていい。一方、宗教法人は営利目的ではない。精神的自由。憲法的には優先される権利。だから解散要件は厳しくあるべき。すぐ解散させちゃダメ。ここまではみなさんお分かりでしょう。では会社法はどうなっているか。会社法824条で、解散要件として「刑罰法令に触れる行為をして」と書いている。刑法違反に限定している。民法違反は含めていない。除外している。

そう。会社法でさえ、わざわざ、「刑罰法令」って書いて、民法違反を、解散要件から除外している。民法違反(不法行為の成立)なんて、裁判をやって数年しないと判明しない。何が悪いのか予測可能性がない。そんなボヤッとしたものが解散要件になったら不意打ちだ。平成になってからできた会社法は、正しい。制定2005年。平成17年。人類の叡智がこの会社法に反映している。しかし。宗教法人法は古い。昭和26年。1951年。まだGHQに占領されていた。72年前だ。人類の叡智は今ほど蓄積されていない。だから「法令に違反」なんて曖昧な書き方をしちゃっている。

でも。解釈すればいい。経済的自由の分野である会社法でさえ、緩く解散していい会社でさえ、解散要件が「刑罰法令に触れる行為」をした場合に限定している。だったら、精神的自由の分野である宗教法人法の、厳しく解釈されるべき解散事由では、「法令に違反」は当然に刑法違反に限るべきだろう。こうやって、比較法的に考えれば、経済的自由と精神的自由の違いに思いを致せば、宗教法人法の解散は厳しく解釈しなきゃなと考えれば、宗教法人法の解散に民法違反は含まないってのは自明ではなかろうか。司法試験とか行政書士試験の受験生でも分かりそうな、簡単な理屈ではなかろうか。

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このような「比較法的考察」は、私以外、誰もしていないんじゃないかな。どのメディアにも出ていないんじゃないかな。メディアさんは、昨年の騒動から10か月、この「比較法的なアプローチ」について沈黙してきました。憲法学者とか、宗教学者も、沈黙してきました。でもみなさん。このブログに書いたことは、みなさんにもご理解いただけると思います。

本稿の拡散を希望します。

なお、会社法824条には次のように記されている。

裁判所は、次に掲げる場合において、公益を確保するため会社の存立を許すことができないと認めるときは、法務大臣又は株主、社員、債権者その他の利害関係人の申立てにより、会社の解散を命ずることができる。

一 会社の設立が不法な目的に基づいてされたとき。
二 会社が正当な理由がないのにその成立の日から1年以内にその事業を開始せず、又は引き続き1年以上その事業を休止したとき。
三 業務執行取締役、執行役又は業務を執行する社員が、法令若しくは定款で定める会社の権限を逸脱し若しくは濫用する行為又は刑罰法令に触れる行為をした場合において、法務大臣から書面による警告を受けたにもかかわらず、なお継続的に又は反覆して当該行為をしたとき。

なお、法律に明るい者なら誰でも分かる中山代表弁護士の宗教法人の解散命令に「民法違反は入らない」との当然の解釈を岸田政権下の文科省が翻したことについて、世界平和統一家庭連合の福本修也弁護士らは10月13日に東京地裁に送った意見陳述書(2)で次のようにまとめている(https://ffwpu.jp/wp-content/uploads/2023/10/a035d51b70dd56a166b327890d6ee0a9.pdf、23頁)

上記主張最後の括弧書き部分(注:要するに、宗教法人開催請求の要件に民法第709条に定められている「不法行為=故意(わざと)または過失(うっかり)によって、他人の権利または法律上保護される利益を侵害する行為=に対する損害賠償規定」による民事訴訟も訴訟の数と結果などによっては、宗教法人に対する解散請求要件に入るとの法治主義を逸脱した解釈)には文科省の法解釈態度を表す本音が書かれている。同省は,まず最初に「(世界平和統一)家庭連合の解散ありき」の結論を決め,それに沿うよう徹頭徹尾法解釈のねじ曲げを行い,そのためには確立した判例も平然と否定するのである。およそ法治国家がやることではない。

関連して述べるならば、世界平和統一家庭連合に対する民事訴訟は2009年のコンプライアンス宣言以降、激減している(https://ffwpu.jp/news/4905.html)。一般論として言えば、高等宗教を改革する振興高等宗教は当初は、既成勢力と戦うため、社会との摩擦を生みやすい。しかし、改革勢力も既成の経済社会を改革しつつ、法に則って和合していくのが常である。同連合もその過渡期にあるのではないか。

2009年のコンプライアンス宣言以降、教会改革に積極的に取り組み、伝道、教育に励み、最近は特に未来を担う新しい世代の指導者を立て、現在まで継続して改革を推進してきました。また、昨年9月以降は「教会改革推進本部」を設置し、更なる改革に取り組んでまいりました。
このようなコンプライアンス宣言の徹底の結果、
①2009年以降、民事裁判の件数は4件に減少し、直近約7年半にわたって当法人が訴訟提起された案件は1件もありません。
②通知書等による返金請求事案は、2009年以前に比べると約10%に減少しています。
③消費者庁に寄せられた「相談件数」のデータも同様に、2009年以降は確実に減少傾向にあり、「継続性」が存在しないことを裏付けるものとなっています。昨年の7月に全国弁連の山口広弁護士も消費者問題専門の季刊誌「消費者法ニュース」において「旧統一教会関連の相談は減りました」と明記しており、この事実を認めています。(中略)

また、全国霊感商法対策弁護士連絡会、いわゆる全国弁連はこれまで、過去35年間に寄せられた当法人に関する「相談件数」は約3万4000件、「被害金額」は1200億円以上と吹聴してきました。ところが、文科省がこのほど発表した当法人による「被害規模」は、1980年以降において約1600件、金額は約226億円でした。この文科省の数字と比べると、全国弁連が主張する件数は約20倍、金額は約6倍であり、全国弁連が当法人による「被害」をいかに誇張してきたかを示しています。なお、文科省が発表した「被害規模」も交渉の上で和解や示談が成立した金額が多数含まれており、「被害」の実態とはかけ離れています。

東京高裁が判示した解散命令請求の要件のひとつである「継続性」はもはや明らかにない。また、厳密に調査すれば「組織性」や「悪質性」もないだろう。今回、岸田文雄政権が世界平和統一家庭連合に対する解散命令を請求したのは、「政権浮揚のため」との見方が支配的だ(https://news.yahoo.co.jp/articles/418e465fbac97d1baef8fe3c8974495d8cc9f7e0)。「全国紙と通信社の大手メディア5社の世論調査で、岸田文雄内閣の支持率が発足以来、いずれも過去最低となった。先週末に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令請求に踏み切ったが「政権が期待した『解散請求効果』はゼロ」(自民の閣僚経験者)」。

もっとも、世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会:統一教会)に対する解散請求命令を東京地裁に出したのは、「法律のイロハ」を知らないどころか、憲法第20条で保障されている「信教の自由」という民主主義の根幹に反旗を翻すものである。岸田首相が解散・総選挙に打って出た場合はこのことを考慮に入れて投票活動を行う必要がある。

「天網恢恢疎にして漏らさず(天の神が地に張り巡らした網は、ゆったりして粗いようであるが、決して漏らすことはなく、それに搦め捕られる。 すなわち、悪事を行えば、一時的には逃げおおせるなどうまくいったように見えるが、結局は、捕らえられる乃至その報いを受けるということ)」という言葉は、保身(支持率回復)のために法治主義を否定した岸田政権(直接には文科省・文化庁)にも当てはまる。文化庁の官僚が言ったとされる「政権が吹き飛ぶ」という言葉を記憶しておく必要がある。

 

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